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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十六章 決着サキン村事件
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その五 ぶっ壊し論争

「ウッドクラブが‥‥‥跡形もなく‥‥‥」

「さすがガルア様の十二魔導士だっただけはありますね。これだけ砕ければ薬の調合には十分です」

「バカ野郎!今それどころじゃないんだよ!リドルごめん、まさかお前もウッドクラブを狙ってた何て、しかも試験に必要なモンスターだし、本当にすまん!」


俺は粉々になったウッドクラブを見つめているリドルに謝罪する。


「謝らなくてもいいですよ。謝ったところでウッドクラブが元に戻ることもありませんし」


やばい、こいつ相当ショックだったんだな。


「そうですよ、謝る必要ないですから。ウッドクラブは誰の物でもありませんし、倒したもの勝ちです」

「僕は試験でこのモンスターの討伐を頼まれました。依頼を受けた人のモンスターを先に倒すのは横取りでは無いんですか」


ああ、何か始まっちゃったな。

リドルも相当頭に来てるみたいだ。


「確かにそれは悪いと思ってますよ。だから残りの素材は全部上げます。これでいいですよね」

「駄目です許しません。これだけ乱暴に粉々にされてしまっては、素材としての価値は低下、新鮮という評価ポイントを落としてしまいます。そもそも、このウッドクラブは僕が倒したわけではないので貰うわけには行きません」

「屁理屈ばかりで、全く話が進まないじゃないですか。これを受け取らないのなら、あなたは私達に何を要求するんですか?」

「代わりのウッドクラブを探してください。これが僕の要求です」


その言葉を聞いてマキノは険しい顔をする。


「はあ?そんなことやるわけないじゃないですか。第一私達悪くないですし」

「なら試験を妨害されたことを魔法協会に報告します」

「ちょっリドル!そこまでしなくても」

「大丈夫です。訴えるのはマキノさんだけですから」


そう言って、リドルはマキノを睨みつける。


「やっぱり、私が思った通りあなたはロクでもない人ですね」

「マキノさんの僕に対する評価は興味ありません。行くんですか、行かないんですか?」

「行くわけないでしょ。あんたの為ならなおさらです」

「そうですか。それじゃあ、報告させてもらいます」


まずいこのままじゃ、報告されてしまう。

ここは俺が何とか止めないと。

俺はリドルの前に出て魔法協会に行かせないようにする。


「リドルちょっと頭冷やせ」

「僕は冷静ですよ」

「いーや、今のお前は冷静じゃない。だから一旦落ち着け」

「僕の事を分かった風に言わないでください」

「じゃあ聞くけど、お前さっきから瞳孔開いてるぞ。いつもの糸目はどうした」

「っ!?」


その言葉を聞いてリドルは自分の顔を手で覆う。


「はあ、かつさんには敵いませんね。すみません、少し頭に血が上っていました。ウッドクラブは自分で探します。マキノさんもすみませんでした。それじゃあ」


そう言ってリドルは森の奥に消えてしまった。


「あいつ何か隠してるな」


いつも何考えてるか分からなかったのに、今日のあいつは俺でも分かった。

リドルは何かを抱えてる、そんな雰囲気を感じた。


「どうでもいいですよ、あんな人。女の人を睨みつける人にろくな人は居ないですからね」

「いや、あいつもなんかあるんだろ。許してやってくれよ。それよりもこれで薬は作れるのか?」


粉々に砕け散ったウッドクラブの残骸を見る。

自分でやった物の派手に砕けたな。

でも触ってみると鉄みたいな硬さだ、これを思いっきり殴ったら骨が折れそうだな。


「これだけあれば余るくらいですね。残りは素材として売りましょう。思わぬ収入が入って、私もうれしいですよ。わっはっは!」                                                                     

「抜け目ないな。俺は今お金には困ってないから全額あげるよ」

「当たり前ですよ。私が一番お金に困ってるんですから。さっ早く持って行ってください」

「お前なあ、人使い荒すぎるだろ」

「私じゃこんな大きなカニ持っていけませんよ。力があるんですから、それを使わないともったいないじですよ」


そう言ってマキノは笑顔で俺にウッドクラブを運ばせた。


――――――――――――

「合計で5800ガルアになります。それにしてもよくここまで粉々に出来ましたね」

「ああ、ちょっとな。それじゃあまたよろしくお願いします」

「はい、こちらこそまたお願いいたします」


俺は素材の買取りを終えてご飯を食べているマキノの元に行く。


「あっおかえりなさい。すみませんね、わざわざ奢ってもらっちゃって」

「食べながら言うと、誠意がいまいち伝わらないな」

「いやいや、本当にありがたいと思ってますよ。お礼として私の新薬の実験体にさせてあげます」

「その言い方だとあんまりうれしくないんだけど、まあお礼はそれでいいや。それじゃあな」


俺はお金を置いて魔法協会から出ようとする。


「ちょっと待ってください。私も行きますよ」


ご飯を食べ終えたマキノは俺の後を付いてくる。


「何でだよ。もう用事は終わっただろ」

「用事は終わりましたけどまだ絶対さんの家を教えてもらってないので」

「何で家を知りたいんだよ」

「決まってるでしょ。ポーションが完成したらすぐに渡せるようにですよ。家を知らなきゃテレポートできませんから」

「そういう事ね。まあ、別にいいけど」


数分後、俺達は家に到着した。


「おーずいぶんいいところに住んでるんですね。まさか屋敷に住んでるなんて」


マキノは屋敷が珍しかったのかまじまじと見る。


「元々ここはいわくつきだったんだよ。せっかくだからお茶していくか?」

「いえ、これから薬を作らなきゃいけないので場所が知りたかっただけですから。それじゃあ、今回は‥‥‥」


するとマキノが突然言葉を止めてある場所を一転に見つめる。


「どうしたんだってリドル!?もう帰って来たのか」

「はい、何とかウッドクラブを見つけて無事に試験が終わりました」

「てことは合格したのか?」

「結果は明日分かります。なのでまだ分かりません」

「そうか、でもリドルなら大丈夫だろう」

「そうだと良いですが、それよりもマキノさん居たんですね」


そう言ってリドルはいつもの表情でマキノに微笑む。


「安心してください、もう帰りますから」

「それは残念ですね。せっかく来てくれたのでおもてなししようと思ってたのですが」

「誤魔化さなくても早く帰ってほしいと思ってるのバレバレですよ」

「そんなことないですよ。僕は歓迎しますよ」

「まあ、どちらにせよ私はもう行きますから。それじゃあ、また明日!」


そう言ってマキノはテレポートで帰って行ってしまった。


「マキノさんと一体何していたんですか?」

「何か経営がきつくなってるらしくて、それの手伝いをしてたんだよ」

「そうだったんですか。それじゃあ、家に戻りましょうか」


やっぱりリドルは何かを隠しているような気がする。

そんな不安を覚えながら家に入って行った。



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