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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十五章 ようこそ地獄へ
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その五 マネギアル

「デビー!何処だー!何処いったー!」

「ベッドの下になんか居るわけ無いでしょ」


俺達は突如姿を消したデビを捜索していた。


「部屋には居ないみたいですね」

「家中探してもいないとなると。もしかして、何処か出掛けに行っちゃったんじゃないかしら」

「出掛けるって俺達に内緒でか?」


デビの性格からして無断で出掛けることは考えにくい。

あいつは何だかんだ行って常に一緒に行動したがるやつだ。


「おそらく何か言えないような事が起きたんじゃ無いですか?」

「それってどういう………リドルその手に持ってるのって」


リドルの手にはデビが肌身離さず持っていた本がそこにはあった。


「部屋の中にあるのを発見したんです」

「何でこの本が………デビちゃんが置いていったって事?」

「あのデビが?何処に行っても持っていってたあのデビが、置いていくと思うか?」

「うーん、そう言われると無いわね」


その時、本から1枚の小さな紙がヒラヒラと落ちた。


「ん?何だこの紙っ!?」

「どうしたんですか?」

「何が書いてあったの?」


俺が見ていた紙を2人は覗き込むようにして見る。


「っ!さよなら………これって」

「間違いないな。デビは出て行ったんじゃなくて、誰かに連れ去られたんだ」

「デビさんがこんなメモを残すなんておかしいです」

「そうね。デビちゃんなら必ず私達に一言残すわ」


おそらくこれはデビが自分から別れる事を決断したと見せかけるもの。


「でも、誰なんだ?一体誰がデビを………」

「デビちゃんは悪魔だからそこらの魔法使いに何か遅れを取らないわ」

「となると、残りは1つしかありませんね」

「ラルダか………」


その言葉に2人は頷く。


「僕達が知ってる中でデビさんを簡単に連れ去れるのはその人しかいません」

「でも、黒の魔法使いの計画は潰れたんでしょ?なのに何でまたデビちゃんを利用しようとしてるのかしら」

「もしかしたら、黒の魔法使いとは関係が無いのかもしれねぇな」

「関係がない?つまり、彼独自の判断と言うことでしょうか?」

「まあ、何を考えてるのか分からないけど多分黒の魔法使いは関係ないだろ」

「そうなると、自ずと行き先も分かってきますね」

「地獄か…………」


その事実に気づいた時、嫌な予感が頭をよぎった。


「もしかしたら、デビちゃんもう帰って来ないかもしれないわね」

「本を置いて行ったのもそう言うことかもしれません」

「でも、それはデビの本心じゃない」

「そうね。なら、私達がするべき事は1つしか無いわね」


俺達は互いに顔を合わせて、一斉に口を開く。


「「「デビ(さん)(ちゃん)を助けに行こう!」」」


――――――――――――


「地獄に行きたい?」

「ああ、何とかならないか?ガルア」


俺達は地獄に行くために何か知ってそうなガルアの所に来ていた。

俺の質問にガルアは気難しそうな顔をする。


「そう言われてもな。そのために仲間揃って俺のところに来たのか?見たところデビが居ないけど、何か合ったってことか?」

「はい、朝起きたらデビちゃんが姿を消してて本にこのメモが残されてて」


そう言ってミノルは例のメモをガルアに渡す。


「ふぅん………さよならか。お前らは誰かに連れ去られたって思ってることだよな。このメモはフェイクでまるでデビが自ら居なくなったと思わせるためだと」

「まあ、そうだな。デビがそんなメモを残すわけないし、デビを連れ去れるのってラルダ位しか居ないし」

「なるほどな。でも、俺もデビ位なら連れ去ることくらい出来るぞ?」


そう言って不適な笑みを浮かべる。

ガルアがデビを連れ去った?

そんなこと、あるわけがないよな。


「はははっ!冗談だよ!そんな怖い顔すんなって」


そう言って俺の背中を叩く。


「そ、そうだよな!それくらい分かってるって」


まじか、俺そんな顔してたのか。

気を引き締めないとな。


「お前らには色々世話になったからな。助けになりたいが、あいにくあの日以降地獄のゲートを確認できていない。つまり、ゲートは完全に閉じちまったって事だ。それ以外の方法で地獄に行く方法は現状ない」

「つまり、地獄には行けないと言う事ですか?」

「まあ、そう言うことだ。そもそも、地獄に行ける方法を見つけたとしても、入ることは不可能だぞ。前にも言ったが地獄に指先1つでも入った瞬間、体がボンっ!と弾け飛ぶ。俺はおすすめはしないな」


ガルアの言う通りだ。

地獄に入ること自体俺達は難しい。

何か……何か良い方法はないのか?


「そんな難しく考えるなよ。そのデビが帰ってくる来ないもお前らの推察だろ?もしかしたら、ひょこっと普通に帰ってくるかもしれないぞ」

「まあ、その可能性もあるけど、でも何か嫌な予感がするんだよ」

「まあ、俺から言えるのはこれくらいだ。お前らの仲間が戻ってくるのを祈ってるよ」

「ありがとな、ガルア」


俺達は話を終えて、部屋を出る。

結局有益な情報は得られなかったな。


「とりあえず、これからどうしましょうか?」

「そうだな。手がかりが無いんじゃ動きようが――――」

「かつお兄ちゃん!!」


声のする方を見ると可愛らしい小さい女の子が走ってくる。


「ラミア!あれ?またちょっと背が伸びたか?」

「本当ですか?嬉しいです!あっこんにちはリドルさん、ミノルさん」


そう言ってキチンとお辞儀する。

それに対して、ミノルとリドルも深く頭を下げる。


「こんにちはラミア様、今日もお元気そうで何よりです」

「そんな、ラミア様なんてやめてください。私の命の恩人なんですから。ラミアで良いです。リドルさんも」

「そうですか?なら、お言葉に甘えちゃおうかしら。私もミノルで良いわよ」

「僕も呼び捨てて結構です」

「分かりました!それで、本日はどんなご用で来たんですか?」

「実は………」


俺はここまでの経緯をラミアに説明した。


「そんな、デビが居なくなってしまったんですか!?」

「ああ、だから地獄に行こうと思ってるんだけどその方法が分からなくて」

「なるほど、私でよければお役に立ちたかったんですけど、地獄の行き方は私自身も知らなくて」

「やっぱり知らないか。俺達も分からなくて今八方塞がりなんだよ」

「あっでも、地獄の入り口の見つけ方は分からないですけど、入り方なら知ってます!ちょっと待っててください!」


そう言ってラミアは大急ぎで行ってしまった。

そして、数分過ぎた頃に何か大きな本を持って戻ってきた。

ラミアはページをペラペラと捲ると、必死に何かを探している。


「えっと、ですね確かここら辺に………あっ合った!これを見てください!」


そう言ってあるページを指差す。

それは何かの果物が書かれていた。


「これが何なんだ?」

「この果物は主にドMポーションに使われているマネギアルという果物で、食べるとマナを受け付けなくなるものなんです」

「マナを受け付けなくなる?それは非常に興味深いですね」

「はい、何でそうなるかはまだ解明できていませんが、これなら地獄に入っても安全だと思います。体に害はありませんし、しばらくすれば直りますから」

「なるほどな、これなら地獄に入ってもマナを体内に入れないから、魔力暴走を起こす心配もないって訳か」


入るとなるとたしかにこの果実は手に入れておきたい。


「確かにそれ良いわね。ラミア、それ何処で取れるの?」

「えっと、確かサル山と言うところで取れます」

「サル山?それってどこら辺だ?」

「ウォームウッズの近くに確か合ったと思います」


ウォームウッズ、確か自然豊かな町だと聞いてたな。

そういえば、まだ行ったことがなかったな。


「よし、先ずはそのマネギアルを取りに行くか。ありがとな、ラミア助かったよ」

「これくらいしか出来ませんから。それに早くデビに帰ってきてほしいので」

「安心しろよ。すぐに連れ戻してくるから」


ウォームウッズか、先ずはそこから動き始めるか。



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