表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十五章 ようこそ地獄へ
363/827

その七 関係性

「よっしゃあ!諸君ら、準備は出来たか!」

「ま、まじでこれで行くんですか!」


俺達は巨大な伸縮するゴムに背を預け、飛ぶ準備をして居た。


「ああ!まじで行くぞ!」

「これは、身の危険を感じますね」

「これって安全性大丈夫なの!?」

「大丈夫だ!その証拠に俺が生きているからな!」

「それさっきも言ってたけど信じられないんだけど!!」


すると、ネゴシさんはあらかじめゴムに付けておいたロープを巨大な岩にくくりつける。


「なに、やってるんですか?」

「この岩を使ってゴムを伸ばすのさ!」


そういうと、ネゴシさんはその巨大な岩を思いっきり押した。

すると、岩が少しづつ動き出す。


「すごいわね。あの大きな岩を動かすなんて」

「よく見ればかなり体格がしっかりしていますね。本当に日頃からこういうやり方をしてるみたいですね」


かなり古典的なやり方ではあるが、確かに体も鍛えられてマネギアルも取れて一石二鳥かもしれない。


「手伝いますよ!」


俺はすぐにネゴシさんの元に行き岩を押す。


「おお!すまねぇな!助かるぞ!」

「……ミノルさん、覚悟を決めましょう」

「そうね。いつまでも文句ばっかり言ってられないわよね。デビちゃんを助けるためにも」


ミノルとリドルは覚悟を決めてゴムに背を預ける。


「えっと、この穴に入れれば良いんですか?」

「ああ、そうだ!そうすればゴムが伸びぶっ飛べるぞ!」

「この穴ってもしかしてネゴシさんが掘ったんですか?」

「もちろんだ!スコップで掘りまくったぞ!」


俺は穴のそこを見る。

かなり掘ってるな、深さはおそらく五メートルを越えてるぞ。

この人、色々ぶっ飛んでるな。


「よいっしょっと!」


穴の中に岩を入れた瞬間、ゴムが勢いよく伸びる。

それによりゴムを結んである木がミシミシと音を立てる。

これ、何回と使ってるって言ってたけど壊れたりしないよな。


「よし!準備完了だ!行くぞ!」


ネゴシさんは躊躇う事なくゴムに背を預ける。

ミノル達も覚悟を決めたようだ、緊張した面持ちですでにゴムに背中を預けていた。

俺も覚悟を決めるしかないな。

俺はすぐにゴムに背を預ける。


「よっしゃあ!行くぞ!準備は良いか!」

「「「はい!!!」」」

「いい返事だぞ諸君!それじゃあ、レッツぶっ飛びだ!」


ネゴシさんが尖った石でロープを切った瞬間、風を切るようなスピードで遠くに見えるサル山まで、吹っ飛んでいった。


「―――――っ!」


すごいスピードだ!

目も開けるのがきつい!


「見えてきたぞ!!」


ネゴシさんの行った通りもう目の前まで来ていた。


「このまま一気に行くぞ!!」


そう思っていたが、次第にそのスピードは落ちていき。


「あれ?ちょ、ちょっと待て!これ、落ちてないかー!!」


その瞬間、俺達は失速して頂点にたどり着くことなく、落ちていった。


「ぎゃあああ!」

「まずいっ!ラノストーム!」


リドルの魔法により何とか直撃を避けることが出来た。

風がゆっくりと俺達を地面に着地させてくれた。


「はあ、はあ、何でいつもこんな経験しなきゃいけないんだ」

「ネゴシさん、聞いてた話した違うんですけど」

「もしかすると、人数が増えたからスピードが落ちたかもな!すまない!」

「なるほど、そういうことですか」

「おい、リドル何でお前は冷静でいられるんだ」

「そう言われても、焦ったところでこの状況を変えられないからですよ」


そう、現在俺達は頂点に到達することが出来ず、その中間辺りに落ちてしまった。

そして、そのお陰で既にもう囲まれてしまってるからだ。


「ウキー!ウキー!」

「ウギャウギャ!」


周りを取り囲んでるカチキザルが俺達に向かって威嚇してくる。

これは最悪の状況だな。


「あっという間に囲まれちゃったわね」

「そうですね。しかも、かなりの数ですよ」

「ネゴシさん、これ何匹くらい居るの?」

「カチキザルは繁殖能力が凄まじいからな!ざっと500匹以上居るだろうな!」

「ごひゃっ!?嘘だろ!」


この山にそんな沢山のカチキザルが居るのかよ。

まさにサル山だな。


「とにかく、この状況はとてもまずいです。早く逃げましょう!」

「そうだな。早くテレポートで逃げよう!ミノル!」

「そうね、テレポ――――」

「ウキャー!!」


その瞬間、カチキザルが一斉に襲いかかってきた。


「なっ!?」


まずい!

俺はすぐに魔法を撃つ準備をする。


「インパクト!」

「ウギャァ!」


その瞬間、目の前のカチキザルが吹き飛ばされる。


「逃げるぞ!!」


道が出来たことで俺達は一目散に逃げ出す。


「ウキャキャウキャキャ!」

「まずいですよこれ!何処を見てもカチキザルだらけです!」

「それどころか、以上にタフネスよ!」


魔法を何発も当てているのに、カチキザルは恐れずに向かってくる。

数といい厄介なモンスターだな。


「ていうか、こいつら俺達の魔法を知ってるんじゃないか!」


そう、ミノルがテレポートを使おうとした瞬間、カチキザルは襲いかかってきた。

もしかしたら、魔法を使おうとしてるのを分かっているのかもしれない。


「はっはっは!カチキザルは怒ると見境なく攻撃してくるからな!おまけに獰猛なうえ、何度も攻撃されても立ち向かっていく精神力もある!更に生命力も凄まじく、1ヶ月何も食わなくても生きていけるぞ!!」

「カチキザルの生態の説明ありがとうございました!絶望度が増しただけだけどな!」

「ウキャッ!」


その時、目の前に大柄のカチキザルが現れる。

しまった!油断してた!


「プリズンフリーズ!」

「う………き……」


瞬間的に氷の魔法が放たれ目の前でカチキザルが凍りつく。


「ミノル、ありが―――」

「ぼーっとしてないで早く行くわよ!」


感謝を伝える暇もなく俺はすぐに走り出した。


「このまま上を目指しますか!」

「いや、それは無理だろ!さすがに数が多すぎる!」

「そのうえ、強いしね!」


俺達は何とかカチキザルの攻撃を受けないようにしているが、数が多すぎて防御で精一杯だ。

そして、こちらが劣性になってる理由はもうひとつある。


「いいぞ!少年少女諸君!頑張ってくれ!」

「ネゴシさんも手伝ってください!」

「俺は魔法が使えないんだ!よくわからなくてな!」

「よく分からないってどういう意味だよ!くそっ!」


ネゴシさんを庇いながらだと余計にきつい。

このままじゃやられる。

魔力も使いきるわけにはいかないし、それに何よりテレポートが出来なくなったら終わる。


「ここは一旦逃げましょう!これ以上は無理です!」

「逃げたいのは山々なんだけど、攻撃が激しすぎてテレポートが出来ないの!」

「ウキャァ!!」


いくら攻撃してもいくら吹き飛ばしても攻撃がやまない。

減ってるのかすらも分からない。

こんな状況じゃ死ぬ。


「リドル!ロックタワーで俺達を上に運べるか!」

「出来ます!」

「よし、ミノルはカチキザルの攻撃が止んだ瞬間、テレポートをしてくれ!」

「分かったわ!」

「おっ!いい案が浮かんだみたいだな!」

「ネゴシさんは勝手に動かないで!」

「いいだろう!動かないでおこう!」


そう言ってその場で動きを止める。

本当に切り替えがすごいな。


「よし!リドル、今だ!」

「ロックタワー!」


その瞬間、岩の塔が俺達を上空に連れていく。


「よし、今の内にテレポートをしよう!」

「了解!テレポ―――――きゃっ!」


その時、岩の塔が大きく揺れる。


「な、何だ!?」

「どうやら下でカチキザルが攻撃をしているみたいです!」


下を見るとカチキザルが塔を破壊しようと攻撃をしている。


「うわっ!?これ、崩れるわよ!」

「まずいですよ!ミノルさん、早くテレポートを!」

「分かってるわ!でも、こんな揺れてちゃテレポート何て、出来ないわよ!」


その時、塔が思いっきり崩れた。

それにより、俺達はまっ逆さまに落ちていく。


「また落ちるのかよーー!」

「待ってください!今、魔法を―――あがっ!」


その時、リドルの方から鈍い音が聞こえた。


「リドル?おい、リドル!」

「気絶してるわね………」

「まじかよー!!」


風が得意魔法のリドルが気絶してしまったため、風の魔法を使えるのはミノルしかいない。


「ミノル!風の魔法で俺達を下に落とさないようにしてくれ!」

「分かったわ!ラノストーム!」


その瞬間、風の勢いにより俺達が吹き飛ばされた。


「てっやりすぎだろー!!」

「ごめんっ!焦って加減間違えちゃったわ!」

「はっはっは!!いいぞ、このまま頂点を目指そう!」

「ウキャッ!」


今度は、カチキザルが俺達に向かって岩を投げてくる。


「くっ!あいつらどんだけだよ!」

「そろそろ落ちるわよ!ストーム!」


先程よりも威力を下げることで何とか無事に地面に着地できた。


「おい、リドル起きろ!気絶してるなよ!」


俺はリドルの頬を叩き何とか起こそうとする。


「え?あっすいません。気絶してました」


頭からは少しだけ血が出ている。

頭を強く岩に打ち付けたらしい。


「よかった。無事みたいで安心したわ」

「少年少女諸君!見ろ!無事に到着できたぞ!」


そう言ってマネギアルが生っている木を指差す。

結果的にミノルの魔法が何とか来れたか。


「あれが、マネギアルか」

「結果オーライね。とりあえず、早く取って帰りま―――」

「ウキー!!」


先程よりも甲高い声が山に響き渡る。


「やばい、これ」

「相当怒ってますね」


カチキザルが続々と集合してきている。

そして、集まったカチキザルの顔はどれも鬼の形相だ。


「はっはっは!これが俗言う絶体絶命だな!」

「何でそんな余裕そうなんだよ!」

「何故って!それはもうすぐ分かるはずだ!」

「え?何言って……………」

「ウッッキーーー!」


多くのカチキザルが一斉にこちらに攻撃をして来た。

ここまでか!


「くっそー!!」

「ラノストーム」

「っ!?」


その瞬間、迫ってきていたカチキザルが全て吹き飛ばされる。

それほどの暴風が起きたのにもかかわらず、俺達の方には一切風が吹かなかった。


「な、何だ今の」

「ははっ!来たみたいだな!」

「来たって……」

「かつ上!」


上を見るとそこにはこの町の王、シンラの姿があった。

風の魔法で空中を飛んでるのか?


「シンラ様ですか?何でこんなところに……」

「ヴーーウキーー!」

「静かにしてください、お猿さんたち」


静かに、そして圧の籠った言葉にカチキザルが動揺する。

あの獰猛なカチキザルが怯むなんて。


「お猿さん達には危害を及ぼさないつもりです。獰猛ですが、自然を破壊することなく人々に危害を与えるわけもなく住みかさえあれば、大人しくしているお猿さん達を尊重して来ましたが、この方達を傷つけると言うのなら容赦はしませんよ」

「ウッ………ウッキー!」


シンラ様の笑顔がすごい怖いんだけど。

でも、カチキザルもまだ襲う気満々なのがすごいな。


「そうですか、なら少しだけ大人しくしていてください」


すると、地面に巨大な魔法陣が浮かび上がる。


「アイスドーム」

「っ!?」


その瞬間、巨大な氷の壁が俺達を包み込む。


「これで、安心ですね」


そう言っていつの間にかシンラ様は地面に足をつけていた。


「あのシンラ様何でこんな所に」

「それは………」

「シンラ!よく来てくれたな!」


そう言って馴れ馴れしくシンラ様にネゴシさんが近づく。

おいおい、このおじさん怖いもの知らずか!

リドルは慌ててネゴシさんに耳打ちする。


「ネゴシさん、相手はこの町の王ですよ。言葉には気を付けた方が……」

「ん?知ってるぞ、それくらい!だってこいつは俺の娘だからな!」

「え?」

「「「ええええええ!!?」」」


まさかの衝撃事実に俺達は開いた口が塞がらなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ