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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十四章 黒の時代
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その二十六 終わりの砲口

「っ!見えた!あそこよ!」


空中に放たれた火の玉を確認して、ミノルはその方向を指差す。


「あそこですか。すぐに始めましょう!」

「デビっち!あそこの方向に思いっきり攻撃しちゃって!」

「ワカ……タ…」

「デビさん!全ての魔力を使うつもりで撃ってください!」

「コオオォオオオッ!」


その瞬間、空中に巨大なエネルギー玉が生成される。


「あんなの喰らったら……」

「無事ではすみませんね」

「それで、これからどうするつもり?」


離れてみていたミズトが剣をしまいこちらにやって来た。


「もう私たちに出来ることはないので。テレポートで逃げましょう」

「分かったわ。下の3人にも伝える」


そう言ってすぐさまミズトは下に降りていった。


「それじゃあ、僕達も早くここから逃げましょうか」

「かつっちは置いていっちゃうの?」

「かつはクラガを相手しなきゃいけないしね。それに、私達が行っても邪魔になるだけだわ」


そう言いながらミノルはかつが居るであろう場所を悲しげに見つめる。

一方仕事をやり遂げたピンカ達は次の行動に移るために待機していた。


「何とか上手く行ったみたいだけど。これからどうするのかしら」

「あれ!お姉さまが戻ってきます!」


すると、ミズトが岩を蹴って降りてくる。


「あんた、猿か何か?普通そんな降り方しなくない」

「作戦が終わったわ。私達は用済みだからテレポートで戻るわよ」

「なっ!無視するんじゃないわよ!」

「まあまあ、それじゃあ早く戻ろうよ」

「ていうか、まだ黒の魔法使いを全員倒してないんじゃないの?それに此処に居る以外の人は何処に居るのよ」

「あっ此処に居る以外は全員会場の休憩室で休んでるよ」

「そうなの!?たくっ情けないわね。それじゃあ、さっさと戻りましょう」


そう言って魔法陣を展開させる。


「本当に元に戻るのかな?」

「戻らなかったら今度こそ殺すしかないわよ。まっ戻るのを祈ることね」

「そうだね。それを祈ってるよ」

「テレポート!!」


ピンカ達はテレポートで会場に戻っていった。


「ミノルさん、僕達も早く戻りましょう。じゃないと巻き込まれてしまいます」

「そうね………」


ミノルは何か思うのか遠くを見つめている。


「どうしたのミノッち?もしかして、お腹減ったとか?」

「そうじゃないけど、ちょっとね」

「もしかしてかつさんの事が気になりますか?」


リドルの言葉を聞いてミノルは複雑な表情を浮かべる。


「少しだけ……大丈夫かなって」

「かつっちなら心配ないよ。今頃グラコロって奴をボコボコにしてるよ!」

「クラガね。そうよね、心配いらないよね」

「それじゃあ、僕達は先に戻りましょう」

「テレポート!!」


そして、3人も会場に戻っていった。


――――――――――――――――――――

「くそっどうなっている。何故デビは動きを止めたんだ!」


よし、作戦は上手く行ってるみたいだな。


「他の奴らが何かしたのか?だが、あのメンバーではあの悪魔を倒せるはずはない。別の方法で悪魔にゲートを開けるのをやめさせたのか」


腕がいつの間にか治ってる。

手袋に染み込んでた回復のポーションのお陰か?

それなら、好都合だ。

俺はすぐにクラガの懐に飛び込んだ。


「何っ!?」


クラガは一瞬反応に遅れ手を出そうとするが、俺は両手の手首を掴んだ。


「くっ!」

「これで、俺に触れることは出来ないな」

「ふっ手が触れなくても魔法で殺すことは出来るぞ!」


その瞬間、魔法陣を空中に展開する。


「それはどうかな!」


俺も対抗するようにカウンターの魔法陣を展開する。


「貴様………」


その時、空が突然光輝いた。


「っ!?この気配………まさか、こちらを狙ってるのか」

「ご名答、さっきの魔法で位置を伝えておいたんだよ」

「貴様、まさか自らの命を使って俺を殺す気か」

「それしか、方法はないんでね」

「やめておけ。無駄死にだ。貴様がやっていることは自らを苦しめるだけだぞ!」

「お前を殺せるなら、それで充分だ!」


その瞬間、クラガが俺の顔に触れようと手を近づけてくる。

だがそれを俺は精一杯抵抗する。


「無駄だ!俺の方が力は上だぞ!」

「くっ!」

「おわっ!?」


その時クラカが俺の足を引っ掻けてる。

それにより、俺はバランス崩してその場に倒れる。

だが、俺は手首を掴む手を決して緩ませなかった。


「さっさと死ね!」

「触らせねぇよ!お前のオリジナル魔法は、触れないと意味ないからな!」

「それはどうかな!」


そう叫ぶとクラガの手のひらに魔力が込められる。

この魔力まさか!!


「オリジナル魔法ではなく普通の魔法なら貴様は簡単に死ぬだろうな!」

「くそっ!なら!」


俺も自分の手のひらに魔力を込める。


「お前が撃つなら俺もインパクトを撃つぞ!」

「脅迫か!そんなもの俺には効かないぞ!」

「うるせえ!死んでもお前は殺す!」

「貴様に俺が殺せるか!」

「死にたかったんだろ!だったら抵抗するなよ!」


ここで怯むわけにはいかない!

こいつは絶対にここで倒す!


「全ての半獣が死ななければ意味がない!俺1人が死ぬわけにはいかない!」

「意味分かんないこと言ってないで、素直に敗けを認めろ!もう、扉は開かない!抵抗しても無駄なんだよ!」

「貴様に何が分かる!」

「何も知らねえよ!知らないけどよ!お前のやってることは間違ってるってことは分かる!」

「何だと、貴様のような半獣に俺の苦しみが分かるわけ無いだろ!!今すぐに攻撃をやめさせろ!そして、扉を開かせろ!」


そう言って普段のクールなクラガとは、裏腹に感情を露にした。

こいつ、一体何を考えているんだ。

何でここまでして半獣を消したいんだ。

いや、そんなのはどうでもいい。


「開かせないし、攻撃もやめない」

「何だと……そんなに死にたきゃ1人で死ね!貴様の下らん復讐に俺を巻き込むな!」

「責任を取れって言ってるんだよ!」


次第に空の輝きが強まっていく。


「責任を取れだと!?貴様に指図される言われない!」

「お前のせいで!どれだけ死んだと思ってる!どれだけの人が悲しんだと思ってる!お前の自己中心的な計画に他の人を巻き込むなよ!」

「半獣は死ぬべき存在だ!」

「半獣も人間も生きるべき存在だ!」

「っ!?」


強力な魔力が空中に浮かぶ球体に凝縮されていく。

それを見て、俺はさらにクラガを掴む手を強める。


「俺は目の前で2人も殺された。自分の不甲斐なさに腹が立った。でもだからこそこれ以上誰も殺させない!お前の好き勝手にはさせない!イタズラに人を殺すな!人の命を軽く見てんじゃねえぞ!」

「………それが貴様の原動力か。俺は貴様ほど生ぬるい人生を歩んではいない」

「そうかよ。でも、どっち道地獄には一緒に行ってもらうぞ」

「ゴオオオオオッ!」


空がより一層輝きを放った瞬間、デビの砲口が2人に放たれた。


「この馬鹿が!」


そして、森は消滅した。



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