その十六 全て避けます
「オリジナル魔法?おもしれぇじゃねえか。撃って来いよ」
「撃ってこいって言われてもちょっと違うんですよね。あんまり使いたくなかったけど、エングさんが諦めなさそうですし使いますよ」
マイトはその瞬間、周りに魔法陣を展開させる。
「完全魔法解明」
マイトの周りが光輝きそのまま何も起こらず消えた。
「っ?終わったのか?」
「はい、もうやりましたよ」
『攻撃魔法じゃねえのか?展開したのならもう既に何かが発動してる可能性があるな』
「だが………引くわけにはいかねぇよな!」
そう言ってエングは魔法陣を展開させる。
「やっぱり、攻めてきましたか。まあ、エングさんならやると思ってましたけど」
「ツインファイヤークロス!」
エングの放つ魔法がマイトに直撃する。
「やっぱり、強いですね。中々の威力です」
「っ!?」
エングは声がする後ろを振り向く。
そこには無傷のまま移動してるマイトの姿があった。
「お前……避けたのか?」
「もっと撃ってきてもいいですよ。鬼ごっこは得意なんで」
「おもしれぇ……おもしれぇ!」
エングは次々と魔法を放つがどれも避けられてしまう。
「くそっ!何で当たんねぇんだ!」
「魔力が乱れてますよ!そんなんじゃ僕に魔法を当てられませんよ!」
『こいつの反射速度が格段に上がった。もしかしてオリジナル魔法か?』
『そろそろ気づいたかな?まあでも隠すほどでもないし!今の内に距離を取って…………』
「アイスガン!」
「っ!?」
エングはマイトに向けてではなく木に魔法をぶつける。
「ちっ!」
マイトは倒れていくる木を何とか避ける。
その時後ろから気配を感じとる。
「おらよ!」
「ぐっ!!」
その瞬間、エングが本気でマイトに殴りかかる。
マイトは何とかギリギリで防ぐがそれでも、体が浮く位の威力を放っていた。
「やっぱりか、その完全魔法解明って奴は魔法を自動的に避けるやつだろ。だから、俺の拳の攻撃は反応が明らかに遅かった。違うか?」
「正解です。エングさんの言う通り僕の魔法は相手の魔法に反応して自動的に避ける、なので魔法を当てることは不可能です」
「そうなると、こっちの方が有利だな。力の勝負では圧倒的に俺の方がつえぇしな。それじゃあ、殴り合いと行こう――――」
エングはギリギリのところで光の矢を避ける。
「残念ですけど、使えるんですよね魔法」
「がっはっは!なるほど、そりゃあ予想以上に厄介だ」
笑っているが顔は全く笑っていない。
エングは相当焦っていた、既に鬼ごっこで大分時間を消費した分ここに来て魔法が当たらなくなってしまったら、今のポイント的にも諦めるしかなかったからだ。
だが、マイト以外にポイントを多く持ってるのはナズミしかいない為、ポイントを取りに行けないのだ。
そんな劣性の中エングはまだ諦めていなかった。
それはこの魔法は絶対に避けられないと自信が合った。
その魔法はインフェルノキャノン、エングの最強の魔法である。
エングは2つの魔法陣を展開させる。
『ん?魔法陣が2つ?でも、魔力がバラバラではなく一緒だ。同じ魔法ってことか?』
「この魔法はな、2つで1つ何だよ。つまりな、普通の魔法より2倍の威力を誇るってことだよ!」
「オリジナル魔法ってことですか!オリジナル魔法なら大歓迎です!!」
オリジナルという単語を聞いた瞬間、明らかにマイトのテンションが高くなる。
突然の圧にさすがのエングも動揺を隠せずにいた。
「お、おう、何だお前急にテンションが上がったな」
『すごい魔力量だ。魔法陣にパンパンに魔力が詰まってるこの感じゾクゾクするな、流石エングさんだ。面白くなってきた』
「この魔法を避けられるもんなら避けてみやがれ!インフェルノキャノン!!」
地面をえぐり、木を焼く魔法がマイトに襲いかかる。
そして、魔法を撃ち終えると山の一部が失くなっていた。
「がっはっは!そうかよそうかよ!これでも避けられるのかよ!!」
魔法を放った後でもマイトの体には傷1つついてなかった。
「いや、やっぱりエングさんはすごいですよ。ここまでの威力の魔法、体験出来ませんよ」
「避けられてんだから嬉しくねぇな。だぁーちくしょう!制限時間とかねぇのかよその魔法!」
「そこら辺は企業秘密ですね」
「ちっ!やめだやめだ、鬼ごっこは俺には合わないからな。無駄な時間食っちまった、じゃあな」
そう言ってエングは去ってしまった。
エングが消えたのを確認してから、力を抜いて息を吐く。
「ふうー危なかった。もう少し長居してたら解けてたな」
マイトのオリジナル魔法は相手の魔力を感じとり体が自動的に避ける魔法。
だが、これにはいくつかの制限がある。
先ずは1度に防げる数が決まっている。
同時に2つまでしか魔法を避けることが出来ない。
さらに許容量も決まっている。
よければ避けるほど負荷がかかり、その負荷が一定数を越えると魔法が解除される。
例えば先程の威力のインフェルノキャノンを2発撃たれたら許容量は越えていた。
そのためマイトはギリギリの所で生きながらえたのだ。
「こういう運は意外にあるんだよね。にしてもいい経験になったな。エングさんのインフェルノキャノン、あれはまだまだ本気じゃなさそうだ」
新たな魔法を知れて嬉しそうにマイトはその場を移動した。
その頃ガイは――――――
「感じる、感じるぞ。この先に誰か居るな………」
ガイは未だに魔法使いと戦えてなかった。
「そろそろポイント探しも飽きてきたし、早く戦わせろ!」
ガイが声を上げながら歩いている時、その声を聞いた人物が一人いた。
「っ!?あなたはガイさん?」
ガイは名前を呼ばれたため立ち止まると、その人物をじっと見つめる。
「んー?ん~お前ネズミか!」
「ナズミです!」
「まー何でもいいや!ここでようやく魔法使いと会えたぜ!さあ、勝負しようぜ!!」




