その十六 ハムスとの再会
「ん?あっ絶対さーん!!」
「ん、あれはマキノじゃねえか!?よかった、無事についてたみたいだな」
ダリ熟練所の前でマキノが俺達を見つけて手を振っている。
だが、そこに居るのはマキノだけでハムスの姿は見られなかった。
「遅かったですね。待ちくたびれましたよ。あっサクラさんもお帰りなさい」
「お帰りなさいじゃないわよ!変なこと言って大変だったんだから!」
「何々~どんな話したの~」
「ちょっと待て!お前らのどうでもいい話を聞きに来たんじゃねえ。おい、サクラ今はハムスはどこに居るんだ」
「ハムスさんは今体を洗いに山に行きましたよ」
「え?今山に行ってるのか!ちょっと待ってくれよ。早くミノルの元に行かなきゃいけないのに、そんなの待ってられないぞ」
まずいな、ここに来ればすぐにハムスに合えると思ってたのに。
「そんなの流暢に待ってられねぇぞ。俺は山に行く。かつ、お前も付いてこい」
そう言ってハイトは俺を掴んで山に向かおうとする。
「ちょっと待ってくださいよ。ここにハムスさんが来たらどうするんですか。二度手間になるので行くのはやめた方が良いです」
「俺はお前の指図は受けない。俺はハムスが見つけてあの事件の真相を知れればそれでいい」
「あの事件?ねえかつ達はリツの手伝いをするんじゃなかったの。どういうこと」
「何でもないよ~2人とも行ってきな~ここは私達に任せて~ここ来たら合図出すから~」
「そうかそれじゃあ、行くかハイト」
「俺は最初からそのつもりだ」
そう言ってハイトはすぐに近くの山に向かって走り出した。
俺もその後を急いで追う。
「おい、何でそんな急いでるんだよ!」
「思い出したんだよ。村を襲ったやつを」
「っ!?本当かそれは誰なんだ!」
だがハイトは俺の質問に答えず黙ってしまった。
「どうした?やっぱり違かったのか?」
「なあ、おまえの仲間のリドルって奴が本当にサキン村の出身て言ってたのか?」
「ああ、あんな状況で聞き間違うわけないだろ」
「そうか‥‥‥サキン村には子供が6人いたんだ。俺とハムスとメラとダッチとタクトとレインだ。その内ハムスと俺を抜いた4人がリドル候補だ。さらに絞るとメラとダッチは死んでいる。あのサキン村事件で俺は2人の死体を見た。もし本当にリドルがサキン村出身ならタクトとレインのどちらかだろう。そしてもしタクトだった場合、俺はあいつの行動を止められない」
「それってどういうことだよ!」
「あの日タクトの母親は村の人を殺したんだ!!」
「っ!?それって‥‥‥」
ミノルが言ってた。リドルの母親はモンスター化していたと、もしかしてサキン村を壊滅させたのは。
「まだ確証は言えない。だからハムスを一刻でも見つけて俺が見た者が合ってるかどうか知りたい」
「分かったそれなら俺も協力する。この山は修行に使ったんだ。川がある場所は知ってる、こっちだ!」
俺達は急いで川の方に向かった。
すると近くでモンスターの鳴き声が聞こえてくる。
「今の声は川の方からだ!」
「まさか、モンスターに襲われてるんじゃないだろうな」
「どっちらにしろ何か問題が合ったに違いない。すぐに行こう」
モンスターの鳴き声が響き渡る中、俺達は川の方に向かった。
そしてそこには巨大な岩とハムスたちの姿が合った。
「おい何やって‥‥‥っ!」
ハムスの足元には弟子たちが血だらけで倒れていた。
「何が合ったんだよ、ハムス!」
「ふっふ~ん!来たか絶対かつ!久しぶりだな!」
ハムスはこちらを見つけるとすかさず挨拶がてらにマッスルポーズを見せつけてくる。
「そんなの良いから早く山を下りて来いよ!」
「それは出来ない相談だな絶対かつ!こいつは俺の弟子を傷つけた!こいつらの師匠として背中を向けて逃げるわけにはいかないのさ!!」
そう言ってハムスは目の前のモンスターにマッスルポーズをする。
「頑固な奴だな。クソ仕方ない俺達も協力するか」
「あれがハムスなのか‥‥‥」
「え?ああ、どうだサキン村のハムスと同じか?」
「いや、面影すらないな」
するとハイトがゆっくりとハムスの元に向かう。
「ふっふ~ん、助けはいらないぞ。俺の筋肉魔法ですぐに‥‥‥え?」
「よお、久しぶりだなハムス。元気そうで何よりだ」
「う、嘘だろ‥‥‥どうして、何でここにていうかいぎでだのがよぉー!!!」
するとハムスが突然泣きじゃくり巨大な体でハイトを抱きしめる。
「筋肉ムキムキになったのに泣き虫は変わらないのか?」
「うおー!うおー!だっでよ!死んだどおもでっだから!!」
「バカこっちのセリフだよ」
本当にハムスはサキン村の生き残りだったんだ。
「っ!2人とも、危ない!!」
するしびれを切らしたのかモンスターが2人に襲い掛かる。
巨大な岩を二人に向かって投げ飛ばす。
それにいち早くハイトは反応して何とかそこから逃れる。
「ハムス!大丈夫か!」
ハムスはモンスターの攻撃を生身で受けてしまった。
普通なら即死だが。
「俺の筋肉にはそんなものきかーん!!」
そう言いながら自慢の筋肉でモンスターの攻撃を跳ね返す。
「はは、本当にたくましくなったな!」
「ふっふ~ん、今の俺は昔の俺とは違うのさ!ハイト、戦えるか!」
「誰に言ってるんだよ!当たり前だろ!かつ、お前も手伝え」
「え?あ、分かった!」
やっと話に混ぜてもらったな。
正直忘れられたと思った。
「あいつはアルマジロックだ。主食は岩石で食えば食うほど体はデカくなり、それにより背中の鱗の強度が上がる」
「本当だ。確かにあいつの背中妙にごつごつしてるな」
「それにここまで大きくなるのは規格外だな!こいつは中々骨が折れそうだ!」
「よし、時間もないからさっさと片付けるぞ。かつ、あいつの背中にヒビ入れられるか」
「もちろんだ」
「俺がヒビが入った場所を炎で広げる。トドメは任せたぞ、ハムス」
「任せろ。俺の成長した姿を見せてやる!」
するとモンスターは俺達の態度が気に食わないのか、体を丸くする。
その姿は巨大な岩の様だった。
「フゴオーーーーーーー!!」
その瞬間、アルマジロックは岩の状態でこちらに転がって来た。
「デカいな、でも!インパクト!!」
「フガッ!!?」
「これくらいは余裕だな」
インパクトによりアルマジロックは上空に打ち上げられ、のけ反る。
「さすがだな」
するとアルマジロックの背中に魔法陣が出現する。
「ファイヤーバインツ!!」
炎の爪がヒビが入った甲羅にさらに傷をつけることで、鱗が剥がれを落ちる。
「さすがハムスだ!だが最後を決めるのはこの俺!筋肉の力をとくと見よ!筋肉魔法、ロックソード!!」
真下から鋭い剣山が出現して、落ちてくるアルマジロックの脆くなった鱗に貫通して胴体に突き刺さる。
そして、そのままアルマジロックは動かなくなった。
「よっしゃあ!討伐成功だ」
「まさか、ここまで強くなってたとわな」
「ハイトも昔よりも強くなってるみたいで嬉しいぞ!そうだ、君達せっかくだからこのモンスターを持って行こう。今日の晩飯だ!」
「おお!いいなそれ!アルマジロックって料理できるのか」
「この俺の筋肉に任せろ!数々のサバイバルを乗り越えてきたこの俺がふるまってやろう!」
「随分と野生児になったな!まっ久しぶりの再会だし、パーッと派手にやるか」
俺達はアルマジロックを持って行きながら山に下りて行った。




