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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第三章 黒いモンスターの謎
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その三 借金

あの後しばらく叫び続けて今は何とか落ち着いて来た。


「かつさん大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃないですよ!5億ですよ、5億!そんな数字宝くじぐらいしか聞いたことないですよ!」


受け入れ難い現実だがほっぺを何回もつねっても痛いまま、受け入れるしかないのは分かってる。

でも……


「宝くじっていうのは聞いたことないんですがこれはガルア様が決めた事なので」


ガルア様?


「何でガルア様がゴールドフィッシュの事を知ってるんだ?」

「ゴールドフィッシュは最重要モンスターに指定されているのでガルア様に最優先で報告されてるんですよ」

「最重要モンスター?」


俺の疑問をミノルが答える。


「かつ知らないの?最重要モンスターはこの島に多大な影響を及ぼす可能性があるモンスターに付けられるのよ」


絶滅危惧種みたいな感じか。


「なるほど、てことは借金の金額もガルア様が決めたってことか」

「そういう事ですね。本当にすいません」


ルルさんは再び律儀に頭を下げる。


「別に謝らなくていいわよ。でもねルル聞いて、ゴールドフィッシュがかかった毒って言うのは実は私達のせいじゃないのよ」


そうだ、その手があったか。

あいつらに罪をなすりつければいいんだ!


「そんなんだよ。ゴールドフィッシュを討伐し終えて帰ろうとした時、ゴールドフィッシュのクエストの紙を持った2人組がやって来たんだよ。で、そいつらが毒を撒いたせいでゴールドフィッシュが毒にかかったんだよ」


ミノルの言葉に呼応するかの様に俺も2人の情報を言う。


「そうなのよ。確か名前はトガとデフって言ったかしら」

「それってもしかしてですが大柄な方と小柄な方の事ですか」

「そうその2人組やっぱり知ってたのね」


やっぱり知ってた?

どういう意味だ?


「すみませんその2人にゴールドフィッシュのクエストを渡したのは私なんです。実は内緒でゴールドフィッシュのクエストを渡した事がバレてしまい、黙ってやるからクエストをよこせと言われてつい………本当にすいません!」

「ルルのせいじゃないわ。私達だって内緒でやってたんだしね。そんな事よりその2人組に払わせる事って出来ないの?」

「それは難しいと思いますよ。最初にクエストをクリアした人が払えと言ってたので。ガルア様は一度決めたことはそう簡単には変えないので」


なるほどガルア様は頑固らしい。


「じゃあ他に方法はないの?」

「あとは裁判とかですかね。でも相手はこの島の王なのでほぼ不可能だと思いますよ」


裁判なんかあったのか。


「そうよね、無理よね………」


何か話がどんどん払う方向に進んでいるのだが。

まさか本当に払わなければいけないのか?

ていうか5億とか一生かかっても無理なんじゃないか。

何かすごい考えれば考えるほど鬱になりそうだ。


「なあルルさん、5億ってもしかして個人か」

「違いますよ。共同です」


共同か……少しは希望が見えるが。


「共同でも5億は無理だろ」

「あああもう!何でこんな事になったのよ。5億なんて大金払えるわけないじゃない。これ以上はもう無理!」


ミノルが、溜まってたストレスを爆発させるかのように愚痴を吐く。


「俺だって5億も払えないよ。でも聞く限り誰かに払わせるって事は出来ないし諦めるしかないだろ。幸い期限は無いみたいだし気長にやってけばそのうち返せるだろ」


まっ無理だと思うけどな。


「何でそんなにプラス思考なのよ!もう無理終わったわ。私の人生積んだわよ!」

「落ち込んでも仕方ないと思って励ましてやったのに何だよその言い草は!だったら何だマイナス思考になれば良いのかよ」


俺達2人の喧嘩にウルフが割って入る。


「はーいそこまでた。お前ら喧嘩するな、決められたものは仕方ないだろ、潔く諦めるしかない。私達も出来るだけ協力してやるから我慢しろ」

「ウルフは関係ないからそんなふうに言えんだよ」


俺のそんな言葉をウルフは黙って聞いた。


「私達もこれからの事を考えますので今日は帰ってゆっくり体を休めてください」

「明日……じゃなくて今日か。これからやるべき事考えてやるから魔法協会にちゃんと来るんだぞ。それじゃあな」


そう言ってウルフは俺達を魔法協会から放り出した。


「ちょっと待て話は……って追い出しやがったな。はあ〜まさかこんな事になるとは今頃ホントは金持ちだったはずなのに」


人生うまいこと行かないようになっているのだろうか。


「何?私のせいって言いたいの」


するとミノルが、こちらを睨みつける。


「そんなこと言ってないだろ。まあもう後戻りできないし現実をちゃんと受け止めて今後の事を考えるか」

「私は払うなんて絶対に嫌。まだ私は諦めないわ」

「諦めろってそんなすぐに払うわけでもないんだから別にいいだろ。みっともないぞ」

「みっともない?私がみっともないって言いたいの?」


ミノルの声色が急に変わり一瞬動揺する。


「えっ急にどうし――――――」

「あんたなんかに私の苦労なんて分からないわよ!!!」

「なっ!?」


急に大声を上げられたせいで思考が停止する。


「あっ!――――――ごめん。私先帰るから」

「ミノっ…………」


ミノルは逃げるように走って行ってしまった。

俺はミノルに声をかけることができなかった。

なにか言ってはいけないことを言ってしまったのだろうか。

どちらにしろ俺はミノルを怒らせてしまった。

こんな時どうしていいか分からない。

俺は人と接したことなんて無いしむしろ人と接しようと近付いたら気持ち悪いと言われる始末だし。


「やっぱり変われないのかな俺は」


俺は黒い夜道を静かに歩いて家に帰った。



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