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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十四章 黒の時代
334/827

その九 仲間

「あなた達の十二魔道士もついに黒の魔法使いと戦い始めたわね。どうですの?」


ミュウラはおもむろにシンラにそう言葉を投げかける。

突如そんな質問をされたことでシンラはほほえみながら首を傾げる。


「どうですの?とは、どういうことですか?」

「決まっているでしょう。勝てるのかと言うことです」

「ミュウラさんは私の十二魔道士達が負けるとおっしゃりたいんですか?」


あえてシンラはミュウラの心の内を探るために深く問いただす。

するとミュウラは当然のように答える。


「そういう風に言ったつもりでしたけど」

「私の十二魔道士は負けませんよ。あの子達は強い子ですから」

「それはどうかしらね。ピンカはともかくイナミという子は少々問題があると思いますけど」

「第3競技でもおっしゃってましたね。ですが、彼は自信を取り戻し自ら戦場に足を踏み入れている。心配をする必要はもうありません」

「それはどうかしらね」


そう言って持っていた鏡を膝に置いてシンラの方に顔を向ける。


「イナミは十二魔道士の中でも圧倒的に経験が足りない、あの絶対かつよりも。それは、あなたが1番分かっていることでは無いのですか?」

「私にどうして欲しいんですか?」


まどろっこしい話に飽き飽きとしていたシンラが直球の答えを求める。

それに答えるようにミュウラははっきりとした声色で告げる。


「棄権をおすすめします。あなたの名誉のためにも、そして彼らのためにも。このまま黒の魔法使いと戦えば犬死にするだけですよ」

「お気遣い感謝いたします。ですが、ご心配ありません」

「なぜ止めないの?この先の結果が分からないほど阿呆では無いでしょう」

「私はあの子達を信じていますから」


シンラは迷うことなくはっきりとそう言い切った。

それを聞いたミュウラは驚いた様子を見せると、諦めるようにシンラから視線を外す。


「………あっそう。勝手にしなさい」

「そうだぜ、ミュウラ。結論を出すのはまだ早い」


その時席の後ろからガルアが顔を出す。


「っ!ガルア!?あなたどこに居たの!?」

「ちょっとな。もう用事は済んだから大丈夫だ」


そう言ってガルアは元の席に座る。


「それで先程の発言はどういう意味なのかしら」

「確かに経験も大切だ。単純な魔法力も戦いにおいて左右させるだろう。だが、今回の戦いにおいて必要なのはそれじゃない」

「じゃあ、一体何が必要だというの?」


ガルアはにやりと笑みを浮かべて答える。


「意志の強さだ。意志の強いものが最後に勝つ。エングとサザミ、そしてトガとの戦いを見て分かったよ。圧倒的に強いやつでも意志の強い者には負ける。逆もまたしかりだ。何度も攻撃を受けても立ち上がる。そういう奴が勝利するんだよ」

「意志が強い者が勝つですか………確かに私もそう思います」

「私はそうは思いませんね。強さこそが正義です。神は言っています。弱気者は死ぬだけだと」

「まっ結果が分かれば済む話だ。意志の強い奴が勝つのか、圧倒的強者が勝つのか見せてもらおうじゃねぇか」


―――――――――――――――――――――――

姿を変えたラルダが奇抜な攻撃をこちらに繰り出してくる。


「くそっ!何だこいつ!?腕が伸縮したりしてやっかいすぎんだろ!」

「腕の所々に刃物のような物も見られます!爪ばかりに意識しすぎると思わぬ一撃を喰らいますよ!」

「分かってるわ!でも、こんな相手と戦うのは初めてだからどうすればいいのか。っ!」


その時、ミノルが背後から来ていた腕をぎりぎりのところで回避する。


「今のは危なかったですよ!しっかりしてください!ミノル先輩!」

「ていうか、私も絶賛ピンチだよー!」

「上手く戦えないのは当然だよ~だって相手は~悪魔なんだから~」


そう、今戦っている相手は地獄から来た悪魔。

空中に浮かぶこちらを見下ろす姿は悪魔そのものだ。

腕は伸縮自在で刃物が突き出ている手には巨大な爪、そして数本の腕も生えて来ていて、さらに防ぐのが難しくなっている。

それに身体能力が俺達の非じゃないくらいずば抜けている。

縦横無尽に飛び回っていて動きを捉えずらい。

そっちに意識を持っていくと死角から腕が攻撃してくる。

魔法を使ってもいないのにこの強さは正直反則だ。


「ははははっ!どうしたんだよ!さっきまでの威勢は!俺を殺すんじゃなかったの!」

「くそっ!この腕を何とかしないと……」


このままじゃジリ貧だ。

この数相手に圧倒されてちゃ数が減った時さらに負担が大きくなる。


「私に任せて!」

「ミノル!?」

「今っ!プリズンフリーズ!!」


その瞬間、2つの腕が凍りつき動きが止まる。


「任せてください!アグレッシブフルート!」


リドルの魔法により凍りついた腕が引きちぎれる。


「よしっ!」

「さすがです!リドル先輩!ミノル先輩!」


これで大分戦いが楽になったぞ。


「………はっ!」


その瞬間、ラルダの千切れた腕が生え変わった。


「なっ!?生えたのか?」

「きゃっ!」


すると、千切れた方の腕が鋭い刃物に姿を変えて襲ってきた。


「な、何なんだよ一体」

「俺は変化の悪魔って言ってね。体を色々な物に変える事が出来るんだ。マナを使えば千切れた腕も再生する事が出来る」

「それはもう……ズルいの一言ですね」


リドルの言う通りだ。

こちらが攻撃すればするほどこっちが不利になるなんて。

下手な攻撃は逆効果だ。

やるなら強力な魔法で一撃で倒すしかない。


「くっ!」


それでもそれを撃つチャンスすらない。

あいつの動きが一瞬でも止まってくれれば、最大火力のインパクトを撃てるのに。


「皆!頼みたいことがある!あいつを倒すには生半可な威力じゃ駄目だ!強力な一撃で倒すしかない!」

「それは僕も賛成です!切れた所が変化して攻撃してくるならそれしかありません!」

「でも、かつ後輩!あんな化け物に隙なんて出来るんですか!正直言って守るだけで精一杯ですよっ!」

「分かってる!でもなんとか隙を作ってほしい!そしたら俺とデビで強力な1発をお見舞いしてやるから!」

「やぶれかぶれの特攻ってわけね。いいわ、やりましょう!」

「本気なのミッちゃん~?」

「どっちにしろそれしか道はないわ。命懸けで隙を作るから後は任せたわよ」

「ああ、任せろ!」


すると、ミノルとリドルとミカが前に出る。


「リツは下がってて。あんた、戦闘は苦手でしょ」

「そうなんですか?魔力レベル10並みの魔力量を感じますが」

「感じるだけよ。発明を作るために魔法を覚えたような人よ。実戦で使うために覚えたんじゃないの」

「そういうこと~邪魔にならないように~隠れてるね~」

「メイさんも隠れててください!魔法をまだ上手く扱えませんし、正直守りきれませんので!」

「う、うん………」

「メイっちは~私と一緒に行こっか~」


そう言って2人は物陰に隠れる。


「かつ後輩とデビは魔力を高めていてください!必ず隙を作ります!天才に不可能はありませんから!」

「分かった!デビ、チャンスが来たら一斉に行くぞ」

「………………」


にしても、あの化け物に隙を作ってくれなんて我ながら無謀なこと頼んだよな。

いや、でもあいつらならやってくれるはずだ。

だから、俺は力を貯めることに集中すればいい。

あいつらも上手く隠れててくれよ。


――――――――――――――――――――――――

戦いに参加しないリツ達は巻き込まれないように離れた場所に退避していた。


「ここなら~攻撃に巻き込まれる心配はないね~」

「そ、そうだね!ここなら踊ってても心配ないさー!」


そう言ってメイは笑い声を上げながら、腰をくねくねと動かす。

それをリツは不思議そうに見つめていた。


「……………………」

「……………な、何で黙るのリツッち!何か恥ずかしくなってきたぞっ!ははは………」

「会ったばっかりだけど、無理してるのは分かるよ。どうしたの?」


突如そんなことを言われたメイは一瞬目を丸くさせると、諦めたように肩を落とす。


「……そっか、リツッちにもバレちゃうくらいか。私演技へたっぴだね。私ってこのパーティーに必要なのかなって」


そう言っていつもの笑顔が消えその場で座り込む。


「私って実はちょっと偉い貴族の娘なんだ。でも、色々あって闇市場に売られちゃって、その時かつっちに助けてもらったんだ。そして、パーティーに誘ってくれて本当に嬉しくて、かつっちの役に立ちたいと思って頑張ろうと思ったんだけど。私魔力レベルは高いんだけど、魔法を使ったことなくて。高度な魔法しか使えないから上手くいかなくて、みんなに助けられてばかりで、何にも役に立てなかった」


メイは悔しそうに拳を強く握った。


「皆と一緒にいるのは本当に楽しくて幸せなんだけど……皆が昔の話をする時に私はいつも居ない。みんなの思い出に、入ってきたばかりの私は一緒に楽しめないの。それが寂しくて虚しくてこんな私がパーティーに居ていいのかな?皆と一緒にこれからも居ていいの?それに私ラルダに必要ない子って言われた。他の人から見ても私は――――」


すると、リツが横に座りメイの肩に手を回し抱き締める。


「仲間になるのに思い出が必要なの?仲間になるのに強さは必要なの?思い出はこれから増やせばいいし、強さもこれから強くなればいい。他人の意見なんて無視すればいい」

「でも、このままじゃみんなの足手まといになっちゃう」

「メイは戦力増強のために仲間に誘われたの?」

「……それは」

「メイッちに仲間になるのに必要な事を教えてあげる」

「な、何!?私、何でもするよ!」


そう言ってリツに詰め寄る。


「とっても簡単なことのようでとっても難しいこと。でも、それが出来るようになればメイちゃんも立派なパーティーメンバーになれるよ」

「うんわかった!それで何すればいいの!?」


リツは食い入るメイをそっと引き剥がす。


「仲間を信じる事だよ」

「仲間を信じる事……それなら大丈夫!私、皆のこと信頼してるもん!」

「本当に信頼できてる?それなら寂しさも虚しさも感じないんじゃないの?必要とされてないと思ってるならそれは信じてないってことじゃないの?」


リツに事実を突きつけられ、言葉に詰まってしまう。


「………もしかしたら、そうなのかもしれない。気づかないうちに私……信じられなくなってたのかも」

「私だって皆の助けになりたいよ。ここでじっとしている自分が許せないとも思ってる。でも、私達は今は信じることしか出来ない。ミッちゃんを皆を信じて待とう。それは私たちに出来る精一杯の事だから」


リツは優しくメイの手を握る。


「うん、信じる。必要とされてるって信じる。思い出の中に居なくても仲間だって信じる。この戦いに勝てるって信じる!皆を信じる!」

「うん~私も信じるよ~」

「あっ元に戻った」


いつもの口調に戻ったリツを見てメイはそんな言葉をこぼした。


―――――――――――――――――――――――

作戦を開始する直前、俺達が集まっていることに気づきラルダは声を上げる。


「ここに来て3人で向かってくる気?随分と余裕そうだね!」

「余裕な分けないでしょ。こっちは命削って戦ってるのよ」

「なら、逃げればいいじゃないか。ミノルにとってももう俺たちとは関わりたくないはずだし。昔の時みたいに仲間を裏切ればいいじゃないか」

「ふざけないで!私は1度たりともあなたを仲間と思ったことはない!」


ラルダの言葉にミノルが怒りに身を震わせる。

それをリドルは優しく諭す。


「挑発ですよ。ミノル先輩、落ち着いてください」

「分かってるわ」

「感情に流されて勝てる相手じゃありません。ミノルさん、くれぐれも慎重にお願いしますよ」

「分かってる、集中するわ」

「リドル先輩も大丈夫ですか?」

「え?僕ですか?はい、大丈夫ですよ。必ず隙を作ります」

「そう言うことじゃ無いんですけど、まあいいですよ。それよりもやらなきゃいけない事がありますからね」


3人は迎撃するために身構える。


「3人まとめて殺してやるよ!」


その瞬間、無数の手が現れる。


「いくわよ!」

「「はい!」」


合図と共に、3人は飛んで回避する。


「ライジングサンダー!」

「そんな脆弱な魔法が俺に効くわけないだろ」

「くっ!魔力抵抗も相当ですよ。おそらく魔力レベルは10をゆうに越えますよ」

「なら、畳み掛けます!ロックスタンプ!ロックスタンプ!ロックスタンプ!」 


無数の岩がラルダを押し潰す。


「効かないって言ってるだろ!」


その瞬間、岩が弾き飛ばされる。


「プリズンフリーズ!」


だが、鋭い刃物が氷を切り裂く。


「サンダーボルト!」


伸縮される腕により弾き飛ばされる。


「遊びはここまでだ。皆、死ね!」


その瞬間、高速の腕が3人を襲う。


「「「っ!!!」」」


直撃してしまい、三人はそのまま吹き飛ばされる。


「がはっ!くっ!」


その瞬間、休む暇も与えず2本の刃物が襲いかかる。


「もっと強い攻撃をして来なよ。まあ、また分裂するだけだけど!」

「正直これ以上は持ちません!」

「まだよ、ミカ!ボルトリレース!」

「リストタイフーン!」

「アイスガン!」


次々と魔法を放つも全てダメージにならず弾かれる。


「あともう少し……あと少しのはず」

「ライジングサンダー!まだ、何ですか!」

「ネオウィンド!もう少しの辛抱です!そうですよね、ミノルさん!」

「ええ、あともう少し……今だ!ミカ!」

「了解です!ウォータープレッシャー!」

「っ!水?」


ミカの魔法によってラルダの全身がずぶ濡れになる。


「かかったわねラルダ。私達は散々雷の魔法を撃ってたの気付いてた?」

「まさかっ!?」

「体に溜まった電気が水に触れて一気に放出される!」

「がああああっ!」


その瞬間、ラルダに溜まった電気が体全体に一気に流れる。

体が痺れたことで動きが鈍くなる。


「よし!決まった!」

「やりましたね。正直上手く行くか心配でしたけど」

「そうね、でもこれで少しは動きを―――っ!」


その瞬間、鋭い爪が先程まで3人が居た地面を切り裂く。


「あっはははは!こんな電流で俺の動きが止まるわけないだろ!」

「まあ、そう簡単にはいかないわよね」


――――――――――――――――――――――

「デビ、そろそろ覚悟決めろよ。デビ?」


デビの方を見ると顔が真っ青になっており手が震えている。


「おいどうしたんだよ!具合でも悪いのか」

「っ!そ、そんなことないのじゃ。えと、ラルダと戦うんじゃったなよし行くぞ!」

「お前、聞いてなかったのか?」

「何言っておるのじゃ!聞いてるに決まっとるじゃろう!」


デビと目が合わない。

動揺してる証拠だ。

こいつは人の話を聞かないやつじゃない。

何かあるんだ。


「デビ、もしかして怖いのか?」

「っ!そ、そんなわけなかろう!妾は最強じゃぞ!最強の妾が怖がってるわけなかろう!」


俺はデビのかすかに震えている手を握る。


「冷たっ!震えてもいるし、やっぱり怖いんじゃねえか!」

「っ!怖くないのじゃ!全然怖くないのじゃ!」


デビは俺の手を振り払うとそれしか言ってこない。

こいつは本当に強情なんだから。


「じゃあ、ラルダに面と向かって何でもいいから言ってみろよ!」


そう言って俺はデビの背中を押す。

するとデビはその場で硬直し、ラルダの方を向いたまま動こうとしない。


「…………あっ……このっ……うう……くっ………ばっ!………ああ」

「焦れったいな!やっぱり言えないんじゃないか!」

「そうじゃ!怖いのじゃ!それの何が悪いのじゃ!」

「いや、別に悪いって言ってる訳じゃない。でも、今はお前の力が必要なんだ」

「妾は戦えないのじゃ!あいつと対峙するだけで震えが止まらないのじゃ!」

「何言ってんだよ!いつものお前らしくないじゃないか!」

「触るな!お主に妾の何が分かるのじゃ!」

「デビ…………」


まずいな、かなりナーバスになってる。

自分より強い人物と相対して恐怖を覚えてしまったのか。

初めての恐怖……そう簡単に払拭できる訳がない。

でも、ここで諦めるわけにはいかない。

あいつらが死ぬ気でチャンスを作ってくれるんだ。

俺は俺のすべき事をするしかない。


「なあ、デビお前―――――っ!デビ!」


俺はその瞬間、デビを突き飛ばした。


「っ!痛っ何するのじゃ………かつ!?どうしたのじゃ!?その背中の怪我は」


背中の方から熱を感じる。

まずいな、モロに食らっちまったか。


「あの刃物が飛んで来て………」

「分かったからもう喋んなくていいのじゃ!」

「このくらいの怪我、回復のポーションで治る。それよりデビ!」


俺は痛む背中に耐えながらデビの肩を掴む。


「怖い気持ちも分かる。戦いたくもない気持ちも分かる。俺だってそうだった。だけど怖がる必要はない」

「かつ……」

「俺達がついてる。お前のそばには俺達がいる。だから、怖がるな。恐れるな怖くなったら俺達を頼ればいい。安心するまでそばにいるから。だから、一緒に行こう」

「かつー!」


そう言ってデビは俺に抱きつく。

だが今の俺の状況ではそれはあまり喜ばしくないことだった。


「おわっと!ちょっ!デビ!怪我してるから!ちょっとて言うかかなり痛いんだけど」

「絶対離さないのじゃ!」


そう言って俺の言う事を聞かずに更に強さを増して抱きついてくる。

本当にこいつは。


「…………やっぱり子供じゃねえか」


―――――――――――――――――――

「まずいですよ!かつさん達を庇えなくなってきました!」

「分かってるわ!ここら辺で決着つけるわよ!ミカ!リドル!」


そう言って2人にアイコンタクトを送る。


「分かりました。行きましょう!」

「ちょっとよく分かりませんでしたが、天才なんで大丈夫です!」

「いくわよ!ファイヤーウォール!」


その瞬間、ラルダと3人を遮る巨大な炎の壁が出現する。


「閉じ込めたつもり?こんなもの引き裂けば済む話」

「ウォーターガン!」

「っ!?水蒸気、目眩ましか」


ミカの魔法が炎の壁に辺り水蒸気で辺りが霞んで見える。


「これくらい魔力を感じとれば用意に分かるんだよね!」


その瞬間、何かを感じ取ったのか腕を伸ばし掴んだ瞬間握りつぶす。

だがラルダは次の瞬間、その不気味な笑みが消え去り焦った表情を見る。


「っ!この感触は岩っ!?」

「それはゴーレムよ」

「ミノル!?しまっ―――」

「レベル魔法!リュートプリズンフリーズ!」


ミノルの魔法によりラルダの体が凍りつく。


「今よ!かつ!」


その時ラルダの真下から魔法陣が出現する。


「行ける!」

「そう……は……させない!」


その瞬間、足だけが砕かれる。


「っ!ロックスタンプ!」

「っ!お前……かつじゃないな」


そこにいたのはかつではなくミカの方だった。


「騙されたわね。意外と単細胞で助かったわ」

「このっ!」

「っ!!?うっ!」


その瞬間、防いだ岩ごとミカが吹き飛ばされる。


「ミカ!?」

「私のことは大丈夫です!それより、かつ後輩!デビ!頼みましたよ!」


そう言いながらミカは遥か彼方に飛んでいってしまった。


「任せろ!」

「妾はもう恐れないのじゃ!」

「このっ!」


ラルダも俺達に感づいて攻撃を仕掛けてこようとしてくる。

だがこっちのほうが早い!


「行くぞ、デビ!」

「了解じゃ!デビルオン!」

「「ダブルインパクト!!」」


衝撃波と黒い雷がラルダを襲った。


「こ、これはぁぁぁぁ!!!」


そして、ラルダを中心に巨大なクレーターが出来る。


「はあはあはあ、やったか?」

「妾、もう限界じゃ」

「これで終わってくれればいいんですか」

「みんな~!私信じてたよー!」


そう言ってリツとメイが物陰から姿を現してこちらに走ってくる。


「よかった。2人とも無事みたいだな」

「もちろん!バッチグッチョブだよ!」

「どっちか1つにしろよ」

「これで~何とか~ゲートにたどり着けるね~」

「そうね。かなり疲れたけどまだ仕事が残ってるのよね。っ!伏せて!」


ミノルが突如そう声を上げると、その時最悪なものが目に飛び込んでくる。

クレーターが出来た場所から、高速の伸縮する腕が飛び出してきてかつ達を襲おうとするが、ミノルが何とかそれを防ぐ。


「くっ!まさか、まだ生きてるの!?」

「中々効いたよ。お前らの攻撃。そのおかげで腕が取れたり顔が歪んだりと大変だよ」


その姿はまるで火だるまにされた人のように痛々しい姿だった。


「あの怪我で平気なんて化け物ね」

「実際化け物ですからね。でも、ダメージはあるみたいです。所々回復できてない箇所がありますし」

「そういえば、ミカはどうなったんだ!」

「あっちの方向にバコーンと飛ばされちゃったよ」


そう言って遠くを指差す。


「まじかよ!ちょっと待てそれまずくないか!?」

「まずいね~今黒の魔法使いと遭遇したら~やられちゃうかも~」

「早く追いかけないと――っ!」


その時、腕が伸び俺の進路を妨害する。


「行かせるわけないだろ。お前の腕や足をへし折って、楽器みたいにならすんだからさ」

「くっ!そう簡単には行かせてもらえないか」


だがラルダを突破するのは容易じゃない。

その時、俺の隣にミノルが立つ。


「かつ、私達があいつを足止めするから早く行きなさい」

「ミノル!」

「そうなのじゃ、今はミカがパートナーじゃろ?ここは最強の妾に任せろ!」

「私は皆のこと後ろから応援するよ!」

「ありがとう皆!」

「おいおい、頭の中お花畑かよ。お前らはここで殺されるんだよ!」


そう言って半獣の姿ではなくなり、本物の悪魔の姿に変わる。


「あれが……本当の姿……」

「禍々しいわね」

「危険度マックスファイヤーだね」

「でも、妾はやってやるのじゃ!」

「体から内臓を引きずり出してやるよ!」



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