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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第三章 黒いモンスターの謎
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その十二 初めての友達

「ふぅ……久しぶりのクエストだな。早速新種のモンスター探すか」


まずは出てくるモンスターを覚えないとな。


「確かルルさんからもらったモンスターの情報が書かれてる紙が……あったあった」


紙にはモンスターの絵が書かれているだけで情報ってほどでもないけど無いよりマシだな。

見た限り10種類くらいモンスターがいるのか。


「確かモンスターを倒したらちょっと報酬がもらえるって書いてあったな。とりあえず弱いモンスターは積極的に倒して強い奴は逃げる戦法で行くか」


実践経験も積んでいきたいしな。

俺は周りにモンスターの気配が無いか確認しながら進んだ。


「ん?今あそこから音が聞こえたような」


俺は草木をかき分け慎重に進んだ。

デカかったら逃げる、小さかったら倒す、人だったら………相手が優しそうだったら情報交換する。

俺は草の間から音がする方をこっそり見た。


「やっぱりモンスターか。何か闘牛の牛みたいな姿をしてるな。角はこっちの方がヤバそうだけど」


でももしそうなら勝てるかもしれないな。

逃げてばっかじゃいつまで立ってもクリアできないし、それに自分の力でモンスターを倒さなきゃ話にならないしな。


「よし!行くか」


俺は隠れるのをやめてモンスターの目の前に顔を出した。


「ブルルルルル!」

「お!早速戦闘態勢か。やっぱり闘牛みたいなやつなのか」


あとはあれを確かめれば……


「さぁーかかって来いよ!!」

「ブモゥーー!」


牛は2回地面を蹴ったあと俺に向かって突進してきた。


「来たな!よっと―――――」


俺は突っ込んで来た牛を軽々と避けた。

すると牛はそのまま真っ直ぐ木に突っ込んだ。

木はぶつかった衝撃でメキメキと音を立てながら倒れた。


「やっぱり真っ直ぐ突っ込んで来たか。分かってたら楽に避けられるな。それにあいつは1度走ったらどっかぶつかるまで止まらないってことも分かったしこれなら勝てるぞ」


よし次で決めるとするか。


「ブルルルルル……」

「さっきの一撃で終わりか?もう1発掛かってこいよ」


俺はローブをヒラヒラさせて牛を挑発した。


「ブモゥーーーーー!!」

「うお!さっきと段違いに興奮してるな。やっぱりヒラヒラしてれば簡単に挑発に乗るんだな」


牛は先程よりも速いスピードで突っ込んできた。


「速ければ速いほど好都合だ!ウオーター!からのアイス!」


俺はいつものコンボ技で地面を凍らせた。

なんかいつもより早く凍った気がするな。

もしかして魔法の熟練度が上がったのか?

そんな事を考えていると牛は俺の作戦どおり地面

に張った氷に足を滑らせた。


「グモゥ!?」


牛はそのまま滑っていき木にぶつかって止まった。


「ここで魔力を溜めて……ファイヤボール!」


俺はファイヤボールで先程牛がぶつかった木を攻撃して、そのまま爆発し牛の方に向かって倒れた。


「ブ、ブモゥ!ブモゥーーーーー!」


でかい音と共にそのまま牛は何も出来ず木に潰された。

辺りに牛の内蔵や血が撒き散らされている。


「うえー!自分でやったけど何だがものすごくグロいな」


でも初めてモンスターをひとりで倒したぞ。


「いやーなんかものすごい達成感だ!難しいゲームをやってクリアしたくらいの達成感だな」


これで俺もちょっとは最強に近づいたかな。

すると奥の方から草を掻き分ける音がした。


「しまった!匂いを嗅ぎつけてモンスターが来たのか」


だけど不思議と誰が来ても負ける気がしない。

今俺は乗りに乗っている、今ならどんなモンスターもぶっ飛ばせる気がする。


「来るなら来い!返り討ちにしてやる」


その音はどんどん大きくなり、近づいてきている。

俺は魔法を撃つ構えをした瞬間草むらから何かが顔を出した。


「へ?ミノル?」

「え?かつ?」


そこには見覚えのある顔がこちらを見ていた。


「なっ何でお前がここにいるんだ」

「それはこっちのセリフよ。何でかつがここにいるの」

「おれはクエ―――じゃなくてちょっとした散歩かな……」

「見え見えの嘘をつかないで!もしかして新種のモンスターの調査クエスト受けたのね。渡さないでってルルに言っといたのに」


ホントにミノルはルルに言ってたのか。

だとしたらなんでそんな事言ったんだ。

聞いてみるか?いや、でもせっかく会えたんだし変な空気になるのもやだな。


「それでかつはなんでこのクエストを受けたの」

「え…そりゃ借金を返す為に決まってるだろ。お前もそのためにこのクエスト受けたんだろ」

「かつはまだ借金を返そうとしてるの」

「何だよ。もしかしてまだ自分だけ払おうとしてるんじゃないだろうな。ていうか俺の伝言ちゃんと聞いたのか。クエストもそうだけどなんか心配になってきた」

「かつは私が何でクエストを断らせたか分かる」

「なっ何だよ急に……」


空気が重くなる。

ミノルが真剣な顔で俺を見つめている。


「これ以上金を返し続けたらかつはもう後には戻れなくなる。かつは借金を払えなかった時の怖さを知らないから平気なのよ。今ならまだ間に合うわ。だからもう金を払うのは―――――」

「たしかに俺は借金を払えなかったらどうなるかなんて知らない。そんなのドラマとかでしか見たことないしな。でもひとりで抱え込む辛さは知ってる。怖いんだったらなおさら一緒にいさせてくれよ。辛いとき支え合うのが友達だろ?」

「え……友達?」


ミノルは口を開けたままポカンとしてる。


「え?もしかして友達と思ってたのって俺だけ?マジかよ!なんか俺恥ずかしいじゃねえか!」


おっかしいな何回も一緒に会ってればもう友達だって本に書いてあったんだけどな。


「友達………ね。まさかあんたがそんな事を言うなんてね」

「何だ悪いかよ。友達じゃないって言いたいのか」

「そうね」

「え?本気かそれ…」

「冗談に決まってるでしょ」


そう言ってイタズラっぽい笑顔を見せながら俺に手を差し出してきて


「これからよろしくねかつ」


俺はついその笑顔に見とれてしまった。


「かつ?」

「え?ああ!……よろしく!」


やっぱり異世界は凄いな、ミノルがまるで天使に見えてしまった。

やっぱり異世界に来てよかった!


「私と友達になったからには普通の日常は送れないことを覚悟しておくことね」

「今現在進行形で普通じゃないけどな」


まあでも俺にとっては、はじめての友達でもあるんだよな。

これも異世界に来たおかげだな。

そういえば俺をこの世界に連れてきたあの人は今どこにいるんだろう。



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