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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十五章 ようこそ地獄へ
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その八 ファン

「む、娘ってネゴシさんの!?」

「ああ!そうだぞ!」


そう言ってシンラ様の肩に手を置く。

あんなに馴れ馴れしくしてるってことは本当なのか?


「お、驚きました。まさかシンラ様のお父様だとは」

「はっはっは!確かに言ってなかったからな!驚くのも無理はない!いつもシンラには迎えに来てもらってるんだ!」

「お父様、迎えに来ているのではなく注意しに来てるのですよ。この山は危険と何度も注意してるでしょ」


お父様って言ってる、まじでそうなんだな。

その時、氷の壁を叩く音が聞こえる。


「うわっ!?何だ!」

「ウキッ!ウキッ!!」


氷の壁を破壊しようと引っ掻いたり叩いたりする音が聞こえる。

あいつらまだ諦めてなかったのか。


「これ、大丈夫なのか?穴空けられないか?」

「大丈夫よ」


シンラ様ではなく、ミノルが俺の質問に答える。

すると、ミノルが数回氷の壁を叩く。


「これ程の強度と厚さ、私でも出来ないわ」

「氷魔法が得意なミノルでもか?」

「ええ、流石はシンラ様です。氷魔法が得意なんですね」

「いいえ、私の得意魔法は全てですよ」


そんな、すごいことを平然と話した。


「え?全部って全部ってことですか?」

「ええ、私以外の王の方達もですよ。それに、あなた方が戦った黒の魔法使いのクラガもそうです」

「クラガも!?あいつも全部が得意魔法だったのか」


オリジナル魔法を使ってる所しか見てなかったから、気付かなかったな。


「得意魔法は生まれつきの物と思われがちですが、ある程度の鍛練を積めば他の魔法も得意にすることが出来ます」

「そうなんですか、シンラ様は生まれつきか修業どっちなんですか?」

「私は鍛練して全てを得意になりました。最初は風の魔法だけでしたけど。日々鍛練を怠らずにすればあなた達も出来ますよ」


口ではああ言ってるけど、地獄ような鍛練と練習量による賜物なんだろうな。

俺達が今からやったところで何十年かかることやら。


「話は終わったか!」


そう言うとネゴシさんは果物を手にしていた。


「え?これって………」

「マネギアルだ!話が長かったから取ってきたぞ!ほら、お前らにもやる!」


そう言って3人分のマネギアルを渡してくれた。


「ありがとうございます。これで、目標は達成ですねかつさん」

「そうだな」

「それじゃあ、もうここには用はないのですね。それでは一旦ここから離れましょう」


その瞬間、氷の壁が解かれる。


「っ!?シンラ様!?」

「ウキー!」


攻撃出来ると分かった瞬間、一斉に攻撃してくる。

まずい!殺される!


「いきますよ、テレポート」

「…………っ!?」


気づくと俺達はサル山から脱出していた。


「………ここは?」

「私のお城の中です。どうぞゆっくりしていってください」


巨大樹の中に作られた城はいびつな形をしていて、不思議な感覚になる。

ここが木の中何て信じられないな。


「お茶をお持ちいたしましたよ。口に合うと良いのですが」


そう言って机の上にカップを置いていく。

ティーカップに緑茶を入れるなんて、俺にとっては斬新だな。

するとミノルはそのティーカップを手に取らずに、申し訳無さそうに口を開く。


「あのう、私達すぐに行かなくちゃ行けなくて」

「そうなんですか?残念ですね、あなた達の事は興味がありましたから。ゆっくりとお話したかったんですが」

「あなた達?かつさんだけではなくて?」

「そうです、何故ならここ最近の騒動の渦中にはいつもあなた方の存在がありますから」


そう言って机の上に大量の新聞を並べる。

俺達は思わず椅子に座り、新聞を見る。


「ドリー盗賊団壊滅、功労者は絶対かつとその仲間たち」

「ガルアの妹、かつとその仲間たちによって発見される!」

「またもや大活躍!かつパーティー破滅の洞窟でフロアボス撃破!」


それは俺達が今までやって来たことが記事になっていた。

いつの間に記事になっていたのか。

ていうか誰が撮ってるんだよこれ。


「これって………」

「あなた方の活躍を切り抜いて保存していたんです。私、あなた方のファンなので」


そう言って優しく微笑む。


「特にこれはお気に入りですね」


そう言って、ムラキの結婚をぶち壊した記事を嬉しそうに手に取る。


「ああ、それですか。私はあまりいい思い出では無いですけどね」

「まあ、ミノルからしたら辛い時期だったしな」


すると、リドルがある記事をじっと見る。

あの記事って…………


「それで、1つ聞きたいことがあるのですが」

「え?なんですか?」


はっとしてすぐに視線をシンラ様の方に戻す。

今は別にいいか。


「デビさんは今何処に居るのでしょうか?彼女には特に興味があるのですが」


そう言ってデビを探すシンラに俺達は少し戸惑ったが、経緯を説明することにした。


「なるほど、あちらの事情は分かりませんが。この世界で悪魔と言うことがバレてしまったことで、デビさんは連れ去られてしまったと私は思うのですが」

「俺達は違うと思ってる。もちろんその可能性もあると思うけど、もしそうだとしたら一言俺達に言うはずだ。何も言わずに行くのは………」

「デビさんらしくないと。なるほど、それならそうなのでしょうね」


そう言って新聞を片付けると近くに居た人に渡した。


「私も協力したいですが、あいにくあなた方の望む情報は持っていません。申し訳ありません」

「そんな!謝らないでくださいよ!」

「ガルアも持ってなかったし、地獄の情報は持ってないのが普通ですから」

「それでは、僕達はそろそろ行きます。マネギアルありがとうございました。ネゴシさんにも改めて感謝していますとお伝えください」

「ええ、伝えるわ」


そう言ってリドルは頭を下げると席を立った。

俺も行こうとした時、あることに気づいて周りを見渡す。


「そういえば、他の十二魔道士は何処に居るんですか?」

「ピンカとイナミは外出中です。それに今はもう十二魔道士ではありませんよ」

「ああ、そう言えばそうでしたね。それじゃあ、ありがとうございました」


俺達はお礼を言うとマネギアルを手にしてその場から去った。


「ふふっますます面白くなってきましたね」


――――――――――――――――――――

俺達は城を出てこれからどうするか、ウォームウッズの魔法協会でご飯を食べながら考えていた。


「とりあえず、マネギアルを入手しましたし、これからどうしますか」

「悩み所よね。デビの居場所が確定的じゃないし、本当に地獄に居るのかも分からないしね」

「確かにな、でもそれなら何処にいるかって話だ」

「それを言ってしまったら何も分からないですよ。現状はマネギアルを入手しただけ、これも使わない可能性もありますから、事実上進展0です」


俺はデビが置いていった本を取り出す。

中を見ても特に手がかりと言えるものがなかった。


「にしても、このサラダうまいですね。素材の味をそれ以上に引き出していますし、これどうやって作ったんでしょう。おかわりお願いします」


そう言って、珍しくリドルはおかわりをした。


「そんなに美味しいのか?」

「食べてみます?」


リドルに勧められて俺はトマトを1つ食べた。


「うん!上手い!トマトなのに甘いなこれ!」

「私も1ついい?」

「いいですよ」


ミノルもトマトを1つ取る。


「うん!美味しい!」

「ここは本当に自然豊かな町なんですね」

「デビちゃんにも食べさせてあげたかったわね」

「そうだな………なあ、サキトに話を聞かないか?」

「サキト?何で?」

「だってサキトは情報屋だろ?もしかしたら、何か情報を持ってる可能性があるんじゃないか?」


俺はそう言ってサラダを食べる。


「確かにそうね。でも、サキトって今何処に居るの?島王選以降会ってないのよね」


そう言ってサラダを食べる。


「え?島王選で会ってたのか?」


そう言ってサラダを食べる。


「あれ?言ってなかったっけ?観客席で一緒になったのよ。ねえ、リドル」

「そうですね。それよりも、僕のサラダ勝手に食べないでください」

「「あっ」」


リドルの頼んだサラダは既になくなっていた。


その頃サキトは―――――――


「ほ、本当にこんなところに居るの?」


太陽の当たらない闇の道をカビットとサキトは歩く。

カビットは少し怯えながら進むが、サキトは既にこの道を熟知しているので、意気揚々と進んでいく。


「ああ、俺の情報は間違いない。正規ルートじゃなくて裏ルートで情報収集するとたまにこう言うのと知り合うんだよ」


地下深くのその場所はかつ達の活躍により破壊された地下とは別の場所、ウォームウッズの裏側だ。


「さあ、この先に居るぞ。鍵職人が」



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