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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十七章 さよなら、ミノル
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その二十二 いじめっ子といじめられっ子

「あ、あああ!」


風間に魔法をあてた直後、俺の太ももに光の矢が突き刺さった。

俺はそのまま痛みを我慢しながら光の矢を引き抜いた。


「はあ、はあ、くそ風間の奴最後の最後まで抵抗しやがって」

「今のはさすがに効いたぞ」


その時風間は立ち上がりボロボロになった体を支えながら歩き出す。

こいつあんまりダメージが無いのか。


「まだ、動けんのかよ」

「まだ終わるわけないだろ。今のはレベル魔法のぶつかり合いだ。次はオリジナル魔法ぶつかり合いと行こうぜ!」


その瞬間、風間の周りに見たことも無い魔法陣が出現する。

こいつも持ってたのかよ、オリジナル魔法を!


「そのオリジナル魔法、両親に貰った物なんだろう?俺達みたいなこの世界に来たばかりの奴らはオリジナル魔法を作れないからな」

「お前もそうなのか……」

「自分だけが特別だと思ってたか?この世界に来た奴ら全員が特別であり、今生き残ってる俺達はさらに特別だという事だ。そしてその中で一番は俺だ」


すると風間がポケットからネックレスを取り出すと、横についているボタンを押して蓋を開く。

そしてそこには魔法陣が描かれていた。


「これが俺のオリジナル魔法だ」


俺のとは違う物、でも俺と同じように両親から受け取った物だとしたら、インパクト並の強さを持った魔法なのか?


「そしてこれがこの魔法の力だ!複製(コピー)!」


その瞬間、風間の周りを魔法陣がまるでスキャンしているように動いていた。

そしてその魔法陣が地面と空中に止まるとその間に何かが現れる。

それは目の前に居るはずの男、風間だった。


「な、何だそりゃ!?」

「これが俺の力だ!さあ、こっからが本番だぞ」


風間のコピーと本物の風間は瓜二つでぱっと見では見分けがつかないほどだった。

その時、風間とコピーが魔法陣を出現させる。


「グランドファイヤー!」

「アグレッシブフルート!」

「うそだろ!」


それぞれが別々の魔法を出現させる。

巨大な炎は風の槍にまとわりついて炎の槍に変わる。

そしてそのまま真っ直ぐ俺の元に飛んできた。


「ワープ!」


俺は何とか瞬間移動でそれを回避する。

そのまま風間の魔法は壁に突き刺さった。


「さてと決めようじゃねえか。どちらが正しいか」

「上等だ。やってやるよ!!」


俺はそのまま風間の元に飛び込んでいく。

すると二人の風間は別々の方に逃げて行った。

攪乱作戦のつもりだろうが、オリジナルは左だってのは分かってるぞ。

俺はそのまま左に行った風間を追いかける。


「逃がすか!」


俺は風間の方に魔法陣を展開させる、その時風間は新たな魔法陣を展開させる。


複製(コピー)!」

「なっ!?」


更に風間は自分のコピーをもう一つ増やした。

その時、後ろから魔法陣が展開される。


「ウオーターガン!」

「しまっ!」


俺は前の風間に気を取られて後ろの風間の対処に遅れる。

何とか体をねじって方にかすった程度に済ませることが出来た。


「ファイヤーボール!」


俺の放った魔法はコピーの風間に直撃する。


「よし!」

「ロックスタンプ!」

「っワープ!」

「逃がすか!」

「ファイヤーブライト!」

「グランドサンダー!」


巨大な炎と雷が逃げた俺に襲い掛かって来る。

さすがにこれはまずいよな。


「インパクト!」


衝撃波と共に風間が放った魔法が爆発する。

俺はその隙に風間の元に近づき、首を掴む。


「インパクト!」


近距離のインパクトにより風間は跡形もなく消えた。

恐らくこいつは風間のコピー、とりあえず一定のダメージを与えれば原型を保てなくなるのか。

こんなに動いたらもう本物の風間は分からない、だから手当たり次第にやるしかないな。


「やるじゃねえか」

「その通り、俺のコピーは一定のダメージを受けたら消える」

「だがコピーはいくらでも作れるぜ」

「こんな風にな!」


その時大量の風間が俺の目の前に現れた。


「「「「「「さあ、どれが本物か当てて見ろ!!!!!!」」」」」」

「増えすぎだろー!!」


風間は全部で六体、数の限界はないのか!?

とりあえず、今はさすがに人数が多すぎる。

一旦隠れるしかない。


「インパクト!!」


俺は風間たちの方に魔法を放ち、その場から逃げる。


「おいおい、逃げんじゃねえよ」

「っ!」

「こっからが楽しいんだろうが!」


風間は俺の服を掴んでそのまま投げ飛ばす。


「うぐっ!?」


その瞬間、大量の魔法陣が出現する。


「ロックスタンプ!」

「ウオーターガッチメント!」

「ギガサンダー!」

「アイスフィールド!」


様々な魔法が一気に俺に襲い掛かって来る。


「インパクト!!」


俺はその全てを何とか弾き飛ばすが、俺が魔法を撃ち終わったところを見計らって更に魔法を撃って来る。


「ワープ!」

「それはもう見切ってるぞ!」

「ファイヤー十連!」


俺は場所が悟られない様に魔法陣を空中に散らす。


「なるほどなだが!」

「全部撃ち落とせばいいだけだ!」


風間たちは全ての魔法陣に魔法を放っていく。


「それを待ってたぜ!カウンター!!」

「なに!?ぐはっ!」


俺は風間の魔法を全て跳ね返し風間の方にぶつける。

それにより何体か風間は消えて行った。


「やるじゃねえか。そう言えばお前にはその魔法が合ったんだったな」

「だが、お前がどれだけ数を増やそうが」

「また増やせばいいだけだ」


くそ、確かにあいつの言う通りだ。

これじゃあイタチごっこだ、これじゃあ俺が魔力を無駄に消費しているだけだ。

本物を集中的に狙って倒さねえと、でもあいつの複製って言うオリジナル魔法も限界があるはずだ。

魔力によって自分を作ってさらにそれは自ら動いて、魔法も使えるとなるとかなりの魔力を消費するはず。

あいつが魔力レベル10でもそんなに連発してたらすぐにガス欠になるはずだ。


「何か考えてるみたいだな」

「だが無駄だぜ。俺達を倒しても何度も蘇るからな」

「インパクトでまとめてやったところで意味無いってことだ」

「残念だったな、この魔法が発動した時点でお前に勝ち目はないんだよ」

「確かにそうだな。このまま俺は勝てないかもしれない。だがな俺は勝つとか負けるとかそんなのじゃねえんだよ。俺はただお前に謝ってほしいだけだ」


俺は深呼吸して息を整える。


「それまで俺は死んでも死に切れねえんだよ!!」

「本当に執念深い奴だな」

「だからお前は皆から嫌われるんだよ」

「妙に意地はって誰にも助けを乞わず、自分だけで解決できると思ってる。自分がただの弱者だと理解できずにな」

「お前は許しを乞うべきだった。ごめんなさいと謝れば、全てが丸く収まったんだよ」

「こうなったのは全部お前の仕業ってことだよ」

「お前は自分で自分の首を絞めたんだよ!!」


風間たちはケタケタと笑いながら俺の人生を馬鹿にしてくる。

俺の人生のすべてを否定してくる。

それは逆に俺を冷静にさせた。


「お前は何にも分かってねえ。いじめられてる人の気持ちもその孤独と絶望も。誰かに助けを求められたのならどれだけ楽か、お前は分かってねえんだよ!!」

「何?」

「いじめてるやつがいじめられてるやつの気持ちを語ってんじゃねえぞ!」

「っ!!」


そうだ、こいつはいつもそうだったな。

いつも自分は傍観者の様に当事者じゃないと思ってる。

自らの手は汚さずに仲間にやらせて自分は逃げて、そう言う卑怯な奴だったんだよ。

それは今も昔も変わってない、こいつは逃げることを前提に物事を進めてるんだ。

自分が傷つかない様に自分が勝てる相手じゃないかぎり。


「お前は相変わらずムカつくな絶対かつ」

「お前だって俺の気持ちを分かったように語ってたよな。俺はクソ野郎だとか、変態とか。だがよ、それはあくまでお前の主観での話だろ?俺は皆の人気者だったぞ」

「そりゃストレスを弱い奴にぶつけてりゃ、他の人にはいい顔出来るよ。要はお前は自分の為にしか生きてないんだよ」

「誰かのために生きてるという奴の方が自分の為に生きてるだろ。人間みな自分が可愛いんだよ」

「お前はそれが度が過ぎてるんだよ。お前は誰かの事を一ミリも考えてない、誰がどうなろうが知ったこっちゃない他人は利用する。仲間は自分の価値を知らしめるために使う。そうしてお前は自分を絶対的な強者の立ち位置に居ると思いたいのさ。別にそれを否定するつもりはない、だがよ誰かを傷つけるやり方は気に食わない!」

「正義の味方にでもなったつもりか?」

「ちげーよ俺は弱者として言ってるんだよ。弱者の気持ちを俺は言ってるんだ」


俺は空中に魔法を展開させる。

そしてある方向を狙って魔法を放った。


「インパクト」

「っ!!」


風間たちは自らの体を使ってインパクトの衝撃を受け止める。


「お、お前……」

「たった一人、複数あるコピーのうちお前だけが残った。そしてお前の体はボロボロだが、インパクトを直撃したにもかかわらずそのダメージは浅すぎる。本物と考えるよりもむしろお前は特別なコピーと考えた方が良い」

「くっ……」

複製(コピー)の魔法をあの時初めて使ったと思っていたが、それはお前の作戦だった。本当はお前はそれより前に使ってたんだ。複製同士コピーは出来るからな、お前は一番魔力を込めて作られたんだろう。そして本物はその岩陰に隠れてる。すべての魔力を込めたせいで眠ってるんだろうけどな」


すると風間のコピーは焦ったように本物が居る方に走り出した。


「相変わらずだなお前は。自分の手を一切汚さずに自分の分身を使うなんて。本当は当たってほしくなかったんだ。これ以上お前の事を嫌いになれば、協力何て出来ないと思ったからだ。だけど……」


俺は瞬間移動して風間が居ると思われる岩陰に移動した。

そしてそこには眠っていた風間の姿があった。


「お前は変わらないんだな」

「やめろーーー!」


風間のコピーは消えると同時に俺は風間の胸ぐらを掴んで持ち上げる。


「これでもうさよなら」

「っ!!」


俺は風間が目覚めた時に拳を振り下ろした。

そして俺の拳はそのまま壁にひびを入れた。


「……な、何で?」

「何で?決まってんだろ。泣いてるやつを殴るほど俺はクソじゃねえんだよ!!」


そう言って涙を流している風間を放り投げる。


「そんなに自分が傷つくのが嫌か?生身で戦うのが怖いのか?死ぬのが怖いのか?そんなの誰でも思ってるよ!そう思いながらも、俺達は生身で戦ってるんだよ!!」

「……」

「俺達なんてまだ恵まれてる方だろ。この世界で死んだとしても日本に帰るだけなんだから、お前はもうちょっと頑張るべきだった」


俺は呆然と座ってる風間を見てそのまま背を向けて歩く。


「明日の午前11時、決着を付けるぞ。今度は逃げるなよ」


俺はそれだけ言い残すとワープでその場を去った。



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