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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十四章 黒の時代
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その八 ガルアの考え

「いよいよ正体を現したか、まあ何となく予想はしていたが」

「すみません!遅れました!」


汗だくで会場に入るハイトを見つけて壁にもたれ掛かるのをやめる。


「遅いぞハイト。このアラームを鳴らしたらすぐ来いと言っただろ」

「申し訳ありません。やらなければいけない雑務が残っていたので。やるべき事はやって残りはシニアに任せました」

「そうか、それでこのアラームを鳴らしたってことはデビの身に何か起きたんだろ?」

「はい、デビが森に侵入しました。他の仲間も一緒です。やっぱり……そういうことですよ」

「いや、違う。デビはあの事件の悪魔じゃない。これを見ろ」


そう言ってハイトに鏡を見せる。


「こ、これは!?」


ハイトは鏡に写し出された光景を見て唖然とする。

そこには腕が変形したラルダの姿が写し出されていた。


「正体を現しやがった。黒の魔法使いのラルダ、俺の予想通り奴があの事件の時に噂された地獄からの使者だ」

「黒の魔法使いにまさか、悪魔がいたなんて」


その事実にハイトは驚きを隠せずに、写し出されている禍々とした姿をしたラルダに釘付けになる。

するとガルアは冷静な口調で答える。


「いや、居た方が納得だ。黒の魔法使いはいち早くワームホールを見つけていた。おそらくラルダが見つけていたんだろうな。そして、その可能性はあの事件にも繋がる」

「サキン村事件ですね。もしかして、殺された村の人たちはラルダにやられたってことですか?」

「その可能性が非常に高いだろうな。実際、地獄のゲートが見つかってから2年後の事だ。関わってる可能性が非常に高い」

「残虐非道な現場を見れば納得ですね。あれは普通の人には出来ない殺し方だった。まさに悪魔の所業ですね」


そう言ってハイトはあの日の光景を思い出すように唇を噛みしめる。


「ああ、ラルダ自身が独断でやったのか。はたまた黒の魔法使いが指示したのか」

「独断だと俺は思います。わざわざあの村を襲う理由はありませんしね。まあ、ローブを置いていった理由はたまたまとしか今は言えないと思います」

「たまたまか………命令じゃなきゃその可能性は確かにあり得るな。まあ、これであの事件の真相は分かったな。あの悪魔が味方に付いてるとなると、何かと厄介そうだが」

「あっ鏡ありがとうございました」


そう言って鏡をガルアに返却する。

ガルアは手元に戻った鏡を懐にしまう。


「それで、少し気になることが」

「何だ?」

「デビに関しては白だと言うことがわかりました。魔法協会に協力を申し出て色々と捜査して白なのは少し残念ですが、後でその報告はしときます。その事よりも根本的な所が気になるんですよ」

「黒の魔法使いになぜラルダが協力しているか、か?」

「はい」


黒の魔法使いとラルダとの関係性に疑問を持ったハイトがそんな質問をする。

ガルアは少し考えながら口を開く。


「悪魔は残虐非道で他のことには興味を示さない。その性格からして恐らく全ての半獣を殺すと言うところに魅力を感じたのかもしれないな」

「この島が血に染まる光景を見たいと」

「奴らの思惑、理由などはどうでもいいんだろ。結果が欲しいだけだ。その光景を見るためだけに協力をした、所詮そんなもんだろ。協力した理由わな」


ガルアの意味深な発言にハイトは少し小難しい顔をする。


「それはどういう意味ですか?」

「出会いは恐らくあいつだろう。黒の魔法使いを作った創始者、シント。奴が悪魔を仲間に引き入れたんだろうな」

「黒の魔法使いを作ったのはクラガじゃないんですか!?」


淡々と告げられる事実にハイトは思わず声を上げてしまう。


「奴も所詮はシントに誘われて黒の魔法使いになっただけだ。奴らはシントの意思を受け継いでいる。悪魔を仲間に引き入れるなんて頭がおかしいだろ?でも、シントは目的のためなら何でもやる奴だ。今宵黒の魔法使いを全員倒せたとしても奴が生きている限り黒の魔法使いは死なない」

「……シントについて調べましょうか?」

「やめとけ。どうせ出ないだろうし、下手に探ってまた隠れられても面倒だからな」


そう言ってガルアはその場を離れる。


「それじゃあ、行くぞ」

「え?」

「なに呆けてんだ。お前も来るんだよ」

「お、俺がですか?でも、俺が観戦したところで意味ないのでは?」

「ばか!観戦じゃなくて競技に決まってんだろ」

「………えええええっ!?」


――――――――――――――――――――

「な、何なんだよ一体ーー!」


ピンカとイナミは絶賛モンスターに追われていた。


「何弱音吐いてんのよ!戦う覚悟を決めたんなら、しっかりと戦いなさいよ!」

「分かってるよ!ちゃんと戦ってるだろ!でも、数が多すぎる!」

「逃がせねぇぜ!チュピっ!」


その瞬間、高速の水鉄砲が木に貫通し、それにより木が倒れる。


「うわっ!嘘だろ!?当たったら死ぬぞ!」

「だったらさっさと反撃しなさいよ!ライジングサンダー!」

「グギャッ!?」


その瞬間、丸焦げになりその場に倒れた。

かと思ったが再び蘇り反撃してくる。


「ちっ!しぶといわね、この黒いモンスター!」

「あれが例の黒いモンスター、強さが尋常じゃないくらい上がってる」

「こっちは黒の魔法使いも相手しなきゃいけないのに、面倒なことしてくるわね」


その時別の場所からモンスターが出てくる。


「殺してやるから待ってくれよー!」

「待つわけないでしょ!このクソモンスターが!」

「じゃあ走りながら死ねよ!」


そのモンスターは電気をピンカとイナミに飛ばしてくる。


「チュピっ!」


その瞬間、水鉄砲と電気が合わさり電気を帯びた水鉄砲か2人を襲う。


「おわっ!?」 

「きゃっ!」


木に当たった瞬間、電気が放電して四方八方に飛び散る。

何とか身を屈めてそれを回避することには、成功したもののイナミは思わずピンクの方を見る。


「え?今、きゃって…………」

「そ、そんなことより、早く行くわよ!」

「いや、今………」

「うっさいわね!死にたいの!?」

「す、すみません………」


そう言ってすぐに走り出す。


「逃がすわけないだろ!」


すると今度は巨大な岩が投げつけられる。


「くっ!」


2人は急旋回して森を駆け抜ける。


「やっぱり数が多すぎるよ!ここは1体ずつ確実に………これって」

「どうやら、はめられたみたいね」


2人が向かった場所には数10体のモンスターが待ち伏せしていた。

そして、先程のモンスターが退路を塞ぐ。


「へへっ来たぜ!アルバ様の言う通りだ!」

「これでお前らもおしまいだぜ!」


愉快そうに笑い声をあげるモンスター達を見て、イナミは混乱した声を上げる。


「ど、どういう事だ?」

「だから、言ってんでしょ。罠にはまったのよ。どうやらそこの黒の魔法使いの仕業みたいよ」


そう言ってピンカが木の上から見下ろしている、アルバを指差す。

アルバは気づかれたことでその木の上から、降りると丁寧にお辞儀をする。


「初めまして。俺は黒の魔法使いの真面目担当アルバだ。お前らは見事に俺の完璧な作戦にはまったって訳だ。まっこの俺が相手だってことを後悔しながら大人しく死んでくれ」

「うるさいわね。ペラペラと喋ってないで、黙ってそこで待ってなさい。すぐに殺しに行くから」

「いやいや、無理だからな。ここにいるモンスターの数は全部で20体。それに全て黒いモンスターだ。この数相手にいくら十二魔道士でも、生き残れないだろ。名付けて!囲んでフルボッコ作戦だ!」

「え?ダサい」


自信満々に作戦名を発表したのにもかかわらずそんなことを言われて、アルバは驚いた表情をする。


「なっ!?俺の作戦がダサいだと!?」

「これに関してはイナミと同意見ね。とりあえず、その作戦は重大なミスを犯してる」

「重大なミスだと?この作戦に慎重な俺が、ミスなんてするわけないだろ?」

「それわね。私達がこいつらよりも強いってことよ!」


ピンカは自信満々に宣言する。

だがそれを聞いたアルバは思わず吹き出す。


「ぷっ!あははははっ!何だよその事かよ。安心しな。お前達の戦闘データはちゃんと頭に入ってるからよ」

「その戦闘データ古いんじゃないの?ちゃんと更新した?」

「ちょっ!ピンカ、そんな煽るなよ」

「あんたは黙ってて。戦う覚悟決めたんでしょ。だったら何弱腰になってんのよ。気持ちで負けたら勝てるもんも勝てないわよ」

「た、確かにそうだな。気持ちで負けたら駄目だよな!おい!俺はイナミだ!今までの俺とは違うぞ!」

「そういうこと!あんたのデータにこんなデータは無いでしょ?2人で戦うときの戦闘データなんてね」


そう言って、2人は構える。


「行くわよ!イナミ!」

「わかってる!ピンカ!」



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