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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十三章 開幕!島王選
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その二十五 最速の一撃

「ここでまさかのマイト選手とイナミ選手の登場だー!第3競技始まったばかりだと言うのに既に混戦状態だー!」

「おいおい、お互い序盤から飛ばしすぎなんじゃないか?俺の経験上あれじゃあ後半バテるぞ」

「確かにそうですね。でも、何も考えずに行動してるとは思えません。何か、考えがあるのかもしれません」

「その考えが何かは、今は全くわかんないけどね。て言うか、あの2人は何処に行ったの?」


席のところにはデビとメイの姿がなかった。


「出店を食べてくると言ってから帰ってきてませんね。多分、まだ食べてるんじゃないですか?」

「あーあ、なるほどね。それじゃあ、もうしばらく帰ってこないかもね」


――――――――――――――――――――

サザたちは対峙するマイトを見て、鋭い視線をぶつける。


「後ろの3人でガイを倒し、お前1人で俺達を相手するって言うのか?」

「そういうことだな」

「がっはっは!大胆な男じゃねえか!そういうの好きじゃねえぞ!ただ、少しなめすぎじゃないか?」

「エングの言う通りだ。マイト、お前は少し俺達の実力を分かってないようだな」


その瞬間、サザミとエングとミズトとナズミが魔法陣を展開する。

そのどれもが高レベルのものであり、一つ相手にするのにもかなりの魔力を消費するほどだ。

だがそんな状況でもマイトは目を輝かせる。


「嬉しいなぁこんなにたくさんのすごい魔法使いの魔法が見れるなんて。最高だ!」

「ライトスラッシュ!」

「ファイヤーバインツ!」

「ウォーターガン」

「ライトポップボール!」

完全魔法解明(パーフェクト)!」


全ての魔法がマイトに集中する。

だが、マイトはそれをいとも簡単にかわす。

それを見て目を見張る者、警戒する者、冷静に状況を見る者と反応は様々だった。


「やっぱり全部避けやがったか!」

「なるほど、エングの言った通りオリジナル魔法を使ったか。自動で魔法を避けるオリジナル魔法か。だが、少し不審な点があったな。今、一瞬だが別の魔力を感じた。もしかすると1度に防げる数に限度があるんじゃないか?」

「はは、参ったな。やっぱり、十二魔道士レベルの魔法使いだと騙せないか。そうだよ、僕の魔法は防ぐのに制限がある」


マイトは否定することなくあっさりと認める。

そのことに対してサザミは疑問を覚える。


「そんな簡単に言っていいのか?」

「問題ない。魔法が使えるってことは今見せただろ?」


そう言って、マイトは魔力を溜める。


「鬼ごっこなら最後まで付き合うぞ」

「がっはっは!おもしれえじゃねえか!それじゃあ、最後まで遊ぼうぜ!」


エングが更に興奮気味になる中、一方ガイたちも戦いが始まろうとしていた。


「おーおー、あっちは大分盛り上がってるな。それじゃあ、俺達も早速やろうぜ!」


そう言って、ガイはツキノ達の方に突っ込んでくる。


「来るぞ!」

「分かってるわよ!ビッグマウンテン!」


その瞬間、目の前に巨大な岩が出現すると同時にガイによってそれが破壊される。


「ハイボルテージサンダー!」


強力な魔法が3人を襲う。


「くっ!キルトルネード!」


イナミが何とか魔法をぶつけて軌道をズラす。

それにより近くの合った周囲の木々が弾け飛ぶ。


「まだまだ行くぞ!アグレッシブフルート!」

「アイスガン………」


2つの魔法がぶつかり、そして弾け飛ぶ。


「ちっ!やっぱ、得意魔法じゃねえとほぼ互角か」

「互角……?それは違う……私はまだ……本気を出してない……」

「はっ……ははははは!!面白いじゃねえか!!だったらよぉ!本気を出してこいよ!じゃねえと、終わっちまうぞ!」


その瞬間、今までで1番の魔力がガイに集まる。

それに気づいたのはピンカだった。


「この魔力は!レベル魔法!」

「喰らいやがれ!ギガボルテクスサンダー!!」


巨大な雷のボールが無数の稲妻を地に降り注ぎながら、3人に迫ってくる。


「レベル魔法………リュートアグレッシブサイクロン」


ツキノの突き抜ける巨大な竜巻がガイの魔法と衝突し相殺される。


「なっ!?俺の魔法と同等!?」

「これで……終わり………」


『こいつ!まさか、得意魔法は光じゃない!?』


「ロックスタンプ…………」


ガイがその事に気付いた時にはすでに巨大な岩に押し潰された。

そしてそのまま動かなくなった。

そんな光景を見てイナミは思わず絶句する。


「…………つ、ツキノって強いな」

『あの噂は本当だったんだ。第1回の島王選でガルア様の十二魔道士として参加して見事優勝したって噂は』


勝負が終わったことをエングがいち早く確認をする。


「あっちはどうやら片付いたみたいだな」

「ちっ!やはり、ツキノの実力は変わっていなかったか。まあいい、どちらにしろこちらが優勢なのは変わらない」

「これならどう?」


すると先程の戦いを終えたピンカ達がすぐにマイトと合流をする。


「皆………ふっありがとう助かるよ」

「別にあんたの為じゃないわよ。あんたみたいな魔法使いでも居なくなると色々負担が大きいのよ」

「ふっ相変わらずだな。でも、ありがとう」


仲間が増えたことにより、マイトは余裕が出来て先程よりも表情が柔らかくなる。

そして勝利を確信したような雰囲気を持っているマイト達にサザミが鋭い言葉を投げかける。


「まだ分からないのか?お前らと俺達とでは圧倒的な戦力差があるんだぞ」

「そんなもん、関係ないな。僕達の方がお前らよりも強い」

「この……何してるミズト」


その時ミズトは1人だけ前に出てくる。

警戒もなく、魔法を使う素振りもなくただ前に。

そんな堂々とした態度にマイト達は警戒を示す。


「これ以上は時間の無駄でしょ。こいつらに時間をかけても意味がない」

「おいおい、勝手に動くんじゃねえよ。何しようってんだ?」

「こいつらを倒したところで私達が勝つわけじゃない。籠にボールを入れる、それ以外はする必要はない」

「ミズト、考えを持つのは別に構わないがそれを勝手に実行するな。リーダーは俺だぞ、お前もそれを了承したはずだ」

「言ってる意味分からない?」

「は?」


すると、ミズトが構えに入る。


『何だろう、あの構え。魔法を撃つって感じじゃなさそうだけど』


ピンカが疑問に思うのは当然のことだった。

その構えは刀を腰につけた剣士がその刀を抜く時の抜刀の構えだった。

それは魔法使いが蔓延るこの島では縁のないもの。

だがその時、ミズトの手が少し動いたと全員が思った瞬間、本能的な危機感を感じ取ったと同時に鮮血が宙に飛び散る。


「っ!?な、ダメージを受けてる?」


突然体から血が吹き出し、思わずマイトはよろける。


「な、何が起きたのよ!何でダメージを受けてるの!?」


全員がそう思った。

突然の攻撃にただただ困惑した。

理解できない状況ではあったが、少なくとも目の前にいるミズトは最も警戒するべき危険人物だと全員が理解した。

そしてそれは味方であるサザミたちも同様だった。


「おい、今何をした。ミズト、お前は何をしたんだ?」

「話す必要ある?私達は一時的な仲間になってるだけで敵なんでしょ」

「ちっ!そうだな」

『今、一瞬だけだが何か細長いものがミズトの手から放たれたような………』


「くっ!まずいな、まさかミズトがこんなに強いなんて。皆!大丈夫!」


イナミの呼びかけにマイトは傷をかばいながら答える。


「何とか、傷はそこまで深くはないから」

「次は止めを指す」

「どうやら、嘘ではなさそうだな」

『このままだと全滅だ。それは1番あっちゃいけないことだ。せめて数人は逃がさないと』

「ここは僕が引き付ける。だから、皆は早く逃げるんだ」

「っ!?マイトはどうする気だ」


イナミの質問にマイトは引きつった笑みで答える。


「大丈夫、僕には完全魔法解明(パーフェクト)があるからやられたりしないよ。でも、抑えられるかは難しい。だから、皆はここから早く逃げるんだ」

「ちょっと何勝手なこと言ってんのよ。身代わりになって私達を助けてかっこいいとか思ってんの?そんなの無駄死にしてるだけでしょ」

「他に方法はないんだ!」

「っ!」


その声にはいつものマイトからは想像つかない余裕が消えていた。

するとマイトは改めて冷静な口調で告げる。


「いいか、ここは絶対負けられない戦いだ。だから、冷静に状況を見て行動するのが重要だ。今のお前らじゃミズトを倒せない。分かるだろ?」

「分かった…………」


ツキノはゆっくりとうなずく。


「ちょっ!何勝手に言ってんのよ!」

「ここで……戦うのは………無謀……勝ったとしても……それは意味がない………だから……逃げるのが得策」

「じれったいわね!早く喋りなさいよ!」

「流石俺の相棒だ!そういうわけだ、頼む」

「ピンカ、ここはマイトに任せるしかない」


三人にそう言われてピンカは唇を噛みしめると、そのまま背を向ける。


「ふんっ!やるからにはやられるんじゃないわよ」

「それは、保証できないな」

「話は終わった?」


ミズトは淡々と言葉を紡ぐ。


「ああ、待っててくれてありがとな」

『さて、僕の完全魔法解明(パーフェクト)が通じるかどうか。下手したら死ぬかもしれないな。流石にそれは………いや、ミズトならやりそうだ』

「今だ!逃げろ!!」


その瞬間、ツキノ達は走り去っていく。

ミズトは三人を追いかけることもなくマイトをじっと冷徹な視線を向ける。


「逃げても無駄よ。全員私が倒すから」

「それはこの場で阻止させてもらうよ」


マイトはゆっくりと深呼吸する。

そして、覚悟を決めて魔法を発動する。


「さあ!来い!!」


ミズトが再びマイトを倒そうとしたその刹那近くの木が爆発した。


「うおおおおりゃあ!!!」

「なっ!?何だ!!」

「おい、あれ見ろよ!かつじゃねえか!」

「かつ!?助けに来たのか!」


爆風と共にかつとミカが飛び出してくる。


「当たり前だろ!ミカ!」

「分かってますよ!」


その時、ミカの手にはツタが絡まり合い玉の形になった物を握っていて、そこから伸びたツタを掴んで籠に向かって投げる。


「なにっ!?」

『馬鹿なのかこいつらは。籠を破損させれば失格になると言うのに籠を攻撃するとは。まあいい、これで俺達の勝利は確実』


「何やってる!!早く止めて!」


ミズトは必死に叫び声を上げる。

だが時すでに遅し、その瞬間そのボールが籠の中に入る。


「ボールを確認!!ボールを確認!!」


その時籠から謎の音声が流れて中を蓋で閉じられる。


「よし!成功だ!」

「何だと!?ボールを確認って今のがボールだって言うのか!?」

「今の内に逃げるぞ!」


素早い判断、目的が達成されたことでかつ達はすぐさま逃げる選択肢をする。

それにサザミが一歩遅れて反応する。


「ちっ!待て!逃がすわけないだろ!」

「喰らえ!インパクト!!」


衝撃波によってサザミ達が吹き飛ばされる。

かつの牽制にサザミ達は足止めを食らう。


「くそっ!」

「今だ!行くぞ!!」


サザミ達が動けない空きにその場からマイトと共に逃げ出す。

そして気付いたときにはすでに人影はなくなっていた。


「………逃げられたか」

「やられたね。あのツタの中にボールを入れられてたみたいだよ」


サラはそう言って籠の中を見るとボールが数個入っていた。


「先制点を取られたわよ、リーダー」

「嫌味かミズト。確かに今回は俺のミスだ。判断を見誤った」

「う………があああ!!」


その時岩に潰されたガイが岩を壊して出てきた。


「がっはっは!無事だったのかお前!」

「当たり前だろ!あいつらどこ行った!まだ勝負は終わってないぞ!」

「敵チームは逃げていきました。なのでもういません」

「何!?くそ!まだ終わってねえってのに」

「安心しろ。すぐに戦わせてやる」

「どうするんだい、これから」

「こちらが先制点を取られてる。ならば攻めあるのみだ。まずは残りの補給場所を探す。行くぞ」



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