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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十七章 さよなら、ミノル
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その十七 再確認

「朝か……」


俺は回復のポーションで体を回復した後一日中寝ていた。

そのおかげか体の調子は良くなり、骨もくっ付いたのか腕を動かしても痛みはない。


「よお、起きたか。傷は治ったみたいだな」


俺がベッドから降りるとその音を聞きつけたのか、風間が部屋の中に入って来る。


「お前まさかずっと家に居たのか」

「悪いかよ。安心しろ、勝手に部屋に入ったりしてねえよ。今の椅子で寝てたからさ」


椅子に寝て体が凝ったのか風間は体をほぐす為に背伸びをする。

どちらにしろこいつが俺の家に泊まったのは嫌なんだけど。


「よし、それじゃあ早速行くぞ」

「ちょっと待て、支度ぐらいさせろよ」


俺はとりあえず体を洗い歯を磨いたりと出発の準備をする。

そしてすべての準備を終えて風間が待つ居間に向かった。


「おい、お前何やってんだよ」


風間は勝手に家にあった果物を食べていた。

こいつ好き勝手しやがって。


「俺は腹が減ってるんだ。これくらいはいいだろう。他に食べるやつもいないしな」

「何だと?」

「そんないちいち怒るなよ。こっからは協力していくんだぞ。この瞬間から今まであったいざこざは一旦忘れよう」

「ふざけんじゃねえぞ。こっちはお前のせいで人生めちゃくちゃになったんだぞ。この世界に来なかったらもっとお前を恨んでた」


俺はむしゃむしゃと果物を食っている風間を睨みつけるが、風間は他人事のような顔をする。


「これが終わったらお前にしてきたことについて謝罪するよ。俺が全部悪かったってな」

「ほんとか?本当に謝るのか?」

「ああ、だから協力していこうぜ」


そう言って風間は俺に手を差し出してくる。

完全に信じたわけじゃないが、島の秘密に近づくためでもあるしやるしかないか。


「ああ、協力してやるよ。今はな」


俺は風間の手を力強く握った。

それに対して風間は表情を歪ませて俺の手を振り払う。


「相変わらずの馬鹿力だな。とにかくこれでお前も文句はないな。それじゃあ早速行くぞ。今日この日、俺達は日本に帰るんだ」


日本に帰る、それはいい事のはずだ。

日本に帰れることが分かった時喜びもあったけど、それと同じくらい寂しさもあった。

俺は本当に日本に帰りたいのか。


「なあ、この島の真実を知ったらすぐに日本に帰らないといけないのか」

「さあな、何処まで知れば秘密を知ったことになるのか。実際の所はよく分からないが、目的を達成した瞬間帰れるんじゃないか」

「帰れるタイミングは決められないのか?俺仲間にお別れを言わずに帰るのは嫌だ。ミノルもまだ眠ったままだし」


昨日と変わらずミノルはソファーで横になっていた。

動いた形跡もなくずっと眠ったままだ。

ただ魔力が少なくなってるのは明らかだった。


「それはあの人に聞けよ。お前そんなにこの世界が気に入ったのか。なら日本に帰らずこの世界にとどまればいいんじゃないか」

「そういうわけには行かねえよ。俺には家族が居るし心配かけさせたくない」

「まっその時が来てから考えればいい。とにかく行くぞ」

「ちょっと待て」


風間は玄関の扉を開けようとするが、俺に呼び止められたためその手を止めてこちらに近づいてくる。


「お前いい加減にしろよ!まだ質問があるのかよ!」

「浜崎はいいのかよ。あいつも日本に帰りたいんじゃないのか?」

「あいつはいい。あいつはもう行ったよ」

「は?え、ちょっと待て浜崎はもう日本に帰ったのか?どうして!」

「浜崎はガルアに魂を売りやがった。俺との定期連絡もせずガルアに尽くすことを決めたんだよ」

「なるほどな。信用させて情報を貰ってたのか。そう言う方法もあるんだな」


そういえば、あいつとはここ最近会ってなかったしもしかしたらずっと前から先に日本に帰ってたのか。

浜崎なりにこの日本に帰るやり方を考えてたのか、まああいつ頭いいしそれに誰かと協力するとかあんまり好きな感じしなかったしな。


「それで不安要素は無くなったか。それじゃあ早く行くぞガルアの城に」

「分かった。行こう」


俺達は外に出てガルアの城に向かう。

ミノル、すぐに帰るから留守番は任せたぞ。


「それで作戦は考えてあるんだろうな」

「ああ、まずは俺が先にガルアの城に入る。ガルアに用事があるって言ってな。お前はその後にガルアの城に侵入しろ。この時間だと見回りのルートはこんな感じか」


風間は地図を取り出すと何かを書き始める。

俺はその地図を横目で確認する。

それは手書きの地図で建物の内部構造が書かれていた。


「まさかこれガルアの城か?」

「ああ、何回もガルアの城に行って作ったんだ。結構大変だったぞ。どうだ、代々合ってるか?お前の方があいつの城に行く回数多いし、友達なんだし城の中とか自由に回れるだろ」

「いや、まあ何回か行ったことはあるけどさ。そんなにくまなく回ったことはないぞ。でも俺が知ってる場所はあってるから完璧なんじゃないか」

「やっぱりお前でも探索は難しいか。とにかくこの窓からは死角になってる。侵入するならここがベストだ。もし見つかったとしても友達なんだから適当に言い訳すればいいだろう」


風間は建物の一番木で見えにくい窓の所に丸を書く。


「侵入するってちょっと待てよ。俺がもしかしてこの城にある秘密を探るのか?」

「お前の方が動きやすいんだから当たり前だろ。安心しろ怪しげな部屋はいくつかリストアップしてある。そこに書かれてる場所以外に何か怪しい場所はあるか?」

「うーん、怪しい場所って言っても特には……」


ガルアの城の中は本当に広い、その為怪しい場所なんて上げたらきりがない。


「とにかく怪しい物を見つけたら必ず持って行けよ。手に持って行けない物なら写真を取れ」


そう言って風間はポケットからカメラらしきものを取り出す。


「カメラか。チェキみたいなものか」

「ああ、撮った物は落としたりするなよ。とにかく俺が時間を稼ぐから必ず見つけろよ。最悪の場合強硬手段に出てもいい。それで秘密が分かるんだったらな」

「分かった」

「それじゃあいよいよ入るぞガルアの城に」



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