その三十 ケジメ
「ん、ふあ~っ‥‥‥もう朝か」
俺は最後の日の為布団を綺麗に整えて出来るだけ、部屋を綺麗にした状態で部屋を出る。
「あっかつおはよう」
「おはようミノル」
隣の部屋で寝ていたミノルとかち合い一緒に下に降りる。
居間ではすでに起きていた、リドルとサクラとダリ師匠が居た。
「あっおはようございます。かつさん、ミノルさん」
「おはようってお前何してんだ?」
風間は何故か台所で料理を作っている。
「わしが頼んだのじゃ。リドルのご飯があまりにも美味しかったので、作り置きしてくれと頼んだのじゃ」
「まあ、リドルの料理は絶品だから残してくれるのは、ありがたいわね」
「そうじゃろ、一週間分用意してもらっておる」
「すごい量ね。ダリ師匠は本当に気に入ったようね」
「そう言えば昨日ふと思い出したことがあるんですよ」
リドルが料理を作りながら話題を変える。
「思い出したこと?」
「はい、レインとの思い出を話した時に何となくかつさんとの思い出も話したりしたんですよ」
「ふーん、それで何を思い出したんだ」
「思い返してみると、レインとかつさんて少し似ているところがあるんですよね。例えば、自分の命よりの他人の命を優先してしまうところや優しい所とか。ねっサクラさん」
「何言ってるの。かつなんかよりのレインの方が百倍優しくて紳士的よ」
「おいおい、言ってくれるじゃねえか」
「何よ、本当のことでしょ?」
そう言ってサクラはいたずらっぽく笑う。
「それじゃあ、そろそろ行きましょうか。ありがとね、サクラ。ダリ師匠もお世話になりました」
「またいつか顔出すよ。ハムスにもよろしく言っといてくれ」
「とりあえず、味付けもしましたから温めて食べてくださいね。今までありがとうございました」
「まっおじいちゃんもあんた達が来ると喜ぶし、たまになら来てもいいわよ」
「そうじゃのう。わしもサクラも喜ぶからいつでも来るがいい」
「ちょっおじいちゃん!」
「ははっそれじゃあな!」
俺達が玄関を出ようとした時、サクラがミノルに近づく。
「ミノル、頑張ってね」
「っうん、ありがとう」
「ミノル、どうした?」
「今行く!それじゃあね!」
俺達はサクラたちにお別れを言ってダリ修練所を出て行った。
「久しぶりに帰るな!」
「そうですね。久しぶりの我が家ですね」
「それじゃあ、早速行きましょうか。テレポート!」
景色が変わり、気が付くと変わらないわが家がそこには合った。
「よし、それじゃあ久しぶりにただ――――――」
「ちょっと待ってください!」
リドルに止められて俺はドアを開けるのをやめる。
「どうした?もしかして忘れ物でもしたか?」
「いえ、ただ僕はまだ帰れません」
その言葉を聞いて俺は真剣に聞く姿勢に入る。
「何かまだあるのか?」
「もう隠していることは何もありません。ただ、僕からしたらまだ終わっていないんです」
「どういうこと?まだ何か気になることがあるの?」
「ここまで色々な人に迷惑をかけてきました。そのケジメをつけたいんです。なので、あの‥‥‥」
「いいぞ、行って来いよ。まだやらなきゃいけないことがあるんだろ。お前が満足してもう戻ってもいいと思った時に戻ればいいよ。俺達はいつでも待ってるからさ」
その言葉を聞いてリドルは清々しい顔で返事をした。
「はい、今度こそかつさんたちの役に立てるように魔法も精神も強くなって帰ってきます!必ず、戻ります!!」
「頑張ってねリドル!」
「それでは、またいつか!」
そう言ってリドルは全てにケジメをつける旅に行ってしまった。
「それじゃあ中に入ろうぜ」
「そうね、あっポスト見ないと」
ミノルは何か手紙が入ってないか、ポストを見に行く。
「いくら数日経ってても手紙何て早々ないだろ」
「確かにそうよね。あっでも一通だけあったわよ。このマークはガルア様の城のマーク?」
「ガルアからの手紙か?何か合ったのか?」
ミノルは早速手紙を開いて中の文字を見る。
すると段々と顔が青ざめて行く。
「どうしたんだよ、いったい何が‥‥‥」
するとミノルが無言で手紙を渡してくる。
「えっと今回の騒動で発生した金額をお支払いいただきます。期限は一ヶ月以内でよろしくお願いしますだって!?借金てことか!ちょっとまて値段は‥‥‥」
俺はすぐに数字を数え始める。
「一、十、百、千、万、十万、百万‥‥‥六億ガルア!??」
衝撃の事実に俺は思わず何度も数字を数える。
だがその数字は減ることはなく六億ガルアと言う現実が目の前に合った。
「リドルー!!戻ってこーい!!」
その叫び声は風と共に消えて行った。




