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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十三章 開幕!島王選
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その四 始めての魔法使い

目の前が一瞬にして炎に包まれた瞬間、俺は死を覚悟した。


「マッチングー!!今回始めてのマッチングです!ミカ選手と絶対かつ選手の前にエング選手が立ちはだかりました!さあ、この状況をどう乗りきるのでしょうか!なお、先程の光は5分に1度光るようになっています。誰にも会わないまま終わると言うマンネリを防止するためです」

「ついに来ましたね。あのエングと言う方、間違いなく十二魔道士最強の一角ですよ」

「でも、かつなら余裕なのじゃ!」


デビは自信満々に宣言するが、ミノルは冷静に状況を見る。


「いえ、普通なら勝機はほぼ無いわ。でも、かつなら大丈夫」

「そうそう!かつっちならだいじょうぶい!かつっち頑張れー!」


そう言うとメイは立ち上がり、声を上げながら腕を何度も振るう。


「おおっと、かつ選手を応援する熱狂的なファンが居るようですね」

「ちょっと、メイ恥ずかしいからあんまり目立たないでよ」

「ズルいのじゃメイ!妾も目立ちたいのじゃ!」

「だから静かにしなさいよ!」

「おおっと!ミカ選手と絶対かつ選手が大きな動きを見せました!」


―――――――――――――――

「ちょっと待てー!!」


現在俺達はエングに追いかけ回されていた。

ボールを転がしながら、何とかエングから離れようと試みる。


「逃がさねぇぞ!俺と勝負しろ!」

「くそ!一体何なんだ!何で俺達を狙うんだよ!」

「かつ後輩、それは間違いなくあの光のせいですよ。何で光ったんですか?そんなにアピールしたかったんですか?」

「だから違うって言ってるだろ!これは完全にこの大玉の仕様だろ。あの解説の人は説明しなかったけど」

「ちょこまかと逃げるなよ!!」


その瞬間目の前に魔法陣が出現する。


「まずい!」


俺は急いで急旋回してその場から離れる。

そして、離れた瞬間炎の渦がその場を燃やし尽くす。


「ばか野郎!ここは森だぞ!そんなことしたら大火災になるぞ!」

「安心しろ!この森は魔法で作り出されたものをある程度のところまで行くと消えるようになる様になってるからな」

「え?そうなの?」


なら、めちゃくちゃ魔法使い放題じゃん!

くそ、面倒なやつに会ってしまった。

エング1人だけとなると、サザミって奴は木のところに向かってるのか。

確かにうまいやり方だ。

1人は他の奴らを足止めしてもう1人がゴールに向かう。

お互いの力を信じきっているからこそ出来るやり方だ。

今の俺達ではそのやり方は出来ない。

どうする!?


「かつ後輩!ボーッしないで!」

「っ!?あぶねっ!」


目の前から木に移った炎が俺を飲み込もうとしていた。

すぐにその木から距離を取ろうとするがその足は途中で止まってしまう。


「まずいな、これ」

「なるほど、意地でも私達と戦いたいんですね」


気が付くと俺達の周りが炎で囲まれてしまっていた。

魔法で作られた炎なら俺にとっては触れれば骨すら残らないだろう。

完全に取り囲まれた。


「これで、お前らは逃げられないな。せっかくこうして会えたんだ。逃げるだけなんてつまらないだろ」


このエングって奴、最初はトガ見たいな戦闘バカだと思ってたけど、意外と考えて戦っている。

むやみやたらに撃ってたと思ってた魔法も俺達を取り囲むため。

力でゴリ押しするタイプの敵とは何回も戦ったことはあるけど、まずいな、まだ戦った事無いんだよな戦略的に戦う魔法使いとは。


「かつ後輩、ここは任せてください。あの魔法使いは私が倒します」

「え?お前1人だけで勝てるのか?」

「相変わらず威勢がいいな。それでこそ、潰しがいがあるが俺が1人でもここから出すと思うか?」


思いません!

くそう、ワープを使えば難なく突破出来るんだがやっぱりまだ魔法は使えない。


「かつ後輩、身体能力が高いみたいですしあの木をとんとんとーんと行って脱出してください」

「いや、まあ出来るけど。この大玉持ってだろ」

「当たり前じゃないですか。逆にそれ持ってなくて脱出してもらっても意味ないですし」

「分かったよ。一瞬だけ気を逸らしてくれそれなら行ける」

「了解!頑張ってくださいよ!アブソリュートフリーズ!!」


その瞬間、目の前に巨大な氷が出現しエングに襲いかかる。


「グランドファイヤ!!」


だが、エングも負けじと魔法で対抗する。

今だ!

俺はその瞬間大玉を持って炎の檻から逃げ出す為、まだ安全な木へと飛び移る。

あとは任せたぞ、ミカ。


「おい、逃がさないって言っただろ?」

「っ!?がはっ!」


声が聞こえた瞬間、俺は地面に叩きつけられた。

いつの間に来ていたのか。


「だ、大丈夫ですか!?」

「くそ、先回りさせられてた」

「脚力は中々あるようだな。だが、炎を怖がってるのかあんまり大胆には動けてなかったから叩きやすかったぜ」

「ちょっとしっかりしてくださいよ。」

「しょうがないだろ、いつもだったらもっと早く動けるけど炎も大玉もあるんだし」

「っ!?危ない!」


その瞬間、炎の渦が襲いかかるがミカが氷の魔法で防ぐ。

ジリジリと焦がす熱が氷によってせき止められる。


「ありがとうミカ」

「しっかりしてくださいよ、一応ハイト先輩から奪い取ってるんですから」

「分かってるよ。ハイトの分もしっかりやるよ」


でも、この状況間違いなくまずい。

このままだと最下位になってしまう。

それはなんとしても防がないと。

でも、どうすればあいつから逃げられるんだ。


「ミカ、お前の得意魔法って何だ?」

「私は水です。かつ後輩は?」

「俺は無だ。そうか、水が得意魔法なのか。なあ、拘束系の魔法って撃てるか?」

「撃てますけど…………どうするんですか?」

「俺がやられたらその魔法であいつを縛ってくれ。頼んだぞ」

「分かりました」


俺はミカが理解したことを確認して、エングの方を見る。


「話は終わったみてえだな」

「黙って聞いてなくてもよかったんだぞ」

「期待してんだよ、お前らには。中々骨のあるやつが居なかったからな。初対面であれだけ喧嘩売る奴はお前らがはじめてだ」

「いや、俺は別に喧嘩売ってないんだけど、まっ戦うからどっちでもいいか!!」


俺はその瞬間エングに殴りにかかる。


「魔法使いが拳で来るとわな!面白いじゃねえか!」


すると、エングも拳で殴りにかかってくる。

俺はエングの拳をギリギリで交わして逆にエングの顔面をぶん殴る。

よし!当たった!


「ニヤッ」

「なっ!?」


その瞬間、俺の腕が掴まれる。


「は、離――――」


するとエングは軽々と俺を持ち上げると。地面に何度も叩きつけられる。

こいつ、意外と力が強い!


「おらよ!」

「ぐはっ!」


ある程度地面に叩きつけられた後、空中に放り投げられ地面を転がる。


「ウォーターガッチメント!」

「ぐっ!中々強いな!」


その瞬間、ミカがエングを水の縄で縛り付ける。


「だが、俺を固定しただけで逃げられると思ってんの…………なっ!?」

「しっかり押さえ付けとけよ、ミカ」


俺はその瞬間、10個の魔法陣を展開する。

さっきのお返しだ。


「まじかよ!」

「喰らえ!ファイヤーボール10連!」


10個もの魔法がエングに襲いかかる。

エングは動けないためその魔法を無防備で喰らうことになる。


「があー!こんな魔法1個何発当たったところできかな………居ねぇ」


――――――――――――――――――――――――――――――――

俺達は十個の魔法陣が直撃した一瞬の隙を狙って、その場から脱出していた。

ある程度の距離を大玉を転がしながら走り終えて、足を止めて呼吸を整える。


「はあ、はあ、何とか逃げ切れたな」

「私的には決着をつけたかったんですけど」

「それは、個人でやってくれ。今はゴールするのが先決だ」


にしても、追ってこないな。

ミカの拘束魔法ももう解いてるだろし、あいつのことだからすぐに来ると思ったけど。

まあ、諦めたなそれはそれで構わないのだが。


――――――――――――――――――――――――――――――――

エングは高速を解くと居なくなったかつ達に対して腹を立てていた。


「あいつら、俺をおちょくりやがったのか?あの締め付けもあの魔法も油断をさせるための………逃がさねぇぞ!」


エングがかつ達を見つけるべく息巻いているとその瞬間、何処からともなく氷柱がエングに向かって飛んでくる。

それをギリギリのところで掴む。


「時間切れか。分かったよ」


そう言って、エングは追いかけるのをやめて木のところに向かう。


「さあーて!現在ゴールした選手は今のところ誰も居ません!ここから誰が1番にゴールするのでしょうか!」

「今のところ逃げ切れたようですね」

「そうね、でもゴールされるのも時間の問題かも」

「おっと!ここでピンカ選手達もマッチングしたようです!」


――――――――――――――――――――

ある地点ではピンカとイナミチームとマイトとツキノチームが対峙していた。

だが先に見つけたマイトが笑みを浮かべて、ピンカの元へと駆け寄る。


「奇遇だね、ピンカ。ピンカもこの木を狙ってるの?」

「げっ!マイト」


マイトが来たと分かるやいなや、心底嫌そうな顔をピンカはする。



「そんな嫌そうな顔しないでよ。僕とピンカの仲だろ?」

「何が僕とピンカの仲よ!この魔法オタク!ていうか、今戦いの途中ってこと忘れてる訳じゃないでしょうね!」

「ちゃんと覚えてるよ。でも、別に無理して戦う必要も無いだろ?それとも、僕に魔法を見せてくれるの?」


そう言うと期待の眼差しをピンカへと向ける。


「あんたの頭の中はそればっかなの!?まあいいわ。あんたみたいな魔法オタク、眼中にないし。それよりあんたのところの十二魔道士も無口ね」


ピンカはちらりとツキノの方を見る。

ツキノは特に反応を示すことなく、呆然とピンカ達を見ていた。


「そんなことないよ。意外と話すのは楽しいしね」

「あっそ、どうでもいいわ。あんたに構ってる暇ないから。勝つ気が無いんだったらとっととリタイヤすれば?」

「相変わらずピンカの言葉にはトゲがあるな。お互いベストを尽くそう」


そう言って、マイトとツキノは行ってしまった。

その後ろ姿を見てピンカは唇を尖らせて、心底不満そうに告げる。


「ふん!行くわよイナミ」



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