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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十四章 黒の時代
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その十九 最終段階

何が……起きたんだ?

あまりの一瞬の出来事とあっけなさに俺は抵抗すら出来なかった。


「何が起きたんだと言う顔をしているな。せっかくだから教えてやる。貴様がかかった魔法は黒い印、左手で繰り出せる魔法だ」


その時クラガの左手に黒い渦の様なものが浮かび上がる。

あの模様は俺の足に付いていたのと同じ……まさか!


「気づいたようだな。この魔法は対象者に触れることで発動される。触れた部分にこの黒い印が刻印され、ついた部分を引き寄せることが出来る」

「さっきの蹴りを入れた時にやったのかよ」

「ああ」


クラガは静かにそう答える。


「まさか、俺が蹴りで攻撃することが分かってたのか」

「蹴りと言うより攻撃が来ることを分かっていた。貴様は体を鍛え己の力に余程の自信があるみたいだからな。追撃する時は必ず魔法ではなく殴打や蹴りによる攻撃が来るとな」

「今まで攻撃を喰らってたのも、俺の力がお前に通じると思わせるためか。全部分かった上でお前は戦っていたのかよ」

「正直困っていたんだ。インパクトとカウンターによる攻撃が思った以上に厄介でな。貴様が魔法に頼ることなく自らの力も信じて攻撃してくれたお陰で、この局面を打破することが出来た。ありがとう」


そう言ってクラガは不適に笑う。

まさか、自分の力が自分の足を引っ張ることになるなんて。

まるで今までの俺の努力を否定されてる見たいで、悔しい!


「さて、解説はこのくらいで良いだろう」


俺はバカだった!

もうちょっと慎重になるべきだった。

自分の魔法や力がクラガに通じていると思ってしまった!

本来ならもう少し、慎重に戦えばよかったのに。

欲を出して拳や足で攻撃するなんて……俺は大バカだ!


「俺は貴様に聞きたいことがある。どうせ死ぬんだ、隠さず答えろ。貴様の魔力レベルは何だ?」

「っ!………1だ―――がっ!?」


その瞬間、首を絞める力を強める。

く、苦しい………!


「嘘をつくなと言っただろ」

「ほっ本当だ!嘘じゃない……」


魔力レベル1なのは本当だ。

ただ魔力が分離しているだけだ。


「なら、インパクトとカウンターの魔法の説明はどうなる?俺が見た限りレベル1ごときの魔法使いが扱えるレベルの魔法ではない。少なくとも魔力レベル8位の魔力が必要だ。そしてカウンター、貴様の説明によると使用者の倍の魔力を消費する燃費の悪い魔法だ。魔力が多いやつには問題はないが、魔力が少ないやつ………例えばレベル1の魔法使いには全くもってゴミとしか言えない魔法だ。それなのに何故貴様はそれを使えている。貴様が魔力レベル1なら説明をしてみろ」


まずい、核心を突かれてると言うか。

まあそりゃそうか、ここまで冷静に考えれば俺が魔力レベル1ってのに疑問を持つのは普通のことだしな。

バレることは何となく分かっていた。

でも、よりによってこいつかよ。


「どうした言えないのか?」


言うべきか?

ここで言ったとしてもどうなる!?

説明して俺の体に興味をもって解剖されるかもしれない。

でも、もし言わなかったとしてもこいつに殺される。

待てよ、そもそも言ったとしてもこの光景はガルア達に見られている。

ここで、言って生き残ったとしてもガルア達にバレて殺されるのがオチなんじゃないのか。


「言わないんじゃなくて言えないんだな?ならもういい」


万事休すか!


「し――――」

「魔石だ!」


俺は咄嗟にそう答えた。

するとクラガは目を細めると、小さく呟く。


「………っ魔石?」

「ああ、魔石だよ。魔石を使って今まで戦ってきたんだよ」

「他の競技の時もか?持ち込みは禁止のはずだぞ」

「特別に許可されてんだよ!他のやつだって特別に許可をもらってポーションとか持ってきてるし、有なんだよ!」

「本当か?」

「本当だって!じゃなきゃレベル1の俺が戦えるわけないだろ!」


俺は必死にクラガに訴えかける。

正直もうこれくらいしか思い浮かばない。

何とかこれで納得してもらうしかない。


『確かに奴の言う通りレベル1の魔法使いがそれらの魔法を使うには、魔石を使うしか考えられない。奴の言い分は至極全う、だが何かが引っ掛かる』

「なら、貴様は何故レベル1から上がらない。修業をしていたのだろう?なら、レベルの1つや2つは上がっていないとおかしいんじゃないか?」

「俺は他の人よりも魔力が増えにくいんだよ!だから、レベル1の魔法を極めたんだ!」

「インパクトはオリジナル魔法だろ?レベル1の貴様が何故オリジナル魔法を取得している」

「買ったフードに魔法陣が書いてあって覚えたらオリジナル魔法だったんだよ!俺が作った訳じゃなくたまたま見つけたんだ!」


これは嘘じゃない。

実際に買ったローブに魔力が刻印されていて、それを覚えたらインパクトだった。

だから大丈夫だ。

俺の話を聞いたクラガが疑うような視線を向けてくる。


「本当か?」

「こんな状況で嘘を言うわけないだろ!」


『確かに内容から見て疑う部分は無さそうだな。ローブに魔法陣が記されていた件も自ら作ったのにも関わらず覚えることが出来ずに、勿体ないから後世に伝える為にローブに記したと考えられるな。俺の杞憂だったか?』

「その件はよく分かった。なら、もう貴様に用はない。死ね」


すると、再び俺の首を絞める力が強くなる。


「ちょっちょっと待ってくれ!どうせ死ぬなら1つ質問させてくれ!」


冗談じゃない!

こんな色々言ったのにも関わらず、用済みだからもう死ねなんて納得いくか。


「何だ?時間稼ぎなら意味ないぞ」

「違う!本当に純粋に聞きたいことがあるんだ!お前らはどうしてこんなことをするんだ!教えてくれ!」


こいつらの半獣に対する異常な殺意は明らかに何かあるはずだ。

それとあと時間稼ぎをするためにも!

それを聞いたクラガは何かを考えるように俯く。


「動機か……なるほど確かに貴様には知る権利があるな」

「え?それってどういう意味だ?」

「既に知っていると思うが俺達は半獣をこの世から消し去るために活動している。今回の計画もその為に立てた。そして、これから最終段階に入る」

「最終段階?」

「ああ、今日をもって半獣は1匹残らず消える」


クラガは突然そんな荒唐無稽なことを言った。


「そんなの分からないだろ」

「そもそも半獣はこの世には存在してはいけない生き物だ。いや、俺達が存在を許さないと言った方が正しいか」

「何でだよ。半獣はお前もだろ」


これで分かるかもしれない。

あいつらの半獣を殺したがる理由が。


「それは言えない」

「っ!?何でだよ!」

「言わないんじゃない。言えないんだ」


どういうことだ!?

何故言えないんだ!

いや、待てよ言えない時、それはどういう時か。

言えないつまり、もしその事を口走ったら自分に不都合な事が起きる。

それなら、言えないと言う意味が分かる。

問題はどんな不都合な事があるかだ。

くそっ!分からない!


「………他に質問はないか?」

「っ!こんなの納得できるわけないだろ!全然質問の答えになって―――ぐっ!」


その瞬間、首を更に強く絞められる。


「勘違いするなよ。自分のおかれてる状況を理解していないようだな。貴様の命など俺の機嫌次第でいつでも消せるんだぞ」

「くっ!分かった……ごめんなさい」


だが、1度抱いた苛立ちはそう簡単に消すことは出来ない。

クラガは鋭い視線を止めることはせずに首を締め付ける強さを弱める。

俺はその緩んだ隙にもう一度質問をする。


「最後に1つだけ聞かせてくれ。どうやって半獣を殺す気だ?」


なるべく時間を稼ぐ、頼む反応しろ。

クラガは暫く考え込み、突如口を開いた



「………いいだろう。教えてやる。単純なことだ、魔力暴走を起こして殺す」

「っ!?魔力暴走って……確かにそれで半獣は死ぬと思うけど全員を殺すなんてそんなの無理だ!一気に全員を魔力暴走させるなら話は……別、だけど………まさか」

「そのまさかだ。出来るんだよ、地獄のゲートを使えばな」


地獄のゲート、地獄への入り口、1歩でも足を踏み入れれば体が弾け飛ぶ、魔力暴走によって。


「でも、ゲートを使うってまさか全員をゲートの中に入れる訳じゃないだろ」

「ああ、ゲートに入れるんじゃないこの世界をゲートと繋げる」

「っ?」


何だ、一体どういう意味だ。


「今出てるのは一時的に開かれてるゲートだ。そのゲートを完全にすることで、この島と地獄を繋げる。そうすることで地獄のマナがこの島に流れていき、それに触れた瞬間魔力暴走が起こり死ぬ」

「………………」


その言葉に思わず言葉を失ってしまう。

こいつ、何て計画を考えているんだ。


「そんなことしたら、一瞬でこの島は血の海と化すぞ!」

「構わない。それが狙いだ」

「っ!?」


本気だ、あの目は本気で実行する気だ。

そんな悪魔みたいな計画を本気で実行するのか。


「これくらいしないとあの王達を殺すことは不可能だからな」

「ガルア達の事か」

「ああ、実力で奴らに勝つのは諦めた。これが最も現実的かつ堅実な方法だ」

「いつから決めてたんだよ。最近じゃないだろ?黒いモンスターも関係があるのか」


あいつらもこいつらと密接に関わっている問題だ。

関係ないとは思えない。


「黒いモンスターはこの島のマナを高めるため、そして優秀な兵隊を作るためだ。以前からマナを高める研究をしていた。どうすれば、意図的に魔力暴走を起こせるのか?モンスターは半獣よりもマナを保有する量が多い。だからこそ魔力暴走を起こすのは困難を極めた。魔石を大量に飲ませたり、モンスターを食わせたりさせた。だが、それはどれも不完全に終わった。そんなある時地獄のゲートが開かれた噂が出てきた。そして、俺は奴と遭遇した」

「それがラルダってことか」

「そうだ。地獄から来た悪魔、奴の保有する魔力量はずば抜けていた。その魔力を借りて俺達は黒いモンスターを作った。そして、その瞬間この計画を実行すると決めた。死んだモンスターは土に還り体内にあるマナは自然に還る。それが黒いモンスターなら膨大なマナが還る事になる。それにより地獄のゲートと繋がりやすくした」


黒いモンスターがやられることもこいつらにとっては都合のいいことだったのか。

となると、俺も計画に知らずに加担されていたことになる。

いや、俺以外にも複数人が手助けをした形になってしまっただろう。


「あの大量の地獄のゲートはお前の仕業だったのか」

「そういうことだ。そして、今日この日俺達の苦労が報われる。俺はずっとこの世界が嫌いだった。人間を虐げ半獣がふんぞり返るこの時代が嫌いだった。それも全て終わる。知ってるか?黒の魔法使いと名付けたのはガルアだ。黒いローブを来てたからかもしれない。だが、奴は違う、俺達を悪だと認識させるために黒と言う名を課せたんだ」

「っんぐ!?」


なっ!力が上がって………っ!


「半獣を殺し人間を救おうとする奴は悪だと。なら、半獣を救って人間を殺す奴は正義だと?ふざけるな!俺はそんな奴らを許しはしない。人間を救おうとするのが悪なら俺は喜んで黒の名を背負おう!半獣の絶対主義の時代はもう終わりだ。これからは俺達黒の時代の始まりだ!」

「がっ!あがっ!?」


まずい、息が………!


「おっと暴れるな。じゃないと殺すぞ。そういえば、まだ貴様にお礼を言ってなかったな」

「っ?」

「今回の計画の核はデビだ」

「なっ!?」


デビ、どうして今あいつの名前が出るんだ。


「奴を覚醒させてゲートを開く。そうすることでこの島と地獄を繋げることが出来る。それがこの計画の最終段階だ」

「どう言う……ことだ?」

「デビが居なかったらこの計画事態成立してはいなかった。貴様が連れて来たおかげで計画は実行できる。感謝する、よくあいつを仲間にしてくれた」

「何を………言ってるんだ……?」

「まだ、分からないのか。感の悪い奴だな」


聞きたくない、この先は絶対に聞いちゃダメだ。

だが、首を締め付けられ腕を折られ抵抗することの出来ない俺はただ静かにその言葉を待つことしか出来なかった。


「奴はハイトと同じ悪魔だ」



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