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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十五章 ようこそ地獄へ
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その二十一 時は止めたら動かない

「能力を利用するとはどういうことですか?」

「あいつの時を止める能力は一見便利そうに見えて、実はあいつ自身の行動を制限してるんだよ」

「行動をですか?」

「ああ、例えばこの石」


俺は小石を真っ直ぐ投げる。

勢いは衰えそのまま地面に転がる。


「普通だったらこんな風に真っ直ぐ飛んでいくだろ?」

「はい、そうですね」

「でも、あいつが能力を使った場合この石は空中で停止する。その間はこの小石は空中で少しも動かないんだ。そして、時を止めるのをやめると何事もなくこの小石は真っ直ぐ飛んでいく。何が言いたいか、分かるか?」

「えっと、つまり時を止めた場合全ての物がその場から動くことはないと言う事ですか?」

「ああ、そう言うことだ。さっき小石を投げた時、あいつは小石を弾かずに俺の後ろに来た。まあ、後ろを取るのが好きって場合もあるが、それ以前にあいつは警戒心が薄い。奇襲も簡単だし、不覚は取れると思う。でも今の体調と精神状態じゃ、さすがに完全にバレずに触れるって事は無理だろうから、魔法を使って捕まえる。そこで俺が考えた作戦を言う」


俺は即興で考えた作戦を二人に伝える。

それに対し二人は納得したように頷いてくれた。


「なるほど、やりがいはありますね」

「リドルは後方支援になるけどそれでいいよな」

「構いませんよ」

「ミノル、お前はかなり重要な役目だけどやれるな」

「わかちぇて!」


そう言って小さな体を動かして、動く準備をする。


「よし、それじゃあこんなふざけた所さっさと脱出するぞ!」

「はい!」

「うにゅ!」


―――――――――――――――――――――――

「おーい!早く出てこいよ!つまんないぞ!」


どうやら俺達のことを探してるようだ。

俺はタイミングを見計らい行動を開始する。


「こっちだよ!」


タイムリーパーに乗って叫んでいた時の魔物に向かって石を投げる。

それに気づいた時の魔物が余裕そうに笑みを浮かべた。


「ははっ!バカなやつだな!奇襲でもなんなりすれば良いのに」

「そろそろ鬼ごっこも飽きてきたからな!もう終わらせようぜ!」


挑発するように俺は時の魔物に言う。

すると、時の魔物はまだ余裕そうに笑みを浮かべる。


「無理無理、そんなこと出来るわけ」

「ワープ!」


その瞬間、俺は一瞬にして時の魔物の元に向かう。


「何っ!?」

「たっ―――」

「させるか!!」


近づいてきた瞬間、時の魔物は時を止めてその場から脱出する。


「っちじゃなくてインパクト!!」

「グガアアアア!?」


俺は時の魔物が乗っているタイムリーパーの顔面に思いっきりインパクトをぶつける。


「なっ!タイムリーパー!?」


タイムリーパーが痛みで暴れ出したことで一瞬怯んだ隙に、リドルはミノルを飛ばすため風の魔法を展開する。


「行きますよ!ラノストーム!」


体が小さいこともあり、もうスピードで時の魔物に向かって飛んで行く。


「ちゅかまえ――――」

「バカが!」


時の魔物はすぐさま時を止める。

ミノルが時の魔物とほぼ手が届く距離で止まってしまった。


「はあ、はあ、びびらせやがって、すぐに逃げ………なんだこれ!」


時の魔物は周りを見るとその異変に気づいた。

既に時の魔物の周りには魔法陣が展開されていた。


「くそっ!これじゃあここから逃げられない!」


予想通り時が止めている間は、全ての現象に干渉することが出来ない。

つまり、物体としてその場にあるものや空気や風も全てが止まっている。

そのため、魔法陣も破壊することは出来ない。


「仕方ない、あいつから距離を取るか」


時の魔物は空中にいるミノルから距離を取り、解除した。


「た!ありゃ?」


ミノルの手は空を切る。

やっぱり予想通り魔法陣を破壊することは不可能。


「はっはっは!触れられるわけないだろ」

「それはどうかな!ワープ!」


俺は再びワープで空中にいる時の魔物の元に向かう。


「くそっ!ならもう1回!」

「させるか!ウォーター!!」


その瞬間、魔法陣が光だしそこから大量の水が放出される。


「何だ、ただの水じゃないか!びびらせやがって!」


今の内に!

俺はその隙に時の魔物に触れようとする。

だが、その瞬間再び時は止められる。


「残念だったな!お前らの作戦なんて所詮こんなもんなんだよ!それじゃあ逃がさせてもらうよ!あば―――痛って、何だ?………まずい」


時を止めた瞬間、周りに水が撒かれていた。

それにより水の檻が出来上がっていて、物体を動かすことが出来ないのでそこから動くことが出来ない。


「や、やられたこの俺が!こんな奴らに!」


時間を止めるのも限度がある。

その時間は後5秒だった。


「くっくそぉぉぉぉぉ!!」


そして時間が再び動きだした。


「よお、逃げないのかよ」

「黙れ!こうなったらお前を殺してやる!」


そう言ってこっちに向かってくる俺を時の魔物は反撃しようとしてくる。


「そうなったらお前の敗けだ」

「何!?」

「タッチュ」


その瞬間、上から落ちてきたミノルが時の魔物の肩に触れる。


「な………なにぃぃぃ!?」

「わたちのことわちゅれちゃ駄目よ」


そして、俺はミノルを抱き抱えて無事に地面に着地する。


「これで、俺達の勝ちだな」


すると、時の魔物が悔しそうに唇を噛む。

噛みすぎて唇から血が出ている。


「早くわたちを元にもどちて!」

「ははは………はははは………あっはははは!!」


何だこいつ、頭おかしくなったのか。


「元に戻すわけないだろ!こんなのただの遊びだよ!」

「なっ!?お前きたねぇぞ!約束をちゃんと守れよ!」

「約束!?知らないなぁ!俺はただ遊ぼうって言っただけだよ!だけど、もうつまらないからお前らを殺すよ」


そう言って指先をこちらに向ける。


「お前らの存在を過去に戻して存在を消してやるよ!俺をバカにした罪を思い知れ!」


くそっ!はなからこいつ元に戻すつもりがなかったのかよ。


「ガァァァァァ!!!」


すると、タイムリーパーが突然雄叫びをあげる。

あの化け物もう回復しやがったのか。


「ははっ!ちょうどいいや、タイムリーパー!こいつを惨殺しろ!」

「グガァァァァ!!」


次の瞬間、時の魔物の肩腕が中に飛ぶ。


「な、何しやがる。お前!!」

「ガァァァ…………」

「っ!?お前、文字盤が壊れ」


あっそういえば俺がインパクトを当てて壊しちまったんだ。


「ウガァァァァ!!」

「っ!!」


時の魔物が時を止める動作をしようとした瞬間、それより早くタイムリーパーは腕を2回振り下ろした。


「………こ、こんな………と、ころ……で」


そんな言葉を残して体が一瞬にしてバラバラになる。


「これで何とかなったのか?」

「何とかなったんですかこれ」


その瞬間、空中で浮かんでいた岩や滝や木などがドンドン落ちていく。

そして、幼くなっていたミノルも元に戻っていった。


「っん……も、元に戻ったー!!」

「ふう、これで一件落着だな」


一段落ついたと思い息を吐いた時、真横に巨大な岩が落ちてくる。


「グガアアアア!!」


うん、まだ一段落つくには早いみたいだ。


「それじゃあ、逃げるぞー!!」


こうして俺たちは落ちていく物を何とか避けながら新たなエリアに向かった。



「へーまさかタイムスを倒すなんて、中々面白いじゃん」



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