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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十三章 開幕!島王選
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その三十 壊すなら中から

「さあー!ついに両チームの準備が整ったようです!ボールを手に敵のチームに向かっています!そして、ここで皆様に今回の終了の条件をお伝えしたいと思います!第3競技の終了合図はゴールデンボールを先に相手の籠に入れた瞬間終了です!」

「ゴールデンボール?何だそれ?」

「予想外でしたね」

「ええ、ていうか予想できないわよね」

「ゴールデンボールの入手方法は1つ!相手の籠にボールを100個入れること!さあ、両チームのどちらが先に100個ボールを籠の中に入れられるんでしょうか!」


―――――――――――――――――――――――

「クフフっわざわざお出迎えするとはよほど自信があるのか?」

「当たり前だろ」


俺達はお互いに睨みあっていた。

その手にはボールが握られている。


「見たところかなりボールを確保したようだな。だが、入れられなければ意味がない」

「入れればそれで済むことでしょ。一々うるさいわね」

「あの時のようにはいかないぞ。俺達はもう負けない」

「がっはっは!おもしれぇじゃねえか!早速やろうぜ!」


その言葉で赤チームが動き出す。

俺達も警戒しつつゆっくりと動く。


「今だ!!」


その瞬間、俺達は四方八方に散らばった。


「何!?逃げやがったか!」

「いや、撹乱作戦だろ。バラバラに散れば先程のようには行かないと思ってるんだろうが………おい」


すると、サザミはサラに何か指示をする。


「分かった」


理解したのかサラが動き出す。

大丈夫だ、今のところ上手くいってる。

落ち着いていけば大丈夫だ。


「すまないね。少し強めにいかせてもらうよ!」


そう言うと魔法陣を出現させる。

あの魔法は…………


「ポイゾネススペアード!」


その瞬間、毒が辺りに撒き散らされる。


「これで奴らも炙り出せるだろ」


だが、白チームが現れる気配がない。


「おいおい、全然出てこねえじゃんか。本当にこれで現れるのか?」

「まさか本当に逃げたのか?いや、あれだけ堂々と現れたからには何か仕掛けがあると思うが…………」

「その通り」

「っ!?」


その瞬間、俺は赤チームの懐に入った。


「インパクト!!」


中央に魔法を放つことによって衝撃で赤チームが吹き飛ばされる。


「何!?」

「おいおい!奇襲してきやがったぞ!」


赤チームは突然のことでまだ現状を理解できていない。

その隙をつく!


「今だ!籠を狙え!」

「言われなくても分かってるわよ!」


すると、ピンカが吹き飛ばされた籠に一直線に向かう。


「させるか!おい!ガイ、ナズミ!」

「やってやるぜ!」

「させませんよ!」

「邪魔!ストーンバレット!」

「シャイニングビーム!」

「サンダーエッジ!」


上空で互いの魔法がぶつかり巨大な爆発が発生する。

それによって3人が吹き飛ばされる。


「怯むな!籠にボールを入れろ!」

「私が………行く………」

「ミズト!」

「分かってる」


空中で再び互いの魔法がぶつかる。

ミズトはオリジナル魔法を使わずにツキノの攻撃を防ぐ。

もう一方のツキノもミズトの攻撃を何とか防ぐ。


「くそ!やっぱりツキノでもミズトを退けないか」


籠は何処にいった?

辺りを見渡すとそこには空中で籠を手にしていたミカの姿があった。


「貰いましたよ!」

「ミカ!」

「あいつ、いつの間に!」

「よし!いいぞ、ミカ!入れちまえ!」


ボールの数は少ないけど少しでも稼げればいい。


「やらせないよ!ポイズンアロー!」


毒の矢がミカの頬すれすれに通りすぎる。


「くっ!」


そのせいで籠から手を離してしまいミカが落っこちる。

そして、籠も同時に落ちてサザミの手に渡る。


「ゲームオーバーだ、かつ」


気付けば先ほどと同様にそれぞれ決められた人物が道を塞ぐ。

白チームの籠も真ん中に立てられていた。


「結局は俺の掌で踊っていたと言うことだ。お前らがいくら抗おうとも俺からは逃れられない」

「くそっ!」

「それじゃあ、終わらせるか。エング!」

「分かってるぜ!」


そう言って再び大量のボールを手に取る。

やっぱり、いくらやってもこうなるのか。


――――――――――――――――――

それはほんの数分前のこと


「私達が鍵?」

「そうだ。ピンカとイナミお前達が今回の突破口だ」


俺は二人にそう説明する。

だがその言葉を聞いて二人は首を傾げていた。


「俺達が突破口って言われてもいまいちピント来ないんだけど」

「サザミはどんな状況でもさっきみたいな特定の人物を狙うような陣形にするはずだ」

「どんなことをしても?」

「ああ、それくらいのことをしてくるだろう。だから、その陣形事態を崩す。それを出来るのはピンカとイナミだ。ピンカとイナミの相手はサザミ1人だけだ。相手が1人だけなら崩すことも出来る」

「でも、何で1人で相手してるんですか?」

「それは、ピンカとイナミが連携して戦ってないからだろう。だからこそ、協力してあいつを倒すんだ」


―――――――――――――――――

「はあ!!」

「クフフっ相変わらずだな!これなら俺1人で十分だ!」


『むかつくけど、あいつの言う通りね。イナミが居るせいで攻撃もしづらいし、動きも鈍る。連携しなきゃただの邪魔な存在』


「今回はお前達には譲らせないぞ!」

「くっ!ピンカ!このままじゃ、やっぱり駄目だ!俺達でやろう」

「分かってるわよ!でも、どうすればいいのよ!そんなこと1回もしたことないでしょ!即興で出来ることでもないし!」

「大丈夫、ピンカは普通に戦ってくれればいい。俺が合わせるから」

「何それ、そんなこと出来るの?」

「時間が無いからもうやろう」


ピンカとイナミは覚悟を決めてサザミに立ち向かう。


「まだ来るのか?どれだけやっても結果は変わらな――――くっ!」


その時、初めてサザミが一歩後ろに下がった。


「くっ!」

「ロックスタンプ!」

「ライジングサンダー!」


今まで善戦してたサザミが防戦一方になっている。

それは、サザミ自身困惑していた。


『くそ!何だこれは、まさかこいつら連携してきてる?』


サザミが魔法を1つ防ぐと間髪いれずに追撃してくる。

それに対処することが出来ず一歩下がるしかなく、どんどん押されていく。


『連携がどんどん冴えてきている。どう言うことだ?仲が悪いんじゃなかったのか!?』


その時、防ぐのに集中しすぎて足元の注意を怠り、足が滑った。


「しまっ!」

「もらったー!!ロッククラッシュ!」

「―――――――――っ!」


避けることが出来ず魔法を直接受けてしまう。


「おらりゃあ!!」

「がはっ!?」


サザミがピンカの魔法で吹き飛ばされる。


「よし!今だ!」


イナミはチャンスと思い、一気にエングの元に向かう。


「おいおい、やられてんじゃねえか」

「イナミ!」


よし!協力は成功したのか!

これで、陣形は崩れた!


「エング!!」

「ん?おっ!イナミじゃねえか!抜け出してきたのか。おもしれぇ!第2競技の借りは返させてもらうぞ!!」

「前の俺とはもう違う!」


そう言って2人の魔法がぶつかり合う。

よかった、何とか上手い事行ったみたいだ。


「よし!今のうちに」


この隙に乗じて籠の方へ向かおうとした時、誰かが俺の前に立ちふさがる。


「おっと、これ以上は行かせるわけにはいかないね。サザミが破られたからと言ってあたいがそれを許すと思うかい?」

「かつ!俺と勝負しろよ!」


その時、サラを押しのけるようにしてガイは俺の方に突っ込んでいく。


「ガイ!?何であんたがここに居るんだい!ミカは倒したのかい?」

「そんなのもうどうでもいいだろ!陣形は崩れたんだし、後は俺の好き勝手にやらせてもらう!」

「はあ……まっ最初っからこうなることは薄々気づいてたけどね。こうなったらあたいも好き勝手にやらせてもらうよ!じゃあねかつのボウヤ」


そう言ってサラは俺と戦うのをやめて別の方に向かう。

よし、どんどん陣形が崩れてきた。

作戦通りでこのメンツが完璧にまとまるなんてことほぼ不可能だ。

出来たとしても、すぐにぼろが出る。

完璧な陣形なら1つでも崩れれば後は勝手に瓦解する。

先ずは陣形崩し成功だ。

―――――――――――――――――――――――――


「おらよ!」

「ぐっ!」

「どうしたイナミ!こんなもんじゃねえだろ!」

「くそ!当たり前だ!」


その時、エングの周りの魔力が急に上がる。


「はぁ食いしばれよ!」

「なっ!」

「イナミ!」


その時、ピンカがイナミの服を引っ張る。


「え――――」

「インフェルノキャノン!!」

「―――――――――っ!」


イナミの代わりに直撃したピンカは、そのまま吹き飛ばされてしまった。

イナミは慌てて立ち上がると吹き飛ばされたピンカの方を見る。


「っ!!ぴ、ピンカ!!」

「ん?ピンカを吹き飛ばしちまったみたいだな。まっ別にいいか」

「くそ!ピンカをよくも…………」


ピンカがやられたことで怒りを露わにするイナミだったが、そんなイナミの様子を見てエングは興味深そうに笑みを浮かべる。


「お!前まで近づくことすら嫌がってたのに、今では心配するようになったのか。確かに成長したみてぇだな。だが!俺も成長するんだよ。もうあの時みたいには行かねぇぞ」


――――――――――――――――――――――――――――

「おい!お前勝手に戦うな!俺の指示にしたがえ!」


陣形が崩れたことでサザミはすぐに修正を試みる為に、指示を出す。

その時、サザミの元に一人の魔法使いが立ちふさがる。


「残念だけど、もう誰もサザミの言うことを聞いてないみたいだよ」


それはマイトだった。

サザミはマイトを見て不快そうに目元を細める。


「マイト…………」

「所詮は十二魔道士。俺達みたいな色濃い奴らが協力するのは難しいってこと。さすがのサザミも無理みたいだしね」

「作戦はすぐに立て直す!おい!GB2だ!聞いてるのか!」

「諦めなって、それより籠が何処にあるか知ってる?」

「何!?」


その瞬間、籠がある方向をサザミは見る。


「はっ!ハッタリだろ?籠ならあそこに」

「あそこにあるんだね、籠」

「しまっ!」


その瞬間、マイトはすぐに籠の方向に向かう。


「待て!」


それを急いでサザミが追いかける。

追い付くとマイトがその場で立ち尽くしていた。


「ん?………っ籠が無い?」

「ああ、ごめんごめん。籠は元々ここにはないよ」

「なっ!?」

「既に俺達が奪ったから」

「ま、マイトー!!!」

「さっ鬼ごっこしようか」


―――――――――――――――

「ふうー何とか上手くいったな。籠も無事に奪えたし」


俺の手には何とか逃げようとする籠が握られていた。

何とかガイを撒けて目的である籠をゲットすることが出来た。


「これで、何とか逆転できる」


俺は自分の手に持っているボールを10個籠に入れる。


「よし!これで俺達が入れたボールの数は20個。後残りの29個もちゃちゃっと入れないとな」

「へえーそんな持ってきてるのかい?」

「っ!?」


俺は突然の気配に思わず後ずさる。

この特徴的な言い回しは………


「サラ………何でここに居るんだよ」

「籠の確保をしようと思ってね。わざわざ戻ってみたら姿形も失くなってたからさ。盗まれたと思って片っ端から探してみたらかつのボウヤが持ってるのを見つけたわけ。相変わらず手癖が悪いね」

「俺を泥棒みたいに言うなよ」


まずいな、まさか見つかるなんて。

何とかして逃げ切りたいところだけど…………


「本当はあの子に任せるつもりだったけど、まあいいさ。あの時の続きをしようじゃないか。結婚式の借りを返させてもらうよ」


これは、無理そうだな。



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