その二十一 宿敵との決着
「ん、おお風間!お前も無事に出られたみたいだな」
「ああ、まあな」
何だ?妙に息が荒いな、もしかして逃げて来たのか?
俺は周りを見渡す、どうやら追っては来てないみたいだな。
「それで、この島の秘密は分かったのか?」
「それは分からなかった。けど、気になる場所は見つけた。たしか……」
「お前今何て言った?」
「え?だから気になる場所を見つけたって——————」
その瞬間、風間は俺の胸ぐらを掴んできた。
「なにすんだよ」
「それはこっちのセリフだ。テメエは仕事すらできない無能なのか!お前に頼んだよな、島の秘密を探しに行けって!」
「知ろうとしたけど、後もう少しの所で邪魔が入ったんだよ!」
「邪魔する奴が居たら殺せばいいだろ!俺達には時間がねえんだよ!」
「相手はそう簡単に倒せる奴らじゃねえんだよ!勢いだけでどうにかなるんだったらそうしてるよ!」
互いの苛立ちをぶつけるように言い合いをしていると、風間が俺を放り投げた。
「くっ何すんだよ」
「間違いだった。いくら同じ目的があったからってお前みたいな無能を使うのは」
「何だと?」
「お前のせいで計画が台無しだ。もう俺はお前に関わらないようにする。だからお前ももう二度と俺に関わるな」
そう言って風間はその場から去ろうとする。
「ちょっと待て。ふざけんじゃねえぞ。散々文句言ってそのまま帰るつもりかよ。挙句の果てにはもう二度と会うなだと?それはこっちのセリフだよ!」
「何だまだ怒ってるのか?お前もしつこいな」
「ああ、しつこく何度でもいいぞ。お前みたいなクソ野郎には絶対に謝ってもらう。日本でのことを謝れ、居なくなるならそれを済ませてもらうぞ」
「嫌だと言ったら?」
俺はその瞬間、拳を思いっきり握りしめる。
「ここは日本じゃない。お前を殴っても止めてくれる先生はいないぞ」
「もう俺は昔の俺じゃない。分かるだろ絶対かつ、昔も今もお前は俺に逆らえない」
俺達の間に妙な静寂が訪れる。
そして次の瞬間、俺は風間の元に向かって走り出した。
「インパクト!!」
「ははっ!ド派手な奴だな!いいだろう、その決闘受けて立つぜ!」
風間は風の魔法で自身の体を飛ばすと距離を取って着地する。
「場所を変えるぞ!テレポート!」
風間が魔法を使うとあたりの景色は一変して岩山のような場所に出てきた。
「ここなら思う存分暴れられるぞ」
「なめんじゃねえよ!ワープ!」
俺はすぐに風間の後ろに瞬間移動する。
「ははっなめてるわけないだろ!アグレッシブフルート!」
「っ!」
俺の背後に魔法陣が出現して、鋭い風の槍が俺を貫こうとしてくる。
俺は何とか地面を蹴ってそれを回避すると、さらに周りに魔法陣が出現する。
「俺は楽しんでるんだよ。ファイヤーバインツ!ライジングサンダー!」
「インパクト!!」
三つの魔法がぶつかり合った瞬間、周りを吹き飛ばす程の爆発が起きた。
「うおおおお!!」
「血気盛んだな!そんなに俺を殴り飛ばしたいのか!」
俺の拳が風間の顔面に当たる瞬間、大きな影が俺を覆った。
「っワープ!」
「ロックスタンプ!」
俺が避けた場所からさらに連続して岩が落ちてくる。
俺は走り回りながらそれらを回避して次の攻撃の準備をする。
「ファイヤーボール十連!」
俺は岩壁に向かって魔法を放つ。
すると衝撃で崩れた岩が風間の方に落ちて行く。
「アイスロック!」
「インパクト!」
俺は風間が岩の処理をした隙に風間に向かって衝撃波を放つ。
「はあ……はあ……っ!ああ!」
その瞬間、土埃の中から最速の光の矢が俺の肩腕に命中する。
すると少し血を流した風間が土埃から出てきた。
「まさかこんなことになるなんてな。日本に居た頃には考えも付かなかったな」
「お前をずっとぶっ飛ばしたかった。ずっとずっとお前を恨んでた!それでもお前は自分を守るために、平気で嘘を付いた。俺がお前に復讐を考えれば考える程、俺が苦しむだけだった。だからずっと我慢してた!でももう、我慢できねえぞ、俺は!」
「そうかよ!それじゃあ、殴って見ろよ!ほら俺はここに居るぞ!ほらほら!」
そう言って風間は自分の頬を叩く。
余裕そうに俺の元に向かってくる。
「そういうところがムカつくんだよ!!」
俺はそのまま風間に向かって拳を下ろす。
だが、風間はそれを余裕の笑みでかわす。
「ははっ当たり前だろ!ムカつくようにしてるんだからよ!ラノストーム!」
すると巨大な竜巻が俺の方に向かってくる。
「インパクト!」
「それがお前のメインか!確かに威力はすさまじいが、逆に視界を悪くしてるんじゃないか!こんな風にな!」
その瞬間、空中から無数の光の矢が降って来る。
「ワープ!」
俺はその一つ一つを避けるのは厳しいので瞬間移動で攻撃が当たらない範囲に避ける。
「それも位置が分かるのは弱点だな!」
「っ!」
風間はワープの出現場所を見抜いて俺を思いっきり殴りつける。
「ははっすまないな、俺が先に殴ってしまった」
「くそっ!」
「まあ、そう怒るなよ。俺だって申し訳ないとは思ってるんだぜ。生きていくためにはある程度の地位を得ないといけない。そうだろ?」
「自分の事しか考えてないのかよ」
「人は皆そうだろう」
俺は殴られた頬を擦り、風間を睨みつける。
「じゃあ、俺も好き勝手にやらしてもらうぞ」
俺は風間の周りを取り囲むように魔法陣を展開させる。
「脅しにもならないぞ。どれもこれも低レベルだ」
「ああ、低レベルしか使えないんでな。サンダー十連!」
風間は避けることなくそれを受け入れようとしていた。
俺はその瞬間、別の魔法陣を展開させる。
「ファイヤーボール!」
炎の玉が触れた瞬間、巨大な爆発が起こった。
「ちっ!爆発を起こした程度じゃ意味ないぞ!」
「まっそうだよな。ウインド十連!ウオーター十連!アイス十連!」
氷の粒をまき散らしながら風間の方に向かっていく。
「だからこんな物で俺を倒せると思ってるのか!アグレッシブフルート!」
そのまま俺が出した竜巻が両断される。
「ファイヤーボール十連!!」
風間に直撃すると爆発が起きた。
だがそれでも風間は平然としていた。
「当たらなくても当たっても結果は変わらない。お前と俺じゃ力の差がありすぎる」
「それは次の一撃を止めてから言えよ」
俺はさらに魔力を込める。
それは風間の前で見せた魔力をはるかに超える物だった。
「まさか、逃げるなんてことしないよな?俺の攻撃は当たっても当たらなくても一緒なんだろ」
「魔力だけなら相当だな。いいぜ、俺も本気で行くよ」
そう言って風間も見せたことのない魔力を宿す。
「レベル魔法!ホークストーム!」
「カウンター!」
「っ!?」
風間の一撃は俺のカウンターによりさらに威力が増す。
「とっておきは最後まで取っておくもんだろ!」
「かつー!!」
そしてカウンターによって弾かれた魔法は風間に直撃した。




