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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十五章 ようこそ地獄へ
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その十四 気づかぬ恐怖

「よし、これからは慎重に進むぞ」

「そうね。まともに戦ったら太刀打ちできないもの」

「魔法も使えませんしね。それにまだ先はありそうですし」


俺達は先程のこともあり洞窟を慎重に進んでいく。


「にしても、この洞窟妙に明るいよな」

「無数の鉱石が光ってる見たいですね。それが明かりの役割を担ってる見たいですね」

「それにしても、何かこの明かり変じゃない」


そう言ってミノルは緑色の光鉱石をじっと見つめる。


「ミノル?」

「何だか……段々気持ちよく……」


すると、ミノルが突然服を脱ぎ始めた。


「ちょっ!?ミノル!バカっ!!」


ローブを脱ぎ上着を脱いで下着も脱ごうとした瞬間俺はミノルの体を揺らし正気に戻す。


「え?ちょっかつ急に何―――ってきゃあっ!!」

「べぶほっ!?」


その瞬間、ミノルは自分が上半身が下着になってるのに気づいて俺は頬をぶっ叩かれ壁に激突する。


「おまっふざけ――――」


その時、ぶつかった壁が巨大な口に変形する。

まずい!


「かつさん!!」


リドルはギリギリで俺の手を掴み引っ張ってくれた。

そのおかげで俺は何とか食われずにすんだ。


「なっ何だったんだ今の」

「どうやら擬態した魔物が至るところに居るのかもしれませんね。よく見ると色も違いますし、あの光も催眠の効果があって、服を脱がして壁に向かって歩かせ補食すると言うことでしょうか」

「え?なに、かつが私の服を脱がしたんじゃなかったの」

「そんなわけねえだろ!たくったすけてくれてありがとなリドル」


俺はリドルに礼を言ってゆっくりと立ち上がる。


「お礼なんて要りませんよ。助け合うのは当たり前ですから。こんな状況ならなおさらです」

「まあ確かに。それじゃあ早くデビを助けに行こうぜ。それとミノルは早く服を着ろ」

「ええ、そうね。ごめんなさいかつ。私てっきり」

「いや、もうそのことは気にしてないから。とにかく早く服を着て、先に進もう」

「でもかつさん、ミノルさんが服を脱ぎ始めている時、じっと見てましたよね」


こいつ!何さらっととんでもないことを!


「かつ、それって」

「ちょっと待て!突然のことで動揺して止められなかっただけで、ていうかお前も見てただろ!」

「いえ、僕は視線を外してましたから」


自分だけ無実を証明しやがって!

その時、ミノルの鋭い視線が俺に突き刺さる。


「ミノル!まじで違うって!」

「はあ、もういいわよ。私も警戒心を持たなかったのが悪いんだし、この話はここでおしまい」


そう言ってミノルは着替えを終えるとそのまま先頭を歩き始める。


「リドル、お前………」

「さっかつさん。進みましょうか」


爽やかな笑みを浮かべて、進んでいく。

リドルの前では変なことしないでおこう。

俺達はさらに警戒を強めて洞窟を進む。

道中モンスターに遭遇しても戦わずに身を隠して何とかやり過ごして奥へと進む。

そして、ついに出口らしき場所を見つけたが。


「まずいな」

「まずいわね」

「まずいですね」


曲がり角から顔を除かせて出口を確認する。

その場所は魔物が2匹待ち構えていた。


「あんなところに居られちゃ外に出られないわ」

「戦闘は避けたいですし、どうしましょうか」

「この洞窟も隠れる場所は少ないしな」


鉱石が出っ張ってる場所はあるが数は少ないので、隠れるのは適していない。

さらに、出口は開けた場所にあるがそこに至るまでの道中は狭い一本道なのでどうしても姿を現すしかない。


「さて、どうしようか」

「隠れていくのは難しそうよね。かといって魔法も使えないし」

「衝突は避けられそうにありませんね。これはどうしましょうか」


戦いはなるべく避けたい、だけど姿を見られずに進むのはほぼ不可能。

この状況で1番最適な方法を考えていると、横でガリガリと音が聞こえる。

その方を振り向くとリドルが鉱石を取り除いていた。


「何やってんだ」

「使えるものは使おうと思いまして」


そう言いながら鉱石を2個取り除いた。

淡く光緑色の明かりを目に当てないように注意して、それを手に取った。

俺は出口をもう1度確認して再び手に持っている鉱石を見る。


「なあ、俺にいい考えがあるんだけど」


―――――――――――――――――――――

「ん?何だ、誰か手を振ってないか?」

「侵入者か?そういえば、洞窟内がやけに騒がしかったな」

「なあ、あいつ何か投げようとしてないか?」

「確かに何か構えてやがるな」

「ウィンド!」

「「っ!?」」


俺は鉱石を風に乗せて思いっきりぶん投げた。

それにより、超高速の鉱石が1匹の魔物を襲った。


「うがああああっ!!」


悲痛な叫び声をあげながら右目に刺さった鉱石を引き抜こうともがく。


「ガク!どうしたガク!」

「貴様!何し――――っ!」


俺は瞬きする間にもう1匹の魔物に近づいた。

そして、来ていたローブをその魔物の顔に被せた。


「なっ!何だ!!」

「リドル!ミノル!」

「「せーのっ!!」」


リドルとミノルはその魔物を突き飛ばす。

それにより、魔物は壁に激突する。


「くっくそっ!なにしやがっ――――っ!?や、やめっ!」


顔にかかったローブを取った瞬間、壁から大きく口が開かれ魔物はそれに襲われる。

そして、そこには魔物の血しか残らなかった。


「今の内だ!行くぞ!!」


俺達はその隙に出口に向かって全力で走っていく。


「作戦成功して良かったわね」

「それにしても、よくあの壁が魔物だと分かりましたね」

「リドルが言ってただろ。よく見ると壁の色が違うって」

「なるほどね。それであの壁が魔物だって分かったのね」

「そういうことだ。ほらっもうすぐ出口だぞ」


薄暗い洞窟の先から光が漏れ出ていた。

その方向に必死に走っていくと、そこには新たな世界が広がっていた。


「これが地獄の中の地獄」

「広いですね。下手したら僕達の島くらいありますよ」

「こんな広いのに制限時間は24時間しかないって無謀すぎるわ」

「それでも、俺達は行かなきゃ行けないんだ。出来なきゃ死ぬだけだしな」

「にしても、ずいぶん高いところに出ましたね」


洞窟は崖の上だったらしく、全体を見渡すのには最適だったが、降りるのが大変だ。


「これ下どうやって降りるか」

「迂回していく?一応こっちからなら安全に降りられそうだけど」


ミノルは横に続いている道を指差すが俺はそれに賛同は出来なかった。


「いや、それだと時間がかかりすぎる。ここは危険だけど直接降りた方がいい」

「そうね。少しでも時間短縮した方がいいわよね。それじゃあそうしましょう」


ミノルは早速崖を降りようと下を見る。


「え?もしかして、このまま下に落ちるつもりですか?」

「え?そのつもりだけど………」

「あまりにも危険すぎますよ。足場は凸凹してますし、そのまま行くと必ず怪我をしますよ」

「分かったわよ。リドルがそこまで言うならやめるわ」

「グオオオオッ!!」

「きゃっ!?」


空から巨大な魔物が砲口をあげた瞬間、ミノルは驚きのあまり足を滑らせてしまう。


「ミノル!!」


俺は崖から落ちていくミノルを助けるために崖から飛び降りる。


「かつさん!?ああ、もうっ!」


背後からリドルのそんな声が聞こえてきた。

俺達は崖から落ちていった。



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