その十一 新種を求めて
「先程は取り乱して申し訳ありません」
「まったくホントひどいですよ。俺を悪者扱いして」
「それはお前のせいだろ!」
「イテっ!ぶつなよウルフ」
今日2回も叩かれた頭をさすりながら俺は早速クエストの話をした。
「それで何で俺にそのクエストを紹介してくれなかったんですか」
「実は人数制限でこれ以上クエストを受けられなかったんですよ」
「人数制限?じゃあそこのクエストは何ですか」
俺はルルの横にあるクエストの紙を指さした。
そしてルルが取り乱すようにそのクエストを両手で大事そうに抱えた。
「これはその〜……」
ルルの目がかなり泳いでいる。
これはまだ本当の事を隠してるな。
「本当の事を教えてくれ」
「それは……ちょっと」
「ルル。もう言ってもいいと思うぜ」
「でもウルフさん」
「このままだとお前また泣かせられるぞ」
「うっ!……分かりました。本当のことを言います。ここで話すのはなんですから休憩室に行きましょうか」
何だ?実は結構大切な話なのか。
俺は不安になりながら休憩室に向かった。
「それで?渡せなかった理由ってなんですか」
「実はミノルさんから頼まれたんです」
「ミノル?もしかしてミノルも参加してるのか。ていうか頼まれたってなんだよ」
「おいおいかつ、質問1つにまとめろよ。そんないっぺんに聞かれても答えられないだろ」
「ああごめん。つい興奮しちゃって」
俺は頭の中を一旦整理して1つずつ質問を聞いてくことにした。
「えっとそれじゃあ最初に、ミノルはこのクエストに参加してるのか」
「はい。参加していますよ」
そりゃそうかこんなうまいクエスト今のミノルが見逃すはずないよな。
「それじゃあミノルから頼まれた内容ってのは何ですか」
「それは……かつさんにこのクエストを参加させないでと頼まれました」
「え?ミノルが俺に参加するなって」
ルルがゆっくりと頷いた。
「マジかよ!まだミノルは自分だけで借金を返そうとしてんのか。ていうかルルさん!俺の伝言ちゃんと伝えましたか」
「ちゃんと伝えましたよ。ミノルさん喜んでましたから」
「え?そうなの?まあそれならいいんだけどな」
それにここまで言うってことは俺の心配をしてくれてるってことなのかもな。
でも……
「やっぱり俺クエストしたいです。そのクエストくれませんか!お願いします!」
「でもミノルさんからキツく言われてますし」
「そこを何とか!」
「ちょ!かつさん、土下座なんかやめてください!」
「いいえやめません!クエストを貰えるまでずっとここで土下座し続けます!」
「ここ私達の休憩室なんですよ!それに着替えとかしますし……」
「いえ、お構いなく。気にしないで下さい」
「私達が気にします!」
「まあいいじゃねぇか。クエストやっても」
「でもミノルさんとの約束が」
するとウルフが土下座している俺と同じ位の高さにしゃがんだ。
「かつは本気なんだろ」
「ああ本気だ」
「じゃあ問題ねぇよ。やる気があるなら渡さなきゃ」
「でも――――」
「クエストを提供してサポートする!それが私達の仕事だろ」
「ウルフさん……そうですねすみません。本来の業務を忘れてました」
「ふふふ別に構わねぇよ。ルルはお人好しだからなぁ」
「ベっ別にお人好しなんかじゃ……」
「おっ照れてんのか?」
「照れてません!」
俺は一体何を見せられてるんだろう。
まあ仲がいいってことは分かったけどなんか仲良すぎて俺の存在感皆無なんだが。
「えっとウルフありがとな。早速クエストくれないか」
「お!何だもう行くのか。ほれそれが例のクエストだ。頑張れよ」
「気おつけてくださいね。かつさん」
俺は投げられたクエストをしっかり受け取って……
「ああ分かってるよ」
覚悟を決めてクエストに向かった




