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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十四章 黒の時代
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その十六 覚醒

ピンカが使うオリジナル魔法、巨兵の楽園(ゴーレムパラダイス)は地面に展開した魔法陣から普通のゴーレムよりも小さい1メートル位のゴーレムを、魔力が尽きない限り出し続ける魔法だ。

このゴーレムは普通のゴーレムよりも小型なので耐久力はなく、力も弱い。

だが、その代わり普通のゴーレムよりも俊敏で機動力があり利口なのが利点だ。

そして、大量の小型ゴーレムを使って繰り出される数による暴力は何よりも強い。

だが、それは普通の魔法使い相手だからこそ使える技、今目の前にいるのは限界を超えた別次元の魔法使いだった。


「こんな奴らいくら来たって同じだよ!」


そう言ってゴーレムを次々と破壊していく。


「くっ!やってくれるじゃない!」

『やっぱり、耐久力が弱いのが難点ね。でも、諦めるわけにはいかない』


「ライジングサンダー!」

「うおっ!何だこれ!?鏡?これもオリジナル魔法か」


その瞬間、マイトがアルバに真っ正面から突っ込んでいく。


「また、お前かよ!喰らえよ!ライトニングアロー!」


高速の矢をマイトは紙一重でかわす。


『最速の矢を意図も簡単に避けやがった。さっきも簡単に魔法を避けられたし、これもオリジナル魔法か?』

「魔法を簡単に避けられる魔法か!なら、これはどうだよ!グランドファイヤー!ロックスタンプ!」

「っ!?」


炎を避けた瞬間、巨大な岩がマイトの真上に落ちてくる。

その瞬間、岩が凍りついた。


「アイスロック………」

「やっぱり、1度に避けられる数には限界があったか!その状態で避けられるか!アグレッシブフルー――――ぐっ!?」


その瞬間、鏡から魔法が放たれる。


「そう簡単にはやらせないぞ」

「ちっ!邪魔くさいなこの鏡!ぶっ壊れろよ!キルトルネード!」


強烈な鋭い渦巻きが鏡を襲う。

だが、鏡はいつも通りの輝きを放っていた。


「無傷?なるほど、ならこれはどうだ!」


そう言って拳で鏡を殴る。


「かった!!?駄目だ!壊せる気がしない!」


その瞬間、鏡から魔法が放たれる。

アルバはすぐに後方に飛び鏡から距離を取る。


「ぐっ!?くそっ!効かないけどこの鏡があるせいであいつらに攻撃できないな。っ!」


その隙に大量のゴーレムがアルバに攻撃する。


「本当に多いな!プリズンフリーズ!」


苛立ちながらも魔法を繰り出し、ゴーレムが次々と凍りつく。


「ラノストーム!」


そして、アルバは凍ったゴーレムを風の魔法により吹き飛ばす。

それらはすべてゴーレムが湧き出る魔法陣へと向かっていく。


「っ!?まずい!」

『このままじゃ、魔法陣にぶつかる!』

「マイト!」

「分かってるよ!ファイヤーバインツ!」


その瞬間、凍りついた小型ゴーレムが破壊される。


「よくやったわ!」

「当然だよ!コールドスピア!」


『危なかったわ。魔法陣を破壊されたら私のオリジナル魔法が解除されるところだった』


ピンカのオリジナル魔法にはいくつか弱点がある。

まず魔法陣を地面に展開するためには平らな地面でなければ発動できない。

そして、魔法陣を展開できたとしても魔法陣を破壊されてしまったら解除されてしまう。

最後に魔力が尽きた時、魔法は解除される。


「ずっとこの調子で俺を閉じ込めておく気か!コールドスピア!ただの時間稼ぎにしかならないぞ!ライジングサンダー!」


そう言って次々とゴーレムを破壊していく。

マイトもアルバの隙をつけず動けないでいる。


「まずいわね。このままじゃあいつの言う通りに時間稼ぎで終わる。何とかしないと………イナミ!」


呼び掛けられ、イナミは一瞬ビクッと体を震わせる。


「え!?何?」

「あんた、あの鏡の魔法、相手の魔法を鏡の中に入れて跳ね返すのよね」

「そうだけど」

「それって私の魔法でもあり?」

「ありだけど、中に入れる数には限りがあるんだ。だから…………」

「じゃあ、中に入れないで跳ね返せないの!?」


その言葉を受けて、イナミは力強く答える。


「……出来る!」

「分かったわ!私が合図したら切り替えて!」

「了解!」


すると、ピンカは早速準備に取りかかる。


「マイト!」

「なんだい?」

「私のオリジナル魔法は魔力があるかぎり使えるの。私の魔力量から見て残り出せる数は27体、だからもう無駄に魔力は使いたくないの」

「分かったよ。それで、僕はどうしたらいい?」

「私が合図したらこのゴーレムをあの鏡に向かって吹き飛ばして、何度も」

「分かったよ」


そう言ってゴーレムを吹き飛ばすために魔法陣を展開する。

そしてピンカは合図を出す瞬間を見定める。

アルバに向かっていくゴーレムの数を絞り、飛ばす用のゴーレムを別に用意する。

アルバへと向かっていくゴーレムがやられていきその数が現象していく。


「まだ……ゴーレムが居なくなった瞬間がベスト………後3、2、1、0!今!」

「ラノストーム!」

「ミラージュバンス!」


その瞬間、ゴーレムが吹き飛ばされる。


「っ!?何だ今の………何!?」


その瞬間、ゴーレムが鏡に何度も弾かれる。


「な、何だ!?―――っ!?」


それによりものすごいスピードでゴーレムがアルバに激突する。


「な、何がぶつかったんだ?」

「どんどん行きなさい!」

「ラノストーム!ラノストーム!ラノストーム!」


次々とマイトはゴーレムを吹き飛ばす。

そして、ゴーレムは次々と鏡に弾かれアルバにぶつかる。


「ぐふっ!?この―――がはっ!?」

『まずい、スピードが早すぎて捉えられない!体に当たった瞬間、体の芯に響いてダメージが蓄積されていく』


「いいわよ!その調子!イナミ、まだ維持しておくのよ!」

「分かってる!これ、思った以上にきついな」


『痛いでしょアルバ。ただの攻撃なら魔力抵抗で防げるけどこれは速さと衝撃によって繰り出される一撃よ。例え魔力抵抗と言えどその衝撃は体に響く』


「くそ……ぐふっ!」


アルバは休みなく繰り出されるゴーレムの攻撃に体が耐えられなくなっていった。


『後もう少しだ………あいつのゴーレムの無限に出続けるわけじゃない。後……もう少しで終わるはずだ』


「休む隙を与えちゃ駄目よ!どんどん撃ちなさい!」

『早く倒れなさいよ。無駄に根性あるわね。こっちのストックももう残りわずかだって言うのに』


「俺は……負け……っ!――あああっ!」


とうとうアルバは膝を地につける。


「後もう少しよ!」

『こっちの数も後少しだけどね。残り10体、いけるわよね』


「負けない……俺は、絶対に負けない!クラガと約束したんだ………俺達がこの腐った世界をぶっ壊すって!だから―――ぐっ!」


ゴーレムの一撃によりアルバは地面に倒れる。


「いける!マイト!」

「分かってるよ!」


『残り後5体!』


アルバは立ち上がろうとするも、さらにゴーレムがぶつかることで立ち上がれずに地面に体が沈む。


「俺は……がっ!」


『残り4体………』


「俺達が……っ!」


『残り3体………』


「この世の中を………ぐあっ!」


『残り2体………っ!』


「変えてやるんだ!」


『残り1体!』


「っ!俺……達……が」


その瞬間、イナミはもう1つの鏡世界を解除した。

ゴーレムはすべてアルバにぶつかり粉々になっていた。


「終わったの?」

「いや、まだよ」

「うおおおおおっ!」


全身血まみれで雄叫びを上げながらアルバは立ち上がる。


「俺は生き残った!勝った!勝ったんだ!耐えてやったぞ!どうだ見たか!俺の勝ちだ!」

「いや、お前の負けだよ」


その時、マイトは空中に魔法陣を展開する。


「ロックスタンプ!」


そして、アルバは抵抗することなく巨大な岩に押し潰された。


「気合いだけでどうこう出来たら何でも上手く行くわよ」

「とりあえず、これで何とか倒せたって事だろ?」

「そうだね。それじゃあ……これからどうしようか?他の魔法使いと合流しようか――――」


その瞬間、アルバを潰した岩が粉々に砕かれる。


「気合いじゃない、覚悟だよ」

「な!嘘でしょ、まだ死んでないの」

「これは………さすがに驚きだな。あれほどのダメージを負って、まだ戦えるなんて」


その瞬間、空中に魔法陣を展開する。

その魔法陣に込められた魔力を察知して、ピンカは慌ててみんなの方を向く。


「っ!まずい!皆、逃げて!!」

「逃がすわけないだろ!レベル魔法!ウィグザードウルフ!」


その瞬間、狼の姿をした暴風が3人に襲いかかる。


「がああっ!」

「きゃああっ!」

「うあああっ!」


レベル魔法、オリジナル魔法を使いすぎた3人にはもう魔力は残っておらず、なす術なく魔法を受けてしまった。

そしてアルバは倒れた三人を見下ろす。


「お前らは何も分かっちゃいない。分かっていないのに、お前らは正義の味方のような顔をする!自分等が正しいと信じている!お前らは言い様に使われていることにすら気づかない!哀れな半獣だ!」


だが、その言葉には誰も反応しなかった。


「何も知らないまま死んでいく、それが今の時代だ」


そう言って魔法陣を展開する。


「恨むんなら自分の親を恨むんだな」


魔法陣が光輝き、魔法が放たれる。


「ちょっと待て!」


その時、イナミが立ち上がりアルバを止める。

それを見て、アルバは目を丸くさせる。


「はあ……はあ……俺はまだ生きてるぞ。殺すなら先ずは俺を倒せ!」

「まだ続けるのか?このままやり続けても無意味だってことが分からないのか?」

「無意味なわけがない。お前らを殺すことに意味がある。だから俺は戦う!」

「それが無意味だって言ってんだよ!お前らが勝っても負けても進むべき道は1つだ!分からないのか!?」

「分かるわけないだろ!何が無意味だよ……この戦いが無意味だったら俺達が命を懸けた意味は何だったんだよ……」


そう言ってイナミは拳を握る。

その表情は悔しさと困惑で今にも泣き出しそうになっていた。


「分からないなら分からないでいい。もう、なにもしなくていい。何もせずに死ねばいい。それで全てが解決されるんだ」

「死ねばいい?死ねばいいってそんな簡単に………俺はそうは思えない」

「何だと?」

「生きることは無意味で死ぬことに意味があるなんて、そんな馬鹿な話があるわけないだろ。俺はまだ何も出来てない!約束も果たせてない!」


その時、アルバがある異変に気づく。


『何だ?何かがおかしい』


「まだまだやりたいことも沢山ある!それなのに死んだ方がいいなんてことあるわけないだろ!」


『何かを感じる。何かが溢れてきている』


それはほんの些細な異変だったが、イナミが感情を爆発させるのに共鳴するかのように膨れ上がっていた。


「俺はまだまだ生きる!今もこれからも!」


『溢れているのは魔力!?こいつの魔力が上がっているのか!?』


「誰も死なせない!俺が皆を生かす!生きることが無意味だと言うなら俺が生きる意味を証明する!これは俺の人生だ!誰にも邪魔はさせない!!」


その瞬間、イナミの魔力が爆発的に上昇した。


「こいつ………限界を超えやがった!」


アルバは瞬時に魔法陣を展開する。

この時、アルバはこの場にいる誰よりも優先的に殺すべきだと判断を下した。


『こいつは危険すぎる!今すぐに殺さないと!』

「キルトルネード!」


殺人的な暴風がイナミを襲う。


「キルトルネード!」

「なっ!?」


同じ魔法をイナミは展開する。

魔法同士がぶつかった瞬間、相殺される。


「俺の魔法と同じ威力?ありえない!限界を超えたからってすぐに物に出来るわけがない!」

「何だこれ?すごい、力が溢れてくる。これなら、行ける!」


そう言って魔法陣を展開させる。


「何かの間違いに決まってる!ライジングサンダー!」

「ロックタワー!」


イナミは岩の頂点からアルバに向かって落ちていく。


「ファイヤーブライト!」

「くそっ!ウォータープレッシャー!」


だが、アルバの魔法では炎を消すことは出来ずに直撃してしまう。


「ぐっ!?そんな……俺より強いのか?」

「アイスクラッシュ!」

「何なんだよ!一体!ファイヤーバインツ!」


お互いの魔法は弾かれ、イナミは地面に着地する。


「体が妙に軽い。マナを多く取り込んだから、回復力も上がってるのか」

「何で分からないんだ!なぜ戦う!なぜ死に抗う!生きたところでお前らは意味ないって何度言えば分かるんだ!」

「何度言っても分からないよ!お前が何度も言っても俺の意志は変わらない!俺は生きる!アグレッシブフルート!」

「ライジングサンダー!」


アルバは魔法を防ぐと次々と魔法を展開する。

イナミも負けじと魔法を展開する。

お互いの力量はほぼ互角だった。

だが、しかしイナミは限界を超えたばかりで、まだその力になれておらず、少しずつ差は開いていった。


「これ以上やったところで意味はない!今すぐに諦めて死ね!」

「嫌だって言ってるだろ!皆を殺させない俺が守るんだ!」

「見てて滑稽だぞ!自分が悪に加担してると知らずに戦ってるのを見てるのはな!」

「何?」

「まるで操り人形だ!自分が誰かに動かされてるのも知らずに生きていく!そして、最後にボロボロになれば捨てられる!そんな人形と同じだ!見ててかわいそうになるよ!」

「うるさい!お前は何も分かっちゃいない!俺達は好きでここにいるんだ!好きで俺達は戦ってるんだ!無理矢理じゃない!自分の意思でここに立ってるんだ!」

「俺には理解できない!そんなことになんの意味もない――――」

「分からないだろうな!お前らみたいに平気で人の命を失くすような奴らには」

「何だと!」

「お前らみたいな死ぬことでしか意味を見つけられないような奴が!必死に生きている人を侮辱するな!!」


その瞬間、特殊な魔法陣が展開される。


もう1つの鏡世界(ミラーワールド)!」


アルバの周りに特殊な鏡が出現する。


「これは、オリジナル魔法か!こんなもの!」


アルバは魔法を出そうとした瞬間、1度手を止める。


『そうだ、これはカウンター型の魔法。こちらが魔法を出せば逆に不利になる。こう言うときこそ冷静になれ、俺!』


アルバはギリギリの所で踏みとどまった。

だがそれが結果的にイナミに決定的な隙を見せることになる。


「お前の負けだ!ライトニングアロー!」


その瞬間、光速の矢が鏡の中に入る。


「この程度で俺が殺せると思ってるのか?」

「まだだよ!アグレッシブフルート!シャイニングビーム!ウォーターガン!コールドスピア!」


イナミは次々と魔法を出し続ける。


『不可能だと思ってた。でも、今の俺なら出来る!鏡の中に入るのと一部だけミラージュバンスさせることが!』


鏡に魔法が触れた瞬間、鏡に入る魔法と跳ね返される魔法が同時に行われた。


「なにーーー!?鏡と反射を同時にだと!?ありえない!どちらか1つしか出来ないんじゃなかったのか!」


アルバの周囲に魔法が入り乱れる。


『これじゃあ、完全に魔法を捉えることが出来ない!殺られる!このままじゃ殺される』

「早く魔法を展開しないと!」


そう言って魔法陣を展開しようとするが中々上手くいかない。


「何でだよ……何でだよ!何で展開できないんだよ!」


アルバは突然のイナミの覚醒と予想以上の強さ、そしてこの状況による精神的な追い討ちにより、冷静になれずに魔法を展開する余裕すら持っていなかった。

イナミは見事アルバの弱点である精神的弱さを付いたのだ。


「これで終わりだよ」

「俺は負けない必ずお前らを殺してみせ――――」


その瞬間、複数の魔法が一気にアルバを襲った。

そして、アルバは血塗れで倒れる。


「本当にかわいそうなのはお前だよ、アルバ。あっ!そういえば皆は!」


イナミはすぐに2人の安否を確認する。

二人は起き上がる様子を見せなかったが、心臓の鼓動を確認し気絶しているだけだと理解する。


「………よかった、2人共大丈夫そうだ」


イナミは安心してその場に座り込む。

だがその瞬間、大きな地響きが起こる。


「な、何だ!?」


その時空を覆い尽くす何かがそこにはいた。


「な、何だあれは!」



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