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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十八章 暴かれる真実、現れるラスボス
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プロローグ ケイン

家に帰るとお帰りって聞こえた。

その声が聞こえると俺はただいまって言う。

朝起きて下に行くとおはようと聞こえた。

だから俺もおはようって言った。

眠るときもおやすみって聞こえた。

だから俺もおやすみって返した。

それが当たり前だった、それが普通だった。

それはずっと変わることのないものだと思っていた。

ほんの数日前は……


「ただいま」


静寂、その家にはそれだけしかなかった。

俺はそのまま部屋に向かって階段を上る。

そして一直線にミノルの部屋に向かった。


「ミノル、入るぞ」


その言葉に応える声はなく、そのまま部屋に入る。

部屋に居たミノルは未だに目覚めることはなく、静かに眠っていた。

俺はミノルの心臓の鼓動を確かめる、きちんと鼓動が音を鳴らしているのを聞いて少しほっとする。

そして俺はミノルの手を強く握りしめた。


「必ず、俺が目を覚まさしてやるから。俺が絶対にミノルを治すから、だから待っててくれ」


俺はミノルに向かって一方的な誓いをして、そしてゆっくりとミノルの手を離した。

そしてそのままゆっくりとミノルの部屋から出た。

もう、待ってばかりはいられない。

慎重に動けば動くほど、真実は遠さがる。

だからこそ俺はもう待てない。


「俺がこの島の真実を暴いてやる」


その時ドアを叩く音が聞こえてきた。

誰だ?もしかしてガルアが来たのか?

もしそうだとしても、ここで戦うのはまずい。

俺はゆっくりとのぞき穴を見る。

そこには黒いローブを着た謎の人物がいた。

俺はそれを見た瞬間、扉を勢いよく開いた。


「お——————」


俺はそのまま相手のローブを掴んで家の中に引き込むと、勢いよく床にそいつを叩きつけた。

そしてそいつの上に乗って俺は切り替えて魔力を込めた手を突き付ける。


「何しにきやがった黒の魔法使い!!」

「ちょ、ちょっと待て!誤解だぞ!」


そう言ってそいつは顔が隠されていたフードを取った。

そいつは久しぶりにかつての友人だった!


「ケイン!?お前、今まで何してたんだよ!!」


思わぬ再開に俺は思わずケインを抱きしめてしまう。


「和也、気持ちは嬉しいが少し離れてくれないか」

「え?あ、ごめん」


俺はケインに言われてすぐに上から降りる。

するとケインはゆっくりと立ち上がると、俺に体を向ける。

だが、ケインの顔は俺とは対照的に少し険しい顔をしていた。


「久しぶりの再会を俺も喜びたいところだが、時間が無いんだ」

「時間が無いって、ケイン今お前は何をしてるんだよ」

「すまない、自分探しの旅をしていたんだ」

「自分探しの旅?何で急にそんなことを」

「記憶を取り戻したからだ」


そう言ってケインはまっすぐ俺を見た。

記憶を取り戻した?それってつまり今まで記憶を失ってたってことか?


「何で急に……そんなの全然言ってなかった」

「それが俺が記憶を失っていたことを自覚してなかったからだ。だが記憶を取り戻したことで、俺は命を狙われてる」

「命ってなんでだよ!ちゃんと説明してくれよ」

「時間が無いんだ。流暢に話をしている時間もない、だからこれをお前に託す」


そう言って謎の石を俺に渡してきた。

青色で透き通るような石、それは今まで見たことも無い石だった。


「これは何だよ」

「それを光で当てて、本にかざすんだ」

「本?本って何の本だよ」

「この家にあった本だ」


その言葉を聞いた瞬間、俺の頭の中はさらに混乱に陥る。


「何を言ってるんだよ。何でその事を知ってるんだよ」

「詳しい事はその本を見てくれ、それじゃあな」

「ちょっと待てよ!」


すると家から出ようと扉を開けたケインがその場で立ち止まる。


「ルナカルド」

「え?」

「俺の本当の名前だ。お前には全てを託した。生きてくれよ、友よ」


そう言ってルナカルドと言った友は家を出て行った。

確かな覚悟を胸に秘めて。



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