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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十三章 開幕!島王選
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その三十七 コンプレックス

「おらおらおら!どうした!もっと攻めてこいよ!」


エングは相変わらず荒っぽく攻撃を仕掛けてくる。

炎の魔法だから避けるのは苦ではないが、問題なのは場所だ。

今のこの場には何人もの十二魔道士が集まっている。

避ける場所を間違えば仲間にエングの魔法が当たってしまう可能性がある。

バラバラではあるが大きく見れば密集しているこの状況で、行動が制限されてしまっているのは難しいな。


「逃げてばっかじゃ俺は倒せないぞ!」


だから倒すのが目的じゃないっての。

いや、待てよ倒すのはありかもしれないな。

ボールの入れられた数は相手の方が上だけど、今は相手は受け手状態だ。

ボールを回収する人が居ない状況なら怖がることは何もない。

だったらエングを倒して、少しでも相手の戦力を減らした方がいいのか?

ボールはイナミに任せてるし俺はそっちに専念した方がいいかもな。

だけど…………


「ちょこまかと動き回ってねーで戦おうぜ!」


俺に出来るのか?

十二魔道士を倒すなんてこと、あの最強と言われている十二魔道士を。

ナズミは魔力切れで勝てたただのラッキー、あのまま戦っていたら負けていた。

でも、エングはそうはいかない。

今でも元気一杯にバンバンバンバン魔法撃ってるのに魔力が有り余ってるのは、おそらく熟練度が高いんだ。

だから、魔力切れを狙うのは難しい。

実力で勝たなくちゃ行けないんだ。


「おいかつ!お前やる気あんのか!逃げてばっかじゃつまんねぇーぞ!」


そろそろ興味を失せてどっかに行っちまいそうだな。

やるしかないか、勝つためには戦うしかないよな。

俺は逃げるのをやめてその場で立ち止まる。


「おっ!やる気になったってことでいいのか?」

「やるしかないって思ったからな」

「がっはっは!いい目じゃねぇか!どうやら覚悟は決まったみてぇだな。俺も本気で行くぜ」


本気で行ってくれなくていいんだけど。


「いくぞ!!」


――――――――――――――

一方その頃、ピンカとサザミは――――――――


「クフフっどうした!威勢ばかりで俺に傷すら付けられていないが!」

「うっさいわね!黙ってないと舌噛むわよ!」

「クフフっ!それは忠告ご苦労。だがな、喋ってないと暇すぎて死にそうなんでな」

「あっそう!それなら望み通り殺してやるわよ!ロックディスコネクト!」


鋭い2本の岩がサザミに襲いかかる。


「アイスクラッシュ!」


だがサザミはそれを難なく氷で防ぐ。

ピンカは諦めずに攻撃を続ける。


「ライジングサンダー!」

「おっと危ない。今のは惜しかったな」

「惜しい?それはどうかしら」

「なに?っ!」


その瞬間、避けたはずの電撃が曲がりサザミに襲いかかる。


「ぐっ!」

「ロックスタンプ!」


電撃に直撃して怯んだ隙を見逃さずピンカは追撃する。


「ちっ!ライトニングアロー!」


ピンカの攻撃をギリギリのところで防ぐ。

だが先程まで余裕たっぷりだったサザミの表情が曇り、ピンカは得意げに笑みを見せる。


「どうしたの?さっきまでずいぶん余裕そうだったけど、顔色が悪いわね」

「お前……やりやがったな」

「なめてるからそういう目に遭うのよ。さっさと言い訳してないで本気だしたら?」

「お前は本当に口の利き方がなってないな。良いだろう、すぐにあの世に送ってやる」

「とっとと消えてくれない?気色悪い笑い方をこれ以上聞きたくないから」


その時、サザミがポツリと呟く。


「お前今なんて言った?」

「だから、笑い方が気色悪いって言ってんのよ!」

「俺の笑い方をバカにするな!!!」


そう言って先程とは比べ物にならないほどの形相でピンカを睨む。

だがピンカは変わらずにサザミを煽り続ける


「あれ?もしかして気にしてた?ごめんね、あまりにも気持ち悪かったからさ」

「お前は絶対に殺す!」

「返り討ちにしてあげるわよ」


――――――――――――――――――――

「ファイヤーボール10連!」

「がっはっは!そんな攻撃俺には効かないぞ!」

「分かってるよそんなこと!」


やっぱりインパクト以外でダメージを与えるのは無理そうだな。


「ファイヤーブライト!」

「ウィンド10連!」


竜巻を発生させるも炎はそれを飲み込み炎の竜巻と化す。

よし、予想通り炎の竜巻に変化したな。

これをうまい具合に弾き飛ばす。


「インパクト!」


俺はインパクトで炎の竜巻を弾き飛ばす。

よし、これならダメージが入るはずだ。


「ロックスタンプ!」


その瞬間、竜巻が岩で消される。


「っ!?」

「こんな攻撃が俺に通じる分けねぇだろ。そんな小賢しいことせずに撃ってこいよ。インパクトを」

「くっ!」


やっぱり一筋縄じゃいかないよな。

でも、あんまりインパクトを使いたくないんだよな。

今後の事も考えたいし。

やっぱりこいつと戦うのはやめておくか。

作戦を変更しよう。

俺は再びその場から逃げた。


「なっ!また逃げやがるのか!」

「来れるもんなら来てみろよ!」

「上等だ!地平線まで追いかけてやるぜ!」


ふっやっぱり単純だな。

ここは時間稼ぐから早くしてくれよイナミ。


「ソイル10連!」


俺は手に大量の砂を握りしめる。

そして振り返ってエング目掛けて飛ばした。


「ウィンド!」

「ぐっ!ぺっぺっ!砂飛ばすんじゃねえ!前が見えねえ!」

「こっちだよ!ゴリラバカ!」

「ゴリラバカだと!?言うじゃねえか!ファイヤーバインツ!」

「っ!なにしてんだい!」


その魔法が俺ではなくサラに向かっていた。

予想通りだな、視覚を無くして声だけを頼りに攻撃させればうまく敵に攻撃を当てられる。


「その声はサラか?」

「サラかじゃないよ。あんたどういうつもりだい。あたいに攻撃をしてくるなんて、挑発してんのかい?」

「がっはっは!わりぃな!どうやら間違えちまったみたいだ!」


その時エングの背中をトントンと叩く。


「ん?何だ――――」


その後ろを振り返った瞬間、エングの視界を覆うようにして手のひらを当てる。


「インパクト!」

「っ―――――!」


エングは気を抜いていたのか、抵抗出来ずにそのまま攻撃を受け吹き飛ばされる。


「エング!あんた―――!」

「お前もだよ。インパクト!」

「なっ!」


サラは魔法を被せて何とか直撃は避けた。

くっ!さすがに生身で受けないか。


「サラー!お前かつ!やりやがったな!」


先程までサラと共闘していたガイがこちらを怒りを露わにしながら、指さしてくる。


「今は敵だろ!お前も倒してやるよ!」

「かつ!すごいね!今の奇襲はさすがだよ!」 


その時、マイトが興奮気味に俺の隣に立つ。


「マイト!?お前こいつらと戦ってたのか!」

「まあね。でも、加勢に来てくれてよかったよ。手伝ってくれないか?」

「別にいいけどよ。お前2人も相手してたのか?」

「だって俺以外この2人の相手出来るの居ないでしょ?」


そういえば、こいつは魔法を避けられる魔法を持ってんだっけな。


「まあ、確かにそうだな。よし、2人でガイを倒すか。ちなみにイナミに今ポイントを入れに行かせてる」

「なるほど。分かった、それじゃあ他の人達にイナミの邪魔をさせないためにも、足止めをさせようか」

「1対2か………ふっおもしれぇ!かかってこいやー!」

「ちょっと待ちな!」


その声の先はサラだった。


「あたいを倒したと思ってんならまだまだ青いね」

「げっ!まだ動けんのかよ」


やっぱりそこまで深手にはなってなかったか。

あれで倒れていればいくらか楽になったんだけど、仕方ない。


「おい、大丈夫なのかよ。後は俺に任せて休んどけよ」

「あんた、誰に向かって言ってんだい。あんたはあたいの弟子だろ。もうちょっと言葉遣いをちゃんとしなって言ってんだろ」

「分かってるって、それじゃあ戦うか」

「今度はそう簡単には倒せないよ」


今度はサラとガイか、休む暇ないな。



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