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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十四章 黒の時代
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プロローグ 時代が変わる日

「皆さん、ただいま激戦を繰り広げた十二魔道士が帰還いたしました!彼らに大きな拍手を!」


テレポートで帰ってくるやいなや、観客から大きな拍手で迎えられる。


「すごかったぞ!」

「めちゃくちゃ興奮したぞ!」

「頑張ったね!」


おお、すごい歓声だな。

今は疲れてるから正直静かにしてほしいんだけど、これはこれで悪くないな。


「静かに」


ガルアが突然立ち上がり、一言でその場を静寂に包んだ。

何それ、すごっ!


「お前らよくやってくれた。ここまでの戦い俺自身、胸が熱くなるいい勝負だった。特に先程の競技は観察力と仲間との連携が重要となる戦いだった。それを見事にやってくれた。そして、長きに渡る戦いも次で最後だ!第4競技も盛り上げてくれ!」

「「「「おおおおーーー!!」」」」


その言葉により観客が雄叫びをあげる。

次で最後か、最後ということはあいつらと黒の魔法使いが来るってことだ。

ついに、来るのか。


「それでは皆様第4競技まで、1時間の休憩をとります!おトイレに行きたい方はお早めに!」


すると、観客は皆席を離れたりその場で談笑したりしている。


「十二魔道士は控え室で待機していろ。俺達から話があるからな。怪我してるやつは医務室に言ってからこい」


そう言うとガルア達も移動し始める。


「かつ後輩早速控え室に行きましょうか」

「ああ、そうだな」


俺達はすぐに控え室に向かっていった。


――――――――――――――――

「お邪魔しまーす」


軽い感じでミカは控え室の扉を開く、そこには王と数人の十二魔道士が居た。

改めて見ると壮観だな。


「来たか、かつ。あとはエングとサザミとマイトとナズミだけか」


重症の人達が居ないみたいだな。

まあ、あれだけの怪我だしそりゃ医務室に行くよな。


「ちょっといいかしら。そこのあなた」

「え?俺?」


突然、ミュウラが俺に話しかけてくる。

何で話しかけられたんだ?

俺何かしたっけ。


「あなたのその……インパクト?という魔法はどこで取得したのですか?」

「え?えっと………魔法陣をたまたま見つけて」


いきなり何なんだよ、疲れているのにこれ以上頭を使わせないでくれ。


「ほう……たまたま見つけた。そうですか」


そう言って、話を突然やめる。

え?これで終わり?


「ちょ、ちょっと待てください!今の質問はなんですか?」

「あなたのそれを言う必要があるのですか?」


な、何だよそれ。


「いや、中途半端に聞かれてこっちも納得出来ないので」

「あなたのような紛い物に言う必要などありません」

「紛い物!?ちょっと、それってどういうことだよ!」

「あーそこまでだ!ミュウラ、俺の十二魔道士をこれ以上いじめるな」

「ちっ」


するとミュウラはわざとらしく舌打ちをする。

あの女マジで性格悪いな。


「すまないなかつ。あいつ、さっきの競技で負けてむしゃくしゃしてんだよ。本気で勝ちたいから、負けると押さえられないのは仕方がないことだし、許してやってくれ」

「まあ、ガルアがそこまで言うなら」

「遅れてすみません」


そう言って、サザミ達が控え室に入ってくる。


「おう!どうやら、怪我はなおったみたいだな」

「はい、これで次の競技も全力で戦えます」


そう言ってサザミは深々と頭を下げる。

それを見たカノエは上機嫌に声を上げる。


「ガハハハ!それでこそ、俺の十二魔道士だ!次の競技も期待してるぞ!」

「いえ、今回はここまで何もお役にたてませんでした」

「俺もだ。ただ、ボールを入れてるだけで目立った成績は何も残せてねえ」


二人が明らかに落ち込んだ様子でいると、カノエの笑みはすっと消える。


「お前らそれ、本気で言ってるのか?」

「「はい」」

「お前ら……………」

「ただ、ここで終わるつもりはありません。次の競技、このサザミがすべての黒の魔法使いを滅して見せます」

「俺も同意見だ。カノエ様の為にこの命尽きるまで戦うぜ」


そう言って瞳に熱いものを宿す。

まだ落ち込んでいるだけではなさそうだ、今でもやる気満々ってことか。


「ガハハハ!それでこそ俺の十二魔道士だぜ!ここで府抜けたことを言ったらぶっ殺そうと思ってたぞ!」


そう言ってサザミとエングの背中を叩く。

ぶっ殺そうとかかなり物騒なこと言うな。


「叱咤激励は終わったところで俺から次の競技の話をするぞ。次の競技は先ず間違いなく今までの島王選最も大事な局面だ。死ぬ覚悟をしておいた方がいいぞ。なんなら遺言を残す時間もやる。だが、逃げることは許さねぇ。もし、死にたくなければ今すぐにここから立ち去って2度と俺達の街に姿を現すな。1分時間をやる」

「要らないです」


突然ミズトが話の中に入る。


「口を挟んでしまい申し訳ありません。ただ、あまりにも聞捨てならない言葉でしたので。ここまで来て逃げるような軟弱者を王がお選びになっている思えません。もし、要るとするならば王の目利きに信頼性がないと疑うしかありません」

「ふっその通りだミズト。俺達が選んだ最強の魔法使いがそんな弱っちいことはしない。すまねえな、お前らに失礼なことを言った」

「いえ、ガルア様が頭を下げる必要はありません。ただ私達の覚悟はそれくらい固いと言うことです」


何か、すごい喋ったな。

まさかミズトがこんなに喋るなんて。


「それじゃあ、お前らが次の競技ですることを説明するぞ。次の競技はモンスター討伐がメインだ。倒した数でポイントを競う。そして、ある森に行ってもらう。そこでやるべきことはモンスター討伐ではない。それはあくまで観客を沸かすための建前だ。お前らがすべきことは地獄のゲートを守りながらの黒の魔法使いの殺害。第4競技の本当の目的だ」


その言葉にみんなの表情が固くなる。

人を殺すこと、並大抵のことではない。

極悪人の奴だろうと、殺すことを躊躇うのは人として当然のことだ。

俺も少し迷っている。


「皆さん、遠慮をする必要はありません。必ず息の根を止めてください。死んだと言うことが分かるまで攻撃をやめないように。相手の魔法は予想がつきません。決して油断をしないように。もし、殺すのに躊躇いがあるというのなら相手をモンスターだと思いなさい。醜い欲望にまみれた薄汚いモンスターだと。そう思えば躊躇いも少しは消えるでしょう」

「「はい!!」」


ミズトとナズミはこれ以上ないほどのいい返事をする。

ミュウラの十二魔道士だからだろうが、言ってることは中々にやばいな。


「もちろん、ポイントの集計と勝敗はキチンと行う。だが、黒の魔法使いが現れたら最優先にそいつらを狙え。そして、今からこれを配る」


そう言って俺達に紫色の石が渡される。


「これは?」

「それは高純度の魔石だ。かなり希少だから無くすなよ。魔法が切れた時に使え。そして、これもだ」


そう言って緑色の液体を渡す。


「これは定番の回復のポーションだ。怪我をしたときに使え」

「これって持ってっていいんですか?規定ではこう言うのはルール違反になるって書いてありましたけど」

「今回は特例だ。その代わり黒の魔法使いが出るまでは使うなよ」


俺は早速魔石と回復のポーションをローブのパケットに大切にしまう。


「先に言っておくぞ。この戦いどちらが勝ってもこの先の時代が変わる。この島の運命はお前らにかかっているってことだ」

「俺達に……かかってる」

「任せろ!俺が全員ぶっ飛ばしてやるぞ!」

「あんたは少し黙ってな!王が話しているだろうが!」

「それじゃあ各自自分の王のところに集合しろ!それじゃあ解散!」


その言葉を聞いて俺達はすぐにガルアの元に向かった。


「よう、こうやって話すのも久しぶりだな」

「ガルア……俺」

「いい顔つきになったじゃねえか。十二魔道士として惨めな結果を残すんじゃねえぞ」


ガルアは俺を励ますようにそんな言葉を送ってくれた。

するとミカが自信満々の口調で告げる。


「大丈夫ですよ。任せてください。全員私が殺すので」

「ははっ!そう言うことだ!かつ、お前躊躇ってるのか?」

「ちょっとな。人を殺すってのに少し抵抗があって」

「ミュウラも言ってたがそれは普通のことだ。誰だってそうなる。だがな、かつこれだけは覚えておけ」

「なんだ?」

「この世には死ななきゃいけない人間も居るってな」

「っ!」

「次の競技、頑張れよ」


そう言ってガルアは控え室を出た。


「頑張りましょうね、かつ後輩!かつ後輩?」

「え?ああ、そうだな」


何であいつ今人間って言ったんだ?



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