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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十七章 さよなら、ミノル
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その四 メンバーは4人

「―――――――っ!シント!!‥‥‥あれ?」


ここは何処?

私は目の前の景色を見て、困惑する。

私は確か、家の中に居たはずなのに目の前には青空の下、草原が広がっていた。


「外に居るの、しかもここ確か‥‥‥」


そう、ここは確かかつと初めて会った場所だ。

ここでかつと出会ってそして、今は一緒に過ごしてるんだ。


「てっかつは何処!?」


確か私はシントに杖を破壊されて記憶を取り戻したはず。


「でも、何で?靄がかかってるみたいで上手く思い出せない」


周りに誰かが居る様子はない。

かつ達は今どこに居るの。


「探さないと、もしかしたらシントと戦ってるかもしれない」


まだ家の中にいるかもしれない。

私はすぐにかつとシントが居ると思う、家に向かった。

この状況から見るに私だけが突然野原に放り出されたの?

状況が分からないし、早く戻らないと。

屋敷の目の前まで何とか戻ることが出来た。


「物音がしない。もしかして!」


嫌な予感が頭の中を駆け巡り、私はすぐに扉に手を掛けた。


「っ!開かない?鍵がかかってるの」


そんなわけないと思いながら何度も扉を開けようとするがビクともしない。


「おかしい、まさかいないの?」


さっきの事が合ったのに、家を出たの?

シントはどうなったの、まさか一緒にどこかに向かったとか?

状況が分からず困惑しながらも私はかつを探しに町へと走り出す。


「かつ!かつ何処!!」


一刻も早く見つけないと。

シントはやばい奴なの、あいつとは交渉も駆け引きも絶対にしちゃだめ。

あのイカレタ男には話なんて通じないんだから。


「かつー!!かつー!!!」


いくら声を出しても、いくら歩き回ってもかつの姿を見つけることが出来なかった。

まさか、もう殺されて――――――


「いやあ、今回の依頼も中々だったな」

「そうですね。まあデビさんのせいでかなり大変な目には合いましたけど」

「何を言っておるのじゃ!妾を馬鹿にしたあやつが悪いのじゃ」

「モンスター相手にキレるなって言ってんだよ」


私は思わず物陰に隠れてしまう。

うそ、どうして。

何でデビとリドルが居るの?

あの2人は今パーティーから離れてるのに。


「ねえねえそんな事より、皆で鍋パーティーをしようよ!パーッと打ち上げだー!!」


え?何で‥‥‥何で彼女が居るの。


「相変わらず元気だな、メイ」

「そうですね、そこがメイさんの良い所ではありますが」

「いいのう、メイ。食材はそれぞれ用意するのはどうじゃ?」

「いいね!さすがデビっち!ゲームみたいで面白そう!それじゃあ、それぞれ食材を買ったら集合ね。行ってみよ!」

「おい、ちょっと待てよ!たく、勝手だな」

「とりあえず僕達も行きましょうか」


リドルもかつも先に行ってしまったメイとデビを追いかけて行った。

皆が居なくなったのを見計らって私は物陰から隠れるのをやめる。


「どうして、意味が分からない。何が起きてるの?」


私が居なくなってる間に皆が帰って来たとか?

いや、さっきの様子だとすでに帰って来てから何日か経ったみたいだった。

そもそも、私のこと忘れてる。


「そんなわけがない。仲間を忘れるような人たちじゃない」


もしかして、記憶を消されたとか?

いや、そんな魔法聞いたことないし作れるはずがない。

でもあの男なら、もしかしたら。


「ううん、やめよう。話せば分かることだし」


そう、聞けばいいんだ。

そうすればすべて分かるはず、今の状況が。

そうと決まったらかつを追わないと。

私はかつが向かった方向に走り出す。

後を付いて行くと、ちょうどかつが1人で食材を物色していた。


「食材を選ぶってことは闇鍋ってことだよな。ここは1つ変わり種でも用意するか」


居た、デビちゃんたちの姿はない。

今が絶好のチャンス。

私はすぐにかつの元に行き、かつの腕を掴む。


「ちょっと来て」

「え?え、ちょっと!」


私はかつを引っ張って人気のない路地裏に連れていく。


「急になんだよ」

「どうなってるのかつ!シントはどうしたの?いきなり3人とも戻って来てるし、状況を教えてよ」

「え?えーっと‥‥‥」


するとかつが少し困ったように頭をかく。


「どうしたの?」

「ごめん、君誰?」

「へ?」


何を言ったの今?

まさか、そんなわけ。


「もしかしてどこかで会ってたとか?だとしたらごめん、どこで会ったか教えてくれないか」


どこで会ったか教えてくれ?

そんなこと言われても‥‥‥私は。


「っご、ごめん!普段は忘れないんだよ!もしかしたら酒飲んでたからかも、絶対思い出すから!だから泣かないでくれ」

「え?」


その時初めて自分が泣いているのに気づいた。

私はその瞬間、たまらなく恥ずかしくなりその場から逃げ出した。

走って走って走りまくってそして立ち止まった。


「情けない、こんな事で泣くなんて。分かってる、夢だそのはずだ。だってそんなことあるわけないって分かってる」


だがそれでも涙は収まることはない。

そして空が曇りだし、水が落ちてくる。

自分の涙か、それとも雨なのか分からず、雨音で聞こえないことを良いことに声を上げながら涙を流した。


「見つけた!」

「っ!か…つ…?」


どうしてここに?私のこと忘れたんじゃ。


「いやあ、ちょっと心配になって。忘れた俺のせいでもあるし、お詫びとして家来ないか?」

「え?」

「あ、他にも仲間が居てパーティーメンバーと一緒に過ごしてるんだ。だから、ご飯もいっぱいあるぞ」

「あ、えっと‥‥‥」


こんな姿を他の人達に見られたくない。

ましてや仲間に何て。

でも、確かめたい私が居ないパーティーがどんなものなのか。


「うん、行くわ」

「そうか、それじゃあ早く行こうぜ。風邪引いちまうよ」


そう言って私を起こしてくれて、手を引いて走り出した。



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