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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十三章 開幕!島王選
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その五 本当のゴール

「ピンカ選手とマイト選手は対話だけでその場をあとにしてしまいました。無用な戦いをやめてゴールを優先した選択は果たしてこの後の展開でどう響くのでしょうか!」


ミノルは鏡でかつ達の動向を観察する。


「どうやら、かつ達木に着いたみたいよ」

「そうなのか!?てことはかつ達が1番ってことか!?」

「いや、何かおかしいですね。他の十二魔道士の方達はすでに木に到着しています。でも、ゴール判定がされていません」


リドルは他の十二魔道士の動向をチェックしながら、違和感を考える。


「おおっと!ここでエング選手とサザミ選手が森を抜けました!!一体何処に向かうのでしょうか!」

「っ!?ミノルさん!あの2人を写してください!」

「わ、分かったわ」


そう言って、ミノルはすぐにエングとサザミを鏡に写す。


「これで、何か分かったの?」

「ミノルさん、このままだとかつさん達最下位になってしまうかもしれません」


―――――――――――――――――――――

「ここが、1番高い木のはずなんだけど……」


そこはただ高い木がそびえ立っているだけで、ゴールらしきものが見当たらなかった。


「てことはなんですか?つまり、ハズレたってこと?」

「まあ、そういうことになるな」

「何やってるんですか!このままだと最下位になっちゃいますよ」

「分かってるよ!くそっすぐに他の場所に行くぞ!」

「いいですよ、私がやります」


そう言って、大玉をかつの方へと転がす。


「え?どうするんだ?」

「とりあえず大玉をしっかり握っててください」


俺は言われた通り大玉を握る。


「で、どうすんだよ」

「私が思うに多分この大玉魔力抵抗が相当あると思うんですよ」

「は?どういう意味だ?」

「普通の大玉でしたらエング先輩の魔法ですでに破裂していました。直接触れてなくても、普通に大玉が耐えられる訳ありません」

「てことはこの大玉思った以上に魔法に対して強いってことか」

「多分、なのでもう魔法で吹き飛ばしてしまいましょう。てことでしっかり握っていてください」


え?何で魔法で撃つ構えしてるの?

話の内容は理解したけど何で魔法を撃とうとしてるの?


「それでは、行ってらっしゃい」

「ちょっま――――――」

「ウォーターガン!!」


その瞬間ミカの魔法で大玉が物凄いスピードで吹き飛ばされる。

大玉にしがみついていた俺も同じように空を飛ぶ。


「ぎゃああああ!!!」

「ゴールは任せましたよ!!」


――――――――――――――――――


「おおっとかつ選手!大玉と一緒に空を飛んでいる!ミカ選手は大玉の耐久性を見破り大きく前進しました」

「いいぞかつ!そのままぶっ飛べ!」

「相変わらず、楽しそうだな。お前らは」


その時観戦していたミノル達の背後に声がかかる。

そちらの方を振り向くと、そこにはサキトの姿があった。


「あー!サキッちお久!」

「サキト、あなたも来てたの」

「そりゃそうだろ。こんな一代イベント見ない方がおかしいだろ。絶対かつ、中々奮闘してるな。これなら1番になるじゃないか」


そう言って、サキトは空いていた隣の席へと腰を下ろすと、自分の鏡をじっくり見る。


「いえ、多分どんなに頑張ってもゴールは出来ません」

「やっぱりか。あのエングとサザミの行動で俺もピント来たよ」

「はい、なぜならあの森の中にはゴールなんてそもそも存在しないのですから」

「ここで最初に光ってから5分が経過しました!2回目の点灯が始まります!」


―――――――――――――――――

「うぐぅぅぅ!!」


やばい!これ顔が壊れる!

でも、あともう少しで…………ん?また大玉から魔力がまずい、また光るのか!?

こんな空中で光ったら格好の的になっちまう!

だが、大玉はまた光輝く。


「くっ!眩しい!」


その瞬間、嫌な気配が近づいてきた。

これは、十二魔道士!?


「見つけたわ!!」


その瞬間、魔法陣が展開される。

まずい!空中じゃ避けられない!

でも、さすがに殺すようなことはしないはずだ!


「死になさい!」


死になさいって言っちゃってる!


「ライジングサンダー!!」


くそ!死んだらどっち道終わりだ!

インパクトを使うしかない!

そう覚悟した瞬間、別のところから魔力を感じた。


「ロックタワー!」


俺の目の前に突如巨大な大岩が出現する、そのお陰で雷が俺に届くことなく岩に当たり砕け散る。

するとここまで飛んできた大玉も段々とスピードを落とし、落っこちる。


「お、おおわ!!」


ぶつかる!

そう思った瞬間、突如水が出現しその水の中に大玉ごとダイブする。


「プハっ!はあ、はあ、助かった」

「ちょっと!どういうつもりよ!」

「どういうつもりって、あのままじゃかつ死んじゃうところだったぞ」


目の前にはピンカとマイトが喧嘩をしている。

え?これは、どういう状況?


「かつこうはーい!大丈夫ですかー!」


その時こちらに走ってくるミカの姿があった。

俺はすぐさま水の中から出ると、ミカへと詰め寄る。


「ミカ!お前やってくれたな!やるならやるって言ってくれよ!」

「すぐに試したかったからつい。あれ?ピンカ先輩とマイト先輩じゃないですか?何してるんです?」


ミカもピンカもマイトが居ることに気づくと、先程まで口論していたピンカがミカの方を睨みつける。


「うるさいわよ、ガキ!あんたは黙ってなさい!」

「っ!ガキは先輩の方じゃないですか?ていうか、見た目的にも先輩の方がガキですよ」


こいつ、あのピンカ相手によく言えるよな。


「あんたに構ってる暇ないのよ。それよりマイト!何で私の邪魔したの!」

「だから、かつがあのままじゃ殺されそうになってたから助けたんだよ」

「あんた敵でしょ!敵のあんたが何で助けたのかって聞いてんの!」

「かつとは敵であり、友達でもある。友達をそう簡単に見殺しにはできないだろ」

「マイト………」


やばい、惚れそう。

にしても、本当に助かった。

マイトが居なければやられていたかもしれない。


「あんたねぇ、私情をこの戦いに持ち込むんじゃないわよ!」

「ピンカだって、むしゃくしゃしたからかつの事攻撃したんだろ?相変わらずイライラすると見境ないんだから」

「何私の事知った風に言ってんのよ!彼氏面するじゃないわよ気持ち悪い!」

「別にそういうつもりじゃなかったんだけど。でも、殺しちゃったらピンカが退場されちゃうよ。それでもいいの?」

「くぅーー!分かったわよ!別にあんたに従う訳じゃないからね!ただ興が冷めただけだから!ふん!行くわよイナミ!」


そう言って、怒りながら行ってしまった。

こいつら仲が良いんだが悪いんだが。


「何だったんだ一体」


俺が何を見せられたんだと思っていると、マイトが申し訳無さそうにこちらに向かってくる。


「大丈夫?ごめんな、ピンカも悪気が合った訳じゃないんだよ」

「本当か?まあ、助かったよ。ありがとな」

「いいんだよ、でもここからはもう助けない。今僕らは敵同士わかるだろ?」

「ああ、分かってるよ」


マイトの目付きが変わった。

本当にここからは敵同士ってことだな。


「そういえば、ツキノは?」

「先に木の方に向かわせている。どうにも気になることが合ってね」

「気になる事って?」


だが、マイトは何も答えず俺を見る。

そうか、敵同士だもんな。


「お互い健闘を祈ろう。それじゃあね」

「ああ、じゃあな」

「かつの魔法、楽しみにしてるよ」


そう言って、マイトは行ってしまった。


「あの人といつ友達になったんですか?」

「会議の時にちょっとな。よし、俺達も早く――――」

「速報!速報!初ゴール者が出ました!!」

「っ!?何だって!?」


今の声何処から。


「あの空を飛んでるモンスターからですよ。ほら、魔法陣が体にはっつけられてるでしょ」


本当だ、飛んでいるモンスターに魔法陣がくっついてる。

ていうかそれよりもこいつ気になることを言ってたよな。


「速報!速報!初ゴール者が出ました!!」

「大変ですよ、かつ後輩!このままじゃ、最下位になっちゃいますよ!ガルア様とハイト先輩に合わせる顔がありません!」


そう言って、ミカは必死の形相で俺の肩を揺らす。

俺は気が動転しているミカを落ち着かせるために、肩をつかんでる手を剥がす。


「分かってる。でも、今始めてゴールしたんだよな」

「そう言ってるじゃないですか。かつ後輩、大丈夫ですか?」

「違うんだよ、こんな放送があるって知らなかったからもっとゴールしてると思ってたんだけど、今始めてゴールしたのか。なあ、ミカお前はゴールが何処にあると思う」

「1番高い木ですから、あの3つのどれかって事じゃないんですか?」


ミカは先程候補として上げた3本の木を指差す。


「俺も最初はそう思ってたでも、可笑しくないか?たしか、ゴールは1番高い木………そして、この森には同じ高さの木が3つ、これのどれかが本物ってそんな曖昧なゴールあると思うか?」

「てことは、あの木はゴールではない。ゴールは別にある、そう言いたいんですか?」

「ああ、もっとはっきりとしたゴールがあるんだよ。実際森の中とは行ってなかったしな。この島で1番高い木は何処だ?」


俺の問いにミカは難しい顔をしながら考える。


「たしか、ウォームウッズの樹木ハウスですね」

「よし!そこに行こう!まずは森を出るぞ!そうすればテレポートも使えるはずだ」


俺達は目的地を決めて早速森を抜け出すことに専念する。


―――――――――――――――――――

その様子を観察していたミノルは満足げに言葉漏らす。


「かつ達、何とかゴールのなぞに気付けたようね」

「はい、これで最下位は何とか回避できそうですね」

「にしても、あのミズトとナズミって奴らまさか最初からこの謎に気づいてたもわな。俺の経験上あいつらは中々の強敵だぞ」

「モンスターの監視からも逃れていましたからね。姿すら捉えられなかったのを見ると、そういうオリジナル魔法を持ってる可能性がありますね」

「頭いいな、自分達は先にゴールしてヒントを残さない。そして、それを実行出来る行動力、普通だったらまず最初に1つは木を確認しに行くよな」

「確信があったのよ。絶対にそこにあるって確信が」

「あんなやつ相手にお宅のかつは勝てるのか?」


――――――――――――――――――――


一方その頃ピンカはすべての木を確認していた。


「ちょっと!全部の木が外れじゃない!一体どういう事よ!」

「あ、あの………」

「何!!」

「ひっ!何でもないです」

「何でもないなら話しかけんじゃないわよ!ああー!もう!一体何処がゴールなのよ!!!」


ピンカとイナミは絶賛迷子中。

だが、イナミは既にそのなぞに気づいている。

けれどイナミが自分から答えを言わない限り無理な話。

ピンカの性格上それを聞くのも無理な話。

ピンカとイナミは絶体絶命の所に追い込まれていた。

一方その頃ツキノとマイトは……………


「全部……外れた………」

「そうだね、見逃してるってことはないだろうし。待てよ、なるほどしてやられたね。ツキノ、場所が分かった!すぐに行こう!」

「何処に………?」

「この森はフェイク。本当は別の場所に合ったんだよ。この島で1番高い木は何処?」

「………あっ」

「気づいた?よし、それじゃあ行こう!」


ツキノとマキトは本当のゴールに気づき現在移動中。

ただ1組を残して……………


――――――――――――――

「現在、ほとんどの十二魔道士が森を脱出しています!ですが、まだピンカ選手達は森で立ち往生をしてしまってます!果たしてゴールに気づくことが出来るのでしょうか!」

「距離だとかつさん達が3位ですかね」

「そうね、でも1番気になるのがこの2人」


ミノルはエングとサザミを写す。

そこにはゴール前で仁王立ちしているエングと木の上に登っているサザミの姿が写されていた。


「何でゴールしないんだこいつら」

「嫌な予感がするわ。かつと関係なければいいんだけど」

「テビッち狭いよ!少し離れて!」


その時デビとメイが鏡巡って取っ組み合いを始めた。


「妾も見たいのじゃ!」

「自分ので見なよ!」

「妾のは何故か壊れてしまったのじゃ」

「自分で壊したんでしょ!」

「別にいいじゃろ!一緒に見ようなのじゃ!」

「デビッちくっつきすぎ見えにくい!あっ!」


その瞬間、ガラスが割れる音が響き渡った。

メイは粉々になった鏡を呆然と見ていると、はっとしてデビの方へと指を突きつける。


「デビッちのせいだ!」

「妾のせいではない!お主がしっかり持ってなかったからじゃろ!」

「2人共悪い!」

「イテッ!」

「いた!」


そう言って、ミノルは2人の頭をこづく。


「反省しておとなしくしてなさい!」

「「はーい」」

「相変わらずだな」

「そうですね、お陰さまで毎日賑やかですよ」


――――――――――――――――――――


エングとサザミはゴール地点で待機して皆が来るのを待っていた。

そんな中、サザミはエングに問いかける。


「それで、どうだった?」

「何がだ?」


意味が分からずハテナマークを浮かべているエングに対して、先程の言葉を補足する。


「何がってあいつらだよ。戦ったんだろ?」

「かつ達か、予想以上に面白い敵だな」

「クフフっそうか大口叩くだけはあるか?」


エングは先程の戦いを思い浮かべるように上を見上げる。


「あのミカってガキは予想以上にポテンシャルたけぇ。まだ発展途上に関わらず俺を押さえるほどの力を持ってた。この大会で更に成長する可能性があるな」

「ほぉーそれは中々の好評かだな。で、問題の絶対かつはどうだ?」

「奴は戦略に長けていた。俺相手に物怖じせず攻める姿勢もあった。精神力も中々のものだ。格上相手の敵と戦うのに慣れてる印象があった。経験値がミカよりもあるだろうな」

「まっそんな雰囲気は最初から合った。問題は奴の魔法だ」

「1度に10個もの魔法を展開していた。相当努力してたんだろうな」

「なるほど、でも威力はそこまでだろ」

「ああ、だからこそ1番警戒しなきゃいけねぇ」


そう言って、サザミは拳を強く握りしめる。


「そうだな、これで確信した。奴はオリジナル魔法を所持している。それも俺達十二魔道士と匹敵するのほどの力を持つものだ」

「楽しみだぜ。今から戦うのがよ!」


戦いの時は刻一刻と近づいていた。



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