その十一 この瞬間
「さて、再開しようッキャ」
冗談じゃない、あんな隠し技が合ったんて。
あんなの喰らった瞬間、俺の体は木っ端みじんに砕け散るだろう。
やっぱり、あいつ俺が達成不可能な試練を課したんじゃないだろうな。
「どうした?諦めるッキャ?そうなったら、ミノルはウキャの物になるッキャ」
「くっ諦めるわけないだろ。絶対あきらめない!」
そうだ、諦めるわけには行かないんだ。
こんな所で諦めたらミノルを殺すことになる。
ミノルが試練を突破したのに、俺が試練を突破し無かったら意味がないんだ。
絶対あきらめちゃいけない!
「良い目ッキャ。やる気に満ちているな。だけど、ウキャは手加減しないッキャ!」
その瞬間、またウキャの姿が消える。
相変わらず、この動きを捉えることが出来ない。
なら動きを乱す。
「ファイヤー10連!!」
俺は周りの木を燃やして巨大な炎を作る。
「っ!火事を起こすきキャ?こんなちっぽけな炎じゃウキャを燃やせないッキャ!」
「良いんだよ!これだけ炎があれば竜巻が大きくなる!ウインド10連!」
巨大な竜巻が周りの炎と混ざり、巨大な炎の竜巻となってウキャに向かっていく。
「確かに大きくなったッキャ。だが、こんなものでウキャは――――――」
「インパクト!」
「っ!?」
俺は自分で作った竜巻に向かってインパクトを放つ。
それにより強風と炎が一気にウキャに襲い掛かり、身動きと視界を塞ぐ。
これならいける!
俺はそのままワープでウキャの背中に回る。
「喰らえ!」
「そうはいくキャ!」
その瞬間、ウキャが体を回転し始める。
それにより炎を纏い、渦となり、俺よりも巨大な竜巻を発生させた。
「うそだろ!?」
「喰らえ!白猿大竜巻!」
ウキャがこちらに向かって巨大な竜巻をぶつけてくる。
掃除機の様な吸引力で近くにあるすべての物を吸い込みながら近づいてくる。
これはまずい!
俺はすぐに魔力を込めて最大まで溜める。
「インパクト!!」
最大火力のインパクトにより目の前の竜巻を消すことに成功する。
「休んでる場合キャ!!」
「しまっ――――――」
油断した隙にウキャは俺の左手を掴む。
その瞬間、俺の腕を掴みながら何度も何度も地面に叩きつけられる。
全身に強烈な痛みと共にそのまま気に向かって投げ飛ばされる。
「――――――っ!!」
「どうしたッキャ?早く立つッキャ?それとももう終わりッキャ?」
口の中は血の味しか感じない。
全身がしびれたみたいに何も感じない。
ダメージが蓄積され過ぎて、体が壊れちゃったのか。
耳鳴りがすごいし、目も霞んで見にくい。
このまま戦っても俺は死ぬな。
「立て!ミノルがどうなってもいいッキャ!仲間なんだろ!」
「く、あぐ‥‥‥あああ!」
「立ち上がれないほど苦しんで、死ぬ思いもして、そこまでする必要があるッキャ?」
駄目だこれ、左腕が完全に折れてるな。
右腕にも少し違和感がある、俺てはないだろうけどひびが入ってるな。
「絶対かつはよくやったッキャ。その戦いっぷりに免じて、命だけは助けてやるッキャ」
「はあ、はあ、ごほ、げほ!」
「ただし、ミノルの命はいただくぞ。それが約束だからキャ」
そう言ってウキャはこちらに背を向けて帰ろうとする。
「ずっとそうだった」
「ん?」
「ずっと同じだった!いつも俺はいざと言う時に守れない!」
体中の痛みを我慢するように声を荒げながら立ち上がる。
「誰かが居なくなるたびに、誰かが命を落とす度に強くなろうと誓った。でもそれじゃあ、駄目なんだよ!」
「まだ戦うッキャ?」
「誰かを失ってからじゃなくて、今!この瞬間!俺は強くならなきゃいけないんだよ!!」
自分を奮い立たせ、痛む体を忘れ俺は立ち上がる。
「死ぬことになってもッキャ?」
「死ぬ気で行かなきゃ、勝たないだろ!」
「なぜそこまで命を懸けッキャ!自分の事が大切じゃないのキャ!」
「自分の事以上に守りたいからに決まってんだろ!俺はもう、絶対に失わない!」
俺はそのまま、全速力でウキャに向かって走り出す。
「これが俺の最後の一撃だ!」
「はは!分かった!絶対かつのその気迫にウキャも応えるッキャ!」
その瞬間、ウキャは拳を強く握りしめ足を思いっきり踏み込み。
お互いこの瞬間、全力の一撃を放つために気力を込める!
「行くぞ、ウキャーーーー!!」
「来い、絶対かつーーーー!!」
空中に飛びお互いの全力の一撃を放つ。
「インパクト!」
「白猿砲!」
両社の一撃がぶつかり合った瞬間、そこには妙な静けさが合った。
その違和感にウキャがすぐに気づいた。
「まさか、絶対かつ‥‥‥」
「お前の全身全霊の一撃頂いたぜ」
ウキャの衝撃が全て魔法陣に吸われていく、そしてその一撃がさらなる強さを経てウキャに襲い掛かる。
「くっ!」
「カウンタ―!!」
ウキャが逃げようとするが空中の為、身動きが取れなかった。
そして、その一撃はウキャの体に響き渡り地面へと叩きつけられる。
そして死力を振り絞った為、俺は力尽くようにそのまま地面に倒れる
「ミノ‥‥‥ル」
そしてそのまま俺は意識を失った。




