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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十八章 暴かれる真実、現れるラスボス
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その十 ツキノの選択

「アイスロック!!」

「おわっ!?ちょっと待てよ、ミレイ!」


俺が避けた場所から巨大な氷の塊が出現する。

こいつ本気で俺を倒す気か、てことはやっぱり俺の目的も理解してる。

それならガルアがやろうとしていることも分かってるってことだよな。


「待つわけがないだろう。犯罪者の言葉に耳を貸す人なんていないだろ」

「お前自分が何してるのか分かってるのか」

「私はガルア様の命令に従うだけだ。他に選択はない」

「それが間違った物でもか。ガルアは何かとんでもない事をしようとしているんだぞ。この島の人達の記憶も奪ってるんだぞ!全部知っててお前は協力しているのか」

「っ!私は……」


動きが鈍くなった、今ならいける!

俺は瞬時にミレイの後ろに魔法陣を展開させる。


「ワープ!」

「っ!」


俺は瞬時にミレイの後ろに瞬間移動すると、胸元を掴んで覆いかぶさった。


「ガルアは今周りが見えなくなってるんだよ!お前らなら分かるだろ、ガルアは普通そんなことしないって。ガイスって奴がガルアに命令してるんだよ!これはあいつの意思じゃないんだ!」

「だからどうしろと言うのだ。それがガルア様の意思じゃなくても、私の守るべき人はその人で、その人の為なら私は命を懸けて守ると誓った身だ!だからこそ私は貴様をここから先一歩も通すわけには行かないんだ!」


するとミレイは勢いよく俺の腹を蹴り飛ばしてきた。

油断をしていたこともあり、俺はそのまま後ろに吹き飛ばされてしまう。

俺がミレイから離れた瞬間、新たな魔法陣が出現する。


「くそっ!」


やっぱり説得は無理だったか。

こうなったら無理やりにでも突破するしかない。

時間も無いんだ、短期決戦で決着を付ける!


「ライトニングアロ―!!」

「っ!」


光の矢が俺の頬を掠め、壁に突き刺さる。


「戦うなら俺も容赦はしないぞ!」

「手加減を求める程私の腕は落ちてないぞ!」


俺はその瞬間、地面を勢いよく踏みしめて飛んだ。

そして次は壁に移動するとすぐに飛び、天井、また地面と廊下中を高速で移動する。


「っ狙いずらい!」


ミレイは俺の動きを補足できずに魔法を撃つのを躊躇ってしまう。

俺はその間にも魔法陣を廊下中に展開させる。


「当てられないのなら、広範囲に魔法を放つ!グランド――――――」

「インパクト!!」

「っ!?くっ!」


衝撃により壁が砕け地面がえぐられる。


「ファイヤーボール10連!」

「なっ!?」


連続で炎の玉を当てられたことでミレイの体はバランスを崩す。

俺はその隙を見逃さずに一気に間合いを詰めて、ミレイの胸元を掴んで背負い投げをする。

そしてそのまま動けなくなったのを確認して、一直線に部屋へと走る。


「ロックスタンプ!」

「っワープ!」


予め展開されていた魔法陣から岩が出現して俺を押しつぶそうとしてくる。

俺は瞬時にワープで避けると、壁に岩がめり込む。


「手加減しないって言っておいて隙あらば逃げるつもりか!それでもお前は男か!」

「俺はただこの島の真実を知りたいだけだ。別にお前と戦う必要ないんだよ」

「話しにならないな。私を倒す気持ちもないのなら、とっととこの城から出ていけ!」

「それは無理だって言ってんだろ!俺は真実を知らないといけないんだよ!」


これ以上は時間もかけられない。

インパクトを直接当てて終わらせるしかない。

俺は右手に魔力を溜める。

するとミレイも何かを察したのか、魔法陣を2つ展開させる。

本気で俺を倒すつもりだ、これで決める!


「インパクト!」

「グランドファイヤー&キルトルネード!」


それらの魔法がぶつかり合った瞬間、強烈な爆発音と風が吹き荒れ俺はそのまま吹き飛ばされてしまう。


「いった……」


俺は痛む頭をさすりながら、何とか立ち上がる。

まだだ今の一撃じゃ、ミレイは倒れない。

ここでもう一撃入れないと、また立ち上がって来る。

俺はゆっくり立ち上がると、ミレイがどこに居るか確認する為に辺りを見渡す。

どこ行った?あいつの姿が見当たらない。

その瞬間、俺の足元に魔法陣が展開される。


「しまっ!」

「ウオーターガッチメント!」


やられた!俺の体は底の見えない水の中に閉じ込められる。

ワープで脱出しないと!くそ、景色が歪んで見えて魔法陣を展開できない。


「残念だけどそのまま眠ってもらうぞ。ガルア様の任務を達成する為にも仕方のない事なんだ」

「がぼっ!ごぼぼぼ!!」


まずい息が無くなる。

このまま気絶したらもう2度とチャンスが無くなる。

インパクトで何とか吹き飛ばすしかない。

インパクト!

強烈な衝撃が水の中ではじけ飛ぶだけで水自体が消滅することはなかった。


「無駄だ。その魔法は私が解除しない限り消えないぞ。残念だが、貴様はここで終わりだ。諦めてくれ」


そう言ってもがき苦しむ俺をじっと見ていた。

いやだ、俺は諦めたくない。

ミノルを助けなきゃいけないんだ、だからこそ俺はこんな所で……諦めるわけには……


「ファイヤーウォール……」


その瞬間、一瞬にして俺の周りを炎が取り囲む。

それにより俺に粘っこく引っ付いていた水が蒸発していった。


「ぶはっ!はあ、はあ、ツキノ?」


そう言えばあいつが居たこと完全に忘れてたな。

ツキノはじっとミレイの方を見る。

何を考えてるんだ。


「もうやめようよ……2人は仲が良いんでしょ……」

「「仲は良くない!!」」

「っでも……これ以上お互いを傷つけちゃ駄目だよ……私は見たくない……」

「ツキノ……」

「貴様の考えは分かった。だが、時には引けない瞬間もあるのだ。貴様はどうしたいんだ」

「え?」

「ここに居る以上、どちらに着くか決めるんだ。私か絶対かつか」


その言葉を聞いた瞬間、ツキノは明らかな動揺を見せる。

ツキノは初めて見た時よりも感情を表に出す様になった。

それは沢山の人達と交流してきたからだろう。

だからこそ何が正しくて何が間違ってるのか分からないんだ。


「私は……分からない……分からないよ」

「駄目だ。どちらか決めるんだ」

「何で決めなきゃ……いけないの……」

「それはツキノがここに残っているからだ。ここに居る以上、どちらにするか選ばなきゃならない。それがここに残る意味だ」


ツキノはその言葉を聞いてさらに頭を悩ませる。

本当にツキノは選ばなきゃならない。

だけど今のツキノはどちらの味方にもなりたい。だからこそ必死に悩んで考えてるんだ。


「ツキノ、自分の正義に従うんだ」

「え?」

「誰だって自分が正しいと思ってるんだ。自分の考えと間違っている者が悪で自分は正しいと思って戦ってるんだ。誰だって正義と悪があって、自分の正義を貫くために戦うんだ。だから俺達は戦ってるんだ。ツキノはどっちが正義か知る必要はない。自分が正しいと思う物を選べばいいんだ」

「正しさが……分からない……」

「それなら自分が正しい人だと思う人を思い浮かべるんだ。もしその人ならどっちを選ぶ?」

「正しい人……」


ツキノは数秒目を閉じて集中をする。

するとツキノはゆっくりと目を開くと歩き出した。

そして俺の前でピタリと止まると、大きく深呼吸をする。


「間抜けな面してないでシャキッとしろよ」

「え?」


突然のツキノからの暴言に俺は思わず声が漏れてしまう。

今ツキノ完全に俺の事を言ってたよな。


「私の思う……正しい人なら……こうする」

「つまり、絶対かつの方に付くってことか?」

「それが……私の正義……」

「なら容赦はしないぞ!」


ミレイはさらに魔力を高める。

その時衝撃音と共に城が思いっきり揺れる。


「何だ今のは!」

「あっちも戦い始めたようだな」

「あっちってまさか!?」


もしかしてバレたのか。

だとしたらまずい、あいつらは武闘派ってわけじゃない。

そう簡単に見つかるような奴らじゃないはずだ。

もしかして、事前に来るのが分かってたのか?


「ツキノ、お前ら他の人達を助けてくれ。ハイ&ローって言う2人組の男女が居るはずだ」

「かつは……」

「大丈夫だ。だから言ってくれ」


ツキノは俺の言葉にうなずくとそのまま走って行った。


「止めないのか?」

「必要ないからな。それに私と貴様の決着もそろそろ付けようではないか」


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