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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十六章 決着サキン村事件
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その四 リドルの試験

「それで、マキノが言うとっておきの商品てなんだよ」

「見たいんですか?しょうがないですね、そこまで言うのなら見せてあげますよ。まだ試作段階ですが‥‥‥これです!」


そう言って青色の謎の液体が入った瓶を前に突き出してくる。


「えっと、これが例のとっておきか?」

「分かります。こんなのただの液体だろ、なめんじゃねえぞこのクソ女と思ってることでしょ」

「お前から見た俺ってヤクザなのか?」

「ちょっと何言ってるか分かりませんが、これはただの液体ではなく魔力を倍増することが出来る薬品です。どうすごいでしょ!」


まるで褒めてほしそうに目を輝かせながらこっちを見てくる。


「まあ、確かにすごいな。魔力を無くすとか回復するとかは聞いたことあるけど、倍増する薬は確かに見たことないな」

「そうでしょ!私お金が無いので新しい道具や薬を作れなかったので、かなり勉強をしてから作り始めたんですから」

「へえ、でもさこれで完成じゃないのか?」

「これではまだ完成とは言えません。このまま飲んでもただ単に魔力を多く回復するポーションです。それでは売り上げを出すことは出来ません。最後に必要な物は太陽です!」


そう言ってマキノは天井を指差す。


「太陽?いやいや、無理だからな。太陽取れたらもはや神のレベルだぞ」

「何言ってるんですか。本当に太陽を取るわけないじゃないですか」


こいつには思いやりの心はないのか。


「じゃあ、どうするんだよ」

「私の研究と言いますか勉強したことで分かったことがありまして、魔法は自然のエネルギーを使っているのではないかと言う事です」

「自然のエネルギー?魔法はマナを媒体にして魔力に変換してるんじゃないのか」

「そのマナの発生源が自然から作られる可能性があるということです。自然中でマナの欠片のような物が生み出されてそれがどんどん組み合わさって、マナになると私は思うんです」

「なるほどな。確かにこのマナのエネルギー源は何処から来てるんだって話だよな。自然のエネルギーか、確かに一理あるな」


ん、でも待てよ。確か地獄でもマナって存在するんだよな。

あそこはそこまで自然豊かとは言えなかったぞ。

まあ、救済の儀式の時に行った場所は別として、力の出所が他にあるのか。


「その自然のエネルギーをこの薬に混ぜれば、魔力を倍増するポーションが私の考えた通りなら出来るというわけです。その中で一番太陽の光が自然の力に優れていると思うので、太陽の光が私は欲しいんです」

「てことはその薬を太陽にかざせばいいのか」

「そんなわけないじゃないじゃないですか。それだけで済むならわざわざ、あなたにお願いしませんよ」

「お前のその毒を吐く言動にも慣れたよ。それじゃあ、俺は何をすればいいんだよ」


するとマキノはある本を取り出すとページをぺらぺらとめくり始めた。


「合った、このモンスターです」


目当てのモンスターが見つかったのかページを指で押さえながら、こちらに見せてくる。


「ウッドクラブ?」

「このモンスターは森に生息していて、体は木で出来ています。食事は日光と水で成長するので外殻には太陽の光を思う存分浴びているということです」

「つまりこのモンスターの体の一部を手に入れればいいんだな」

「そういう事です。それじゃあ、これからすべきことも分かったところで行きましょうか」


そう言ってマキノは様々なポーションが入ったリュックを背負う。

するとじっと俺の方を見てくる。


「なんだよ」

「いや、何だよじゃなくてテレポートですよ。早く森に向かいましょう」

「いや、俺テレポート使えないから」

「っ!?テレポートが使えない!本気で言ってるんですか!?」


ああ、そうか。マキノは俺が強い魔法使いだと思ってるから当然魔力レベルも高いって思ってるんだよな。


「いや、確かにテレポートは使えないがちゃんと戦えはするから、安心してくれ」

「ええ‥‥‥テレポートが使えない人に安心してくれと言われても信用できないんですけど」


そう言ってジト目でこちらを見てくる。

こいつ完全に疑ってるな。

まあそりゃそうか、普通テレポートは使えるもんだよな。


「とにかく任せろ!マキノはテレポート使えるだろ。ほら早く行こうぜ」

「何か、幸先不安ですがしょうがないですね行きましょうか」


すると、足元に魔法陣が浮き上がる。


「それじゃあ、行きますよテレポート!!」


――――――――――――

「確かここら辺に居ると書いてあるのですが‥‥‥」


依頼書に書かれている生体情報を頼りにウッドクラブを探していた。


「この時間帯は日当たりが良い場所で日光浴をして居るはずなんですがっ!」


少し先に巨大な生物が体に太陽の光を浴びていた。

あの木目が入った体と巨大なはさみ、背中から生えている木は見るからにウッドクラブの特徴と一致している。


「やはり日向ぼっこしていましたか」


今の所眠っているのかまだこちらには築いてない様子ですね。

これならウッドクラブの弱点である、生命の木に奇襲を掛けられそうですね。

生命の木とはウッドクラブの背中に生えている木の事を言う。

この木はウッドクラブの心臓と直結している為、木を切れば致命傷を与えられる。

だが、生半可に切れば即死をすることが出来ず生きながらえさせてしまうため、根元から切るのが前提だ。

そして普段は地面を潜って木に化けている。


「やるなら一瞬で、そして根元から切り落とす」


今回の評価ポイントは素早さも重要だが品質を保たなくてはならない。

つまり、無駄に傷つけるのは減点の対象になってしまう。

ここは集中して‥‥‥いまだ!


「あー!いましたよ!!」

「っ!誰ですか!」


すると、大声を出してしまった事によりウッドクラブが目覚めてしまった。


「しまった、気付かれました!」


すぐに攻撃をしようとした瞬間、ウッドクラブは高速の足さばきで森の中に一瞬で入ってしまった。


「あー行っちゃった。逃げられちゃいましたね」

「あなた、いったいどういうつもりですか!突然叫んで僕の狩りを邪魔するなんて」

「邪魔した覚えはないですよ。私はただ、叫んだだけです」

「それを邪魔というのが分からないのですか?」

「おーい、ちょっと待てよ!急に置いて行くなよってリドル!?何でこんな所に居るんだよ!」


突然森の奥から見知った人物が現れる。


「かつさん?あなたこそ何でこんな所に居るんですか」

「いや、こいつにモンスターの討伐を頼まれちゃってさ。ていうかリドルこんな感じのか――――――」

「すみませんが急いでいるので、僕は行きます。後僕は試験中なのでなるべく騒がないようにお願いします。それでは」


僕は逃げてしまったウッドクラブを追いかけて森の中に入る。

そんなに遠くまでは行っていないはず、森の中に向かったということは木に擬態するつもりという事。


「近くに確か‥‥‥合った!」


木の近くで少し変色した土と窪みは穴を掘って中に隠れた証拠、この木ですね。


「弱点が丸見えですよ、チェックメイトです!」


再び魔法陣を展開させて根元から切り落とそうとしたその時、近くから声が聞こえてきた。


「ファイヤーボール!」


その掛け声とともに近くの木が勢い良く燃え始めた。


「っ!またですか!」


その音を聞きつけたウッドクラブは地面から勢いよく飛び出る。


「くっ逃がしま」

「プシュー!」

「うわっぷ!」


その瞬間、ウッドクラブの口から水が噴き出される。

その水を顔面から喰らったことにより、一瞬ひるんだ隙に逃げられてしまった。


「んだよ、全然何にも起きないじゃんか」

「あれーこの木だと思ったんですけどね」

「ちょっとかつさん!」

「ん?リドルかまた会ったな!ていうか何でお前びしょぬれなんだ」

「僕言いましたよね。試験の邪魔はしないでくださいと」

「あ、ああもしかしてまた邪魔しちまったか?ごめん、もう邪魔しないから」


かつさんは本当に悪気がなさそうにしている。


「分かっています。今回はお互い配慮が足らなかったということで、終わりにしましょう。それでは、気を付けてくださいよ」


僕はすぐにウッドクラブが逃げて行った方向に走る。

さすがに二度も襲われてしまったので、この森から離れている可能性はありますね。

なら、おびき出すしかなさそうです。

僕は落ちている枝を拾って、開けた場所にバラまく。

ウッドクラブは栄養補給をほとんど日光と水で補っている。

だが、それは大人になったウッドクラブで子供のウッドクラブはまだ体が弱く果物と巣が必要になる。

その為ウッドクラブは枝を集めて巣を作るのだ。

これだけの量の枝があればウッドクラブは必ず食いつくはずです。

後は辛抱強く待つのみ。

数分後、奥から動く気の姿が見えた。

ウッドクラブだ、ついに来たこのチャンスを逃してはいけない。

ウッドクラブが枝を掴んだ瞬間が勝機。

ゆっくりとウッドクラブが辺りを警戒しながら、枝に触れた。

今だ―――――


「見つけたぜ!インパクト!」

「————————っ!!」


目の前でウッドクラブが粉々に砕け散った。



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