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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十三章 開幕!島王選
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その二十 逆転のダッシュ

数分前――――――――――

「うーん、誰かいねえかなー」


ガイは他の魔法使いが居ないか探し回っていた。


「結局ナズミと戦えなかったし、早く誰かと戦いて………あそこか?」


ガイはその瞬間何かを感じとり、一目散にその場所に向かう。


「見つけたぜ!ライジングサンダー!」


ガイは人影を見つけすぐさま魔法を放つ。

狙われた人物は慌てた様子でその魔法を回避する。


「うおっ!あぶなっ!急に魔法を撃ってくるなんて何処のどいつげっ!ガイか…………」

「マイトじゃねえか!久しぶりだな!」

「確かに第1競技ぶりだね。相変わらず元気そうでよかったよ」

『まずいな、ここで好戦的なガイの登場か。正直言って次の競技の為に魔力は温存しときたいんだけどな』


あくまで心の内をさとられないように、マイトはできるだけ平静を装う。

だがガイはそんな事気にもとめずに自分のペースで物事を進める。


「ん?お前結構ポイント持ってるな!勝負のついでにポイントいただくぜ!」

「さすがにポイントはあげられないよ。それに勝負も出来ない」

「は?何言ってんだお前。魔法使い同士が出会ったらまず勝負だろ!」

「まあ、確かに今はそうなんだけどもうそろそろ第2競技も終わりだし、お互いこれ以上魔力を消費するのは無駄だろ?」


マイトは必死に説得をするが、ガイはピンときてないのか首を傾げる。


「そうか?て言うか俺あんまり戦えてないから、魔力全然あるんだけど」

「だったらなおさら第3競技に回した方がいいだろ。そうだな、こんな勝負はどうだ?」


すると、マイトは巨大な氷の塊をだす。


「何だ?どれだけ大きい氷の塊を出せるか勝負するのか?」

「違う、バランス勝負だ。この氷の塊の上に乗って、相手より長く乗ってた方が勝ち。形が丸いから転がりやすいし溶けたりして滑りやすくなる、結構難易度は高めだと思うよ。どう、この勝負は?」

「お前、本気で言ってんのか」

「一応本気だけど、もしかして不服?」

「いや、楽しそうじゃねえか!俺もやるぜ!」


そう言って巨大な氷の塊を作る。

マイトは作戦に乗ってくれたことに安堵しつつ、早速始めようとする。


「了解、それじゃあ勝負開始ってことでいいな?」

「もちろんだ!」


そして、現在――――――――――


「どうしたマイト!俺はまだまだ行けるぜ!」

「僕だって全然平気だぞ!」

「何やってんだお前らは!」

「やばいやばい!引かれる!」


エングとイナミは巻き添えを食らっていた。


「な、な、なんと!エング選手とイナミ選手の戦いに突然氷の塊と共に現れたのはマイト選手とガイ選手だ!これは一体どういうことなんだ!」


突然の氷の塊を転がしての乱入に観客達が動揺する中、ミカは笑い声を上げていた。


「ははははは!先輩達面白すぎ!」

「何してんだエング!早くポイントを取れ!」

「相変わらずあたいの相棒は自由奔放だね」

「マイト………頑張って……」

「遊んでないでポイント取りなさいよ!」


様々な想いが交錯する中、刻々と最後の時は近づいていた。


「さあーっ!残り時間も既に3分を切っています!ポイント変動があるとしたらこの4人の選手達位でしょうか!最後の最後まで油断できません!」


マイトとガイの氷の塊が木に削られ地面ですり減り上で足をものすごいスピードで動かしてるため溶かされる。


「くそ!結構やばいな!」

「思ったよりも氷が限界みたいだ!」

「なら、追加だ!」


そう言ってガイはすり減った箇所を凍らせる。

だが、変に凍らせたせいで形がいびつとなってしまい、揺れが大きくなった。


「うおっ!?うおおおお!?」


バランスを崩しマイトの氷とぶつかってしまう。


「ちょっ!ぶつかってくん――――」


それによりマイトはバランスを崩し氷から弾き出される。

その時前の2人と視線が合う。


「「え?」」

「「え!?」」


そして、4人共氷に衝突した。


「クラーッシュ!まさかの巻き添え事故が起こってしまいました!4人の選手は無事なのでしょうか!」


氷が砕け散り、衝突した魔法使い達はそれぞれ近い場所で倒れていた。


「イテテ…………」

「げほっげほ!」

「いったー………」

「頭からいっちゃったな」


傷を庇いながらも各々ゆっくりと体を起こしていく。


「無事です!皆さん無事のようです!」


観客席が歓喜に湧く中、リドル達は焦りをつのらせていた。


「でも、もう時間はありませんね。ポイントの変動は本当にこの4人の十二魔道士しかなさそうですよ」

「かつどうなったのじゃ?」

「順位の変動は期待しない方が良さそうだな」

「かつっち1位になれないの!?」 


サキトの言葉にメイは残念そうな声を上げる。

それを聞いてサキトは更に説明をする。


「あのポイント差を見ろ。60ポイント以上の差がついてるんだぞ。あのポイント差を埋めるには時間が無さすぎる」

「大丈夫、かつなら絶対やってくれる」


ミノルはそう信じながら固唾を飲んで画面を見続けていた。


―――――――――――――――――――――――――

4人の十二魔道士は現在の現状をすぐさま理解し皆臨戦態勢に入る。


「がっはっは!まさかほぼ全員の十二魔道士が集結するとはな」

「確かに、偶然ってのはあるもんですね」

「楽しくなってきたな!」

「…………………」


4人の十二魔道士は理解している。

この瞬間が最後のポイントの争奪になることを。

そして、その時はすぐに訪れた。


「「「「ポイントを………よこせー!!!!」」」」


ほぼ同時に4人が魔法を放つ。

それにより中心に魔力が集中して、大爆発が起こった。

その衝撃波によって4人は吹き飛ばされる。


「なんと言うことでしょう!強力な魔法の衝突により4人の選手がバラバラに吹き飛ばされてしまいました!残り時間はもうありません!これ以上のポイントの変動はもう無いのか!?」

「ぐっ!大分遠くまで飛ばされたな。さすがに魔力がぶつかりすぎたか。他の皆も多分大分吹き飛ばされてるだろうし、今回はここまでかな」


そう言ってマイトはその場で立ち止まり、第2競技の終わりをその場で待つ。


「さあーて!既に他の十二魔道士も第2競技の終了を待っています!既に1分を切った今回の第2競技も熾烈なバトルが多くあり…………ん?これは一体どういうことだ!ポイントの順位がもうスピードで変わっています!しかも上げているのは絶対かつ選手だ!」

「かつ!!」

「ミノルさん………これって」

「だから言ったでしょ、かつならやるって」

「これは俺の経験にはないな」

「かつっちがんばれー!」


順位が変わる少し前――――――――――――

かつが動き出す1分前かつは木の中に隠れていた。


「よし、そろそろだな。大体のみんなの場所も分かったし、時間ももうない。決めにいくか」


俺は木から降りて走る準備をする。


「今の俺のポイントは40ポイント、1位との差は大体60ポイント以上、全部の最初のポイントを取れば余裕で行く」


その瞬間、大きな爆発音がした。

その音と共に俺は走り出した。

先ずはナズミ!


「ふう、多少は回復できました。次の競技に向けて出来るだけ魔力も回復しないと」


その瞬間、ナズミの横を突風が通りすぎる。


「っ!今の………はっ!ない!」


先ずは1つ目ゲットだ。

次はガイだ。


「結構飛ばされちまったな。もうそろそろ時間だし今回は諦めるか。っ!?」


ガイは何かの気配を感じ取ったのかすぐに後ろを向くがまたも突風がガイの横を通りすぎる。


「なっ!?誰だ!………いねぇってポイントが1つねえ!しかも1番最初にもらったやつが!」


ふう、あぶねえ。

ガイはまだ元気一杯だったからすぐ気づかれちまったな。

でも、ポイントは取らせてもらったけどな。

よし、次だ!


「ここは、何処だ?飛ばされたのか。すごかったな、十二魔道士の魔法がぶつかりあんなにも大きな爆発になるのか」


その時、突風がイナミの横を通りすぎる。


「風?………いや、違う。今確かに尻尾に誰かが触った感触が」


既にイナミの尻尾に1つリボンが抜かれていた。


「やられた!いつの間に、まさか魔法!?いや、魔力はなかった。もしかして、走って取ったのか?」


この調子なら全部取れる。

でも、時間がないあともう少しで終わってしまう。

次は………………


「がっはっは!いやー偉く飛ばされたな。こんなに飛ばされちゃあもう他の十二魔道士と会うことはないか。っ!?」


俺が尻尾に触れようとした瞬間、エングが魔法陣を展開する。


「くっ!!」


だが、俺はギリギリの所でポイントを取りその場から逃げる。


「ポイントをっ!誰だ!逃げんじゃねえ!」


エングは周りを見るが既にその姿はなかった。


「今の走って取りやがったのか?何つースピードだ、目で追うのがやっとだったぜ」


俺はエングからもらったリボンを尻尾にくくりつける。

あぶねえあぶねえ、さすが優勝候補。

感と反射スピードがすごかった。

そのせいで軽いポイントしか取れなかったな。

まっこの山ならどんな奴だろうと俺より早く動けるやつは居ないだろうな。

俺がこの山でどれだけ修業したと思ってんだ。


「次でラストだ!もう後20秒位かな?マイトは確かあそこだよな」

「かつ選手猛進撃です!どんどん順位を上げていきます!」

「すごいですね、これ行くんじゃ無いですか」

「まだ最後まで分からないわ」


今のポイントの合計は俺の40とガイの30エングの10イナミの10そしてナズミの10……合わせて100ポイント……100ポイント!?

何でだ、俺の予定だともうすでに1位に行ってるのに………あっナズミか!

50ポイント取ったと思ってたけど10ポイントのリボンを取ってたのか。

位置は合ってた、直前でリボンの配置を替えてたのか。

たしか、ナズミのポイントは115ポイントだった。

俺が奪ったポイントを差し引いても105ポイント、まだ足りない。

くそっ!こうなったらマイトの1番高いポイントを取るしかない!


「マイト居た!もう時間がない速攻で取る!」


俺は狙いを定めてもうスピードで取りに行く。

その瞬間、光の矢が俺目掛けて飛んできた。


「っ!?」


なんとかギリギリのところで回避する。

だがそのせいで俺はポイントを取り損なってしまった。


「かつ!?何処にいたんだよ。ずっと会わないから、何か合ったのかと思ったよ」

「すまないマイト!時間がないんだ、ポイントを貰うぞ!」


だが、突っ込んだ瞬間魔法陣を展開される。


「くっ!」


そのせいでスピードが上手く出せない。

このままじゃ、間に合わない!


「ごめんね、かつ!さすがにポイントは渡せないよ!」

「くそ!やるしかねえ!」


もう時間が後もう数秒で終わる!

四の五の言ってる場合じゃない、使うぞ!


「ごめん!インパクト!!」

「っ!」


よし!直撃した!

これでポイントを―――――


「すごいよ、今の魔法!それが隠し球か!」

「無傷!?嘘だろ!」


こいつ元気いっぱいかよ!


「おおっと!絶対かつ選手の渾身の一撃が全く効かない!そして、残り時間は10秒を切った!絶対かつ選手はポイントを奪えるのでしょうか!」


何らかの魔法を使ったのか!

じゃなきゃあり得ない!

こうなったら―――――


「インパクト!インパクト!インパクト!」

「うおっと!激しいな!でも、今の僕には当たらないぞ!」


くそっ!全部避けられる!

完璧に動きを読まれてる。

このままじゃ奪えない!


「残り5秒です!」


もう、第2競技も終わるだろう。

出し惜しみなんかしてられないか。


「かつ先輩!諦めないでください!」

「かつっち取ってー!」

「諦めるなー!」

「そやつをぶっ飛ばすのじゃ!」

「かつさん!まだ試合は終わってませんよ!」

「かつ!負けんなー!!」


会場では二人の応援が響き渡る。

そして競技の終了のカウントダウンを一斉に数え始める。

かつの方も佳境へと入っていた。

発動のタイミングはあいつがインパクトを避けた瞬間!


「インパクト!」

「「4!!!」」

「だから、効かないって!」

「「3!!!」」


今だ!


「ウィンド!」

「「2!!!」」


その瞬間、マイトとの間合いを一気に詰める。


「この魔法なら避けれないだろ!」

「どんな魔法でも避けてやるよ!」

「「1!!!」」

「ワープ!」

「っ!?」


俺は後ろにワープで回り込んだ。

マイトはさすがにこれは予想できてなかったのか、反応出来ないでいる。


「届けー!!」


手を伸ばし、リボンを掴もうとそれに触れる。


「0!!終了です!!ただいまをもって尻尾に巻いてあるポイントが現在のポイントです!巻いてないポイントは無効とみなします!」


アナウンスの修了宣言と共に第ニ競技は幕を閉じた。

この試合を見ていたミノルは最後のリボンの行方を気にしていた。


「どう………なったの?」

「最後、体が邪魔で取れたか見えませんでしたね」


かつが取れたのか不安が募る中、集計結果を終えて発表へと入る。


「それでは結果発表です!今回の1位は合計120ポイントの…………絶対かつ選手です!」

「「「うおおおおおお!!!」」」

「まさかまさかの大逆転劇です!見事宣言通り圧倒的な勝利を致しました!」


予想だにしない結果に観客も驚きを隠せず思わず立ち上がる。

それはミノル達も同様だった。


「やったのじゃー!かつが1番じゃ!」

「当然だよ。かつっちはナンバーワンダフルだからね」

「いやーこれはいい経験をさせてもらったぜ」

「さすが、かつさんですね」

「ええ、かつなら絶対やってくれるって思ってた。でも、ここからよ。そうでしょかつ」

―――――――――――――――

俺はそのまま地面に大の字で倒れていた。

終わったのか?

無我夢中すぎて何がなんだか分からない。

俺は1位になれたのか?

すると、マイトがゆっくりと近づいてきた。


「おめでとう、第2競技1位突破だよ」

「…………っよっしゃあああ!!」


マイトの言葉を聞いて俺は心のそこからガッツポーズをした。



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