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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十六章 決着サキン村事件
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エピローグ 一つの結末

「どうだ、お前の注文通り作ったぞ」


鉄と汗の臭いが入り混じった作業場で浜崎陸矢は、寝る間の悪心で作り上げた力作をガルアに熱弁する。


「魔吸石を装填させてロックを解除して、引き金を引けばすぐに使える。装填の方法も魔吸石を直接入り口に入れて、閉じるだけだ。最大で一つまでしか入れられないけどな」

「予備の石は後どれだけ用意した。指定された石の数よりも三つ多く用意した」


浜崎は箱の中から石を取り出してそれを見せる。

ガルアは満足した様にその箱を手に取り、石をまじまじと見る。


「さすがだな、お前に任せて正解だったよ」

「ここまで色々と用意してもらったんだ、この場所も労働者も素材もな。それなりの成果を用意しないと失礼だろ」

「君みたいな人と出会えて、俺は幸運だな。この技術を持ったものはこの世界には少ない。それに、この世界の奴らには頼みにくい事だしな」

「ああ、分かってる。それじゃあ早速報酬の件だけど」


するとガルアは「まあ待てと言って」報酬の話を遮る。

するとガルアは手に取った銃を色々といじくり、おもむろに先程言われた通りに銃に石を装填する。


「何をしてるんだ?」

「なあ、浜崎。これって効果はもう検証したのか?」

「も、もちろんだ。ちゃんと魔力の中心の心臓に埋め込めば、相手の魔力を完全に吸い取ることが出来る」

「そうか」


そう言って、ガルアは浜崎に向かって拳銃を向ける。

その行動に浜崎は動揺を隠せなかった。


「な、何の真似だ」

「なあに、最終調整だよ。ちゃんと心臓を貫かず、留まることが出来るのか。そして相手を殺す程魔力を吸い取れるのか。そしてそれはどれくらいの時間なのか」

「ちょっと待て!そう言った研究結果はここに書いてある!それを読めばわかるはずだ!」


浜崎は恐怖で体を動かすことが出来ず、ガルアから視線を話さずに銃に関してまとめた本を指差す。


「本はさっき見た。だがそれは君が感じたことを書いたに過ぎない。大事なのは今これがどれだけ機能しているかを、直接確かめる事だろ」


そう言ってガルアはニヤリと笑う。


「騙したのか!最初から俺を見逃すつもりなんてなかったのか!」

「おいおい、人聞きが悪いな。俺が約束を破るわけがないだろ?」

「じゃあ何で!」

「俺が出した約束は俺が出した命令に忠実に従い、個人でその任務を成功させること。お前、風間とつるんでるだろ?」

「っ!」

「もう分かってるんだよ。お前がこちらからは聞こえない、特殊な通信装置を使って情報を共有してるのを。俺が気付かないとでも思ったのか」


その事実を突きつけられ、もう誤魔化すのは絶望だと悟った浜崎はあることを口にした。


「俺を殺せば、あいつが怪しむぞ」

「安心しろ。あいつもお前の後を追う」

「殺すのか!俺達がよそ者だからか!別にお前の邪魔をするつもりはない!」

「そんな奴が情報交換をするのか?今のお前の言葉は信用できない」


そしてガルアは拳銃のトリガーに指を掛ける。

もう、浜崎の残り時間はわずかだろう。

浜崎は自分の時計をちらりと見る。

そこに書かれている数字を見て、悔しそうに唇を嚙む。


「まだ、時間があるはずなのに。こんなところで」

「今までご苦労さんだったな。お前のおかげで俺の計画はもうすぐ完遂される」

「ここまでなのか俺は」

「じゃあな」

「すまん、後は任せた――――――」


トリガーが引かれた瞬間、浜崎の心臓に何かが突き刺さる。

心臓に穴をあけられそこから生命を吸われる感覚を浜崎は初めて味わった。

痛みは特に感じなかった、ただ力がどんどん失われていき脱力感が襲ってくる。

それはこの体が本物ではないからか、命の終わりを感じたからかは分からない。

ただ一つ言えることは浜崎はこの世界を救う者に選ばれなかったと言う事だけだ。

そして浜崎の冒険は終わった。


「さてと、まずはあいつから殺すか。待っていてください、すぐに目覚めさせます。お父様」



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