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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十三章 開幕!島王選
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その二十七 闇と同類

「うん!うまいのじゃ!これも美味しいのじゃ!」

「デビッちすごい食うね、見ててお腹いっぱりんこちゃんだよ」

「何言ってるのじゃ。妾はまだまだ行けるぞ!」


そう言って机に置いてある大量の料理をさらに早く食う。


「テビッちスイットみたい!それじゃあ、これも行けちゃう?」


そう言ってさらに料理を持ってくる。


「まかせろなのじゃ!」


それすらもデビはペロリと平らげる。


「すごっ!デビッち本当に何でも食べちゃうんだね」

「当たり前なのじゃ。妾は何時でもどんなときでも食べられるのじゃ」

「私も負けてられないぞ!よぉーし!食ってやる!」


そう言って、メイは机にある料理を頑張って食べる。

デビ程の減りではないがそれでも料理が次々となくなっていく。


「メイも中々やるのう。妾も負けてられないのじゃ!」

「こんにちは」


その時、デビとメイの横に男が立っていた。

あまりに自然にその場に経っていたため、デビとメイは声をかけられるまでその存在に気付くことが出来なかった。


「っ!?何じゃお主は!気づかなかったぞ!」

「はふははなふははふ!」

「メイ、食べたままだと喋られないのじゃ」

「ゴクンっ!変態でしょあなた!」


食べ物を一気に飲み込んでから開口一番にメイは男に向かって、指を指してそう言う。

それを聞いた男は驚きながらも上機嫌に笑い声を上げる。


「はははっ!出会って早々変態呼ばわりか。面白いね。そして、久しぶり」

「久しぶり?私、変態さんと会ったことあったっけ?」

「残念だけど、お前じゃない。俺が久しぶりにあったのはこっち」


そう言って、デビの方を指差す。

だがデビ自身もピンとは来ていない様子だった。


「妾か?お主みたいな変態とあった覚えはないぞ?」

「デビッちも知らないの?それじゃあ、ますます怪しい………もしかして、幼女好きなの!?だから、デビッちに近づいたのか!このロリコン!」

「ちょっと待つのじゃ!妾は幼女ではないぞ!多分こやつは妾の溢れる大人の色気によって引き寄せられたのじゃそうじゃろうお主?」


二人がそんな事をいうが男は気にすることなく話を続ける。


「覚えてないのか。まっしかたないか。俺とはしっかり顔を会わせたわけじゃないしね。それじゃあ、名乗った方が早いか」


そう言うと、その男は不気味に笑った。


「黒の魔法使いの1人、ラルダ。これで、思い出してくれたかな?」

「っ!お主!黒の魔法使いなのか!」

「え?え?黒の魔法使いって確か指名手配されてる人だよね。魔法協会にも貼ってあったし」

「そっ思い出してくれたところで話をしようか?大事なだーいじな話を」


そう言ってラルダは再び不気味に笑う。

黒の魔法使いだと分かったことで、デビはより一層警戒心を示す。


「お主の話なんて聞くわけ無いじゃろ!」

「そうだ!そうだ!ここであったが運の尽き、神妙にお縄につけー!!」


そう言って、メイはラルダに魔法を放とうとする。


「邪魔だな、お前」


その瞬間、メイの首に一撃を与える。


「うっ!?――――――」


メイはグラリと体を揺らすと、力無く倒れそうになるがその前にラルダがメイの首を掴む。


「メイ!お主!その手を離すのじゃ!」

「おっと、それ以上近づいたらこの女の首を折るよ?」

「っ!」


その脅迫にデビの足は止まる。

仲間の命を握られたことでラルダに主導権を握られてしまった。

デビはこの状況が最悪の結末に行くのではないかと、心がざわめき立つ。


「そんな怖い顔しないで、安心してよ。そんな勿体ないことしないから、こういう子の叫び声と恐怖で歪んだ顔は最高に気持ちいいからね」

「…………お主、本当に何者なのじゃ」


その底知れない悪意にデビは、慎重に質問する。


「俺が何者かか……………何者だと思う?」

「くっ!お主は普通にむかつくのじゃ!」


その瞬間、デビは魔法を放とうとするが、ラルダは手を前に尽き出す。

その姿を見てデビの体は硬直する。


「戦っても勝てないよ。それを1番理解してるのはお前だろ?俺とお前は同類なんだからよ」

「っ!?お主と妾が同類?そんなわけなかろう!これ以上妾を侮辱するな!デビルオンインパ―――――ぐふっ!」


その瞬間、デビの腹を力一杯殴る。

明らかなスピードの速さにデビは対応出来ずに、痛みと衝撃で床に倒れる。


「はははは!そんな怒るなよ!」

「くっ!うぐっ…………」

「あまり騒がれるとこっちも困るからさ。俺はやるべき事が終わったから、そろそろお祭りに参加しようと思うんだ」

「お祭り?」

「ミノル達にも伝えといてよ。第4競技で待ってるってさ」

「くっ!待つの………じゃ」


そのままデビはゆっくりと意識を失った。


――――――――――――――――――――

「よし!赤チームはもう居なさそうだな」


俺達は周りをしっかりと確認を取って例の補給場所に来ていた。


「この魔法陣からそのボールが取り出せるのね。時間が惜しいわ。早速やりましょ」


そう言ってピンカは早速魔法陣に手を触れる。

だが、何も起きなかった。


「はっ!?どういうことよ!聞いてた話と違うじゃない!もしかして、私を騙したの?」

「いや、だまさないから。おかしいな……他の補給場所ではこれでボールが取れたんだけどな」

「もしかしたら赤チームが取ってったから使えなくなったんじゃない」

「かつ達の話によると連続してボールは取れなかったんだよね。てことは赤チームがボールを取っていったが正しいな」

「何なのよそれ、完全に無駄足じゃない」

「うーん…………」

「どうした、マイト?」


マイトは何か気になるのかずっと魔法陣を見つめている。

そしてふとマイトが告げる。


「ピンカ、ピンカ達が赤チームと接触して何分間戦った?」

「多分5分くらいじゃない。それがどうかしたの」

「この魔法陣の再使用が時間経過だとしたら、何分位だと思う?」

「うーん、大体3分位なんじゃないか?」

「俺もそう思う。だけど、ピンカがここに来た時この魔法陣は今とおんなじ感じだったか」

「ええ、それが何?」


次々とマイトは質問を投げかけてくる。

マイトは何かを分かっているのか。

時間と使用、それらが意味するものって。


「ん?待てよ、てことは………」

「そっおそらく最低でも再使用に5分は要すると思う」

「何でそうなるのよ」

「だってピンカがここに来て終わるまで大体5分間位だったんだろ?俺はちょっと魔法陣を確認したけどこんな感じにはなってなかった。てことは5分くらいが妥当だと思ってね。どう?」

「うっ!確かにそうね」


マイトの説明で納得したのか、ピンカはそれ以上何も言わなかった。

だがたしかにその理屈は正しいだろう。

再使用までの時間は五分、しっかりも覚えておこう。


「それじゃあ、そろそろ使えるようになるかもしれないな。一旦ここで待って、次は使えるようになってから考えよう」

「待つってどれくらい待たなきゃ行けないのよ」

「ピンカ先輩は数分も待てないんですか?せっかちは嫌われますよ」


ミカの呆れたような声にピンカは苛立つように言う。


「別にせっかちじゃないわよ!ただ、どれくらい待つか聞いただけじゃない!」

「それをせっかちっていうんだよ。ピンカは取り敢えず静かにしてな」

「何をその言い方!あんた、私にそんな口聞いていいて思ってるわけ!?」


今度はマイトに詰め寄るが、マイトは気にする様子を見せずに軽くあしらう。


「今は仲間なんだし、別にいいだろ?」

「仲間ってたって一時的でしょ!」

「お、俺は………ずっとピンカのパートナーだよ」


突然、イナミがそんなことを言い始めた。

それにより周りが一気に静まり返る。


「は?あんた何言ってんのよ。気持ち悪いわよ」

「イナミ先輩それはさすがに」

「告白………?」


その言葉に皆がイナミを見る。

そんな視線を浴びたからかイナミは慌てて首をふる。


「え?いや、そういうつもりじゃ!」

「変なこと言ってんじゃないわよ!このねくらが!」


ピンカはそのままイナミに向かって思いっきりビンタをかます。

見事にクリーンヒットしたイナミは打たれた頬を抑えながら、悲しげにつぶやく。


「ぐふっ!?な、何で………」

「イナミ、そりゃそうなるよ」

「ちょっと、やり過ぎたね」

「みんな……出来る様に………なったよ」


いつの間にかツキノがボールを10個手に持っていた。

どうやら俺達がふざけ合っている間にツキノはやることをやってくれたようだ。

だがそれを見てピンカは不満そうに言う。


「ちょっとあんた、何勝手に持ってるのよ」

「そこは別にいいだろ。やっぱり5分くらいだったな。だとすると、他のところも同じ様な感じってことか」

「そうだね。それじゃあ、これからどうしよっか」

「多分、赤チームはもう1個目の回収場所に着いてるだろ。だとすると、こっちから行っても勝算がない」

「何でよ?」


ピンカが俺の言葉に疑問に思うとすかさずミカが答える。


「ミズト先輩が居るからですよ。はっきり言ってあれは反則ですよ」

「ああ、俺達は一瞬しか見てなかったが、お前らが攻撃を受けた瞬間勝てないって直感で思った。確実にあれは十二魔道士の中でもトップクラスの実力者だろう」

「確かに、あれがオリジナル魔法なのは確実としてあまりにも攻撃が早すぎる。俺のオリジナル魔法でも反応できないとなると、回避するのはほぼ不可能だ」


ミズトのオリジナル魔法、具体的なことは何一つ分かっていない。

せめてどんな魔法か分ればいいんだけど。

攻撃する瞬間、その時の様子。

攻撃………構え?


「なあ、ミズトは魔法を撃つときどういう構えをしてたんだ?」

「たしか、こんな感じだった」


そう言って、イナミはミズトの構えを真似する。

腰に手を当てて何かを抜き取ろうとしてにいるように見える。


「そう!その構えをした時気づいたら切られてたんだよ」


あの構え、漫画やアニメで見たことがある。

侍が刀を抜き取る時にする構えに似ている。

待てよ?そう言えば、マイト達の傷も刃物で切られたような傷痕してたな。

もしかして、ミズトのオリジナル魔法って刀か?

だとすると、あの構えと傷痕に説明がつく。


「かつ後輩?かつ後輩!」

「え?あ、なんだ?」

「何ボーッとしてるんですか?イナミ先輩ずっとやってますよ」

「かつ、あとどれくらいやればいい?」

「ああ、ごめん!もうやらなくていいぞ」


その言葉を聞いて、イナミは体を伸ばす。


「皆、ミズトの魔法大体は理解した気がする」

「本当か、かつ?」

「ああ、もしミズトがまたその構えをしたら後ろに大きく飛ぶんだ。そうすれば多分大丈夫だ」

「本当なんでしょうね」

「どっちにしろ、俺達はあの魔法を理解できてない。ここは1番理解してるかつに従おう。それで、その魔法はどんな感じか分かるか?」


そう、キラキラした目で近づいてくる。

ああ、そう言えばこいつ魔法オタクだったな。


「それは分からない。でも、もしその構えをしたら後ろに大きく飛んでくれればいい。反撃せずに回避に全神経を使うんだ」

「分かった……それで……この後は……どう動く……」

「そんなの決まってるじゃない。こっちから仕掛けに行きましょう。やられっぱなしは気に食わないわ」


そう言うとピンカはやる気満々といった様子で力強く握りしめる。


「ピンカ、これは戦うのが目的じゃなくてボールを籠に入れるのが目的だ。無用な戦いは避けるべきだ」

「何が無用な戦いは避けるべきよ。こっちはやられてんのよ」

「ポイントでは勝ってる。俺達は今、有利な立場なんだ。もうちょっと慎重に動こう。ピンカも無理できる体じゃないんだぞ」

「分かってるわよ、そんなこと!じゃあ、どうするのよ!こんなことしてる間にも赤チームはボールを沢山補充してる可能性があるのよ!」


たしかにそうだろうな、だからこそそれを打ち破る為の秘策を考えていた。


「俺に考えがある。聞いてくれるか?」



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