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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十七章 さよなら、ミノル
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その十五 待ち人

ミノルはまだ生きている。

心臓の音が聞こえてくる、でもそれは弱くすぐに止まってしまいそうだ。


「くそ、何で、何でこんなことになったんだ」


俺はミノルをおんぶしながら自分の家に向かう。

俺は試練を突破出来た、ミノルも試練を突破出来たはずなのに何でミノルがこんな目に合わなくちゃいけないんだよ。

黒の魔法使い!俺は絶対にあいつらを許さない、あいつらが先に仕掛けたくせに約束を破るなんて。

でも今はそれよりもミノルだ、早く回復のポーションを飲ませないと。

体中の痛みも忘れて俺は全速力で家に向かった。

その時家の前に誰かが居たのが分かった。


「あれは……」

「っ!やっと現れたか絶対かつ!お前この数週間何やってたんだよ!」


そう言って風間怒りを露わにしながらこちらに向かってくる。


「今はお前と話してる場合じゃないんだ。退いてくれ」

「何だと?お前が話したいことがあるって言うからわざわざ来たんだろうが!」


風間が切れて俺の胸ぐらを掴む、だが今の俺には抵抗する力がなかった。


「退いてくれよ、頼むから。話しならいくらでも聞く、待ってたのがイラつくなら殴ったってかまわない。だから、退いてくれよ」

「何か合ったのか」

「仲間が死にそうなんだよ。ミノルが死んじゃうんだ!こんな所で死なせたくないんだよ!助けなきゃいけないんだよ!」


俺は風間に退いてもらうために正直に自分の気持ちを告白する。


「お前泣いてるのか?」

「っ泣いてない」

「ちっ分かったよ。お前も色々あったんだな。だから冷静になれ。家の中邪魔するぞ」


俺はすぐに家の中に入り、ミノルをソファーで横にさせる。


「すぐに回復のポーションを持って来る」

「ちょっと待て、どうしてこいつはこんなに衰弱してる」

「その話は後でいいだろ!今は回復させるのが先だ」


俺はすぐに回復のポーションを取りに行こうとするが、風間がそれを止める。


「離せよ。邪魔しに来たなら帰れ!」

「こいつの体何かおかしいぞ」


その言葉を聞いて俺の体はその場で停止する。


「どういうことだ?」

「こいつ……ミノルの体からは魔力がどんどん消えて行っている。ただ死にそうなだけじゃそうはならない。何かしらの影響を受けているんだろうな」

「どうしてそうなったんだよ。お前は何か知ってるのか?」

「知らん、それを俺が聞いたんだよ。どうしてこうなった。そもそもどうしてこんなに死にそうになってるんだ」


俺は先程起きた出来事を風間に話した。

すると風間の顔がどんどん青ざめて行くのが分かる。


「いよいよ、そこまで来たか」

「どういう意味だよ」

「黒の魔法使いがかつの元に来るのはミノルが居るからとも考えられる。今の話を聞いてミノルは完全に黒の魔法使いから足を洗ったようだが、あいつら自身はそう思ってない、それ以上に裏切り者を消すと言うのがあいつらの方針なら、さっきの出来事も説明がつく。だが、それは建前だ。本当の狙いはお前だろうな」


風間は真剣な表情で俺に指を指す。

すると風間は再び自分の考えを述べ始まる。


「俺が狙いってどういうことだよ」

「それはかつがあいつらにとって目障りだからだろうな。お前はこの島の秘密を探ろうとしている。もし、あいつらが島の秘密を知っていたとしたら、いや百パーセント知っているな。それをバラされたくないからこそ、お前の邪魔をしてるんだよ。それは同時にかつが核心に近づいてきていると言うことになるが、派手に動き過ぎたんじゃないか?」

「島の秘密……」


確かにあいつらは島の事に付いて何か知っているみたいだった。

でもそうだとしても、何かが違うような気がする。


「あいつらは島の秘密をバラされたくないというより、それに恐怖しているような気がした」

「恐れか……だとしたら余計なことをするなって警告かもな。これ以上深入りするなって意味を込めて襲ったのもかもしれない」

「違う、あいつは言ってたんだ。任せるって、試練を突破すればもう関わらないって」

「元々約束を守るような奴らじゃないだろ」

「でもそれだったら、わざわざ試練何てさせないはずだ。それに……」


あの試練の内容は自分たちの弱さを克服するための内容だった。

試練を突破させて、強くさせる意味なんてないはずだ。


「……黒の魔法使いが現れた時、不可解な点はなかったのか?もっとよく思い出してみろ、これはお前の為に言ってやってるんだぞ」


風間の余計な一言が気に入らないが俺はその時の事をさらに鮮明に思い出そうとする。


「そう言えばあの時余裕が無かったら、気付かなかったけど今思えば、あいつら妙に落ち着いてた。敵意がなかったし、むしろ話をするような雰囲気が合った」

「和解交渉をするつもりだったのか?そうだとしてもミノルを襲うのは逆効果のはずだよな。他には?」

「そういえば、ミノルに突然眠らされたんだよ。そして気付いたらミノルが倒れてて」

「裏切ったならその行動に説明できるが、倒されてるのは不自然だよな」


その言葉を聞いて俺は風間の方を睨む。

すると風間もその視線を感じ取り笑顔を作る。


「分かってるよ。ミノルが裏切るわけないって言いたいんだろ。お前を守るために気絶させたのか。目覚めた時、周りが破壊されてたりとか、争った形跡あったか?」

「そういえば、特に争った跡がなかったような気がする。で、でも!ミノルからは大量の血が流れてたんだ。それもケガしたレベルじゃない!あれは死ぬ量だった」


すると風間はミノルの体をじろじろと見始める。

するとミノルの服をまくろうとした。

それを見た瞬間、俺は風間の腕を掴んだ。


「何してんだよ、この変態が!」

「別に何もしねえよ。ミノルに興味ないって、ただ傷の確認をしたかっただけだ」


俺はその言葉を信じられず、風間を睨みつける。

すると諦めたのかため息を付いて、ミノルから離れる。


「ならお前が確認しろ。傷があるかどうかおな」

「え?俺?」

「嫌だったら俺がやるぞ」


そんなのやらせるわけがない。

俺はミノルの元に行き服を掴む。

良いのか?勝手にこんなことをして、ミノルを傷つけてしまうんじゃないのか。


「この状況でまだ下心があるのが驚きだな。性欲の塊か?」

「なんだと?お前みたいな変態に言われたくない!」

「良いからさっさと確認しろ。そいつの為にやってるんだぞ」


俺は意を決して服をめくる。

そこには絹のように白い肌という感想しか出てこなかった。


「それで傷はあったか?」

「特になかった」

「決定的だな。そいつは黒の魔法使いに何かされている。しかもわざわざ生かしてるってことだ」


風間は何かを確信した様子だった。

すると風間は椅子に座り頭を抱える。


「どういうことだよ。ミノルはあいつらにやられたんじゃないのか!?」

「もしかしたら、別の奴がミノルを襲った可能性がある。そいつがミノルを死に追いやった為、約束を守るためにも奴らがミノルを助けた」

「ちょっと待って!逆も考えられるだろ!黒の魔法使いがミノルを襲って、誰かが助けたって!」

「ありえない!それはあり得ないんだよ」


俺の考えは一瞬にして風間に消去された。


「どうして、そう言い切れるんだ」

「理由は2つ、1つは争った形跡がない事。もう1つは傷が治ってること。本当に死ぬくらいの血が流れていたなら、出血箇所が確認できないのは明らかに不自然。つまり傷を魔法で治したってことだ。そして、そんな魔法は存在しない為、十中八九オリジナル魔法だ。そして、今の魔法では傷を治すなんてオリジナル魔法を作れるわけがない。一般の魔法使いではないことは確実だ。それが根拠だ」

「でも、あいつらだって一般の魔法使いだろ」


違う、俺には分かる、風間が言いたい事決定的な根拠。


「ふっかつももう分かってるだろ。まだこれで全部じゃない。恐らくまだ隠している。基礎魔法でもない、レベル魔法でもない、オリジナル魔法でもない。もう一つの魔法、古の魔法の存在を」



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