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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十三章 開幕!島王選
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その四十五 最後の賭け作戦

「…………ふぅー」


深呼吸したイナミの目の前には力なく倒れたナズミと白い籠が棒立ちで立っていた。


「今のお前が俺に勝てるわけないだろ」


イナミは倒れたナズミを担ぎ木のそばにそっと寄っ掛からせる。


「お前はまだ死なせない。まだ島王選は終わってないからな」


そういうとイナミは早速、白い籠に近づく。


「これも持っておけば白チームが圧倒的に有利になる。ボール集めは他のチームと接触する可能性があるから、魔力のない俺には無理だけど。これくらいはチームの役に立たないと」


白い籠を手にしようとした時イナミはある疑問が頭をよぎる。


『籠2つ持って隠れられるのか?この籠はかなりの大きさだし、1つでも身を隠すのは難しいのに2つも持って隠れられる自信がない。ていうか、こいつら暴れるから大人しくさせる自信がない』

「てっまずいまずい。また自信がなくなってる。しっかりしろ俺!ナズミにさっき言われたばっかじゃないか!自信を持て!覚悟を決めろ!」


そう言って自分の頬を叩く。


「おい、今こっちから音がしなかったか?」

「がっはっは!まさか、あいつが違うやつと戦ってんのか?」

「まずい!この声はガイとエング」

『十二魔道士の中でも好戦的な奴らだ。今の状況では会いたくはない』

「白い籠を持っていくのは無理そうだな。敵チームには有利になるけど、こっちのポイントを稼ぐためにも赤い籠で我慢するか」

「おい、あっちから誰か居る気配がするぞ」

「よし、行くぞ!」

「くっ!もう行くしかない」


イナミは赤い籠を持ってすぐさまそこから離れた。

そして物音を聞きつけてやってきたエング達はそこで倒れているナズミを発見することになる。


「ん?あれ?ナズミ?」

「おい!ナズミじゃねえかどうしたんだ!」


エングはすぐにナズミの元に向かった。


「誰かにやられたみたいだな。うーんと、あっちらへんから気配がするな。まあでもかつではなさそうだから俺はどうでも良いけどどうする?追いかけるか?」

「いや、追いかけても無駄だ。余計な体力は使いたくないしな。そうか……ナズミはやられたか」


そう言ってナズミの顔を優しく撫でる。


「気絶してるだけか。だが、疲労がかなり見えるな。魔力切れでも必死に戦ったってことか。よくやった、後は俺に任せろ」


そう言ってエングは覚悟を決めて立ち上がる。


「あいつ何処に行ったんだ。足が速いからもう近くには居ないのかもな」

「とりあえず、この籠はお前が持っとけ」


そう言うとエングはガイに白い籠を渡す。

ガイは突如籠を託された事で不満な声を漏らす。


「えー!ちょっと待てよ。俺は荷物係じゃねえぞ。戦いの時邪魔になるだろ」

「かつに会ったら俺が持っててやるよ。だから今だけは持ってろ」

「はぁーしょうがねぇなあ」


ガイは諦めると渋々白い籠を受け取った。


「とりあえず今は仲間の状況が分からねえな。誰が生き残ってるんだ?」

「知る必要あるのか?自分が生き残って勝てば良いだろ」

「がっはっは!戦場ならそうだろうがここは島王選でチーム戦だ。1人の身勝手な行動で仲間に危険が及ぶとサザミに散々言われなかったか?」

「そのサザミは地面に寝っ転がってたけどな」


ガイの言葉に一瞬エングは眉をひそめる。


「言うじゃねえか。あいつもよくやったんだ誉めてやってくれ。あいつの分も俺がきっちり倍にして返してやる。そういえば、お前の相棒のサラはどうした?」

「ああ、ミカの所に行ってる。今頃戦ってんじゃないのか?」

「そうか、それじゃあ俺達もボール補給に向かうか。あいつも行くとしたらボール補給だろうしな」

「確かに。じゃっ行くか」


次の目的地も決まり、早速行動に移そうとした時ふいにエングの体がふらつくと、そのまま力無く倒れる。

それを見ていたガイは不思議そうに倒れているエングの元に行く。


「おい、大丈夫か?」

「はあ……はあ……大丈夫だ、問題ねぇ」


そう言ってフラフラになりながら立ち上がろうとする。

だがその姿は明らかに無理をしていた。


「無理すんなってやっぱりもう限界じゃねえか。フラフラだし血も出てるし」

「大丈夫だって言ってんだろ。血も止まったしよ」

「でも、血を流しすぎなんじゃないのか?無理せずに俺に任せておけって。サザミとエングとナズミの分もしっかりやって来るからよ」

「それじゃあ駄目だ。俺がやらなきゃいけねぇんだ」

「頑固ジジイだな」

「ジジイじゃねえ」


その時近くから足音が聞こえる。

その方向を振り向くと、そこにはサラの姿があった。


「やっぱりあんた達かい。エングは無事………ではなさそうだけどね」

「何だお前か、ミカとは決着つけてきたのかよ」

「ああ、バッチリさ。今はかつもミカも戦力外通告を受けてるよ」


その言葉を受けて、ガイは目を丸くさせて驚く。


「おい、ちょっと待てよ、サラ!まさか、お前かつを倒したのか!?」

「師匠と呼びな。倒してないよ、ただ毒を治す代わりにその場に留まることを命じただけさ」

「がっはっはっ!てことはあいつらそこから動けないってことかよ」

「そういうことだね。実質リタイヤだよ」


それを聞いたガイは安堵するも、すぐに不快そうに目を細める。


「余計なことすんなよ。俺があいつを倒したかったのに」

「ガイ、今は私情を捨てなって言っただろ。チームで勝つことが今あんたがするべきことだろ」

「分かったよ。勝てば良いんだろ勝てば」


少し納得いってはいない様子だがそれでも渋々了承する。

気を取り直してサラは現在の状況を語る。


「とりあえず、敵チームの主力であるツキノもミズトが押さえてるし、あたい達の勝利は確実だよ」

「ふっ押さえてるか……」


サラの言葉に対してガイは不意にそんな言葉をつぶやく。

それを聞き逃さなかったサラはそのことについて言及する。


「なんだい?何か間違ったこと言ったかい?」

「俺が思うにツキノがミズトを留まらせてると思ってるぜ」

「でも、ミズトは本気を出してない見たいに見えるぞ」

「それはツキノも同じだろうね。お互い本気を出してないのにあの強さ。あの2人が戦ってる状況はむしろ好都合かもね」

「かもな。てことはこれで全員ってことか」

「ナズミはどうしたんだい?」

「誰かにやられて今休憩中」

「なるほどね。てことは本当にあたい達だけなのか。それじゃあボールを補給しに行くよ。敵チームがいたら容赦するんじゃないよ」

「言われなくても容赦するわけないだろ」


すると、フラフラになりながらエングが歩き出す。


「おい、あんたは大丈夫なのかい?フラフラじゃないか」

「だろ?俺も無理すんなって言ってんのに言うこと聞かないんだよ」

「安心しろ。俺は全然大丈夫だ」

「どっからどう見ても大丈夫には見えないけどね。たくっ十二魔道士ってのは頑固な奴しかいないね」


そう言ってサラはエングに肩を貸す。


「これで少しは歩けるだろ」

「要らねぇって言ってるだろ」


だがエングは振り払う力も残っておらず、そのまま肩に手をかける。


「今はチームだ。助け合っていこうじゃないか」

「ちっ変な野郎だ」

「野郎じゃないよ。お姉さんだろ」

「ババアが何言って――――いったー!何いきなり手ぇ離してんだよ!」


手が離されたことで、無気力だったエングはそのまま地面に衝突する。


「ああ、すまないね。ちょっと手が滑っちまったよ」

「お前、絶対わざとだろ」

「さあね?」

「そんなことしてないで早くいこうぜ」


その時、空中に炎の玉が放たれる。

ガイ達は上空を見上げてそれが何なのか、不思議そうに見つめる。


「ん?なんだあれ?」

「おいおい、あれって魔法じゃねえのか?」

「魔法?確かにそうだね。しかもあれは…………」


―――――――――――――――――――

「本当にこんなことしてうまく行くんですか?」

「やるしかないだろ。お前も俺の説明を聞いて納得してくれただろ」

「まあ確かにそうですけど、何か地味すぎません」


文句を良いながらも俺が魔法を撃つのをじっと見る。

まあ確かに地味といえば地味だな。 


「暇ですね。これで他の人来るんですか?」

「来るかもしれないし、来ないかもしれない。そこら辺が賭けだな」

「私も魔法撃ちましょうか?」

「だから、駄目だって言ってんだろ。お前が撃ったら誰が撃ってるのか分からないし、他のやつと戦ってると思われるだろ。俺がここに居るって思わせるために、俺しか使わない魔法を出してんだから」

「でも、敵チームが来ちゃったらどうするんですか?」

「まあ、確かにそうだけど味方が来ればこっちの勝利する可能性がある」

「本当に運任せの作戦ですね」

「いや、だからそう説明しただろ」


そう言いながら俺は誰か来るまで魔法を空に撃ち続ける。

もし、味方が来れば勝てる確率がある。

何故ならここは補給場所だからだ。


――――――――――――――――――――――

「あの魔法はかつの魔法だ。絶対そうだ。あそこにかつが居るのか。でも、何してるんだ?」


イナミは赤い籠を持ってガイ達から逃げてる途中だった。


「もしかして、動けない状態にあるから位置を知らせるためにやってるのか?だったら助けに行かないと駄目だよな。ボール補給が居なくなったら俺達の負けだし」

「ちょっと待ちなさい」


その声に思わずイナミは体を止める。

その声はイナミのよく知ってる声だった。


「ピンカ!?何処行ってたんだ!てっきりやられたのかと」

「勝手に思いこんでんじゃないわよ。私がやられるわけないでしょ。それよりイナミ、よくやったわ。籠を死守してるなんてやるじゃない」

「え?」


突然の言葉にイナミの表情が固まる。


「何よ、その顔は。不満なわけ」

「いや、ピンカが、素直に誉めてくれるなんて思わなくて」

「は?何言ってんのよ。別に誉めた訳じゃないわよ。ただ役立たずのイナミが役にたったから珍しいと思っただけ。それだけだから」

「わ、分かったよ。そんなに言わなくても良いのに………」

「それよりもあの魔法、何か知ってるみたいね」


そう言いながら空に放たれてる魔法を見る。


「多分、かつが助けを求めてると思うんだ。だから、あそこに向かった方が良いと思う」

「なるほどね。分かったわ。私も体力回復したし、すぐに行くわよ。ていうか、他の人達は?」

「分からない。ツキノはミズトと戦闘中でマイトは消息不明、ミカも姿が見えないし多分やられた可能性が高いかもしれない」

「かもしれないじゃ根拠にはならないわ。とりあえず私達だけでも行くしかないわね。ほら、早く行くわよ」


そう言って炎の玉が出てる場所に向かった。


――――――――――――――――

「かつが何か企んでる!?」


その結論にたどり着きみんなが驚きの声を上げる。


「ああ、かつのボウヤはあたいが動けないようにさせたけど、こんなことをするってことはまだ諦めてないってことだろうね」

「ふっおもしれぇ!早く戦い行こうぜ!」


ガイはやる気満々で拳を鳴らす。

だがそのやる気を削ぐようにサラが注意をする。


「バカ言ってんじゃないよ!これがかつのボウヤの作戦だったらどうすんだい!安易な行動を取るなって何回も言ってんだろ。あんた1人が巻き込まれるのは構わないけど仲間を巻き込むんじゃないよ」

「分かったって!冗談に決まってんだろ!一々怒るなよ!」

「何!?あんた師匠に向かってそんな態度取って良いと思ってんのかい!」

「師匠面すんなよ!俺より弱いくせに!」

「上等だよ!今ここで分からせてあげるよ!」


そう言って喧嘩をし始める。


「おいおい、お前ら子供じゃねえんだからよ」


喧嘩しながらも補給場に向かっていった。



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