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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十五章 ようこそ地獄へ
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その二十 時の化け物

「見つけたぞ」


俺達は岩影に隠れながら時の魔物の姿を捉える。

ちなみに時を操るから時の魔物と呼ぶことにした。

巨大な魔物がぐっすりと眠っている腹の上で、時の魔物は休憩を取るかのように眠っている。


「完全に舐めてやがるな」

「ですが、逆にそれがチャンスですね。とりあえず、あの下で寝てる巨大な魔物を起こさずに近づけるかどうかですが」

「何つー場所で寝てやがるんだ。あいつ食われたりしないのか?」

「どちらにしろ、見つからないように慎重に動き出さないと行けませんよ」


俺達は周りに他の魔物が居ないのを確認して慎重に近づいていく。

今すぐに捕まえたい気持ちを押さえて1歩ずつゆっくりと、慎重に魔物の元に行く。


「よし、大分近づけたな」


巨大な魔物の真横にたどり着いて、一旦停止する。


「それじゃあ俺がワープであいつの元に行くから、もし失敗した時は頼んだぞ」

「分かりました。任せてください」


俺は今1度時の魔物の位置を確認する。

巨大な魔物のちょうど真ん中辺りだな。

俺は行き先に魔法陣を展開する。


「ワープ」


よし、位置はバッチリ!

これなら行ける!

そのまま時の魔物に向かって手を伸ばす。


「うーん………」


その瞬間、時の魔物が寝返りを打った。


「いっ!?」


位置が移動したことでそのまま魔物の腹に衝突してしまった。

さらにバランスが崩れて腹から転げ落ちそうになるが、何とか掴まることが出来た。


「オオオッ?」


まずい!起きちまったか!?

巨大な魔物は腕を動かし、頭を数回掻くとまた寝息が聞こえてきた。


「ふうーあぶねえ。何とか大丈夫みたいだな」


俺はゆっくりと腹に生えてる毛を掴んでよじ登って一番上に着く。

もう時の魔物との距離はかなり近い。

だが、こんな時こそ慎重に近づかなければ行けない。

ここで飛び掛かったりして気付かれたら時を止めて、逃げてしまうだろう。

確実に捕まえるためにもゆっくりと進むしかない。


「かつさん大丈夫ですかね」

「かちゅなら大丈夫でちょ」

「そうですね。かつさんならやってくれますよね………」

「ん?リドリュ?どうちたの?」

「な、何でもないですよ。気にしないでください……っごほっごほっ!」

「リドリュ!?リドリュ!どうちたの!」

「ごほっごほっ!がはっ!」


その瞬間、リドルの口から血が吐き出される。


「リドリュ!?」

「おい、何騒いでるんだあいつらは」


ちゃんと状況を分かってるのか。

下で騒がしくしてたら気づかれるだろ。


「お前何やってんの?」

「っ!?」


時の魔物はいつの間にか目を覚ましていた。

しまった!起きてしまった!

こうなったら一か八か行くしかねえ!

俺は時の魔物に思いっきり突撃した、だが。


「そんなんじゃ、一生捕まえられないよ」


いつの間にか、俺の後ろに移動していた。

くそっ!また時を止めやがったのか。


「それにしても、お前らの仲間が大変なことになってるみたいだな」

「え?リドル達が?」

「お前らあの森を抜けたんだろ?お前は早めに処置して大丈夫そうだけど、あの男は駄目だな」

「それどう言う意味だよ」

「自分の目で確かめた方がいいんじゃない?」


そう言って時の魔物は俺が焦ってるのを嬉しそうに見ている。


「くそっ!覚えてろよ!」


俺はそんな捨て台詞を吐いて、巨大な魔物の腹から飛び降りる。


「リドル!デビ!どうしたんだ!っ!?」


そこには弱々しく倒れているリドルの姿があった。


「リドル!!」


俺はすぐさまリドルの元に向かう。

リドル手には口から吐き出された血がベットリと付いていた。


「おいどうしたんだよ!誰にやられたんだ!」

「分からないの!きちゅいた時にはリドリュが血をはいちぇ苦しみだしちぇ」


リドルの顔色が悪い、真っ青だ。

どうしてこんなことに………まさかっ!


「あの時からなのか?肩に植え付けられた芽からずっとなのか?」

「…………………」

「そうなんだな。何で黙ってたんだよ!」

「迷惑はかけられませんから……うっ!ごほっごほっ!」


かなり苦しそうだ、これ以上無理をさせるわけにはいかない。


「とりあえず、一旦ここから離れよう。ここじゃ危険すぎる」

「ねえねえ、鬼ごっこって事忘れてない?」


その瞬間、時の魔物が巨大な魔物の腹の上に現れる。


「今はお前に構ってる暇はない!どっか行け!」

「そんなこと言っていいの?こんなことをしてる間にも時間はどんどん過ぎていくよ」


こいつ、俺達を挑発してるのか。

だが、今はそんな挑発に乗ってる暇はない。

すぐにこの場から離れてリドルを治さないと。

俺はリドルを担ぎその場から離れようとする。

だがその時の魔物が俺達を呼び止める。


「随分と大変そうだな!だけどさ、鬼ごっこに参加しないのはちょっと残念だ。だからさ、お仕置きしないとね」


すると、時の魔物は巨大な魔物の顔面に移動する。

その魔物の顔は時計のような文字盤が埋め込まれていた。

そしてその文字盤を時の魔物は指差す。


「この魔物は俺の使役してる魔物なんだよね。そして、この魔物の時計の針が12時刺した瞬間、暴走する」

「っ!まさかお前っ!!」

「追いかけるのが嫌なら、次は追いかけられる方に変更だ」

「やめっ!!」


だが、俺達の言葉を気にもせず時の魔物は針を動かした。


「くそっ!早く逃げるぞ!」

「ど、どうちたの?て、え!?」


俺はリドルを担ぎ、その上にミノルを乗せる。


「暴走するんだよ!」


カチッ


「ギャガアアアアア!!」


その瞬間、怒号と共に何かがこちらに近づいて来る。


「くそがぁー!!」


やばいやばいやばい!

こんな状況でこんなやばい魔物に追いかけられるなんて。


「や、やばちわよ!すごく大ちな魔物がきちぇる!!」

「分かってるって!こっちは後ろなんか見てる暇ないんだよ!」


やっぱり2人を担いで走るとスピードが落ちる。

このままじゃ追い付かれるな。

それなら!

俺は魔物を見つけてその方向に走る。

魔物同士で戦わせれば何とか時間稼ぎにはなるはずだ。


「お、おいなんか連れてきたぞ!」

「こ、こっち来んじゃねえ!」


あれ?何かびびってないか?


「ゴギャアアアアア!!」

「ギャアアアアッ!?」


その瞬間、魔物共が一瞬にして細切れにされる。


「おいおい、どんだけ強いんだよ!あのモンスター!」

「いいぞー!もっと暴れろ!タイムリーパー!」


あの魔物予想以上に強い、ここの魔物達じゃ歯が立たない程に。


「このままじゃ死ぬ!こうなったら………ミノル!魔法使えるか!」

「ちゅかえるわ!」

「一瞬でいい!こっちの姿が見えない瞬間を作ってくれ!」

「ガギャアアアアア!!」


タイムリーパーの一撃により空に浮かんでいた岩が落ちていく。

それを何とか避けながら進む。


「ちょっちょ!!もうちょっとおちょくちちぇよ!魔法ちんがちぇんかい出来ないちゃない!」

「無理言うなよ!こっちは避けるので必死なんだぞ!」

「いきゅわよ!ファイヤーウォール!」


その瞬間、炎の壁が突然現れた。


「出かした!今の内に!」


俺はこちらの姿が見えていない隙にスピードをあげてこの場から逃げる。


「グギャアアアッ!ア?」

「姿が見えない。上手く逃げたかまあいいや。鬼ごっこは始まったばっかりだからね」


――――――――――――――――――


「はあ、はあどうやら撒いたみたいだな」


安全を確認してからようやく二人を降ろした。

やっぱり二人を担いで逃げるのは無理があったな。


「がはっごほっ!すみません、僕のせいで。もう大丈夫ですから」

「何言ってんだよ。病人顔しておいて大丈夫な訳ないだろ。安静にしてろって」

「すみません、でも本当に大丈夫ですから」

「無理ちぃないでね。リドリュが死んだら意味ないんちゃから」

「分かってます。ちゃんと分かってますよ」


リドルは自分に言い聞かせるようにそう何度も言った。


「よし、時間がないからとりあえず作戦を決めるぞ」

「どうするんですか。あんな化け物が居るとは聞いてませんよ」


話してる時もリドルは苦しそうだが、それでも表情は平静を保とうとしていた。


「そんなの俺だってそうだよ。でも、別にあいつを倒す必要はない。時の魔物に触れられればいいんだからさ」

「それが大変だから、悩んでるんですけどね」

「…………とりあえず、あいつの能力の詳細を知らなきゃ意味がない。ちょっと試したいことがある。お前らはここで待ってろ」

「かちゅ1人でいきゅの?」

「大丈夫だ。無理はしない」


俺は小石を数個手にもって時の魔物の元に向かう。


「おーい!何処に行ったー!出てこいよー!」


堂々と声をあげて探すなんてナメられたもんだな。

よし、早速試してみるか。

俺は小石を手にもって時の魔物に向かって投げる。


「っ!何だ?石?誰だ!どっかに隠れているのか!」


警戒心が薄い、やっぱり能力が強いだけであいつ自身はそこまでみたいだな。


「見つけたぞ」

「っ!くっ!」


俺の目の前に突如現れた時の魔物に向かって俺はすぐに小石を投げる。


「何処に投げてるんだ?」


時の魔物はいつの間にか後ろにいて小石はそのまま地面に転がっていった。


「なるほどな、そう言うことか」

「どうした?早く俺を捕まえて見ろよ」

「今すぐに捕まえてやるよ」


後でなっ!


「ウィンド!」

「何っ!?」


俺は風に乗ってその場から逃げ出した。


「くそっ逃げやがったか。まあいいや、また探せば」


とりあえず、これで作戦が立てられるな。


「あっかつさんお帰りなさい。何か分かったんですか」

「ああ、これで作戦を立てられる」

「何かさくちぇんがありゅの?」

「ああ、あいつの能力を利用するんだよ」



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