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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十六章 決着サキン村事件
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その二十六 リーダー

「ごほっごほっ」


リドルが咳をすると口を抑えた手には血がべっとりと付いていた。


「リドル!!」


リドルは自分の命の終わりを察したのか、驚くことも無く冷静に話し始めた。


「ミノルさん、すみませんでした。僕のわがままに付き合わせてしまい。本当は全て気付いててあなたのせいにしました。母が村を破壊させたことを見た目たくなく言い訳をするようにミノルさんに罪を擦り付けました」

「リドル‥‥‥」

「かつさん、こんな形のお別れになってしまい、ごめんなさい。正直言うと僕はこのパーティーをただのミノルさんの監視として利用する気持ちしかありませんでした。ですが、次第に冒険をするにつれて僕はこの場所が居心地よくなっていきました。今では僕にとって大切ない場所です」


リドルはそう言って優しく微笑む。


「なので、ありがとうございました。デビさんにも楽しかったと伝えてください」

「インパクト!!」


俺はリドルに向かって魔法を放つ。


「かつさん無駄です。これ以上やったところで寿命がほんの数分伸びるだけです」

「無駄じゃねえ!おい、皆手伝ってくれ!こいつの魔法を壊す」

「かつさん‥‥‥無理なんですよ。この魔法は生半可な攻撃では壊すことは出来ません」

「でも終わりがあるんだろ。なら壊せないわけじゃねえ」

「確かにそうですが」


すると、ハイトとハムスとミノルが前に出てくる。


「要は許容量を超えればいいんだろ」

「ふっふ~ん、友達として一肌脱ぐかな」

「仲間が目の前で困ってるのに、指をくわえて見てるわけには行かないわ」

「よし皆、半端な力は逆効果だ。自分たちの魔力を全て使うくらいで行くぞ」

「皆さん‥‥‥」


俺達は今出来る最高威力の魔法を放つために魔力を溜める。


「皆、タイミングを合わせて撃つぞ!」

「「「おおお!!!」」」


リドル、お前は死ぬつもりだろうがまだこんな所で終わらせないぞ。

ここで死んだらデビが悲しむぞ。


「3,2,1――――――」

「レベル魔法!リュートプリズンフリーズ!」

「レベル魔法!キングゴーレムブレイク!」

「レベル魔法!ファイヤーバードストライク!」

「インパクト!」


皆の最大威力の魔法がすべてリドルに集まる。

巨大な爆発とその余波により森が揺れ風が吹き荒れる。


「す、すごい威力」

「そうだね~これを喰らったらひとたまりもないね~」


皆が確実に魔法を壊したと思った。

それ以上にリドルにダメージを負わせた可能性もあると思った。

だけどその考えは次の瞬間、消えて行った。


「だから無理なんですよ。この魔法陣を壊すのは」


そこには無傷で立っているリドルの姿が合った。


「うそだろ。あれだけやってもまだ無理なのかよ」


ここまでの威力を耐え抜く魔法があるのか?

すると、ハイトがリドルの魔法陣を見て何かに気付く。


「お前これ魔法じゃないだろ」

「え?それってどういうことだ」

「この魔法は魔法とも呼べない欠陥品と事だよ」

「リドルのオリジナル魔法って多分だけど、魔力回路とか魔法陣が正式に組み立てられてないの。だからこそ、自分の魔力がその魔法に食われちゃってるのよ」

「それって‥‥‥」

「ああ、こいつは最初から死ぬつもりだったんだろ」


その真実を聞いてリドルの覚悟を改めて知る。

リドルはそもそも誰かを殺すつもりはなかったのか。

最初から自分だけ死ぬつもりだったんだ。


「そうですね。僕が何でこの日を選んだかと言うと、最初にデビさんが居ない事でした。この魔法はかつさんの言う通りある程度の衝撃で壊れます。ですが並大抵では壊れません、でもデビさんほどの実力者ならば簡単に壊されると思い、やるならデビさんが居ない時だと思いました。これが一つ目の理由です」

「二つ目はなんだよ」

「二つ目はこの日がちょうど、サキン村が消えた日です。僕はずっと覚悟していました。いつか終わらせなきゃいけないと、だからどうせ終わるならこの日が良いと思っていました。かつさん、僕はもうあの日の夢を見たくないんです」

「その魔法を解除する方法は」

「ありません、一度発動すればもう止めることは出来ません」

「時間で終わらないのか」

「終わりません。この魔法が終わった時が僕の命の終わりです。さらに時間が経てば経つほど奪われる魔力の量が上がります。それに僕が受けられないほどの魔力が来たときはこの魔法に魔力が行くようになってます。だからこそ、この魔法の耐久力が尋常ではないほど高いんです」


そう言って全てを諦めたような顔をする。


「くっ!何諦めてんだよ!!」


俺は思わずリドルの胸ぐらを掴む。


「お前がこれ以上生きたくないのも分かる!辛い事を経験して誰を責めていいのかも分かる!それでも、お前が死ぬ必要はないだろ!お前が一体何をしたんだよ!悪いのはあの蛇だろ!お前は何も悪くない!」

「かつさん‥‥‥」

「お前がどこで死のうがお前の人生だ。でもな、お前は俺達の仲間だ!リドル、お前が俺の仲間の内はリーダーとして何が何でも生きてもらうぞ!!苦しみも辛さも俺達が背負っていく!まだ、俺達の冒険は終わってないぞ!!」

「どうして、そこまでしてくれるんですか。僕は皆さんに迷惑をかけたのに。まだ仲間だと言ってくれるんですか?」

「決まってるだろ。お前が大切だからだよ。死んでほしくないからだ。生きろリドル、俺達にはお前が必要だ!」


普段涙を見せないリドルの目から涙が零れ落ちる。

リドルが久しく感じていなかった、大切な人と一緒に居る暖かさだった。


「かつさん、こんなどうしようもない僕を仲間と呼んでくれて、ありがとうございます!!」


その言葉はリドルが初めて仲間に向けた本音だった。

だが、現実はリドルの命を確実に削っていた。


「ぐふっ!!」


突如リドルの口から大量の血が吐き出される。


「リドル!!」

「やばいぞもう、あいつの体が限界なんだ!」

「どうにかならないのか、ハイト!」

「ハムス、あれを見ただろ。もう、俺達じゃどうにもならない」


皆が何かないかと思考を巡らせるなきゃ、突然大きな声が聞こえてきた。


「あります!一つだけ方法があるんですよ!!」


そう言って興奮したようにマキノが声を上げる。


「本当か!マキノ教えてくれ!」

「いや、本当に偶然と言うか、まさしくこの状況にぴったりと言うか。とにかく私最近ある物を作ったんですよ!」

「それって、魔力を倍にするポーションか!!」

「そうです!それを使えば、もしかするとリドルさんの魔法も砕けるかも!」

「よし、それで行こう。時間がない、早くポーションをくれ!」


俺はリドルの状態を見て一刻を争うとみてすぐにポーションを要求する。


「ちょっと待ってください。すぐにカバンからポーションをあれ?」


マキノは後ろに手を回すがそこには何もなく、空中に手を動かしているだけだった。


「カバンがない!!」

「はあ!?何でカバンが無いんだよ!持って来たんじゃないのか!」

「こっちが聞きたいですよ!確かに持っていたはずなのに‥‥‥まさか!サクラさん家に置いてきたとか」

「おい、結局その案はどうなったんだよ。あいつの魔力がかなり少なくなってきた。もってあと数分だぞ」

「仕方ない。俺がすぐに行って取りに行ってくる!」


俺はすぐにサクラの家に向かおうとすると誰かが、こちらに走って来るのが見えた。


「おーい、居た居た!やっと見つけた」

「サクラ!?どうしてこんな所に来たんだよ!」

「何よ、せっかく忘れ物が合ったからわざわざ届けに来てあげたのに」


そう言ってサクラはマキノのカバンを出す。


「あー!それ私のカバンです!!」

「マジか!ありがとうサクラ!!マジで助かったよ!!」

「へ?ま、まあそれ位大袈裟よ。ていうか、何かあったの?ここら辺すごい事になってるけど」

「話は後だ。早くポーションをくれ」

「分かってますってはい!」


サクラはポーションを取り出すと、俺はすぐにそれを手に取る。


「まずは少しだけ飲んで他の人にってえええええ!!!全部飲んだんですか!!?」


マキノは空になったポーションを見て思わず発狂する。


「あっあああああああ!!!」


体がはち切れそうなほどの魔力が体から溢れ出る。


「ばか!ほんの数滴でいいのに!全部飲むなんて」

「ほんの数滴でいい物を瓶いっぱいに持ってきたの!?」

「つい出来たことに喜んでしまって」


ますい、体が抑えられない魔力がはじけ飛びそうだ。


「ねえ、かつ大丈夫!すごく苦しそうだけど」

「だい、じょうぶ‥‥‥」


魔力が出て行かないようにしないと。

俺は一時的に溢れ出そうな魔力をあえてすべて右手に移動させることにした。


「みんな、に‥‥‥げろ」

「おい、行くぞ。この魔力かなりやばい」


ハイトはいち早く危険を察知して魔法陣の準備をする。


「大丈夫か、絶対かつ君。死んでしまうんじゃないか!」

「信じるわ。仲間だもん」

「全員入ったな!テレポート!!」


そしてかつ達以外は町までテレポートした。


「くっぐあああああああ!!!」

「かつさん」

「リドル‥‥‥これが終わったら‥‥‥ご飯、作ってくれよ」

「はい、とっておきの作りますよ」


俺は一瞬ですべての魔力を右手に込める。

その瞬間、右手に大量の魔力が込められたことで紫色に光り輝く。


「フルインパクト!!」


その瞬間、辺りが光に包まれた。



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