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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十三章 開幕!島王選
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その二十一 束の間の休憩

周りが光に包まれそれが晴れると物凄い声量と空気の揺れを感じた。


「よくやったぞー!」

「かっこよかったわよ!」

「さすがガルアの十二魔道士だぜ!」


何だ?

すごい声援が聞こえる。

もしかして、俺のことか?


「さあーて第2競技は白熱したバトルが繰り広げられました!何と言っても絶対かつ選手の大逆転劇は観客の皆さんも思わず立ち上がるほどの激戦でした!その激戦を繰り広げた十二魔道士達の現在のポイントを確認しましょう!」


第1位 絶対かつ ミカ 120ポイント

第2位 ナズミ ミズト 105ポイント

第3位 マイト ツキノ 60ポイント

第4位 ガイ サラ 55ポイント

第5位 エング サザミ 40ポイント

第6位 イナミ ピンカ 30ポイント


「以上が今回の第2競技の最終ポイントです。第1位と第6位は大分差がついてしまいました!ですが、第3競技ではさらにポイントを取れるので諦めずに頑張ってください!それでは一旦第3競技の準備をするので休憩とします!」


そのアナウンスと共に皆控え室に帰っていく。

俺はガルアの座ってる席を見る。

すると、ガルアがこちらに気づいたのか俺を見るとよくやったと口を動かす。


「っ!」


ようやくガルアに恩返しが出来た。

でも、ここからだよな。

まだ油断は出来ない。


「かつー!!」


声がする方を向くとそこには観客席で手を振る、ミノル達の姿があった。


「皆ー!来てくれたのかー!」

「もちろんじゃー!その調子で次も全員ぶっ飛ばすのじゃー!」


かなりテンションが上っているのか、興奮気味に腕を大げさに振ってそんな事をいう。

相変わらずデビは乱暴だな。


「おいかつー!久しぶりだなー!」

「サキト!?お前も来てたのかー!」

「ああ、頑張れよ!応援してるぜ!」

「おう!任せろ!!」


俺は皆に手を振って控え室に戻った。


「ふう………さすがに今回は忍耐力と精神力が削られたな。魔法は全然使ってないけど」

「かつ後輩!」


そう言って俺の背中を叩いてくる。

そこにはミカの姿があった。


「ミカ!どうだ、俺の活躍見てたか?」

「バッチリ見てましたよ!正直言って今回はかつ後輩駄目かなと思ってましたけど、1位になってくれたので大満足です!ていうか、何であんなに早く動けたんですか?」

「俺はあの山で1年間修業してたんだよ。だから、あの山のことならここの誰よりも知ってるからな」

「あーそうだったんですね。だからか、なるほどなるほどでも次は私もかつ後輩に負けないくらい活躍しますよ」

「頼むぜ。正直言ってお前の力がなきゃ1位は取れないからな。ていうか、傷はもう直ったのか?」


ミカを見ると第1競技で出来た傷が消えていた。

ミカは元気な声で返事をする。


「はい、私結構回復は早い方なんですよ。十分休めたんで魔力もバッチリ回復しました」

「そ、そうなのか………」


え?傷ってそんな簡単に治るっけ?

まあ、いつも回復のポーション使ってるからあんまり自己回復とかしたことないけど、半獣ってそういうもんなのか?


「とりあえず第3競技は何なのか分かんない以上、体力温存のためやす―――――――」

「どういうことだ!」


その瞬間、控え室から怒鳴り声が聞こえてきた。


「今の声って…………」

「サザミ先輩の声ですね。多分エング先輩を叱ってるんじゃないですか。なんせ、順位は下から2番目ですし第1競技の時とは違ってエング先輩が自分でやらかしてしまいましたからね。サザミ先輩の性格上怒るのも無理ありませんよ」


エングか、現在の順位と皆の動きを確認するために様子見をしてたけど譲る場面が多いことを考えると、この順位も仕方ないか。


「確かに、そうだな。でも、エングも自分の意思でやったことだし後悔はしてないんじゃないか」

「個人戦ならそれでいいとは思いますが、今はチーム戦。まあでもあの先輩達は付き合いも長そうですし、心配しなくても大丈夫だと思いますよ」

「そうだな、それじゃあ俺達はべつのところで休むか」


2人の喧嘩に割り込まないように俺達は控え室を後にした。


――――――――――――――――――――――――

サザミは壁際にエングを追いやると、鋭い眼光で声を荒げていた。


「エング自分がしたことを理解してるのか?」

「分かってるよ。反省してる。だがよ、俺は自分が間違ったことをしてねえと思うぜ」


その言葉にサザミは更に怒りを覚える。


「間違いか間違いじゃないかと言えば間違いだ!敵に塩を送りその上返り討ちに合うなんてお前はバカなのか!」

「仕方ねえだろ!予想以上にやるやつだったんだよ」


エングの言っている人物が誰なのか、サザミはすぐに思い浮かべ苛立つように言う。


「お前も知ってただろ。あいつの潜在能力は俺達を越える可能性があると。だからこそピンカによって自信を失わせた状況は好都合だと」

「見てられねえよ。初めて島王選で会ったときから俺は………」


すると、サザミは頭を抱える。

この状況下ですらエングは世話を焼いてしまう。

サザミは一度冷静になると改めて言葉をかける。


「俺達が初めてカノエ様の十二魔道士になったこと、覚えてるか?」

「忘れるわけねえだろ。あの人が俺達を拾ってくれたから今があるんだからよ」


懐かしむように言うエングに対して、サザミは同意するように頷く。


「ああ、荒くれ者のお前と犯罪者の俺を救ってくれたのはカノエ様だ。もし、カノエ様と出会っていなければ俺達はろくな人生を歩めなかった」

「だからと言って俺は自分の生き方を曲げたくはねえ。十二魔道士として俺はあいつを見過ごすことは出来ねえ。分かるだろお前も十二魔道士ってのがどれだけ、名誉ある称号か。俺も必死で頑張ったんだ。それなのに、あいつは力を出しきれていないのにここに立っている。許せないだろ、十二魔道士はそんな覚悟でやっていいもんじゃないはずだ」


十二魔道士に対する思いが強いエングは熱く語る。

それを聞いたザザミは同意するように頷いた。


「そんなの分かっている。十二魔道士になるまでの辛さも、だからこそ俺達は命懸けで成し遂げなければいけない。カノエ様は俺達が十二魔道士になってから1度も十二魔道士を変えていない。普通成果を納めることが出来なければすぐに十二魔道士の称号を剥奪されるはずだ。にもかかわらず俺達を信じてくださっている。俺達はそろそろそのご厚意に応えるべきなんじゃないのか?これ以上、カノエ様を待たすのはカノエ様のご厚意に背くことなんじゃないのか?」

「ああ、もうあんなことはしねえよ。俺だってカノエ様を王にしてえんだからよ!」

「次こそ取るぞ。1位を」

「おう!任せとけ!」


そう言って、お互い拳を合わせる。


――――――――――――――――――――

俺達は休憩ということで、会場を散歩していた。


「うーん、何か腹減ったな。どっかにご飯とか売ってないかな」

「そういえば何処かに出店があるって言ってましたよ。私もお腹空いたんで、買ってきてください」

「何で俺にパシりさせようとしてんだよ。ん?あそこに居るのって…………」


俺は何か気まずい空気を察して物陰に隠れる。

ミカもつられて俺の横に隠れると、そこから顔を出して外を確認する。


「あそこに居るのはイナミ先輩とピンカ先輩ですね。何してるんでしょう」

「さあな?どちらにせよ、やばいことにはなりそうだけどな」


イナミは第2競技で少しは自信を取り戻せた感じはあるけど、まだピンカとの仲は縮まらないよな。

その時、二人の会話が聞こえてくる。


「あんた、今の順位がどうしてなったのか分かってるの?」

「…………………………」

「私が居ないところでは流暢にしゃべるのね。そんなに私が嫌いなら十二魔道士なんてやめれば?」

「………………………」

「別にあんたとは話したくないし、喋らないなら別にいいんだけど、私の邪魔だけはしないでよね。それじゃ」


そう言ってピンカは去っていった。

最悪な雰囲気って感じだな、イナミはまだピンカを目の前にすると喋れなくなるのか。


「やっぱりか………おい、ミカ行くぞ……あれ?ミカ?」


周りを見るとミカの姿はなく、気付くとイナミの所に向かっていた。

あいつ、いつの間に!


「イナミ先輩、大丈夫ですか?」

「お前は…………本当に情けないな。年下にも慰めされるなんて」


俺もすぐにミカの元に行くと、イナミは俺を見て軽く会釈する。


「どうも、お二人で俺のことを笑いに来たんですか」

「いや、そういうわけじゃないが。何でそんなにピンカが怖いんだ?お前も普通に強いのに」

「重圧に耐えきれなくなったが正しいですね」

「重圧?」

「あなた達には関係のないことですから。それじゃ」 


そう言って、イナミは行ってしまった。


「やっぱり、まだピンカが難関だな」

「でも、初めて話せましたね」


ミカがそう言うので改めて思い返してみる。


「たしかに、俺も初めて会話したかも」

「少しづつ変わってきてるんじゃないですか?まあ、私はあんなうじうじせずに自信もって行けとは思いますけどね」

「お前も容赦ないな。よし、それじゃあ腹も減ったし飯でも食うか」


いよいよお腹も空いてきたのでなにか食べるために出店の方へと向かおうとした時、会場にアナウンスが響き渡る。


「ピンポンパンポーン!第3競技の準備が整いましたので出場する十二魔道士の方々は会場に来てください!」

「ご飯は抜きですね」

「くそ!」



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