その二十一 覚めぬ悪夢
「キルトルネード!!」
鋭い風の刃を纏った竜巻がこちらに勢いよく突っ込んでくる。
「ワープ!」
俺は安全な場所に瞬間移動してリドルに向かって魔法陣を展開する。
「インパ―――――っ!」
魔法を撃とうとした瞬間、背後から魔力を感じ取り反射的に避ける。
それにより風の矢が頬をかすめる。
「くっ!リドルの奴こんな小細工するようになりやがって」
「かつさん、残念だけどあなたじゃ俺を殺せない!俺はずっとまじかでかつさんの戦い方を見てきた。いつものように何も知らない魔法使いが相手じゃないぞ!アグレッシブフルート!」
「ファイヤー10連!!」
大量の炎で俺は自分の姿を相手に見失わせる。
リドルの言う通り俺の戦い方はあいつにバレてる。
魔法の威力も前よりも上がっている。
それなら!
「どれだけ、逃げても無駄ですよ!時間稼ぎがしたいだけなら戦いに出るな!」
「時間稼ぎじゃねえよ!ウィンドウ10連!」
俺は風の魔法を発生させることで竜巻を作り出し、リドルにぶつける。
「っアグレッシブフルート!」
リドルが風の魔法をぶつけた瞬間、竜巻から砂がまき散らされる。
「くっ目くらましか!」
「喰らえ!インパクト!」
俺は空中から下に居るリドルに向かって魔法を放つ。
「リドル!お前は本当に俺達の事を仲間だと思ってなかったのか!」
「だからそう言ってるだろ!カマイタチ!」
リドルは風の魔法で魔法を回避すると、風の刃をこちらに飛ばしてくる。
「アイス&ウオーターで氷柱アタック!」
俺は氷柱を飛ばして魔法の軌道を変える。
「あの時仲間になりたいって言ったことも全部嘘だったのか」
「ああ、全てはミノルを殺すためだ。その為だけに俺は仲間になった。それ以外に理由はない!」
「だったら何で、こんなに弱い魔法ばっかりなんだよ!このカマイタチの魔法だって、俺が作った氷柱で弾き飛ばせる!本当は殺したくないんじゃないか」
「何が弱いって?」
「なっ――――――」
その瞬間、カマイタチが俺の背中を切りつけた。
そのまま空中を落ちていったがテレポートで何とか、地面に着地することが出来た。
「かつ!!」
「くっ!」
「言っただろ。俺は本気だって手加減はしないって。死ぬのは嫌ならそこを退け!絶対かつ!!」
背中から熱い物を感じる。
血が出てるのか、でも。
「やっぱりお前は俺を殺す気なんて無いんだろ。もし本気で殺すつもりなら、今ので俺は死んでるはずだ。リドルもう一度言うぞ、お前の本音を聞かせてくれ。俺はお前と戦いに来たんじゃないんだ」
「うるさい!知ったような口をきくなって言ってるだろうが!!」
その瞬間、見たことのない魔法陣がリドルの周りに現れる。
「噓でしょ。あれってまさか、オリジナル魔法」
「タクトの奴、何をする気だ」
「本当はミノルを苦しますために使おうと思ってたけど、聞く耳を持たないかつさんにこれ以上時間をかけるわけにはいかないんだよ」
いつの間にオリジナル魔法を。
もしかして書斎にずっと居たのはオリジナル魔法を作るためだったのか。
「オリジナル魔法、復讐の日!」
「くっ!‥‥‥?」
何も起きない?
リドルの周りには魔法陣が存在するだけで、こっちには何も影響が出ていない。
「がはっ!!」
「っ!?リドル!」
その瞬間、なぜか他の誰でもないオリジナル魔法を発動させたリドルが吐血した。
「このオリジナル魔法は使った瞬間、自分の魔力を急激に奪われる」
「何がしたいんですか、あの人は。勝手に自滅しちゃいましたよ」
「ですがその代わり、相手の魔力を奪うことが出来る。相手の魔法に接触することで」
「っつまり攻撃を受けなきゃお前は死ぬってことか!」
「その通りです、ぐっ!」
リドルは苦しそうに膝をつく。
「バカ!何してんだよ!待ってろ、今魔法をぶつける。ファイヤーボール10連!」
俺はリドルに向かって魔法を撃つ。
それをリドルは避けることなく、全て受ける。
本当にこれで魔力を回復できるのか。
「お、おいリドル大丈夫か?」
「ロックスタンプ!!」
その時近づいてくる俺を遠ざけるように魔法を放ってきた。
「うおっ!あぶなっ!」
「やはりお人好しですね!俺を見殺しにせずに助けるなんて」
「仲間を助けるのは当たり前だろ」
「まだ貫くか。でも、こうなったらもう止めるのは不可能だ!かつさんに恨みはないが、ミノルを殺す!」
リドルは俺に目もくれずまっすぐリドルの元に向かって、走って行く。
「待て!俺との相手はまだ終わってないぞ!!」
「最初から言ってるだろ!俺の目的はミノルを殺すことだ!」
「くそ!させるか!ファイヤー&ウィンドウでファイヤートルネード!!」
リドルは炎の竜巻にぶつかるも走るのをやめない。
「くそ!攻撃も聞かないのかよ!アイスウオーター!!サンダーファイヤー!」
だが、一向にリドルは止まることはなくミノルの元に走り出す。
「くそ、仕方ない!」
俺はリドルの元にワープしてリドルの目の前に現れる。
そしてリドルの胸ぐらを掴んでそのまま地面に叩きつける。
「すまん、インパクト!!」
俺はゼロ距離でリドルに向かってインパクトを放つ。
さすがにやりすぎたか?
いくら魔法から魔力を奪うからと言って限度はあるだろう。
衝撃波により起きた土埃が晴れていき、リドルの姿が見えてくる。
「さすが、インパクト。かなりの魔力だった」
「っ!」
嘘だろ、まさか無傷なのか!?
「邪魔だ、ラノストーム!!」
その瞬間、強烈な竜巻により体が吹き飛ばされる。
「しまった!!」
自由の身となったリドルはすぐにミノルの元に向かう。
「ちょ、来ましたよ!お二人ともどうにかしてくださいよ!」
「タクト!もうやめにしないか!」
「ハムス、何でお前がそっち側に居るんだ。それともサキン村で起きた悲劇を知らないのか!」
「知ってるとも!何が起きたのかはっきり記憶している!だからこそ、まちが‥‥‥ハイト?」
「知ってるなら黙ってみてろ!この瞬間、あの日死んでいった家族と村の仲間の無念を晴らすとき、ネオアグレッシブ――――――ぐっ!」
リドルが魔法を放とうとした瞬間ハイトはリドルを蹴り飛ばす。
「魔法は聞かなくても物理は聞くみたいだな」
リドルは少し驚き距離を取る。
「ハイト何してるんだい!タクトとは争わないんじゃなかったのか」
「ハムスは黙ってろ。タクトお前本当にミノルを殺す気なのかよ」
「ハイト、お前も忘れちまったのか。サキン村を失った悔しさを悲しさを!もうどうでもよくなったのか」
「リドル、サキン村はもうなくなったんだ。過去の事を引きずってどうする。俺は不甲斐ない事に他人にそれを分からされた。お前の仲間は本当にお節介な奴だな。あんな奴初めてだ」
「退け、ハイト。俺はミノルを殺さなきゃいつまで経ってもあの日の悪夢から覚めないんだよ!」
そう言ってリドルはかつての親友を睨みつける。
「悪夢から覚めないんじゃなくて覚めないようにしてんじゃないのか」
「何だと」
「タクト、お前このままだと本当に取り返しがつかなくなるぞ」
「もう、取り返し何てつかないんだよ!もう引けないんだよ!!」
そう言って魔法陣を展開する。
「かつ!こうなったら決闘もくそも無いだろ。少しだけでいいこいつを俺に任せてくれないか」
「え?あ、ああ」
「タクト、元親友としてお前の目覚まさせてやるよ」




