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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十三章 開幕!島王選
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その十三 魔力入出説

「現在マイト選手はイナミ選手のオリジナル魔法に捕まってしまっています!他の十二魔道士の方々も各々動き出したようです!」

「かつ、何やってんのじゃ!ずっと固まったままではないか!」


デビはミノルの鏡を見ながら文句を言う。


「何か作戦があるんでしょ。かつが無意味にこんなことをするとは考えられないわ。特に今はね」

「確かにそうですね。今のところ何をしたいのか分かりませんが、かつさんを信じましょう」

「かつっちがんばれー!」

「それにしても、サキト遅いわね」

「お腹でも壊しておるのじゃろ。そんなことより鏡を見よう!」


その頃サキトは道に迷っていた。


「たくっここは無駄に広いな。元々は古い闘技場を改良したと言うが、どこに何かあるか分かりやすくしてほしかったな。うーん、俺の経験上あっちか?」


そんなことをぶつぶつと呟きながら探していると、曲がり角の方から声が聞こえてくる。


「誰かいんのか?俺の経験上これは聞くのが吉だな」


サキトは情報屋というより自分の性格上誰かの話を聞きたがる。

それが怪しげなものほど飛び込みたくなるのだ。

相手にバレないようにこっそりと顔を覗かせる。


「っ!?あいつは!」


そこに居たのは以前かつ達と闇マーケットで戦っていたカビットだった。


「あいつ、何やってんだ。そういえば、あの時も…………」


――――――――――――――――――――――――

『ありがとうございました。ふう、事情聴取ってのは妙に緊張するな。さすがに俺の経験には無いな』


すると、カビットが城を彷徨いてるのが見える。


『何やってんだあいつ?』


サキトは城での怪しげな行動に興味を持ちカビットを追う。

すると、カビットが誰かと話しているような声が聞こえた。


『誰かいるのか?』

『いきなりかけてこないでって言いましたよね。ここがどこか分かってやってんですか?はい、分かってますよちゃんとやってますよ。ていうかなんで僕なんですか。こんなめんどくさいこと………選ばれたなんて知りませんよ。………絶対だぞ、分かりましたそれじゃ』


一通りの会話を終えると周りをキョロキョロ見て立ち去っていった。


『何だ……今のは』


そして現在


「あの時の会話意味不明だったが、今回も意味不明だな」

『誰かが隠れて聞いてるのか?いや、この周りに誰かが隠れられる場所はないし、壁も厚くて向こう側には聞こえないな』


「分かってるからそんな一々言わないでください。僕だって本当ならこんなところに居ないんですよ。はい、はい見つけましたよ。古代の魔法を」

「っ!古代の魔法?」

「引き続きね、はい分かってますよ。はい、後ですね。それじゃあ。はあ……ちっ!めんどくさ」


舌打ちをしてそのまま行ってしまった。


「やっぱり、カビットは何かあるな。これは俺が調べるしかないな。俺だけがこの謎を解いてやる」


情報屋としての血が騒いだサキトは拳を握りながらそう誓った。


――――――――――――――――――

「さて、どうしようかな」


マイトは未だに鏡の檻に閉じ込められたままだった。


「外に出ようとすれば鏡が邪魔をする。魔法で壊そうにも取り込まれて、逆に反撃される。拳で砕くにも固すぎてまず不可能。鏡の破壊は断念した方がよさそうだね。と、すると後は脱出だけど」


マイトは周りを見渡す。

だが、鏡は四方八方にあり隙をついて逃げ出すのも不可能だった。


「ふふっ面白いな。やっぱりオリジナル魔法はこうでなくちゃ。こういう時間が最高に楽しいんだよな」


マイトはあふれでる笑顔を押さえきれず競技中なのも忘れて笑いだす。


「このままずっとここに閉じ籠っておくわけにもいかないしな。ツキノも風間様も待ってくれてるし、早くここから出ないと」


マイトはここから出るためにどうするか、今ある情報を整理して考える。


『現在、イナミ君は鏡の中で引きこもっている。つまりどちらともポイントを取れない状態。ん?待てよ、どちらともポイントを取れない状態?おかしいな、もし僕をここに止まらせてポイントを取らせないようにするなら自分も制限されない魔法を選ぶべきだ。それなのに自分まで制限されてしまい、さらに切り札であるオリジナル魔法まで使ってまでやるメリットがない。イナミ君もポイントをそんなに持っているわけでもないだろうし、1位を目指してる以上どこかで魔法を解除しなければいけない。それはあまりに無意味だ』


マイトは再び鏡を触る。


『やっぱり僕の時は何にも反応しない。でも、あの時イナミ君が入った時――――――』


その時鏡の方から魔法が放たれる。


「うおっと!あぶなっ!」


『まあ、そりゃそうか。あんだけ鏡に近づけば攻撃もしてくるか』


「ん?ちょっと待てよ、やっぱりおかしいよな。あのイナミ君がこんなことするの………試してみるか」


マイトは何かに気付いたのは一歩後ろに下がり鏡の檻の中央に立つ。


「ライジングサンダー!」


魔法は鏡に飲み込まれその場から消える。


『鏡を移動してる時には魔力を感知できない。外と鏡の中は完全な別空間と考えた方がいいな。そして……』


マイトの後ろの鏡から魔法が出現する。

それをギリギリでかわす。


「魔法が出てくるときは魔力で分かると………なるほど、なるほどそれじゃあ、早速試してみるか!」


そういうとマイトは次々と魔法を鏡に中に入れる。

そして、一通り魔法を入れるとマイトはニヤリと笑った。


「これで検証完了だ」


その瞬間、1つの鏡にまっすぐ突っ込んでいった。

―――――――――――――――

「はあ、はあ、はあ早くポイントを取らないとじゃないと」


その時イナミの手元にある鏡が光だした。


「えっ!?」


そして、そこからマイトが現れる。


「お前は!?」

「よし!やっぱり僕も鏡の中に入れた」

「な、何で分かったんだ」


突如のマイトの出現にイナミは動揺を隠せないでいた。

マイトは自分が立て仮説が正しかったことに喜び、嬉々としてその質問に答える。


「最初の疑問は鏡に居るかどうか。1番最初にイナミ君が鏡の中に入った時にぼくはずっと鏡の中で僕のことを見てるのかと思ってた。それも君の作戦の内だったんだろうけど、逆にそのお陰でこの魔法の能力に気づけた」

「だから、どうやったって言ってるんだ!」


中々明かさないマイトにイナミはイラつく。

マイトはこの状況を楽しむかのように話す。


「魔力入出説って知ってる?」

「魔法を使う時は出て魔法を使わない時は魔力を入れるって言うやつだろ」

「そっ簡単な話で実はこれが重要なんだ。魔力を使う時は出してそれ以外は空気中のマナを体内に貯める。じゃあ特定の敵を狙う魔法の時は魔力はどうなってると思う?」

「っ!?お前………」


その言葉の意味を理解したイナミは息を呑む。

その様子を見たマイトはにやりと笑みを浮かべてその続きを話す。


「最近はオリジナル魔法で特定の敵を狙うものも多くなったからね。その特定の敵を狙うのにどうするのか?普通の魔法だと自分の魔法でも当たってしまう。だから、自分の魔力を覚えさせるんだ。そうすれば魔法は当たらなくなる」

「何で、それを知ってる………」

「君がワープをしようとした時、魔力を感じなかった。もし、イナミ君以外の魔法使いが入れないのだとしたらそれが本人か確認するために魔力をほんの少し消費するはずだ」


イナミは一歩後ろに下がり警戒する。


「だから、イナミ君以外にも入れると思った。でも、どの鏡か分からないから一通り鏡の移動パターンを検証して分かったんだよ。これが、君の魔法の全てだ」

「……………っ!くそ!」


『実はその説僕が見つけたんだけど別に言わなくていいか』

「その鏡出しっぱなしでいいの?その鏡以外その場から動かすことは出来ないんでしょ」

「くっ!」


自分のオリジナル魔法を見破られてイナミは歯を食い縛る。

そして、鏡がその場から消えた。

それはマイトの考えがすべて正しかったことを意味していた。


「俺はポイントを取らなきゃいけないんだ。ポイントを取らないと駄目なんだよ!」

「そうか、僕もだよ」


その瞬間、マイトは走り出す。


「フラッシュ!」

「なっ!?」


目の前が光輝いて思わずイナミは目をつむる。


「………っは!」


イナミが目を開けるとすでにマイトの手にはリボンが握られていた。


「この程度の奇襲で取られるなんて、十二魔道士として恥ずかしくないの?」

「か、返せ!」

「やっぱり君は自信を失っているよ。オリジナル魔法も逃げを想定とした魔法だし、昔の君ならもっと攻撃的な物にしてたはずだよ。そんなにピンカが怖いの?」

「っ!お、俺は………」


その問いにイナミは明らかに動揺を見せる。

それをマイトは見逃さなかった。


「昔は自信に満ち溢れていた君は打たれ弱かったのかな?挫折を1回味わっただけでこんなにも弱くなってしまうのか。今の君ならかつですら余裕で勝てるよ」

「……………………」


イナミは自分が情けなくなったのか、それとも悔しさで立ち上がれなくなったのかその場でうずくまる。


「それじゃあ、リボンは貰っていくよ」

「っ!そ、それは駄目だ!」

「駄目だじゃないだろ。お前も十二魔道士なら戦って奪ってみろよ。言葉で解決するほどこの世界は甘くはない」

「そ、そんなのわかってるよ!!」

「そうか、それじゃあまた会おう!リフトタイフーン!」


その瞬間、魔法でマイトは飛び立った。


「…………くそ!!」


イナミは何回も何回も地面に拳をぶつけた。

その悔しさはマイトの言葉を否定することが出来ないものだった。

そしてマイトは空中を飛びながら一呼吸つく。


「ふうー何とか取れたな。にしてもイナミ君立ち直れるかな。あれでもう無理だったら、今日の島王選で引退するかもしれないな」


その時遠くから衝撃音が聞こえた。


「うおっと!どっかですごい戦いをしてるな。あの感じだとエングかな?僕もポイントもっと稼がないとな」


ただいまのポイント集計

1位 ナズミ 50ポイント

2位 エング 40ポイント

3位 ガイ 30ポイント

3位 マイト 30ポイント

5位 かつ 5ポイント

6位 イナミ 0ポイント



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