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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十五章 ようこそ地獄へ
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その二十六 罠にご注意ください

「やっぱり、大分時間経っちゃってるな」


屋敷を出て外を見てみると、青色に変化していた。


「かなり寝てたみたいですしね。これから間に合うと良いのですか」

「あっ俺さっき地図貰ったから、これを頼りに行こうぜ」


俺は早速地図を見て現在地を確認する。


「今はここの翻弄の森だな。ここから真っ直ぐ行った毒の沼を通って氷結山を下った場所に奈落ってのが合って、そこにデビが居るらしいな」

「何か色々と大変そうね。ていうか、本当にあの悪魔は私達のこと見てるの?」

「気配は感じ取れませんが恐らく見ているのでしょう。そして、今後一切彼女が僕達に関わることもないんでしょうね」


リドルの言う通りこれからはベルルが助けてくれることはない。

ピンチになったら自力で解決しないといけない。

まあ、こんなにしてもらったんだからこれ以上贅沢は言えないしな。


「まずはこの森を抜けて毒の池に向かいましょう」

「よし、道案内はリドルに任せた」

「分かりました、それでは地図ではこっちの方ですね」


リドルは率先して前に進んでいく。

するとリドルが地図を見ながら言葉を発する。


「僕が寝ている間に色々と大変だったみたいですね」

「そうね。魔物と戦って死ぬかと思ったわ」

「ああ、これで終わりだと思ったぞ。生きてるのが奇跡だな」

「確かに、魔物はモンスターとは違ってマナの保有量が尋常ではないですからね。並大抵の威力の魔法では殺せませんよ」

「普通の魔法じゃ傷1つ付かなかったわ。今後は魔物との戦闘は避け………あれ?何か踏んだ?」


そう言うとミノルは自身の足を上げて、下を向く。

ミノルの足元には千切れた紐があった。

その瞬間、何処からか何かが飛んでくる音が聞こえる。


「ミノル危ない!」


俺はミノルを突き飛ばして、そのまま地面を転がる。

その瞬間、地面に数本の針が突き刺さった。


「な、何?今の………針?」

「何処から飛んできたのでしょうか。もしかして、紐が切れたら発動する罠だったのでしょうか」


リドルは針を手に取り、まじまじと観察する。


「何か嫌な予感がする。早くここから出―――おわっ!?」


起き上がるために木に手をついた瞬間、木の一部が凹んだ。

それによりバランスを崩して、体が倒れる。


「ちょっ!何してんのかつ!」

「いや、知らねぇよ!手をついたら突然凹んで」

「皆さんしっ!何か聞こえません?」


リドルに言われた通りに静かにすると、地面が揺れ何かが折れていく音がする。


「なあ、この音段々大きくなってこないか?」

「ねえ、かつ」

「何だ?」

「早く逃げて!」

「はっ?何言っておわっ!?何だあれ!」


その瞬間、巨大な岩が木を薙ぎ倒してこちらに向かって来ていた。

それに気づいた瞬間、俺達は全力で森を走る。


「くそぅ!何なんだよ一体!」

「まずいですよ!このままだと追い付かれてしまいます」

「仕方ねぇ!俺があの岩を破壊―――――あれ?」


俺が歩いていた道が突然無くなった。

それが落とし穴だと気付いた時、俺は既に落ちていった。


「かつ!?」

「ミノルさん!岩が来てます!かつさんなら、大丈夫です!」


落とし穴の真下を見ると何とそこには炎の海が広がっていた。

ガチで殺す気じゃねぇか!

その時、岩がその落とし穴に落ちてこっちに迫ってきた。


「まずい!ワープ!」


俺は間一髪ワープをして、何とか外に出ることが出来た。

岩はそのまま炎の海に落ちていく。

数秒魔法が遅れてたら岩もろとも死んでたな。


「ねえ、さっき言ってたわよね。ここは翻弄の森だって」

「え?何だ、てことはそこかしこに罠があるってことか?」

「そう言うことになりますね。周りに注意をして進みましょう―――あっ」


その時、下に合った枝を踏みペキっと言う音が鳴る。

その瞬間、無数のトゲが俺達を襲う。


「言ったそばから!」

「ラノストーム!」


風の魔法によりその全てを吹き飛ばす。

そのままトゲは地面を転がった。


「ふう、危ないところでしたね」

「元はと言えばお前が罠にかかったからなんだけどな」

「取り敢えず、気を付けていきましょう足元に注意して、慎重に進―――きゃっ!?」


その瞬間、自称足元注意してた人が足を紐にくくりつけられ、宙ぶらりんになる。


「足元が何だってミノル?」

「いいから、助けてよ!」


ミノルは恥ずかしそうにしながら宙ぶらりんになった体を揺らす。


「分かってるって!リドル、手伝ってくれ」

「分かりました。ん?かつさん!あれを見てください!」

「なっ!おいおいマジかよ!」


その時、先程落ちた穴から岩が這い上がってきた。

腕と足が形成されていて、ゴーレムのような姿に変わっている。


「あの岩も魔物だったのかよ!」

「やっぱりなんでも魔物なんですね」

「ねえ、私のこと忘れてない!?」


その時、何処からか針が飛んでくる。


「誰だっ!?」

「無数の魔物が空中に飛んでいますよ」


ハチのような姿をした魔物がこちらに針を飛ばしてくる。

あれが、針を飛ばしていた犯人か。

見た目からして毒針なのか?

だが、その時ゴーレムの魔物が拳を振り上げてこちらに攻撃する構えを見せた。


「リドル!」

「分かってます!」


そして、俺とリドルはすぐにその場から逃げ出した瞬間、ゴーレムの魔物の拳が地面を叩き割る。


「おわっ!?マジかよ!」


あまりの威力に背筋が凍る。

あんなのまともに喰らったらぺしゃんこになるな。


「ちょっちょっと!勝手に触らないでよ!」


木に吊るされているミノルの方を見ると、巨大なウーパールーパーみたいな魔物に襲われていた。


「デェロン!」

「ひゃっ!舐めないでよ!このっこの!」


まずい、早くミノルを助けないと!

あっちもこっちも魔物だらけで処理が出来ないぞ!


「ピー!!」

「うわっ!何だこの音は!」

「空中に居る魔物から発せられているみたいですね!」

「おい、リドル上!」

「っ!!」


ゴーレムの魔物がリドルに向かって拳を振り下ろそうとしている。

いつの間にこんな近くに、耳障りな音のせいで気づかなかった。


「くっ!アグレッシブフルート!」


リドルは拳が振り下ろされると同時に風の魔法で軌道をズラす。

それにより、近くの木に拳が衝突して木が倒れる。


「え?ちょっ!きゃあああっ!!」


そして、その木はミノルが吊るされていた木だった。

メキメキと言う音と共にゆっくりと倒れていく。


「ミノル!!」


俺はすぐにミノルの元に行き、何とか抱えてその場から離れる。


「あ、ありがとう」

「いや、無事そうで何より―――くさっ!」

「え?」

「あ、いや何でもない」


さっきのウーパールーパーみたいな魔物唾液のせいなのだろうか、穴を摘みたいほどの刺激臭がする。


「ピーーー!」


その時甲高い声と共に無数の針が飛ばされてくる。


「ウインドウ10連!」


俺は風の魔法で針を1ヶ所に集める。


「よいしょっと!」


そして、そのままの勢いで空中に居る蜂に針をお返しする。

それにより、蜂に自分の針が突き刺さる。

すると、魔物達の体が次々と紫色に変色していく。

やっぱり毒針だったのか。


「よしっ!」

「ね、ねえ、私って臭いの?」

「プギュッ!」


すると、先程ミノルを襲っていたウーパールーパーみたいな魔物が再びよだれを垂らして襲い掛かってくる。


「もう!こっち来ないでよ!アイスガン!」


氷の塊が魔物を襲う。

だが、その魔物はそれを回避するとミノルの元に飛び込んでくる。


「そこ、危ないわよ?」

「ぷ――――ブチュッ!」


氷の魔法を避けた先にはゴーレムの魔物の拳があり、ウーパールーパーの魔物の体を押し潰す。


「ナイスミノル!」


俺はミノルを降ろして、ゴーレムの懐に潜り込み手を当てる。


「吹っ飛べ!インパクト!」

「――――――――――っ!?」


俺のインパクトにゴーレムが空中に吹き飛ばされる。


「よし、今の内に森を出るぞ」

「そうですね。ミノルさんも無事でよかっ―――くさっ」

「え?」

「いえ、何でもありません」


リドルは近づこうとしたその足を止めて、明らかに顔を引きつらせて言う。


「ねえ、私やっぱり臭いの!?あの魔物の粘液が体にあるから!かつ、私の体を水で流して!」

「いや、それしちゃうとマナを体に取り込まなくさせる液体も流しちまうぞ」

「そ、そうだった」

「大丈夫ですよ。僕達は気にしませんから」


微笑むその顔には鼻が摘まれていた。


「鼻摘まみながら言うことじゃないわよ。もう、いいわよ。これくらいデビちゃんの為なら我慢するわ。早く先に行きましょ。きゃっ!」


その時ミノルが突然転びそうになり、俺はとっさにミノルの手を掴む。


「大丈夫か?」

「ええ、何か固いものに躓いちゃって。でもだいじょ―――かつ後ろ!」


後ろを振り替えるとトゲが周りに付けられた丸太が飛んできた。

まだ来るのか!


「くっ!」


俺は何とかそれを受け止めて、激突せずにすんだ。

そしてすぐに安全な場所に放り投げる。


「さすが、鍛えた人は違いますね。トゲは刺さりませんでしたか?」

「ああ、それにしてもおかしくないか?」

「え?何が?」

「これだけの罠が自然に張られてるなんて事あるわけないよな」

「確かにそうですね。そうなりますと」

「別の魔物が潜んでるってことかしら」

「かもな」


俺達はまだ見ぬ魔物に警戒しながら進むのだった。



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