その三 黒より黒い
試験会場の森の中
「ちょっと待って欲しいのじゃー!」
「デビちゃん!早くしないと置いていくわよ!」
「すごーい!あんなところにデッカイモンスターが居るよ!今夜はモンスター鍋だー!」
「ここのモンスターには手を出しては行けませんよ。十二魔道士の競技に使うんですから」
「みんな~ちゃんとついてきてる~」
ミノル達はモンスターに見つからないように慎重に森を進んでいた。
そしてその先頭に居るリツにミノルは改めて尋ねる。
「リツ、間違いないのよね。ここに黒の魔法使いが来るのは」
「うん、間違いないよ~だからミッちゃん達をここに飛ばしたんだよ~」
「それにしてもいいんですかね。今大会に部外者の僕らが勝手に競技に乱入しても」
「大丈夫だよ~あくまで競技はモンスター討伐だから~黒の魔法使いを倒すのは競技に含まれてないからね~」
「だからと言って見つかったら追い出されてしまうんじゃないですか?」
その時リツの足が止まる。
それに続いて皆の足も止まる。
「リツさん?」
「それじゃあ、もうやめて帰る?」
「っ!それは………」
改めてのリツの問いにリドルは言いにくそうにする。
それを見てリツは皆に背を向ける。
「嫌だよね~正直言って黒の魔法使いと戦えるのは、これで最後になるかもしれないよ~」
「それって……」
「今回は本気で行くってことよね。黒の魔法使いも十二魔道士も」
「そういうこと~どっちが勝つにしろ~どっちも無事にはすまないと思うよ~」
その言葉に皆の表情が更に険しくなる。
ある1人を除いて。
「僕はどうなろうが最後まで戦います。例え死んだとしても」
「リドル………そうね、私も元黒の魔法使いとしてけじめをつけなきゃいけないわよね」
そう言って拳を強く握る。
皆が戦う意志を示すとリツは嬉しそうに笑みを見せる。
「それじゃあ~早速行くよ~」
そう言ってリツは再び走り出す。
「そういえば、妾達は一体どこに向かっておるのじゃ?」
「それは~もちろん~地獄のゲートだよ~」
――――――――――――――――――――
「ん?着いたのか」
光から解放されるとそこはまたもや森だった。
「カルシナシティの近くの森ですね。どうやらもう始まってるみたいですよ」
その瞬間茂みから何が飛び出して来た。
「キシャアアアア!」
「うわっ!モンスターか!?」
俺はとっさに鋭い爪避けて何とか距離を取る。
危なかった、何て鋭い爪だ。
手が以上に長くてリーチがあるな。
離れてると危ないかも。
大きさからして小型のモンスターかな?
あまり強くはなさそうだがここは慎重に――
「メテオボール!」
「ギシャアアア――――!」
ミカの魔法によって跡形もなく消し去られてしまった。
「大丈夫ですか?かつ後輩」
「あ、ああ、大丈夫だ………」
「それはよかったです。にしても雑魚でしたね。これくらいの相手ばっかだったら正直やる気になりませんよ」
さすが十二魔道士、小型モンスターは相手にならないな。
「これで30ポイントを獲得したってことですか」
「ああ、これで俺達の合計ポイントは200ポイントか。幸先良いんじゃないか」
「これは圧倒的勝利になりそうですね。さすがにこのポイントで1位は抜かれてるわけないし」
その時ものすごい衝撃が森に響き渡る。
「い、今の音ってモンスターの音か?」
「いや、今のは魔法を使った衝撃音です」
「まじかよ。それじゃあ、大型のモンスターと戦った可能性があるってことか?」
その時ミカの表情から余裕が消えていき焦りが出てくる。
今のを聞いたらまあ確かに不安にはなるよな。
「かつ後輩!何ぼさっと突っ立ってるんですか!さっさと行きますよ!」
「おおっい!ちょっと待てよ!」
ミカは俺のローブを掴み強引に引っ張る。
その時また、茂みが動き出す。
「っ!ミカ!またモンスターだ!気を付け―――ぐはっ!」
何だ!?今何かに殴られたような。
「モンスター!?何処ですか?今すぐに倒して……居ないじゃないですか」
「え!?」
俺はすぐに辺りを見渡すもモンスターの姿を見付けられなかった。
「あれ?おかしいな、確かに何かに当たったはずなんだけど」
「ぼーっとしてて木にぶつけたんじゃないですか。しっかりしてくださいよ。こっちは真面目にやってるのに」
「俺だって真面目だよ」
気のせいだったのか。
まあ、見付けられなかったんだから気のせいだったんだろうけど。
「っ!ぐふっ!」
その時2発顔に強烈な痛みが走る。
「やっぱり!今何かに攻撃されたぞ!」
「ええ!?本当ですか?」
くそ、姿が見えないな。
でも、確かに鈍器のような硬いもので殴られた衝撃があった。
姿が見えないと言うことは遠くから攻撃してるのか?
それとも姿が見えない能力を持ってるのか?
「気を付けろよ。何処から攻撃が来るか分からないぞ」
「本当ですか?おちょくってるだけなんじゃないですか?」
「そんなわけないだろ!ほら、警戒しろ――いった!」
その時腕に激痛が走る。
「ほら!今腕に来た!」
「誰も居なかったと思いますけど」
「居るんだって!姿が見えないだけで居るんだよ!」
くそ、何処に居るんだ。
このまま何もできずに時間を食うのはもったいない。
「がはっ!ぐふっ!」
顎と腹を同時に攻撃される。
くそ!攻撃力が上がった!
「かつ後輩、もしかしてふざけてます?」
「だから、ふざけてないって!何でこんなところで攻撃されるふりをしなきゃいけないんだよ!それにこの後を見ろよ!」
俺は赤く腫れた部分をミカに見せる。
「まあ、確かに攻撃された後はありますね。じゃあ何で姿が見えないんですか?」
「知らねえよ。何か秘密があるんだろ。ていうか、何で俺ばっかり攻撃されてるんだよ」
「そうですね。私は天才なんで相手もビビって攻撃できないんですよ」
「理由になってないぞ」
いや、待てよ?
もしかしたらそうかもしれないな。
ミカの姿をあまりじっくりと見たことがないが、よく見ると隙がない。
俺が攻撃しようとすれはすぐに反撃されそうなほど、警戒心が強い。
もしかしたらそのせいで俺にしか攻撃が飛んできてないのかもしれない。
「よし、それなら」
俺はその場で立ち止まり、息を整え集中する。
俺も警戒心を高めればすぐに攻撃されない。
もし攻撃してもすぐにカウンターを喰らわせてやる。
「……………………」
「……………………」
な、中々来ないな。
相手もビビって慎重になってるのか。
それなら俺の作戦が通じてる証拠だ。
「ねえ、かつ後輩何してるんですか?」
「……………………」
「目をつぶって突っ立ったままで、もしかして寝てるんですか?」
「………………っ!」
「かつ後輩!起きてください!かつ後輩!」
「起きてるよ!うるさいな!今集中してんだよ!っ!」
その瞬間、頭にものすごい衝撃が走った。
「かつ後輩?起きてたんですか?なら、返事してくれてもよかったのに」
「もう許せねえ!」
その瞬間俺は右手に魔力を込める。
「ちょっ!かつ後輩!?何してんですか!」
「見えないなら、周りを吹っ飛ばす!」
「なっ!?それは駄目!むやみに攻撃すれば相手の思う壺です!」
「うるせえ!これでも食らえ!インパクト!」
その瞬間、周りに衝撃が響き渡る。
そして近くにあったものはすべて吹き飛ばされた。
「ふうースッキリした」
「かつ後輩、あんたバカでしょ。何で姿も見えないのに魔法を放ったんですか!相手の思う壺ですよ!」
「うるさいな、こっちは相手も見えないし攻撃されるしで、ストレスが半端なかったんだよ。でも、おかげで見つけたぞ」
俺は地面に転がっているまるっこい小型モンスターをつまむ。
「攻撃してきた正体はこいつだな。透明でもなく、遠距離から攻撃してきたわけでもなく、ちっこいから見付けられなかったんだから」
ハムスター位のそのモンスターは小さいながらもかなり重い。
まるで石でも積めてるようだ。
「何かちっこいですね。こんなやつに攻撃されてたんですか?」
「いや、侮っちゃいけないぞ。こいつは中々の重量級なのにあのすばしっこさ。その秘密はこのバネみたいにグルグル巻きしてる足だろ。これによって強靭なバネの力で重たい体を動かして相手に体当たりしてるんだろうな。お前でも何発かもらったらやばかった思うぞ」
「もらいませんよ。私、天才なんで」
「あっそうかよ」
まあ、本当にもらわなそうだったしな。
「それより、また小型モンスターだな。これで230ポイントだけど、小型モンスターばっかり倒しても意味ないし、中型のモンスターも倒したいよな」
「いや、狙うは200ポイントですよ。それで一気に引き抜いて堂々の優勝!それしか見えてませんね」
「すげーな、お前は。相手がどんなモンスターかも分かってないのに」
「別に誰だって構いませんよ。楽勝なんで何だって私は―――」
「天才なんで、だろ?」
するとミカは不満そうにこちらをジト目で見てくる。
「何私のセリフ取ってるんですか。かつ後輩には似合いませんよ」
「うっせーな!別に俺自身が思って言った訳じゃねえよ!」
たくっやっぱりこいつのペースに乗るとろくなことにならないな。
その時、ミカが俺の前に手を出し足を止める。
「居ますよ。この先」
気配を察したのか緊迫した表情で前を見据える。
俺自身モンスターの姿は見えないが、ミカが前もって言うことはかなりの強さのモンスターなのだろう。
俺は音を立てないように慎重に進む。
すると、わずかに音が聞こえる。
声じゃない、何かを潰してるような音だ。
そして、その音の答えはすぐに出た。
「グチュグチュグチュ」
「んぐっ!ガリガリガリ」
「ボリボリボリボリぺっ!」
なっ何だこれは。
モンスターがモンスターを食ってる。
しかも、3体も居る。
どうなってんだこれ。
「ちっ!このモンスターもまずいわね。食えたもんじゃないわ」
「しょうがないっすよ。モンスターなんてそんなもんす」
「姉御姉御!俺もっと美味しいの食いたいです!」
姉御?特徴的な語尾、聞いたことがある。
いや、1度たりとも忘れたことはない、こいつはまさか………
「ん?みーつけた!」
その瞬間、俺の疑惑は確信に変わる。
2足歩行のネズミ色のハイエナみたいな顔のモンスター。
間違いない、こいつはノリトを食ったモンスターだ!
それが分かった瞬間、拳を自然と強く握った。
「お前ら!食事が来たよ!」
「グヘヘヘ!やっと来たっすか!」
「骨の髄までムシャブリ尽くしてやるよ!」
そう言って気色の悪い視線をこちらに向ける。
「うへー気持ち悪いですね。モンスターがモンスターを食うなんて聞いた事ないですよ。でも、喋れるってことは中々強いってことですよね。これはやっと戦いがいがありそうですね」
「ミカ、ごめん」
「ん?何ですか」
「こいつは俺にやらせてくれ」
そう言って俺は前に進む。
「え?ちょっとかつ後輩!」
「ん?1人で戦う気?私達をあんまりなめない方がいいよ」
「覚えてるか?俺のことを」
そう尋ねるとそいつは俺をじっと見つめてから、突如吹き出した。
「………ぷっ!はははははは!まさか、こんなところで会うなんて!覚えてるよ、あんな無様な魔法使い見たことないから忘れるわけないわ」
「俺も覚えてるっす!あの子供を食ったときの魔法使いっすよね」
「っ!」
落ち着け、あせるな。
ここで怒りに任せて攻撃しても、相手の思う壺だ。
「まさか、まだ生きてたなんて思わなかったよ」
「お前らのおかげで俺は強くなれた。でもな、俺は1度たりとも忘れたことはないぞ!あの日お前はノリトを食った!」
「お前が守れなかったからだろ?」
「ああ、その通りだ。だからこそ、俺はお前らを倒さなきゃならない。それが俺のけじめだ!」
ここであったのも運命のような気がする。
あの日の決着を付けろと、そう言われているようなそんな気がする。
するとモンスターは長い舌を見せる。
「いい心がけだね。でも、残念。お前は私に食い殺されるんだよ。せっかく助けてやったのに」
「そういえば、何でお前は俺を食わなかったんだよ」
「単純なことっす。美味しそうじゃなかったからっす」
「っ!たったそれだけか?」
「そう、あの時のガキはうまそうに見えた。だから食った。私達は本能に生きる。食べたいと思ったら食べるし、要らないと思ったら放っておく。それが私達なのさ」
そうだ、こいつらは俺達と同じ言葉を使うけど俺達は違うんだ。
こいつらはモンスターなんだ!
「今度は逃がさないよ。噛み殺してあげる」
「グヘヘ!」
「じゅるり」
「かつ後輩…………」
『そういうことですか。あの時話してたモンスターはこいつらだった。だから、かつ後輩は私に手を出すなって言ったんですね。分かりました、だったら手は出しません。だから勝ってくださいよ』
「ふう…………っ!」
俺は即座にモンスターに突っ込んでいく。
「でしゃばりやがって!噛み殺してやる!」
気性の荒いハイエナみたいな奴らだ。
突っ込んで行ったらお前らも来ることはお見通しだ!
「ファイヤーボール!」
「グエッ!何だ!前と変わらず弱いままじゃねえか!」
炎の玉に直撃して一瞬怯むが再び強気な姿勢を見せる。
だが足を止めたなら狙い時だ。
「気を付けろ!」
「んっ?」
「インパクト!!」
「がっ―――――!」
ハイエナは吹き飛ばされ木に激突する。
「先ず1匹………」
「ちっなるほどね。気が強くなるわけだ。前とは違うわね」
「ど、どうするっす?姉御?」
「何弱気になってるの?お前も行くんだよ!魔法の威力は変わってないのよ!さっさと行きな!」
「は、はいっす!」
尻を蹴飛ばされたハイエナがこちらに近づいてくる。
次は…………
「なめやがって、調子に乗るのもいい加減にするっす!」
その瞬間、素早い足で周りを飛び回る。
「いいよ!相手は見えてないそのまま食いちぎれ!」
「了解っす!くらえっ!」
その瞬間、もうスピードでこちらに牙を向けて襲ってくる。
それを、俺は平然とかわす。
「へ?」
「おせえよ」
「くそ!もう1回やってやるっす………あれ?いない」
ハイエナがこちらを振り向いた瞬間に瞬時に移動する。
そしてハイエナは間抜けにも無防備な状態で、その場に立ち尽くしている。
「バカ!後ろ!」
「っ!」
仲間の言葉を聞いてすぐに振り向こうとするが、俺はそれよりなお早く握りしめた拳を振り下ろす。
「遅いって言ってんだろ!」
「ぐっ!?」
俺はハイエナの顔面を思いっきり殴る。
「なっ!あいつ、打撃戦もやれるのか!」
「ぐふっ!」
一撃を食らったハイエナはそのまま気絶して倒れた。
「いってぇ、やっぱりモンスターは固いな。でも、これで最後だ」
俺は残りのハイエナの方を見る。
「クフフフっ久しぶりだよ。こんな舐められたのわね!これ以上調子に乗るなよ!」
鋭い牙と鋭い爪、おまけにタフときてる。
でも、俺は負けない。
「おらっ!」
鋭い爪が俺の体に突き刺さる瞬間俺はハイエナの腕を片手で掴む。
「っ!わ、私の爪を………」
ハイエナは俺の手を必死に振りほどこうとする。
離すわけないだろ。
俺はハイエナの腹を思いっきり何発も殴る。
「うっ!うぐっ!?くそ……はな……せ……」
「離さねえよ。まだ終わってないんだから。ノリトの苦しみはこんなもんじゃねえよ!」
俺は更にハイエナの腹を殴る。
「う、うごっ!?」
「お前には分からねえよな。殺されると分かった時の恐怖も絶望も!俺が分からせてやるよ。お前に直接体に叩き込んでやるよ!」
俺は殴るスピードを更に早める。
『し、死ぬ!これ以上は本当に死んじゃう!』
「がはっ!」
『嫌だ死にたくない!こんなところで死にたくない!』
「うっ……」
「おらよ!」
「ごはっ!?」
『ああ、そうか、今まで味わったことのない感情。これが………』
「これが痛みだ!思い知ったかバカ野郎!!」
『恐怖か……』
最後に腕を離して思いっ切り拳を腹にめり込ませる。
その瞬間、木に勢いよく激突する。
「はあ……はあ……」
「いやぁ凄かったですね。あの暴れっぷり、味方ながら思わず萎縮しちゃいましたよ」
「ありがとよ。これであいつも少しは報われたかな」
ノリト仇は取ったぞ。
これが俺に出来るせめてもの償いだ。
後はあいつらをぶっ飛ばすだけだ。
もう少し、待っててくれ。
「あのモンスター見たところ中型ですね。3体も倒したから、合計で150ポイントで私達のポイントを合わせると……380ポイント!これはもう優勝確実ですかね!わっはっは!」
「冷静に考えてみるとこんなにポイントが貰えるのか。もたもたしてるとまじで抜かれる可能性はあるな」
「だから、心配要らないって。かつ後輩は心配性だなあ」
「お前は気を抜きすぎだ。こんなことしてる間にも抜かれてる可能性が――――」
その瞬間、背筋が凍るほどの嫌な気配を感じ、すぐにその方向を振り向いた。
そこには先ほど倒されていた、姉御と呼ばれていたハイエナが立ち上がっていた。
「ま、まだ戦えるのか?」
「いや、これはちょっと違う感じがする。嫌な予感が」
ミカの言う通りだ。
嫌な予感がする、相手は瀕死の状態なのに何故か足が動けない。
そういえば、違和感があった。
あれほど強かったモンスターが今は簡単に倒せた。
俺が強くなった、それだけかもしれない。
でも、何か重要な事を忘れてる気がする。
「やっと来た………」
「っ?」
「あの方がやっと来た」
「あの方?誰のことですかね?」
そうだ、そうだった。
何でこんな大事な事を忘れてたんだ。
その瞬間、ねずみ色の体毛が黒く染まっていく。
横のハイエナもゆっくりと立ち上がり黒に染まっていく。
こいつらにはあれがあった。
「黒い……モンスター」
「ここからが本番だ。すべてのモンスターが黒に染まる。もう誰にも止められない」
その瞬間、ミカが戦闘態勢に入る。
「かつ後輩、あいつやばすぎます。正直言って気を抜けば殺される」
「ああ、伝わるよ。油断したら即あの世行きだ」
「あの黒いモンスター、黒の魔法使いが作ったんですよね」
「ああ、そうだ」
「何倍どころの話じゃないですよ。何10倍もしくはそれ以上の強さになってるかもしれません」
「そんなにか……だとしたら前よりも更に強くなってるってことか」
黒の濃さも昔に比べたら更に濃くなってるドス黒い漆黒の色。
「あの方がくださった力でお前を殺す。誰も生きては帰れない」
「やっぱり、来てるんですかね」
「ああ、もういるんだよ。黒いモンスターが現れたのがきっかけだ。あいつらはもう来てる。黒の魔法使いはもうこの森に居る」
「貴様ら準備はいいな。今日この日全ての半獣が死ぬ。まずは目の前のゴミを片付けるぞ。殺しの時間だ」




