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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十三章 開幕!島王選
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その十七 自分の存在価値

「しょ、勝負ですか?」

「当たり前だろ?魔法使い同士が出会ったら戦闘開始だろ!」

「そ、そんなこと無いと思いますが………」

「んなことどうでもいいんだよ!それじゃあ早速やろうぜ!」


ガイは久しぶりの魔法使いとの出会いでテンションが上がっており、グイグイとナズミに勝負を仕掛ける。


『まずい……今の状態で戦えば負けてしまう。でも、ガイさんをここから離れさせる方法も思い付かない。絶体絶命だよ………助けてお姉さま』


「それじゃあ、いくぞ!サンダーボルテージ!」

「っ!アブソリュートフリーズ!」


ナズミがまだ戦う覚悟を決めていないのにも関わらず、飛散する雷をガイが飛ばすとナズミは氷の魔法でそれを吹き飛ばす。


「ぐふっ!」


その瞬間、ナズミの体がふらつく。

それを見たガイが心底がっかりした表情を見せる。


「おいおいどうした!?そんなふらふらじゃ俺を倒せないぜ!」

「倒すのが目的じゃありません!ポイントを守れればそれでいいんです!」

「ポイント?ああ、そういえばポイント取らなきゃいけないんだったな。それじゃあ、ついでにポイントも取らせてもらうぜ!」


思い出した様に言うと更に魔力を込めて魔法を撃つ。


『すごい威力!多分得意魔法だから威力も上がってる。このままじゃ、ポイントを奪われてしまう』


「サンダーレイン!」

「くっ!ソシールウィンド!」


先程の戦闘と体力の低下でナズミの魔法の威力は徐々に落ちていく。

そのせいで防ぎきれていない魔法がナズミの体を傷つける。


「はあ……はあ……」

「何だ何だ?もうボロボロじゃねえか。もうちょっと面白い戦いが出来ると思ったが、こんなもんか」


『まずい、体が思うように動かない。自分が思ってる以上に限界が来てた。ダメ、ここでポイントを奪われたらもう奪い返せない。お姉さまが手に入れてくれたこのポイントだけは、絶対に渡せない!』


「そろそろ終わりにするか」


その瞬間、雷を帯びた魔法陣が出現する。


『魔法陣は粗いけど溢れでる魔力で威力は十分に伝わる。あれに当たったら私はもう立ち上がれない』

「ふうー………」


ナズミは一呼吸して自身の状態を落ち着かせる。

それを見たガイはナズミの表情の変化に気づく。


「ん?顔つきが変わったな。覚悟したってことか?」

「ガイさん……か、かかってこい!」

「当たり前だー!サンダーアロー!」


その瞬間、雷の矢がナズミの頭を貫く。

だが、その瞬間ナズミの姿が霞のように揺らぎ消えた。


「っ!?何だこりゃ?」

「こっちですよ」

「っ!ハイソウルサンダーボール!」


またもや、魔法が直撃すると煙に巻かれたように消えた。


「こっちですよ」

「いや、こっちです」

「ここにいますよ」

「何なんだこりゃ、色んな所から声が聞こえてくる」

「ガイさん、あなたはもう私の魔法にかかっていますよ」

「魔法だと?一体何なんだこの魔法は」

「私のオリジナル魔法、霞の中の私を堪能してください」


霞の中の私は幻惑の魔法で対象の魔法使いの視覚が霞の様に世界がぼんやりと見える魔法。

これにより相手を視認するのが不可能となり、その場から動くことも出来ない。

霞の中の私から抜け出すには霞を払うしか抜け出す方法がない。

だが、その霞も纏わりつくように周りを包んでいるので、払いにくくもある。

ちなみに第1競技でこの魔法を使いゴールした。


「ちっ!どうなってんだ。周りも見えにくいし、あいつの姿も分かりにくい」


ガイは声のする方に魔法を撃つが手応えはない。


「魔法にかかってるって言ってたな。てことは正攻法じゃ抜け出せないってことか」

『纏わりつくようなこの感じ、生半可な魔法じゃ抜け出せそうじゃないな』

「上等だ、ぶっ飛ばしてやるぜ!リストタイフーン!」


その瞬間、周りの霞がかっていた景色が晴れる。


「よし!どうだ見たか!これが俺の力だ!………あれ?あいつは?」


既に周りにはナズミの姿はなかった。


「はあ、はあ、はあ………」


その頃ナズミは全力で走って逃げていた。


『今一瞬すごい魔力を感じた。もしかしたらもう解かれてしまったかも』

「とりあえず、ガイさんに見つからないように何処か遠くえ―――――――きゃっ!」


その時木の影から何かが出てきてそれにぶつかってしまう。


「うーん………」


ぶつけた頭をナズミは擦る。


『走るのに夢中で気付かなかった。何にぶつかったの?』


「いたた…………」


目の前には同じように頭を擦るイナミの姿があった。


『イナミさん!?イナミさんとぶつかっちゃったんだ。まずい、早くここから逃げないと』


ナズミはすぐさま立ち上がろうとする。


「いっつっ!」


だが、先程の痛みと戦闘の傷で体を動かすことが出来なかった。


『もう、体が動かない。ポイントを取られてしまう』


すると、イナミが立ち上がりナズミに近づく。


『取られる!』


そう思いせめてもの抵抗として尻尾を掴む。

すると、イナミはポイントを取らず手を差し出してきた。


「大丈夫?立てる?」

「え?あ、はい」


ナズミは何が起きてるのか理解できず思わずイナミの手を握る。

するとイナミはナズミを起こす。


「しばらくここで休んだ方がいいよ。ここはバレにくいし」

「あ、ありがとうございます」

『人気の無い場所に案内されてしまった。善意だと思うけどどうして?』

「あの、ポイント取らないんですか?」


イナミの尻尾には多くのポイントが巻かれている。

しかし、どれも高いポイントではなく、見つけて付けたものしかなかった。

ポイントが今後の勝敗を握る以上、こんな絶好のタイミングでポイントを取らないイナミの行動に思わずそんな質問をしてしまった。


「俺はポイントを取る資格は無いから」

「…………イナミさん、何かあったんですか?」

「自分が情けないよ。ポイントすらまともに取れず他の十二魔道士に説教を喰らうなんて」


『すごい喋ってる。最初に挨拶した時全然喋んなかったのに』

「イナミさんは何で怒られたんですか?」


ナズミはイナミに向かって質問をぶつけていく。

その質問にイナミは顔をうつむかせて答えた。


「俺には自信が見えないらしい。そのせいで魔法も弱いって」

「自信はつけられないんですか?自分の力は他の方たちと劣るって思ってるんですか?」

「思ってるよ、俺は十二魔道士に入っていい人間じゃなかったんだ」

「そんなこと言わないでください。自分を信じられるのは自分だけなんですよ。それなのにあなたが自分の可能性を否定してしまったら、もう立ち上がれなくなってしまいます。もう1度信じてあげてください、自分の可能性を」


すると、ナズミはゆっくりと立ち上がる。


「もうそろそろ行きますね。休ませてくれてありがとうございました」


そう言って、イナミに笑顔を向ける。


「あっ!せっかくなのでこれを」


すると、ナズミが尻尾から1つリボンを外す。


「どうぞ、少ないですけど」

「っ!い、いらない」

「貰ってください」

「いらないよ、自分で稼げるから」

「いいから、貰ってください」

「…………………………」

「はい!」

「あっ!」


そう言って無理やりリボンをイナミの尻尾につける。


「な、何で………」

「約束です。そのリボンを上げるのでその代わり、必ず自信をつけてください。じゃないとポイント返してもらいますからね」

「………ありがとう」

「それでは」


ナズミはそのまま走って行ってしまった。



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