その七 ボロボロの決闘
「カウンター!」
「ウホっ!?」
俺はゴリラ型のモンスターの攻撃を倍にして返す。
それによりインパクトよりも確実に攻撃を当てることが出来た。
「危なかったこの魔法を忘れてた何て」
カウンターと言う強力な魔法をせっかく覚えてたのに、まあ思い出せたからそれでいいか。
「確かミノルはこっちに連れ去られたよな」
大丈夫だ、ミノルもすぐに見つかる。
もう遅れは取らない。
「ウホ!!」
奥から突然ゴリラが飛び出してくる。
「邪魔だど―――――――」
「ウホッホ!!」
すると別の角度からゴリラが攻撃を仕掛けてきた。
不意を突かれた為、攻撃を喰らうが。
「カウンター!!」
「ウホ!?」
ギリギリでカウンターを発動させた。
「ウホホ!!」
すると先程出てきたゴリラがこちらを攻撃してくる。
「効かないって言ってんだろ!カウンター!」
「ウホ?」
だが俺の攻撃が軽く小突かれた程度しか出なかった。
「なっ!」
「ウホホっ!!」
まさかこいつ、カウンターの特性を理解してわざと弱い攻撃をしたのか!?
すると更なる追撃をしてくる。
「ワープ!インパクト!」
俺はすぐに瞬間移動してゴリラの背中に移動してインパクトを放つ。
「ウホ!!?」
そのまま地面に叩きつける。
「だいぶ倒したけど、まだゴリラ出てくるのかよ」
このままじゃ、一向にミノルに追いつけない。
この広い山の中を探し回るのも骨が折れる。
もしかしたらあいつらでしか分からない裏道も存在したら、それこそ終わりだ。
「サルに道を聞くか?いや、もうサルの姿も見かけなくなってきた。もしかしたら、勝てないと思って隠れたのか。くそ、妙に頭が回るのが厄介だ」
このゴリラに聞こうにも気絶しちゃったし。
「はあ、考えれば考えるほど憂鬱になる。とりあえず探しまくるしかないか」
「うおおおおおお!!!!」
その瞬間、山を越え島中に響き渡るほどの雄たけびが聞こえてきた。
「な、何だ今の声!?」
間違いない、今の声はこの山に住む何者かの声。
そして今まで会ってきたモンスターにこんな声を出す奴はいなかった。
つまり、ゴリラ型のモンスターよりも強い奴がこの山にまだいる。
そして、絶対にそのモンスターに合った駄目だ。
「早く‥‥‥早く見つけないと!」
「お前か?」
「っ!?」
その時後ろから声を掛けられる。
分かる、姿を見なくてもこの圧で。
こいつがさっきの鳴き声の正体。
俺はゆっくりとそちらの方に向いた。
「よくもやってくれたな」
その姿は今までのゴリラよりも凶暴な瞳と鋭い歯を持っていて、雪のように白い美しい毛並みを持っていた。
それはそのモンスターが他の者よりも確実に格上の存在だと知らしめていた。
「許さない‥‥‥許さないッキャ!!」
「‥‥‥え?」
いまこいつ、キャッて言ったか?
「ウキャの仲間をよくもやりやがったッキャ!殺してやるッキャ!」
こいつ、語尾が変だ!!
「ちょ、ちょっと待ってくれ!確かにお前の仲間を倒したけど、俺は別にお前らを襲うつもりはないんだ」
「嘘を付くなッキャ!ウキャの仲間を散々殺しやがって!そこに倒れてるのが何よりの証拠!絶対許さんキャッ!」
その瞬間、巨大な体が一瞬にして姿を消した。
「消えっ!?」
その瞬間、背中に殺気を感じてとっさにワープする。
だがワープした瞬間、足を掴まれてそのまま投げ飛ばされる。
「っ!?」
木々を何本もなぎ倒し、かなり吹き飛ばされたところで止まった。
「早く、逃げないと‥‥‥」
殺される、動かなきゃ死ぬ。
その時、上から気配を感じ取りすかさずその場から逃げる。
「死ねッキャ!!」
まるで隕石の様に上から俺が居た場所に落ちてくる。
地面がくぼんで周りが土埃で見えにくくなる。
俺はその隙を狙ってその場から逃げ出す。
「何なんだよ!あいつの強さおかしいだろ!!」
他のモンスターの非じゃない、上位互換とかの話じゃないぞ完全なる別の生物だ。
「っ!!」
俺はすぐに横に飛ぶ。
その瞬間真後ろから巨大な球が飛んできた。
今の玉、岩じゃない。
木だ、あの化け物木を丸めたのか。
「どこに逃げるつもりだ」
「インパクト!!」
だがその攻撃は当たることはなく、また姿を消した。
「どこへ行こうと、ウキャからは逃げられないッキャ!」
見えない、何て言う速さだ。
あいつが踏み込んだ足音だけしか分からない。
「っ上!!」
だがその瞬間横から蹴飛ばされる。
「――――――っ!!?」
そのまま吹き飛ばされ先程と同じように木々を何度もなぎ倒す。
まずい、これは死んだ。
指一本動かない、これは死んだ。
「これがお前の運命。ウキャの仲間を殺した罪。償ってもらうッキャ」
「がはっ!ゲホゲホ!」
立たなきゃ、立たなきゃいけないんだ。
俺はこんな所でこんな所で!
「死ぬわけには行かないんだよ!!」
「何を言ってるッキャ?」
体を奮い立たせろ、半獣の体は頑丈のはずだ。
死んでないんだ、まだ戦えるだろ。
戦わなきゃ、あいつに合わせる顔がない。
「とりあえず、死ぬッキャ!」
死ねない!!
「ウホ!!」
すると先程倒れていたゴリラが立ち上がる。
しまった、もう意識が戻ったのか。
まずい、状況がより絶望的になった。
「お前死んだのではなかったッキャ!?」
「ウホ、ウホウホ」
「‥‥‥おい、お前なぜこいつらを殺さなかったッキャ」
「殺す必要がないからだ」
「ウキャらを殺すために来たんじゃないのキャ?」
「違う、俺は山を下りたいだけだ‥‥‥」
何が言いたいんだこいつ。
とにかく攻撃してこないなら、好都合だ。
今の内に回復しよう、とにかく落ち着かなきゃ。
魔法が撃てなきゃ本当に終わりだ。
「おいお前、名はなんというッキャ?」
「絶対…かつだ‥‥‥」
「絶対かつ、目的は山を下りる事ならウキャらは危害を加えない。仲間を一人も殺していないみたいだしッキャ」
「じゃあ、逃がしてくれるのか」
「しかし!ウキャらの縄張りに勝手に侵入した罪は償ってもらうッキャ!」
結局簡単には逃がしてくれないのか。
「手足どれかを差し出すか、ウキャと決闘するか。どれがいいッキャ?」
「はは、そんなもん一つしかないだろ。決闘でお願いします」
「はっはっは!そんなボロボロの体で決闘!?かつは死にたいのッキャ!」
「違う。体の部位どれか一つでも無くなったら、ミノルをおぶれなくなるだろ」
「ミノル?そういえば、かつの他にももう一人居たッキャ」
「俺からも約束して欲しい。俺が勝ったら、ミノルを解放して安全に山を下りれるようにしてくれ」
するとじっと俺の体を見る。
そして何を思ったのかニヤリと笑い始めた。
「良いッキャ。それで行こう!それじゃあ、ついて来い!決闘を始めよう!」




