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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十四章 黒の時代
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その十 魔剣

会場にいるミュウラは鏡を使って状況を観察していたが、ミノル達の姿を見つけて憤りを見せる。


「ガルアこれはどういうことなの?なぜ部外者が競技に参加しているの?」

「ああ、あいつらのことか。それ今さらかよ、さっきからずっと見てたくせに」

「私はミズトとナズミを見ていました。あの悪魔の事と言いこれは予想外ですよ」


ミュウラは捲し立てるように言うが、ガルアは特に焦る様子を見せない。


「俺は予想してたぞ?まあ、あいつらは黒の魔法使いと因縁があるみたいだしな。リツも要注意人物として監視してたし、まあ結果的にこちら側ってのが分かったから俺からはもう何も言わねぇよ」

「これは私達の問題と言うことを言っているのです。何処の馬の骨とも分からない人に黒の魔法使いを倒されては、こちらの面子と言うものが立たたなくなってしまうと言ってますの」

「だから部外者じゃないって言ってるだろ。それにモンスターを殺してないみたいだからこちらの競技には干渉してないし、今は面子よりも大事なことがあるだろ」

「くっ!私は忠告しましたから」


そういうミュウラに対してガルアは続けて話す。


「それにな、俺もとっておきの土産を置いてきた」

「土産?ガルア、あなたいったい何を企んでいるの?」

「別に、何も企んでねぇよ。そんなことよりお宅の魔法使いやられそうじゃないか?大丈夫か?神は何て言ってるんだよ?」

「あなたに心配されなくても大丈夫です。神は言ってますよ。悪は滅びると」


――――――――――――――――――――――――

カノエはモンスターに見つからないように、気配を消しながら森を突き進む。


「…………ここか」


そこは木が焼け落ち、地面は抉られ、血が飛び散り、激戦の後が残されていた。


「頑張ったな、お前ら。俺の誇りだ」


そう言ってカノエは2人を担ぐ。

近くにはトガが血まみれで倒れていた。


「まだ、死んでねぇな。微かに息してるな」


カノエは一瞬だけ止めを刺すために魔法陣を展開しようとするが、ガルアの言葉を思い出し手を止める。


『いいか、お前ら俺達は王だ。そう簡単に手を出すわけにはいかねぇ。あいつらの戦いに俺達が横槍を入れるのは絶対に駄目だ。例えあいつらが殺されそうでも俺達はただの傍観者だ。分かったな』


「傍観者か………王ってのは苦しい立場だな」


そう言ってカノエはテレポートでその場を離れた。


―――――――――――――――――――――――――

かつ達が激闘を繰り広げていた数分前…………


「お姉さま!待ってください!急に走り出してどうしたんですか!」

「見つけたぜ!ころして―――」

「じゃまっ!」


モンスターが現れた瞬間、ミズトは素早く魔法で殺す。


「どうして、そんなに急いでいるんですか!何か合ったんですか!」

「居るのよ」

「え?」

「この先に居るのよ」


そう言って振り返ることなく真っ直ぐに走っていく。


「まさか、黒の魔法使い………」

「ええ、ミュウラ様に教えていただいた魔力と一致してる。あの先に私達が倒すべき相手がいる」

「ついに会うんですね」

「ナズミ、覚悟を決めなさい。相手は何をしてくるか分からない」

「………はい!」


少し開けた場所が見えてくる。

そこにたどり着いた瞬間、ミズトは足を止める。

そこには見知らぬ人物が立っていた。

二人に気づくと待ちくたびれたように声を上げる。


「ん?ああ、ついに来たのね。あんたが例の十二魔道士って奴?ふーん、中々修羅場潜ってるぽいわね。殺しがいがあるわね」


そう言って不適な笑みを浮かべる。


「お前がミュウラ様を騙した黒の魔法使いか!」

「ミュウラ?ああ、確かそんな王がいたわね。そういえば内部調査を知るために潜入してた時が合ったわ。何?あんたらもしかしてその間抜け王の十二魔道士なの?お気の毒ねぇ。あんな無能な王に付いちゃうなんて」

「む、無能な王って…………」

「だってそうでしょ。黒の魔法使いが侵入しているのに気づかないなんて。お陰であの城の調査も楽に出来たし、まっ結果的には何も無かったから無駄足だったけど――――っ!」


その瞬間、ミズトが話しを遮るように魔法を放つ。


「何すんのよあんた」

「お喋りが好きみたいね。なら、遺言は早めに言っておくべきよ。何が最後の会話になるか分からないから」

「お姉さま……」

「……ずいぶんと生意気な事言うじゃない。さすがの私も堪忍袋の緒が切れそうだわ」

「……………」

「死ぬ前に教えてあげる。私の名前はスイ。黒の魔法使いクラガの右腕よ」

「……………………」


ミズトは黙ったまま魔法陣を展開する。

なんの反応も示さないミズトに対してスイは苛立ちを覚える。


「あんた、失礼にもほどがあるわよ。こっちが名乗ってんだから、普通そっちも名乗るのが礼儀でしょ」

「ライトニングアロー」

「くっ!」


高速の光の矢をスイはギリギリかわす。


「あっそう。いいわそんなに死にたいならすぐに殺してあげる!ウォーターガッチメント!」


その瞬間、スイは水の檻に閉じ込められる。


「お姉さま!」

「はっ!あっけないわね!口ほどにもないわ。このまま放置して溺れ死ぬまで見届けてあげるわよ。私を怒らせた罪あの世で後悔しな。とっまずはもう1人の魔法使いから――――っ!」


その瞬間、刃物のような鋭い一撃がスイに襲い掛かった。


「あんた……その手に持ってる物は何よ」

「魔剣水式」


そう言ってミズトは水の様に揺らめく刀を手に構える。


「っ!まずっ!」

「水面水飛沫!」


無数の斬撃がスイに襲いかかる。


「ぐわぁっ!」


全ての攻撃を防ぐことが出来ず、いくつか攻撃を喰らってしまう。


「くぅ………あんた、その魔法は!」

「オリジナル魔法、魔剣。あなたを殺す粛清の剣よ」


―――――――――――――――――

「ぐっ!がはっ!」

「こんなものなのか。殺すと息巻いてた割には呆気ないな」


ガイは首を掴まれ抵抗するも引き剥がすことが出来ずもがく。


「ガイ!クラガ!ガイを離しな!」

「なぜ俺が貴様ごときの命令に従わないといけないんだ?」

「んぐっ!ぐはぁ!」


クラガのガイを掴む手が一層強くなる。


「こ……の……!」


その瞬間、ガイは手のひらから電撃を繰り出す。

だがクラガは大したダメージを負うことなくその手を離しはしない。


「驚いたな。この状態で切り替えられるとは。あと数年後に出会っていたら、いい勝負になっていたかもな」


そう言って更に強く首を絞める。


「あっ……があっ……」

『やべぇ……意識が遠退く。ああ、これ死ぬやつだ。呆気ねぇな。本当に呆気ない。俺は強いと思ってたけど、そうでも無かったみてぇだな』


その瞬間、サラがクラガの背後に回る。


「死にな!デッドポイズン!」


その瞬間、クラガはガイを放り投げその場から離れる。

毒は地面に落ちていき、毒に触れた所が変色していく。


「がはっ!げほっ!」

「大丈夫かい!ガイ!」

「はあ……はあ……げほっ!げほっ!ああ、大丈夫だ……」


『大丈夫じゃないね。かなり憔悴しきってる。こてんぱんにやられてプライドズタズタ、もしかしたらもう戦う意志が残ってないかもね』

「ガイ、まさか諦めた訳じゃないだろうね。あんたの実力はまだこんなもんじゃないだろ!ガイ!」

「うるせぇ。分かってるよ!ここからだ。見返してやるからちゃんと見とけよ」

「………見といてやるよ。全部、ぶつけてきな」


そう言ってガイはクラガに歩み寄る。


「さっきはよくもやってくれたな。今度はこっちの番だ!ライジングサンダー!」


クラガに魔法が直撃する。


「ボルトリレース!サンダーボルテージ!」


クラガは抵抗することなく全ての魔法を受ける。


「ウォーターガッチメント!」


水の檻に閉じ込められてなお焦ることなくその場から動かない。


「ハイソウルサンダーボール!!」


強烈な電撃が水に触れクラガに襲いかかる。

そんなガイの姿を見て、サラは感慨にふける。


『ガイ、あんた本当に強くなったよ。元から才能があると思ってたけどここまで強くなったのはあんたの努力の力だよ。ガイ、あたい初めて会った頃に何でそこまで強くなるか聞いたっけね。その時あんたはあたいに話してくれたね』

「ガイは何でそこまでして強くなりたいんだい?」

「約束したからな」

「約束?」

「ああ、幼馴染みと約束したんだ。誰よりも強くなって会いに行くって」

「なるほどね。そう言うことかい。で、その幼馴染みは何処に住んでるんだい?」

「………………」


ガイは黙ったまま空を見つめる。


「っ!まさか………居ないのかい?」

「7年位前だったかな。俺がまだ弱かった頃だ。ハルって言う幼馴染みと一緒によく遊んでたんだよ。ハルは俺なんかよりも才能があって強くて幼馴染みでもあり憧れの存在でも合ったんだよ。ハルはいつも俺は最強の男になるって言っててさ、それが口癖でいつも森に入ってモンスターと戦ってた。俺は弱いからいつも助けられてばっかりだったけど、その度にハルに対しての憧れは強くなっていった」

「…………」


サラは黙ったまま静かにうなずく。


「だけどさ、ある日いつものように森に入ってモンスター狩りしてたら見たこともないモンスターが現れた。そいつは真っ黒い体毛をしていて目が真っ赤に染まって暴れまわってた。本能の塊のような奴だった。そいつと出会っちまってハルは必死に戦ってた。傷ついて何度も攻撃を受けても立ち上がって俺を守ってくれた。俺は弱いからうずくまってハルの勝利を願うことしか出来なかった。しばらくして音が止んで俺は終わったと思って隠れるをやめてハルの方を見たら、ボロボロになったハルがこっちを見て手を振ってくれた。その時俺は心の底から思った、ハルは最強の魔法使いになれるって。俺は急いでハルの元に駆け寄った………」


するとガイが突然喋るのを止めた。


「………ガイ?」

「…………その時、最後の力を振り絞ったモンスターが俺に向かって鋭い爪を飛ばして来た。その時ハルは俺を庇って爪の攻撃を受けちまった。ハルはここで死んでいいような奴じゃなかった。俺がハルを殺したんだ」

「それは違う―――」

「違くない。否定はしなくていい。俺は責任を取らなきゃいけないんだ。ハルを殺した俺があいつの代わりに最強になる。そして、誰よりも強くなってあいつに会いに行く。それが俺に出来る償いだ」

「……………」

「何辛気臭い顔してんだよ!別にサラは関係無いだろ!」

「うっさいね。そんな話聞かされちゃ生半可な修業じゃ行けないね。死ぬより厳しい修業をするよ。途中で死ぬんじゃないよ」

「最強になるまでこちとら死ねねぇからな」


「サンダーレイン!」


『あの時の覚悟、あたいはしっかり受け取った。生半可な修業をさせた覚えはない。ただ1つ心残りがあるとすれば』


「くそっ!ハイボルテージサンダー!!」


クラガは直撃するが表情1つ変えることはない。


『もっと早く会いたかった。もっと早く教えたかった。あたいは闇の世界で育てられた身。殺しの技術や魔法の技術は幼少の頃から身に付いていた。強いだけが取り柄だった。だからこそ早く会ってガイに教えたかった。もし、もっと早く会えていたらあたいとガイの人生は変わっていたのかもしれない』


「これでも無表情かよ。たくっ自信なくさせてくれるじゃねぇか!」


『でも、今さら後悔しても遅い、そんなことは分かってる。けど……何で、何で!』


「これで決めてやるよ!」


その瞬間、ガイは魔力を一気に高める。


「全ての力を使ってお前を殺す!」


クラガの前に大量のマナを取り込んだ魔法陣が出現する。


「行くぜー!クラガー!!レベル魔法!ギガボルテクスサンダー!」


巨大な雷のボールが無数の稲妻を放ちながらガイに迫ってくる。


「………………」


するとクラガが右手をつき出す。


「ん?何やってんだあいつ」


右手に魔法が触れた瞬間、目の前からガイの魔法が消えた。


「っ!?なっ何ー!?何で消えたんだよ!」

「ガイ!後ろっ!」


その時、ガイが放った魔法が背後に出現する。

だがサラの掛け声もむなしくガイは自分の魔法を喰らってしまった。


「があああああっ!!!?」


その瞬間、ガイは崩れるように倒れた。


「ガイ!ガイ!」

『何で、よりによって相手がクラガなんだい。こいつが相手じゃなかったらガイは最大限の力を引き出して戦えた。クラガは強すぎる』


「…………っ!」

「邪魔だ」

「がはっ!―――っガイ!」


サラはクラガに突き飛ばされ木に激突する。

その瞬間、クラガがガイを右手で触れようとする。


『あの右手嫌な予感がする。あの右手に触れたら駄目!』

「やめろ!クラガ!」


だがクラガはサラの言葉に聞く耳を持たず、ガイに触れようとする。


「やめろーーー!!」

「っ!」


その瞬間、何処からか光の矢がクラガを襲った。

クラガは思わず後ろに下がる。


「貴様は………」

「大丈夫……後は……任せて……」

「あんた、ツキノかい?助けに来てくれたのかい!恩にきるよ!」

「ガイ………助けて……あげて……」

「ああ、分かったよ」


そう言ってサラはガイを抱えその場を離れる。


「ガイ!大丈夫かい!?ガイ!」

「ちくしょう……負けちまったよ……くそっくそ!」


サラに抱えられながらガイは何度も悔しそうにそうつぶやく。


「あんたは頑張ったよ。ガイ、師匠として鼻が高いよ。あんたは休んでな。ここからはあたいがあんたの分もぶつけてくるからさ」

「ツキノ……十二魔道士で唯一限界を越えた者。貴様とはここで戦うと思っていた」

「これ以上………好き勝手には………させない」

「貴様に止められると言うのか?」

「私が………止める……クラガも………黒の魔法使いも……」

「止められるものなら止めてみろ。俺達は邪魔するものを消すだけだ」



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