プロローグ 王の会議
「ハイト、ちょっと言いか?」
「はい、何でしょう」
外は暗く城の灯りもほんの少し灯されている中、ガルアはハイトを城の地下に連れ出した。
「お前にはこの島の監視を任せていたな」
「はい……今後も継続していくつもりですが」
「いや、もうやめていい。やる必要は無くなった」
「どういうことですか?」
ハイトは納得できないのか、理由を聞く。
「お前は別の場所を監視して欲しい」
そう言うとガルアは監視のスイッチを切り替えた。
すると、映像が見たことのない監獄に切り替わる。
「ここはどこですか?」
「この島より深い所にある。深海の監獄だ」
「深海の監獄?どういうことですか?なぜ深海に監獄が―――――」
すると、ガルアはハイトの肩に手を置く。
「お前はなにも考えなくていい。ここから誰かが出たら俺に報告しろ」
「……はい」
ハイトは何も言えなくなりただ返事をすることしか出来なかった。
ガルアは満足げに頷くと肩から手を離す。
「それじゃあ、俺は重要な会議があるから行くわ」
「分かりました」
「城の事は頼んだぞ」
そう言ってガルアはテレポートでその場から消えた。
「俺は………このままでいいのか?」
――――――――――――――――――――
「よしっ着いた着いた」
地下深くにあるこの場所は最重要の会議の時しか使われない。
テレポートでしか行くことが出来ず、場所を知らなければテレポートすることは不可能なので、この部屋は王しか入ることは出来ない。
そして、ガルアは部屋の扉を開ける。
「…………………………」
その部屋の空気は重苦しく常人では耐えられないほど威圧感が部屋に充満している。
「遅かったな、待ちくたびれたぜ」
「すまねぇな。ちょっと色々あってなそれじゃあ始めるか。王の会議を」
ガルアは椅子に座り会議の進行を始める。
すると、ミュウラ突然手を上げる。
「ん?どうした、何か気になることでもあるのか?」
「実は私達で話し合って決めたことがあるの」
「話し合い?俺抜きでか?」
ガルアが不服そうに告げると、弁解するようにカノエが口を挟む。
「お前抜きで進めた方が良い話し合いだ」
「それにより私達は今後王の権利を辞退します」
その言葉にガルアの表情が変わる。
「つまり、お前らはこの島の王にはなるつもりはないってことか?」
「そう言うことだ。俺達は今回のことで理解したことがある」
「何だ、風間言ってみろ」
風間はガルアに鋭い視線を向けられながらも、冷静な口調で答える。
「俺達はこの島よりも自分の町が好きって事をだ」
「ああ、正直言って島の王なんかよりも自分の町の王で十分と思っちまってよ。それに、島の王になったところで平等に接せなくなると思うからよ」
王たちの意見を聞いてガルアは一呼吸おいてから緊張を解く。
「まっ別に俺は構わないし、そもそもそれ事態お前らの為に作ったものだしな。お前らがもう必要ないって言うんなら無しにしようぜ」
すると、ガルアは皆の顔を見渡す。
「ふっよし、それなら今後は島王選は開催しないことにする!それでいいんだよな」
再び皆の顔を見渡した。
皆納得しているのかまっすぐガルアを見る。
「まっ島の奴らが納得するかどうかは別として、俺が島の王として不甲斐ないってことになったら、島王選以外の方法で島の王を選ぶことにすればいいか」
「私はそれで構いませんよ」
「ああ、俺様も文句ねぇ!」
「じゃあ、ついでに十二魔道士も解散にするか」
「「「っ!?」」」
その言葉にガルア以外の王が表情を曇らせる。
「な、何故ですの?わざわざ解散すべきことではなくはないです?」
「島王選を無くすなら十二魔道士何て必要ないだろ。なぁに肩書きと制度を無くすだけだ。側に置いときたいんだったら置いといていいし、もう必要ないなら解雇すればいい。各々に任せる」
「ガハハハっ!そう言うことならいいぜ!」
「私もそれなら賛成です。争いはもうやめるべきですから」
皆納得したのか安心して席に座り直す。
「さてと、てことは結果はこれでいいんだよな」
「ええ、もちろん。意義はありませんわ」
すると、ガルアが不適な笑みを浮かべる。
「にしてもどうしていきなり島の王の継承権を辞退したんだ」
「さっき説明しただろ。俺達は自分の町が好きで島の王には興味なくなったって」
「風間は黙ってろ。他の奴らに聞いてるんだから」
「っ!?何?」
風間は慌てて周りを見渡す。
それは自分以外に何かを知っている表情だった。
ガルアはもう一度問う、今度は風間以外に向けて。
「でっ本当のところはどうなんだ?」
「……………」
沈黙が先に始まり次の瞬間カノエが口を開いた。
「お前の計画が最終段階に入ったからだ」
「っ!計画だと!どう言うことだガルア!!」
風間は席を立ち机を叩く。
「さぁな?俺にはさっぱり分からねぇがそう言うことらしい」
白々しくすっとぼけるガリアを見て、風間は悔しそうに奥歯を噛みしめる。
「…………っち!」
風間は苛立ちながらも席に再び座り直した。
「それじゃあ、始めるか。今後のにゃんこ島について話し合おうぜ」




