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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十六章 決着サキン村事件
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その二十七 それは正しいか

「‥‥‥っ」

「あっ!かつが目を覚ましたわよ!!」


誰だ?急に騒がしくなったな。


「ちょっとあんた、意識戻ったんじゃないの!寝るんじゃないわよ」

「絶対かつ君!俺の筋肉を見て元気を取り戻すんだ!!」

「やめてください、そんな筋肉だるまを見たら誰だって気絶しちゃいますよ!」

「皆~ぜっちゃんが何か言おうと~してるから静かにしようね~」


すると周りのざわめきが突然収まる。

すると耳元で優しい声が聞こえてくる。


「かつ、私のこと分かる」

「ミ、ノル‥‥‥ここは?」


頭の中の記憶が混濁している状況の為、俺はミノルに状況を聞く。


「ここはダリ熟練所よ。ここで休ませてもらってるの」


そうかここはダリ熟練所なのか。

すると腕に何かが繋がっていることに気付く。


「それは回復のポーションを体に流すためのチューブよ。かつは今魔力欠乏と全身の骨が折れて生死の境目を彷徨ってたんだから」

「そう、だったのか」


俺はゆっくりと周りを見渡す、そこには居るべき人が居なかった。


「タクトなら別の部屋で休んでるぞ」


そう言ってハムスはマッスルポーズをする。


「あいつも、大丈夫だったのか」

「ギリギリだけどね。リドルはもっと重症よ。不完全な魔法を使ったせいで体中の魔力がぐちゃぐちゃになってるし、かつの魔法で内臓も痛めて、さらには出血も多くて瀕死の重傷よ。今は何とか一命を取り留めたから後はリドルの回復力を信じるしかないわね」


この世界の医療技術は全て回復のポーションだよりだったっけ。


「そうか、なら大丈夫だな」

「大丈夫だと思ってんの!!あんた随分と悠長なこと言ってるわね」


すると何故かサクラが少し怒っている様子を見せる。


「ちょっとサクラ、今はいいわよ。余計な心配かけるわけには行かないし」

「駄目、ミノルはそう言う甘い所があるのがいけないの。かつ、あんたが魔法を放った後、その衝撃が町まで来たのよ」

「町?まさか、町に被害が出たのか?」

「ええ、吹き飛ばされた木々やモンスターが町にぶつかったりして、大パニックになったんだから、さいわい死者はいないみたいだけど、これは大問題よ。巷では黒の魔法使いが攻めて来たんじゃないかって話も出てるし」

「そうか、迷惑かけちゃったな」

「しかも、あんたが魔法を発動させた半径二十メートルは完全に更地になったわ」

「マジか、やっちまったな」

「あんた自分が何やったか分かってるの!」


サクラは寝ている俺に向かって怒鳴り声をあげる。


「ああ、危機感が足りてなかったなごめん」

「今、ハイトがガルア様の所に行って今回起きたことの処理をしに行ったわ。あんたはハイトが守ってくれるから捕まることはないと思うけど、ある程度の処罰は受けると思う」

「そうか、それは覚悟しないとな」

「話はミノルから聞いたわ。あんた、焦って実行したみたいね。二次災害も危険も考えずに」

「‥‥‥」

「あんた、行き当たりばったり過ぎるのよ!あんたがしたことは最も危険で最も被害が出た行為よ!もう少し考えれば、もっとちゃんとした方法があったはずでしょ!もっと周りの事を考えなさいよ!もっと自分の事を考えてよ‥‥‥」


そう言うと、サクラの瞳から涙が零れ落ちる。


「後もう少しで死ぬところだったのよ。死んだら全部終わりでしょ」

「‥‥‥ごめんサクラ」

「サクラさん、奥で休んだ方が良いですよ」


サクラはマキノと共に涙を拭きながら部屋を出て行った。


「サクラね、かつの事ずっと看病してくれてたのよ。何度も、死んだら許さないからバカとか言いながら呼びかけてたの」

「そうだったのか、あれから何日経ったんだ?」

「3日よ、そうだダリさん呼んでくるわね。かつの事心配してたから」

「あ~私も一緒に行くよ~」


そう言ってミノルとリツは先に部屋を出て行った。

そしてこの部屋にはハムスと俺の2人っきりとなった。


「怒られてしまったな、絶対かつ君」

「はは、当然だよ。あいつの言った通りだ。あの時の俺は焦って周りが見えてなかった。はたから見たらいい迷惑だよな」

「俺は昔、今のように自信と筋肉に満ちていなかった。あの事件が起きた後まだ村を壊したものが生きていて、俺の命を奪いに来るのではないかと眠れぬ日々を過ごしていた」

「そうだったのか、最初からキン肉マンだと思ってたけどな」

「ははっ俺が筋肉をつけるようになったのは、魔法で行き詰まってしまったからだ。これ以上魔法で強くなることが出来ず、仕方なく体を鍛えるようになった。その時に筋肉こそが至高の防御力だと確信して、飲めるこむようになったのさ」


更にハムスは筋肉を見せびらかしてくる。


「だから防御力にこだわるようになったのか。お前の筋肉の執着心も何となく理解で来たよ」

「だが、俺は動くことが出来なかった」

「っ?」

「目の前で苦しんでいる友が居たのにもかかわらず、君が呼びかけてくれるまで動くことが出来なかった。結局俺は元の弱虫と何にも変わらなかった」

「そんなことないだろ。誰だって前に進めるわけじゃない。ハムスみたいに一歩引いて見た方が良いこともある」

「だが、今回は歩み寄らなければ助けられなかった。絶対かつ君、俺の友達を助けてくれてありがとう!」


そう言ってハムスは逞しい体を前に倒して、頭を下げる。


「やめろよ、仲間を助けるのは当然だろ。よかったなハムス、友達が生きててさ」

「‥‥‥ふっふはははは!やはり敵わないな、絶対かつ君には!これからも、タクトの事よろしく頼むぞ」

「ああ、任せろ」


そう言って俺達は漢の握手を交わした。



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