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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十三章 開幕!島王選
287/827

その十 尻尾はだめぇ!

「繰り返します!これより第1競技を終了します」


さ、最悪だ………最低最悪だ。

序盤から最下位になんて。


「まだ残っている十二魔道士は今すぐに戻ってきてください」

「だってよ、最下位。残念だったわね、まっこれで分かったでしょ。今度からはちゃんと敬意を払うようにしなさいよ」


そう言って、ピンカは魔法陣へ向かう。

あいつは最後の最後まで変わらねえな。


「かつ後輩、すみません。私のミスです」

「違う。これは俺達のミスだ」


俺達は自分の不甲斐なさを痛感しながら、テレポートした。

テレポートした瞬間、皆の歓声が一斉に響き渡る。


「さあー全ての十二魔道士が戻ってきたので結果発表とポイントを見てみましょう!!」


1位 ミズト ナズミ 50ポイント

2位 エング サザミ 40ポイント

3位 サラ ガイ 30ポイント

4位 ツキノ マイト 20ポイント

5位 ピンカ イナミ 10ポイント

6位 絶対かつ ミカ 5ポイント


「以上が第1競技の結果です!今回は前回よりも順位が大きく変動していますね。これは中々波乱の展開となってきました!」


最下位か………0ポイントじゃないのが唯一の救いだな。

でも……………


「おいおい、ガルア様の十二魔道士が最下位じゃねえか。もしかして、ガルア様負けるんじゃねえか?」

「でもでも、新しい王とかちょっと楽しみかも」


皆、ガルアが負けるのを望んでいるように聞こえる。

ガルアに俺は恥をかかせてしまった。


「ふふふっどうやら何が起こるか分からないのはあなたの方みたいね。それに、民衆の方たちも案外変革を望んでいるようだし、よかったではないですか。早めに気づけて。民衆の期待に応えるのが王の役目ですよね?」

「確かに民衆の期待には答えないとな」


その時ガルアの方を見ると席を立っていた。

何だ、もしかして俺達が不甲斐ないばかりに会場から出ていくんじゃ。


「ナイスだ、かつ!ミカ!」

「っ!?ガルア?」

「民衆を楽しませる演出ご苦労だった!最下位から逆転劇!観客の皆さんに見せてやれ!!」


ガルアは高らかに言い放った。

ガルア………まさか。


「え?あれ演出だったのか?」

「確かに、今までガルア様の十二魔道士が常に1番だったからこういう演出も言いかもな」


周りの観客もガルアの言葉でこれが演出によるものだと思い始めている。


「かつ!ミカ!」

「っ!」

「遠慮はもう要らねえぞ。後は完膚なきまでに叩き潰してやれ!」

「うおおお!!すげぇ!」

「やっぱりガルア様は最高だな!」

「宣戦布告だー!!ガルア様、ここで大胆にも他の挑戦者を煽る言葉を言い放ちました。本当の戦いはここからなのか!」


一通り言い終わるとガルアは満足げに座る。


「これで、満足か?」

「…………ちっ!」


ガルア、まさか俺達の為に。


「ガルア様も言ってくれますね。あれが演出だなんて」

「そうだな」

「でも、もう負けるわけにはいかなくなりました」

「そうだな!もう、絶対に負けるわけにはいかない。ガルアの為にも絶対に」


俺達は改めて覚悟を決める。

もうこれ以上不甲斐ない姿を見せる訳にはいかない。


「ミカ、試合前に医務室に行って傷を治してこい。今のままだとまとめに戦えないだろ」

「そうですね、それじゃあ次の競技が始まるまでには戻ってきます」


そう言ってミカは医務室へと足早に向かっていった。


―――――――――――――――――――――

先程のガルアの行動を見てリドルは感心した様子を見せる。


「演出ですか、ガルア様らしいですね」

「そうね、さすが王様ね」


ミノルもリドルの言葉に同情すると、デビが疑問を口にする。


「でも、かつ達大丈夫なのか?最下位になってしまったのに逆転できるのか?」

「かつっちなら、だいじょうぶい!信じようよ!かつっちとミカッちを!」

「そうだな、実際俺の経験上かつ達の動きは中々悪くなかったしな」

「順番問題よね。かつ達がもうちょっと早く来てれば、順位は変わってたわ」

「妾は応援するぞ!!頑張るのじゃ!」


ミノル達が次なるかつ達の活躍に期待していると、すでに次の競技のアナウンスが響き渡る。

――――――――――――――――――――――――――


「順位も確定したのでそろそろ次の競技に参りましょう!続いての競技はこちら!尻尾取りです!」


またもや聞きなれた言葉が聞こえる。

尻尾取りか懐かしいな、小学生のころ敵味方関係なく一点狙いされたっけ。

よく考えたら味方が俺の尻尾を取ったら負けになるよな、馬鹿じゃん。


「おい、サザミ尻尾取りってのは何だ?」

「一々俺に聞くな。言葉通り尻尾取るんじゃないのか」

「あんたバカでしょ。そんなことしたら血が吹き出して死んじゃうじゃない!他人の評価ばっかりしてるせいで自分の頭の悪さも忘れちゃったのかしら」

「クフフっピンカ喧嘩売ってるのか?生意気なこと言えなくさせてもいいんだぜ」

「やってみなさいよ、あんたみたいな自分を過大評価してるような奴に負けるわけないし」


相変わらずバチバチやってるな。

ていうかピンカは見境がないのかよ。

口を開けば悪口ばっかだな。


「ヒートアップしてるところでルール説明に入りましょう!先ずはこのリボンです!」


そう言って、巨大な鏡にリボンが写し出される。

特にこれと言って変わった様子は見られない普通のリボンぽいな。


「このリボンは競技中尻尾に巻いてもらいます!リボンにはポイントがそれぞれ書かれており、先ほど勝ち取ったポイントが記されています!」

「なるほどねぇ。尻尾取りってのはそう言うことかい」

「中々面白そうだね。これで、やっとかつの魔法が見れそうだし」

「そして、尻尾に巻かれている相手のリボンを奪い自分の尻尾に巻くことでこちらのポイントにすることが出来ます!最終的に巻いてあるリボンのポイント数が第2競技のポイントとなります!」


誰よりも1番多くリボンを勝ち取れって事か。

序盤で多く持ちすぎると一斉に狙われる危険性もあるな。


「そして、今回はそれぞれ各1名の参加です!今回誰が参加するかは事前に決めてあります!それでは、早速参りましょう!」


各1名って事は6人が参加するってことか。

人数制限が設けてあるって事はステージも狭いのかな?


「まず1人目はミュウラ様の十二魔道士からナズミ選手だ!」

「わ、私ですか!?が、頑張りまふっ!あっ!噛んじゃった」

「しっかり、頑張ってくるのよ」

「はい!」


ナズミか、確か第1競技でしれって1位通過してたんだよな。

実力が未知数だし、警戒しておかないとな。


「続きまして2人目はカノエ様の十二魔道士からエング選手!」

「あ?俺か!」

「そうだ。負けるんじゃないぞ」

「おう!勝ち取ってくるぜ!」


あの二人からはエングが出でくるのか。

ミカの様子からして、エングはかなりの武闘派な魔法使いだ。

正面から奪うというよりも、掠め取ったりするほうが得策か?


「3人目はムラキ様の十二魔道士からガイ選手だ!」

「ついに戦えるぜ!」

「思いっきり暴れてきな!」

「おう!1位になって帰ってくるぜ!」


ガイか、あいつはかなりの好戦的だからな。

出来れば気付かれずに取れれば面倒事は避けられそうだが、そう上手くは行かなさそうだよな。


「4人目は風間翔太様の十二魔道士からマイト選手です!」

「よし!これで、皆の魔法を体験できるな」

「………頑張って」

「うん!必ず1位を取って帰るよ!」


マイト、あいつも実力がまだ分からないだけど。

だけど常に余裕そうな雰囲気は感じるし、もしかしたらとんでもない奥の手を残しているかもしれない。


「続きまして5人目の十二魔道士はシンラ様の十二魔道士からイナミ選手です!」

「え!?何であんたなのよ!」

「………………………」

「負けたりしたら承知しないからね!」


ピンカとイナミは相変わらず仲が悪いな。

完全にイナミが萎縮しちゃっている。

十二魔道士に選ばれたんだからイナミも実力はあるんだろうけど、あの様子を見るとそうは見えないんだよな。


「最後はガルア様の十二魔道士からミカ選手です!」

「わ、私!?急になんですか!」

「あっミカちょうどよかった。どうやら尻尾取りゲームの参加メンバーに選ばれたんだ。尻尾にリボンを付けてポイントを奪い合うらしい」

「え?尻尾にですか!?」

「そうだけど、どうかしたのか?」

「な、何でもない」


何か、様子がおかしい気がする。

まあ、傷の手当をしたばかりでまだ痛むのかもしれないし、気のせいか。


「以上が第2競技の出場者です!それでは、リボンをお配りするので全員付けたのを確認したらテレポートします!」


すると、奥からリボンを持ったスタッフが出てくる。

スタッフは次々と出場する十二魔道士にリボンを渡す。

そして、もちろんミカにもリボンが渡る。

だが、すぐに付けようとしない。


「どうした、ミカ?付けないのか?」

「え?付けますよ。当たり前じゃないですか、バカなんですか」

「いや、何でお前急に暴言言ったし。じゃあ早くつけろよ」


すると、ものすごく慎重に尻尾にリボンを付けようとする。

もしかして……こいつ。


「なあ、ミカもしかしてリボンが付けづらいのか?」

「え?いや、別にそんなんじゃないです!」

「みんな待ってんだぞ。お前ばかりに時間取ってる暇ないんだよ。ほら、貸せよ。俺がつけてやる」

「え、ちょ!」


俺はミカからリボンを取って尻尾に付ける。


「う、うぅんっ!?」

「え?」


その瞬間、何故かミカが甘い声を出す。

すると慌てた様子でこちらに振り返る。


「ち、違いますよ!今のは違います!」

「あ、ああそうなのか。それじゃあ」


もう一度ピンカの尻尾にリボンを結ぼうと、触れると尻尾が逆だつ。


「うぅんっあっはぁっ!」


またもや甘い声を出して、力が抜けるようにして膝から崩れ落ちる。


「お、お前……」

「に、苦手なんです。尻尾触られると思わず声が出ちゃって」


幸い他の人には聞かれてないからいいもののヤバい弱点を見つけてしまった。

ていうか、これ出来るの?


「もし出来なさそうなら、変わるか?」

「いえ、大丈夫です。はあっこんなことで逃げるわけには行かないから」

「じゃあ、やるぞ」

「は、はい!」


俺は覚悟を決めてミカの尻尾にリボンを付ける。

だが尻尾はくすぐったいのか上下に動くことを辞めずに、しかもミカの口からは甘い吐息が漏れ聞こえる。


「んっふぐっ!はあっあっ!うぅん!ああっ!」


服を噛んで必死に声が出ないのを我慢している。

いやめちゃくちゃやりづらいんですけど!


「はっ早くんっ!してくだ…はあっさい」


そう言って、少し涙を浮かべ羞恥心で真っ赤に染まった顔を俺に見せてくる。

これは、完全にヤバいことをしてるみたいだ!

俺は付けるのをやめた。


「はあっはあっはあ………」

「ミカ、変わろっか」

「………はい」


王に理由を説明して俺が出場することになった。



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