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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十四章 黒の時代
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その二 最後の競技

「おい!回復のポーションを手に入れたぞ!………て、あれ?あいつらどこに行ったんだ?」


回復のポーションを手に戻って来たサキトだったが、すでにミノル達の姿はなかった。


「治ったのか?俺の経験だと席に戻ったみたいだな。にしても、一言声をかけてくれればよかったのに」


そう思い回復のポーションをポケットにしまって、席の方へと戻るために向かう。

その道中で観客席の方では物凄い歓声が響き渡り、体の芯に響いていく。


「おわっと!もう始まるのか」


サキトは急いで席に戻る。


―――――――――――――――――――――――――

十二魔道士は集められ、観客のみんなが一斉にこちらに注目する。

何度も見てきた光景だが、やはりこんな注目される状況は中々慣れないな。

その時、司会の人の声が響き渡る。


「さあーついに島王選も終わりに近づいてきました!次の第4競技が最後になります!そして、十二魔道士の方々が休憩から戻ってまいりました!次の競技が終わった時この中の誰かが優勝します!この長きにわたる激闘を制するのは一体誰なのでしょうか!」


その言葉に観客は一層盛り上がりを見せる。

皆にとっては最後の競技なんだけど、俺達にとってはこれは別の意味を持つんだよな。

思わずあの時のことを思い出して力が入っちまう。


「どうしました、かつ後輩?もしかして最後だから緊張してるんですか?」

「そんなわけないだろ。ただ、思い出してたんだ」

「思い出していた?」

「あいつらと初めてあった時の事を」


すると、ミカはあーっと言いながら納得したように頷く。


「そういえば、かつ後輩は黒の魔法使いと対峙したことあるんですっけ。世間じゃ極悪人として危険視されてましたけど、実際どうでした?」

「極悪人か………確かにあいつらは危険すぎる。下手したら一瞬で殺されるくらいの殺気を感じた。慈悲なんてものはない、油断なんかしてる余裕は無いな」

「ふーん、そうですか。まあ、かつ後輩が実際に会って対峙した感想なんですからその通りなんですよね。でも、最初に会った時じゃなく今の印象は?」


そう言ってこちらを見透かしたように言ってくる。


「余裕で勝てるなんて生易しい相手じゃない。でも、負ける気も無い!」

「そうこなくっちゃ!パートナーがナーバスになってたらこっちまで気を遣っちゃいますからね。しっかりしてくださいよ」

「お前、気なんか使えたか?」


こいついつも人を怒らせるようなことを言うから、そんな繊細なことは出来ないと思っていたんだが。


「私を野蛮な女だと思ってませんか?私は思ったことを言うだけで気を遣える女性なんですよ」

「それ気を遣えてないし、て言うかまだ子供だろ」

「今なんか言いました?」

「別に」


俺はおもむろに空を見上げた。

そっか、この後はあいつらと戦うことになるんだよな。

最初はもう関わりたくないとも思ったけど、結局ここまで来ちゃったもんな。

来たからには逃げるわけにはいかない。

ミノルの事もあるし、あいつらとは決着をつけてやる!


「さあ、ここで皆さんにはここまでのポイントを見てみましょう!」


その瞬間、鏡に今までのポイントの集計が出ている。


第1位 絶対かつ ミカ 170ポイント

第2位 マイト ツキノ 110ポイント

第3位 ナズミ ミズト 105ポイント

第4位 イナミ ピンカ 80ポイント

第5位 ガイ サラ 55ポイント

第6位 エング サザミ 40ポイント


「以上が現在のポイント順位です!先程の競技で勝利したチームが一気に躍り出ました!絶対かつ選手とミカ選手は相変わらずの独走状態ですが、それをマイト選手とミズト選手が追いかけます!今回は古参の方よりも新参の十二魔道士が活躍してる模様です!」

「40ポイントの最下位か………1位との差は130ポイント、ずいぶん差がついちまったな」

「そうだな、だが焦ることはない。体力も魔力も回復した。次の競技で大逆転だ」

「がっはっは!その通りだ!そして俺達の王が」

「「この島の王だ!」」

「やるぞ、エング」

「ああ、サザミ!」


そう言ってお互いの手をがっしりと掴んだ。

どうやらあの二人は気合十分のようだ。


「あんた、怪我は大丈夫なの?」

「ピンカ………うん、回復のポーション貰ったから今は何ともない」

「あっそう、なら次の競技で足引っ張ることもなさそうね」


そう言ってピンカは歩き出す。


「ちょっと、何ぼーっとしてんのよ?」

「え?」

「早く来なさいよ。あんたは私のパートナー何だから」

「うん!」


イナミは喜びながらピンカの元に駆け寄る。


「絶対勝つわよ。シンラ様に今までの恩を返すために」

「分かってる。シンラ様には色々とお世話になった。シンラ様が居なかったら俺はもう十二魔道士をやめていた。だからこそ、今までの恩をシンラ様を王にすることで返す!」


すると、ピンカがイナミの顔を見る。


「ど、どうした?」

「やっと、十二魔道士らしい顔つきになったじゃない」

「そ、そうかな?」

「今までのあんたは暗くて死人みたいな陰キャだったけど」

「そ、そこまで言う必要は無いだろ」

「まっ一緒に戦えるくらいは成長したみたいね。合格よ」

「あ、ありがとうピンカ!俺、頑張るよ!」

「う、うん、分かった。だから、それ以上顔を近づけないで」

『反論すると思ったら喜んでるし、こんなやつだったっけ?調子狂うわね』


イナミはその後も満面の笑みでピンカに着いていった。

どうやらあの二人の仲は今回の島王選でかなり改善されたようだ。


「いやーそれにしてもまさか2位になるなんてね。僕が寝てる間にずいぶん頑張ってくれたみたいだ」

「そうだね…………」

「ツキノもすまなかったな。ずっとミズトを留めといてくれたんだろ」

「それが……私の………役目だと……思ったから……」

「そっか、ツキノはツキノの役目を全うしたのか。それに比べて僕は、何にも出来なかった。本当に情けないな。自分の役目も果たせないで」

「そんなこと……ない………マイト……自分の……役目……ちゃんと……持ってる」

「え?それって」

「王を……王にすること………」

「っ!そう……だね、僕にはその役割が残ってたね。風間様には少なからずお世話になったし、恩返しするためにも頑張らないとね」

「うん………」

「ツキノ、未熟者ながら精一杯頑張るよ。だから、一緒に勝ちに行こう!」

「うん……一緒に……頑張ろう……」


そう言って硬い握手を交わした。

ツキノ、前回は仲間で心強かったけど今回は敵だ。 

要注意だな。


「調子はどうだい?」

「絶好調だ。今すぐにでも戦いてえ」


そう言って目を血走らせながら腕を回す。


「ふふっそう慌てなくてもすぐにでも出来るよ。まさか、こんなことになるなんてね。あたいらは運が良い」

「だな、まさかあの有名な黒の魔法使いとバトルできるとわ思わなかったぜ。あの時の借りをきっちり返させてもらうぞ」

「気合い入ってるね。あたいも盗賊やってた頃のこと思い出して、体がうずいてしかたないよ」

「ん?もしかして、サラもあいつらに会ったことあるのか?」

「サラ師匠だよ。あたいは会ったことないけどね、盗賊時代によく耳にしたもんだよ。黒の魔法使いには手を出すなってね。あたいは昔はやんちゃしてたからね。黒の魔法使いをぶっ飛ばしてやるって意気込んで探しまくったさ」

「それで、見つかったのかよ」

「結果はご覧の通りさ。じゃなきゃこんなところにいやしないよ」

「なんだよ、結局戦えてないのかよ」

「まっこの後たっぷりと顔見せできるからね。じっくりと味わおうじゃないかい」

「俺が全員倒してやるよ」


そう言ってお互いの拳を合わせる。

ガイ、好戦的な正確だからすぐにでも勝負を仕掛けてきそうだな。


「じゃっ行こうかね」

「ああっ」


そう言って2人は所定の位置に付いた。


「お姉さま………」

「分かってるわ。次の試合必ず負けられない戦いになる。もしかしたら命を落とすことになるかもしれない」

「そんな!お姉さまが負けるなんて私………」


ミズトは優しい顔でナズミの頭を撫でる。

あんな表情も出来たのか。


「安心しなさい。私が負けることはないわ。そうでしょ?」

「でも、お姉さまがそう言ったので」

「その可能性があるくらいつよい相手と言うこと。少しでも躊躇えばこちらがやられる。だから、殺す気で挑む」

「分かりました!お姉さまがその覚悟で挑まれるのなら私も最後まで一緒に戦います!」

「ナズミ………無理しなくていいのよ?ナズミはまだ……」

「大丈夫です。お姉さまの邪魔しません。私も十二魔道士の意地があります!ミュウラ様を島の王にするために、ミュウラ様を裏切ったあいつに復讐するためにも、私本気で戦います!」


そう言って拳を強く握る。


「ナズミ………普段控え目なあなたがまさかそんなに感情を剥き出しにするなんてね」

「す、すみません。はしたなかったですね」

「ううん、そんなことないわよ。そうね、私達2人でやることに意味があるわよね。それじゃあ、一緒に戦いましょう」

「はい!」


そう強く返事をする。

あの二人も優勝候補の一組だ。

ミズトはかなりの手練でさらにナズミも戦闘において隙はない。

出来れば相手にしたくないな。


「かつ後輩、私達1位ですよ。このまま独走状態でぶっちぎり1位になりましょう!」

「いや、まだ分からないぞ。第4競技は逆転も可能みたいだからな。余裕こいてると足元掬われるかもな」

「かつ後輩は心配性ですね。私がついてるんですから、百人力ですよ」


前まで落ち込んでたくせに。


「まっ負けるとも思ってないからな。ポイントを稼ぎつつあいつらが来たら本気で戦う、これでいくしかないだろ」

「ねえ、かつ後輩」

「ん?何だ?」

「私今結構幸せなんですよね。親が居なくてずっと1人ぼっちで魔法使いになって十二魔道士になっても何となく心にぽっかり穴が空いたみたいで全然満たされなくて、戦っても戦ってもそれが埋まることがなくて。でも、かつ後輩に会って色んな人に会っていくうちに毎日が楽しくなって、今ここに居るのが嬉しいんですよ」

「………ミカ」

「居場所をくれたガルア様、居場所を教えてくれたかつ後輩、面倒を見てくれたハイト先輩、見知らぬ私を温かく迎えてくれたかつ後輩の仲間達、皆のお陰で私はここまでこれました」

「そんな大袈裟な、お前の力のお陰だろ」

「はい、私の力のお陰ですよ。そりゃあ私、天才なんで当たり前じゃないですか」


こいつ、やっぱりそれ言いたいだけじゃねえか。

さっきの話が台無しだ。


「そう言うことじゃなくて私は皆に恩を感じてるんです。だから、皆の思いと共に私は黒の魔法使いをぶっ飛ばして1位になります!それまでついてきてくださいよ、かつ後輩」

「当たり前だろ!俺達はパートナー何だから肩並べて行こうぜ」

「後輩が先輩と肩並べられる分けないじゃないですか」

「お前なあ」

「でも、今だけは許してあげますよ」


そう言ってミカはいたずらっぽく笑った。

それを見て俺も思わず苦笑いをしてしまう。


「相変わらず、とことん生意気だな」

「私は言いたいこと言ってるだけですから。それじゃあ、勝ちにいきますか」

「だな」

「それでは、皆さん最後の競技の説明に入りたいと思います!最後の競技はずばり!モンスター討伐です!」


その瞬間、会場がざわめく。

まあ、確かに驚くのも無理はないか。

今までがひねった競技だった割に今回は分かりやすいからな。

それもこれも黒の魔法使いを倒すのが目的だからな。


「今回こちらで用意したモンスターにそれぞれポイントがついています!そのモンスターを倒せばポイントが貰えると言うことです」

「がっはっは!分かりやすくて助かるぜ!」

「モンスターの種類は小型、中型、大型の3種類です!小型は30ポイント、中型は50ポイント、大型は100ポイントです!」

「なるほどね。それじゃあ大型を主に倒した方がいいってことか」

「そして、今回の競技では特別なモンスターも出現します!そのモンスターを倒せば何と200ポイントも貰えるのです!」


その言葉に周りから驚きの声が出てくる。

200ポイントってまじかよ。

取れば誰でも逆転可能か。

というかポイントの配分がヤケクソみたいな数値だな。


「今回のルールは以上です!この競技で終わった瞬間、1位の十二魔道士が優勝となり新たな王が誕生します!その瞬間を私達は最後まで目撃しましょう!テレポートで森に着くと同時にスタートです!制限時間は無し!モンスターが全滅したら終了です!それではスタートです!」


その声と共に俺達はテレポートした。



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